新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年2月15日

(令和6年2月15日(木) 10:23~10:37  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 お手元に配付しております私の談話にもあるとおり、本日公表の2023年の10-12月期のGDP速報値では、実質成長率は前期比マイナス0.1%、2四半期連続のマイナスとなった一方で、名目成長率は前期比プラス0.3%と2四半期ぶりにプラスとなり、名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新いたしました。
 内訳を見ますと、外需については、米国向けを中心に財輸出が増加したことに加え、サービス輸出も増加し、外需の寄与が2四半期ぶりにプラスとなった。一方で、内需については、個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、3四半期連続のマイナスとなった。設備投資は、供給制約もあって、建設投資が減少し、3四半期連続のマイナスとなりました。
 今回の結果で示されたように、賃金上昇が物価上昇に追いついていない中、個人消費は力強さを欠いており、設備投資は、堅調な投資計画が実際の投資として実現することに時間がかかっています。
 政府としては、民需の力強い回復に向け、総合経済対策等を速やかに実行してまいります。
 また、今年の春季労使交渉では、労使ともに、「昨年を上回る賃上げ」に向けた取組が見られます。
 労務費の価格転嫁の促進、賃上げ税制の拡充、省力化投資支援など、あらゆる政策を総動員して、賃上げの取組を強力に後押しいたします。
 その上で、給付金や定額減税によって、所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出し、消費の拡大につなげたいと考えています。
 賃上げを持続的・構造的なものとするため、三位一体の労働市場改革に取り組むとともに、半導体や脱炭素の大型投資に対する支援や、イノベーションボックス税制・戦略分野国内生産促進税制など、様々な支援を活用いただいて国内投資を促進し、潜在成長率を引き上げていきたいと思います。
 こうした取組の着実な進展によって、民需主導の持続的な成長、そして持続的・構造的な賃上げの下で、消費や投資が増加し、更なる経済成長が生まれるという、「所得増と成長の好循環」をつくれるように目指していきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2023年の名目GDPについて伺います。今回の発表でドルベースの名目GDPで日本がドイツに抜かれ4位となることが確実となりました。国際社会における日本の存在力低下を懸念する声もありますが、この受け止めと、今後、日本の国際競争力を高めるために何が重要となるのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)世界各国の名目GDPの水準を国際比較する際にはドルに換算することになっております。ですから、為替レートの動向というものも大きな影響があります。米ドル換算のGDPを評価する際には、そういった意味での留意が必要だということを考えています。
 しかし、いずれにいたしましても、ドイツが日本を上回ったということでございます。それはやはり日本が更なる構造改革、そして新しい経済の成長できるステージを一刻も早くつくらなければいけないのではないかと思っております。
 また、ドイツの物価上昇率が高いというような様々な要因が入っていることも我々は承知をしております。
 また、国際的な地位がというご質問でありますが、国際社会におけるリーダーシップというのは様々な角度から評価されております。そして、貿易だけでなくて、外交や文化、様々なソフトパワーも含めたものが総合的な評価、また国際的な地位というものを形成しているわけでありますので、その中で経済というのは重要な要素であることは承知しておりますが、特にそのことのみをもってあまりご心配しなくてもいいのではないかなと考えています。
(問)ありがとうございます。追加でお伺いしたいのですけれども、今回の直接的な要因としては、円安であったりドイツの物価高ということがもちろんあると思うんですけれども、ただ一方で背景に、日本が長年、成長率があまり伸びてこなかったということもあると思うんですけれども、これについてのお考えをお願いします。
(答)正に経済を成長させるためには生産が上がらなければならないわけですが、生産の大元である物価、製品価格が上がらない中で売上げだけを伸ばしても限界があるわけです。世界の国々は物価が上がり、それに見合う賃金を出しながら経済を成長させていくことを実現しています。
 私たちも正に今、その転換点にあって、賃上げというのは象徴的ですが、賃上げを行うということは価格が適度な範囲で上昇していると。ですから、物価の上昇率を上回る賃金上昇率を実現させる。それは更にいえば、下請価格も含めた製品価格も、それから発注、受注の価格も上がっていく。そういう中で、あらゆる分野で物価と賃金の好循環が生まれなければならないし、それによって私たちの国の経済は大きくなっていくわけです。
 そのためにも、やはり生産性の向上、人手不足の中での省人化投資ですとか新たな設備投資、またフロンティアの開拓、それからDXやロボット、また宇宙や海洋など、その先の新しい分野においても経済を強くしていかなければならないと思います。私がもう一方で担当しておりますスタートアップというのは、そういう中で次なる新しい日本経済を引っ張るエンジンを更に加えたいという意味で、様々努力しているところであります。
(問)改めてになるのですが、10-12月期のGDPの受け止めをお願いします。具体的に申しますと、実質GDPで消費や投資をはじめ、内需が軒並み弱含む結果となっています。このあたり、デフレ脱却に向けて、結果の受け止めというのを改めて教えてください。
(答)個人消費がサービス消費回復の一服に加えて、物価上昇や暖冬の影響もあってマイナス0.2%ということで、3四半期連続のマイナスになっています。設備投資につきましても、供給制約もあって、建設投資が減少してマイナス0.1%と、3四半期連続のマイナスになっているということ。一方で、外需は2四半期ぶりにプラスになっているというバランスがございます。
 やはり賃金上昇が物価上昇に追いついていないという中で、個人消費が力強さを欠いている。また、設備投資は、非常に前向きな積極的な計画がありますが、実際の投資として実現することに時間がかかっている。
 ですから、私たちはこういった状況を改善し、よりそれを後押しするための経済対策を打ち出しているわけでありまして、しっかりと我々の政策の効果ができるだけ早くに経済に反映できるような努力をしていきたいと思います。
(問)今の質問の延長線ですが、デフレ脱却に絡むのですが、日本銀行が春の大幅な賃上げを期待して、今後の政策の修正についていろいろ公の発信を増やしていると思うのですけれども、今回の10-12月期は、ちょっと消費が弱いところがあると思いますが、昔でしたら消費が弱いというとどちらかというと日銀追加緩和みたいなことが多かったのですが、大臣として金融政策への影響があり得るか、あり得るほどではないということなのか、ご所見を。
(答)日銀は個人消費を含めた様々な指標や、経済・物価の先行きの展望やリスク、そういったものを踏まえて総合的な判断をなされていると思っております。
 具体的な手法については、日銀に委ねるものであるということで承知しておりますが、私どもとすれば、密接な連携の中で、賃金上昇を伴うかたちでの物価発展目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切に金融政策運営を行うことを期待しているところでございます。
(問)先ほど大臣も少し触れられた人手不足に関係してお伺いします。足元で人手不足がかなり深刻になっているという話がどんどん強まっているかと存じます。短期的にもそうですが、先ほど大臣がおっしゃったように、中長期的に見ても、人手不足の問題への対応というのが日本経済の今後を決めていくのかなと理解しています。
 一方で、人手不足、供給力の不足というものが需要をむしろ取りこぼしているといいますか、成長の阻害要因になっているのかなと認識しているのですが、その辺の大臣の認識を聞かせてください。お願いします。
(答)人手不足感の高まりは、本当に重要な問題であって、構造的な課題です。生産年齢人口が減少していく中で、そうは言っても就労意欲があって就業していない方がいらっしゃいますから、そういう方々のために市場を開くことで、生産年齢人口が減ったにもかかわらず就業者人口は増えているということはありますが、それでも人手不足ですから、ここは是非、構造的にどう解決するか。意欲のある方にできるだけ職に就いていただく、それから満足できる職に就いていただきながら、生産性を上げるための活躍をしていただく。それが業績拡大につながっていく、こういう流れをつくらなくてはいけないと思います。
 ですから、リスキリングですとかジョブ型雇用の導入とか、また円滑な労働市場移動というのはとても重要なことで、三位一体の労働市場改革と呼んでいますが、これは本当に腰を据えてやっていきたいと思います。
 その上で、更にもう少し細かくいうと、人手不足感が強い業界、業種のほうに新たな省人化の投資が少ないというデータもございます。やはり人手が足りないところは少しでも賃上げをして人をお呼びしようとしているわけですが、それでは構造的な解決にならない場合があります。
 ですから、人手が少なくても生産性を上げられる、また操業が維持できるような、そういう改革が必要で、そのための省人化投資、またはDX、私たちは新技術という意味ではロボットも含めた、そういったものを、精密工場のロボットではなくて、私たちのもっといろんな分野に、人手不足を補うような新しい設備やシステムを入れたらどうでしょうかと。そのための補助金ですとか、そういったものを加えているということでございます。
 何よりも稼ぐ力を高めることによって、そして魅力的な職場ができれば、そこに人はどんどんと集まってきてくれるし、そこで自分の能力に合わせた仕事を得られ、そして満足な給料を得られ、それは消費につながっていく、それがまた業績拡大につながっていく。この好循環をいかにつくるか、これはとにかく腰を据えてしっかりと政策を運営していきたいと考えます。

(以上)