新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年12月19日

(令和5年12月19日(火) 18:36~18:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私のほうから報告をさせていただきます。
 まず、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要でございます。
 今月は「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している」と先月の判断を維持しています。
 これは、我が国経済は緩やかな回復基調にあり、企業の業況や収益の改善が続いている一方で、こうした企業の好調さが、賃金や投資に必ずしも回っておらず、消費や投資といった内需が力強さを欠いた状況であることを受けたものであります。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で、引き続き、海外景気の下振れリスク、物価上昇の影響等には十分な注意が必要だということであります。
 加えて、私から閣僚会議で説明した内容のうち、企業収益と業況について申し上げます。
 2023年7-9月期の企業収益は、過去最高を更新し、利益の対売上高比率についても、過去最高水準となっており、企業の収益力はこれまでよりも高い状態にあります。
 企業の業況判断を見ると、我が国経済の7割を占める非製造業では、引き続き、大企業・中小企業ともにバブル期以降の最高水準となっています。
 また、製造業では、大企業の業況判断は3期連続で改善し、これまでマイナスであった中小企業においても、2019年3月以来、初めて業況判断がプラスに転じました。このように企業部門は全体として非常に好調であり、こうした好調さを、賃金や投資に回していくことが、デフレ脱却の実現に向けて極めて重要であります。
 このほか会議の詳細につきましては、後ほど事務方からの説明をさせていただきます。
 続きまして、新型インフルエンザ等対策推進会議を開催いたしました。本日の推進会議におきましては、五十嵐議長より、本年9月から8回にわたって行われた議論を取りまとめた「政府行動計画の改定に向けた意見」を頂戴いたしました。
 まずは、この3か月で8回という短い期間の中で、非常に頻度の高いヒアリング、様々な見地からのご意見をまとめていただいたことについて、五十嵐議長には私から感謝を申し上げました。その上で、私もできる限り日程が許せば出席をさせていただきました。新型コロナ対応を通じて得られた課題、また思いを伺ってきたつもりでございますし、そういったものを丁寧に集めてまとめていただいたと認識しています。
 ご意見の中にも記載がございますが、政府行動計画の実効性を高め、次の感染症危機に確実に備えるためには、まず何よりも平時からの実効性のある訓練の実施、自治体の優良事例の全国展開をはじめ、国・地方の連携、国と地方、医療機関等との情報収集・共有・分析の基盤となるDXの推進、これらの取組をはじめ、新たな技術の徹底的な社会実装とEBPMに基づく施策の実施の徹底が必要と認識しております。
 来年夏の政府行動計画の改定に向けては、ワクチン開発と同様に、治療薬・検査薬の迅速な研究開発、国民への情報提供・共有等のリスクコミュニケーション、さらには新型コロナ対応を経て整備された検査体制の維持・拡充の在り方といった点が整備すべき重要な課題であると認識しております。
 引き続き推進会議においてもご議論いただき、年明け以降も実践的な政府行動計画の改定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 詳細につきましては、五十嵐議長及び事務方からブリーフィングがなされていると思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)月例経済報告についてお伺いします。今月、消費者物価についての表現を19か月ぶりに変更した理由を改めてお伺いしたいのと、この物価の上昇が一服したということが、物価高騰に苦しむ国民や企業に対してどういう影響を与えるのか、お考えをお伺いできればと思います。
(答)今月の月例経済報告において、消費者物価については、これまでの「上昇している」から「このところ上昇テンポが緩やかになっている」と表現を変更したわけであります。
 これは、食料品等の値上げの動きが一服してきたことを踏まえたものであると思います。
 食料品等の生活必需品への支出割合は、収入が低い世帯ほど高く、食料品価格の上昇は低所得者世帯ほど影響を受けやすい傾向があるわけであります。
 このため、食料品をはじめとする消費者物価上昇の落ち着きは、所得の低い層の世帯を中心に家計にとってよい動きになるのではないかと思っております。
 一方で、名目賃金や名目可処分所得の伸び率は、物価上昇率にいまだ追いついておらず、実質賃金や実質可処分所得の減少傾向が続いております。財消費を中心に個人消費は力強さを欠く状況にあるということであります。
 したがいまして、政府としては総合経済対策を着実に実行し、低所得者世帯への合計10万円の給付金等により生活を下支えする。また、デフレ脱却のカギとなる賃上げについて、先般の政労使の意見交換の場において、総理より足下の物価動向を踏まえ、来年の春闘に向け、今年を上回る水準の賃上げのご協力をお願いするとともに、政府としても価格転嫁対策の強化、賃上げ促進税制の拡充、中堅・中小企業の省人化・省力化投資への支援により、賃上げの流れの維持・拡大を図っていたきたいと考えています。
 併せて、定額減税等の措置を講じることにより、賃上げとあわせて可処分所得が物価上昇を上回るものを確かなものとする。これらによってデフレに後戻りさせることなく、消費の拡大や経済の好循環につなげていきたいと考えているわけです。
(問)本日は大臣、日銀の金融政策決定会合のほうに御出席されましたが、なぜこのタイミングで出られたのかということを教えていただければと。また、今後も定期的に参加されるのか。スケジュールですとか、また今日ご出席したご感想や、席上でどのようなことをおっしゃられたのか、どのような議論があったのか、明かせる範囲でいただければと思います。
(答)経済財政政策担当大臣は、日銀法において、金融政策決定会合に出席して意見を述べることが規定されているわけであります。今回は、私の日程の都合がつきましたので、会合に出席したということであります。
 そして、金融政策の具体的手法については日銀に委ねるものである、このことは承知しておりますし、日銀には引き続き政府と密接に連携を図りつつ、賃金上昇を伴う形での物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切に金融政策運営を行うことを期待しております。
 議論の内容につきましては、後日、日銀から公表されますが、委員の間で率直で真摯な議論が行われていることを実感いたしました。
(問)新型インフルエンザ等対策推進会議について伺います。行動計画の改定に向けた推進会議の意見が大臣のほうに出されましたが、意見に対する大臣の受け止めと、今後の行動計画にどのように反映していくかという点、また行動計画の改定時期をどのように今のところ考えていらっしゃるかという部分をお願いいたします。
(答)先ほども申しましたが、まずは3か月という短い期間で8回という精力的なご議論をまとめていただくなど、委員の先生方には多大なご協力、それから大変熱心な作業をしていただいたということを感謝しております。私も日程が許す限り参加をさせていただき、ご意見も頂戴しましたし、私からもお話を申し上げました。
 まず、コロナとの闘いはまだ続いております。そして、何よりも厳しかったまん延事態のときには、自治体に本当にご苦労をいただいた。それから、医療機関の皆様は献身的な活動をされた。そして、国においても必死の活動をしてきた。それぞれみんな苦労がありましたので、その体験、経験を踏まえて、またこれまで行ったことを踏まえた上での実践的、かつ実効性を高めるための議論をしようではないかという、この気持ちは非常に強くございました。
 ですから、その中で自治体の優良事例というのはとてもいいものがあるんですが、自治体の中でとどまっていてはもったいない。全国展開、横展開ををやるのは国の役目だと思っておりますし、それから情報の収集と共有と分析、またそれを国民の皆さん、地域の住民の皆さんにお届けする、この体制というのをより強化しなきゃいけないというのは非常に皆さん実感としてあるわけであります。
 その意味において、まず何が有効で、そしてさらに改善できるところはどこかと。こういうような分析をした上で、それを基に、この際、ここをきちんとDX化しようということで、次の有事に備えようではないかと。こういうことを私も考えておりますし、委員の先生方からも、それについて具体的な提案をつくっていこうということになっているわけであります。
 ですから、今後、今回のご意見を踏まえて政府行動計画の改定作業に入ります。その中で具体的な煮詰めをして、そのまた位置づけをきちっとしていきたいと考えているわけです。
 現行の政府行動計画の改定は、来年夏を予定しております。しかし、それに向けて様々な作業は早速始まっていきますし、意見を踏まえた上で、今後は行動計画策定に向けたさらなる作業というものが出てまいりますので、有識者の皆様方には引き続き御協力をお願いしたいということを今日私からお願い申し上げました。
(問)自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、今日、特捜部のほうが安倍派と二階派の事務所を捜索しました。これは極めて異例な事態だと思いまして、非常に深刻な問題なのかなと思うんですけれども、大臣のほうとしてこういった事案、どのようにお考えになっていますでしょうか。
(答)国民の声に常に謙虚に耳を傾けて、そして国民の皆様から信頼をいただけるように全力を尽くしていくのが政府の努めであると考えております。
 そして、政治資金の問題をめぐる対応につきましては、党としても信頼回復に向けた取組が進められていくものと承知をしております。
 この内容につきましては、捜査機関の活動内容に関わる事柄でもありますから、私の立場からすれば、これは限定的な発言をさせていただきたいと思いますが、こうしたものはきちんと対処して捜査に協力をしながら、そして今後どのように対策を打ったらいいのか、体制を整えたらいいのか、それは党としてしっかりと対応していただけるものと考えております。
 また、あわせて私の立場からすれば、冒頭で申し上げましたように、月例経済の状況を見ましても、日本経済というのは今大きなチャンスであって、かつ転換期を迎えております。こういう中で必要な政策を着実に進めていく、このチャンスを逃すことなく仕事をしていく、こういったことも重要だと考えております。私とすれば、与えられた役割の中で必死に仕事をしながら、国民の信頼をいただけるようにしていきたいということを考えております。
あわせて、根本的な政治に対する信頼を取り戻していけるように、これはみんなで努力していかなくてはいけないと考えているわけです。
(問)先ほどの質問の続きで、日銀絡みなんですけど、1つございまして。大臣はご出席できるお立場なんですけれども、大臣本人のご出席は4年ぶりで、民主党政権のときは明らかに前原大臣は、ある種ロビイング的に出席したことも過去にはあったので、今回、今日も実は金融市場では盛り上がりまして、新藤先生が来られるので何かあるんじゃないかみたいな、そういう受け止めをされたことについてどうご認識されているか、可能な範囲で。
(答)事前に、今日私が出席をすることは、昨夕に皆様にはご説明をさせていただいております。それから、この金融政策決定会合に大臣が出席することが何か大きな意味を持つということではなくて、結果として今日私が出席したことと、それから日銀総裁が公表されたこと、これをご覧いただければご理解いただけると思います。大事な役割でございますから、私としてもできるときには、日程が許せば、そういったものには参加をするという中で、今日はその機会が訪れたということでございます。
 かつ、実際に皆様の委員の議論を拝聴いたしましたし、私なりの考え、政府としての考えも申し上げました。非常にそこはよい議論がされていることを実感いたしましたし、またそういった機会は重要ではないかなと思います。

(以上)