新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年12月26日

(令和5年12月26日(火) 10:39~10:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)9月に大臣にご就任されて3か月余りが過ぎました。デフレ完全脱却のための総合経済対策の策定や新しい資本主義の実現、全世代型社会保障の構築、スタートアップの育成など、様々な重要な政策を取りまとめてこられましたが、それぞれについて、今年の振り返りと残された課題についてお話しください。よろしくお願いします。
(答)3か月間、日々慌ただしい中で全力を尽くしてまいりました。何といいましても今、経済が復活の兆しを見せ、そして新しい光が差しているこのタイミングで、そのチャンスを物にできるのか、そして、本当に私たちが、いよいよ力強い民需主導の持続可能な自立型経済ができるかどうか。この大いなる転換点にあって、一つ一つ策をしっかりと煮詰めて、そしてそれらを連携させて効果を出していくことに腐心してきたつもりでございます。
 まずは総合経済対策。これも、規模というよりも中身が完全にコロナ禍とは違うものになりました。労働供給の制約問題を解決しながら、賃上げを促すための可処分所得の向上、そして、そこから来る業績拡大に備えた設備投資、そして生産性の向上、こういうものを進めていくための様々な対策を打つことができました。既にもう仕事が始まるわけでありますが、きちんと、これをできるだけ早く効果が出せるように、各省に対して執行を促していきたいと考えております。
 そして、今回の経済対策は、何といいましても規制改革、これに36項目の、第2次安倍内閣以来最多の規制改革項目を入れた野心的なものであること、これを是非世の中の皆さんにお伝えしたいと思っています。なかなかそこが伝わらなくて残念に思っているのですが。
 6つの税制と、それから36項目の規制緩和。例えばドローンの目視内、見える範囲で飛ぶ、そういう飛行許可、それから目視外で、今度は完全に地理空間情報を活用して目に見えない所まで飛ばす、こういったものの事業がいよいよ本格化になっていきますし、その申請の手続は、6週間かかっていたものが最短1日で済むというような形の様々な工夫をしております。
 これまでにない新たな制度を創設したり、踏み込んだ対策を打つ。それだけ今、必要性に迫られていて、踏み込めば必ず成果が出るという気持ちでやらせていただきました。
 同様に、経済対策といかに密接に関係するのが社会保障制度の改革です。全世代型社会保障の概念をきちんと整理した上で、みんなにとって必要だと。そして直接自分が受ける、受けないではなくて、社会保障をいつか必ずどこかで誰かが受けるとするならば、それは自分がどこかで負担していなければならないと。そして、それは必ず、高齢者になってからの社会保障ではなくて、現役世代においても、子育て世代においても、それから子どもたちに対しても、様々そういう受益があるということをきちんと説明しながら、うまく回っていくようにしなければならないと思います。
 「こども未来戦略」は、「方針」が取れて「戦略」にした上で、いよいよ実行に移ります。これも、異次元というのは、額がまず大きくなって、OECD世界トップのスウェーデンに並ぶ、若しくは凌駕する規模になります。そもそもが、少子化という観点のものではなくて、世の中のために活躍できる人をつくるということになると。これは経済行為だと、経済活動だと。こういうことで連携させなければいけないと思っているわけでございます。
 そして更には、そういった社会的課題というのは過疎の問題もある、環境の問題もある、そして地域間の様々な問題、こういった課題を解決しながらそれを経済に結びつけていく。これが新しい資本主義でありますが、その意味において新技術がどんどん社会実装されていく、それからデータを元にしたDXが生活のサービスに対しても使われることになりますし、行政事務はもとより医療や教育などにも大幅にDXが入っていくと。こういう中で、関連の仕事が必ずできます。経済活動にこれもつながっていくものだと期待しているわけであります。
 そして、新しい経済の土台をつくったならば、それを引っ張るためのエンジンが必要です。それは何をもって日本経済を少子高齢化、人口減少時代に引っ張っていけるものがつくれるのかということをずっと課題にしてやってまいりました。
 宇宙や海洋も、自分の暮らしと離れているように見えて密接に関係します。大きな経済が、産業がそこで動き出すことによって、必ず国民経済にすばらしい効果が出せるものだと思っております。宇宙や海洋というフロンティアを開拓することは、日本のみならず世界に貢献することになるし、世界の大きな経済を私たちの国に引き込むことになるし、我々は外に出ていくことになると。それが新たなスタートアップという形で産業を新たにするとともに、ベンチャーだとかスタートアップ企業もつくっていきたい。
 私は6つの担当を持っているわけなのですが、全て関係する。そして、感染症の危機管理担当も、いざとなれば経済が麻痺する、社会活動が麻痺することでダメージを受けること。それをいかに軽減し、またそういったことに陥らないように、いざといったときには素早く、そして有効な策を打って、かつできるだけ速やかにそういった状態から脱する、これもやはり経済の一環だなと思っております。
 就任のときに申し上げましたが、自分の仕事は政策の総合的全体調整だと。ですから各省と頻繁に連絡を取りながら、そして岸田内閣が打ち出した骨太の柱を有機連携させることに、今までも意識してまいりましたし、年明けはそれを更にパワーアップしていきたいと思います。
 一番大事なことは、やるべきことはいずれも今までにも分析、整理されて提言されたものがたくさんあります。その中で、なぜできないのかと、できない原因をきちんと分析して、何としても実行させるための取組、これがこれからやらなければいけないことだなと思っているわけです。
(問)私から賃上げについてお伺いします。今年、春闘ではかなり高い賃上げを実現したわけですが、先ほど大臣がおっしゃったような賃金と物価の好循環ですとか、成長と分配の好循環を実現するには、来年の賃上げが恐らく死活的に重要だろうと考えています。こういった中で、来年の春闘に向けて、あるいは今後の高い賃上げを実現していくためにはどういったことが必要になるか、政府としてどういったことに取り組んでいかれるか。岸田首相も物価上昇率プラス数%の賃上げを実現するということを9月ぐらいにおっしゃっていましたが、それはそれとして、そういったことも含めて賃上げを実現していくために必要なことは何だとお考えでしょうか。
(答)まず、今、私たちの国は、賃金という所得を上げて可処分所得を向上させて、そこから物価が。これも適切な範囲で適度な物価上昇を維持しながら、それを超える所得を得ることによって経済全体が回っていく。このことを、自分たちの意識も転換させなければいけないという意味において、賃上げをする際の、例えば厳しい状況でも先に賃上げを先行するのだとするならば、それに対するお手伝いとしての賃上げ税制も創設いたしましたし、公取と私どもで連携しながら、初めてでございますが価格転嫁のためのガイドラインをつくり、かつ、また価格転嫁の交渉のためのシートまでつくって、ご活用いただきたいというようなご案内もいたしました。
 そういった賃上げのモメンタムをどうやって高めていくか、そして、それを可能にする経済状況を、家計においても企業の経営においても実現させなければいけないということだと思います。
 新年の春闘は大きな期待をしております。また、今年度の予算案におきましても、私たちは公定価格の部分にも賃上げがきちんと反映できるというような配慮もしたわけであります。大事なことは、そうした中で、来春以降の賃金が上がっていく中で、やはりいいタイミングで減税や所得の支援をする、それから、よいタイミングで更に経済が上向いていく、こういうことを併せて実現できればなと思っています。
 大事なことは、構造的賃上げというのは、今年と来年の動きが一過性に終わらずに、またその先まできちんと見通せるような、そういう状況をつくり出すこと。これができれば、それを前提にした経済運営になっていくというふうに思いますので、あらゆる意味において今、正念場、大事な転換点で、何としてもいい方向に結果を出していきたいと思っています。
(問)昨日公表されました国民経済計算年次推計によれば、我が国一人当たり名目GDP2022年ドルベースは、OECD諸国中21位となりまして過去最低。また、イタリアにも抜かれまして、G7で最低となりました。この順位となったのは、もちろん円安の影響も大きいかと思うのですが、日本経済がここまで長いこと低成長が続いてきた結果でもあるのではないかと思います。この順位になった理由に関して、大臣のお考えですとか、また、今後どうやってそれを盛り上げていくかといったことを教えてください。
(答)GDPの順位というのは相対的なものですから、私たちの国も伸びているわけです。しかし、他国が更にその伸びが顕著だという状態で、これを我々は、いかに他国以上に成長のスピードを速め、また額を大きくしていくかということが重要だと思っています。
 名目GDPを押し上げるためには、まずは潜在成長率を上げていくこと。それからもう一つは、安定的な物価上昇を維持しながら、賃上げとともに名目GDPの持続的な増加を実現する。これが重要だと思っております。潜在成長率を上げるための労働投入、資本投入、生産性向上の3つの要素の中で、それぞれの政策を今回、経済対策にも組み入れましたし、新年度の予算案にもそれを反映させていきたいと考えております。
 日本経済を一段高い成長に、そしてまた新しいステージに押し上げるということは、当然、この国の経済の成長スピードが速まるということでございますから、早晩、私たちの国の経済の結果というのは、そうした国際的な順位にも現れてくると思いますし、現れるようにしっかりやっていきたいと考えています。

(以上)