新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年12月15日

(令和5年12月15日(金) 11:01~11:38  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず、英国のCPTPPへの加入議定書について。今月の6日に国会で承認されたことを受け、本日の閣議において、寄託国であるニュージーランドに、国内手続の完了について通報する旨を、決定いたしました。今後、速やかに外交ルートで通報を行う予定ですが、これはCPTPP締約国11か国及び英国の中で、「一番乗り」ということになります。
 CPTPPは、ハイスタンダードなルールを有し、先進的で野心的な貿易システムの成功例であります。また、単なる経済的な利益を超えて、世界の平和と繁栄にも貢献するものではないかと、このように位置づけております。
 英国の参加は、こうしたCPTPPがアジア太平洋地域を超えて、さらに拡大していく重要な契機になると考えておりますし、私ども日本はCPTPPの中で強いリーダーシップを発揮し、この英国の加入プロセスにおきましても、加入作業部会議長として、又、そもそも英国に対するそういった交渉の皮切り役を務めたということも含めまして主導してきたわけであります。
 今般、日本が加盟国及び申請国の先陣を切って、国内手続を完了したことを踏まえて、英国加入議定書の早期発効に向けて引き続き各国に早期の手続の完了を呼びかけてまいりたいと思いますし、過日のサンフランシスコの出張の際にもバイで会談した際にもそういったことを各国に要請してきたところであります。
 それからもう一つは、今ここに出しましたが、新たな経済に向けた給付金と定額減税の一体措置ということについて与党の手続が終わりました。成案としての取りまとめをしたものがありますので、この給付金についてのご説明をしたいと思います。
 これまでいくつかの給付がございました。その中で、今回、私たちとしましては、この給付金や定額減税の一体措置については、まず様々な国民に丁寧に対応しながら、物価高に対応して可処分所得を増やしていくと。これが一つです。
 そして、この措置のコンセプトとして、まずは「簡素」、分かりやすくて事務負担が少ない。それから「迅速」、特に物価高の影響が大きい低所得層の方々。それから「適切」、できるだけ公平にということで、この3つをバランスを取ったものにできる限り工夫する、配慮するという形で今回、対策を組み上げたわけであります。
 そして、この検討に当たりましては、自治体の実情、これも頻繁に連絡を取りながら様々なご意見や状況を把握した上で進めてきたということがございます。何よりも、速やかな執行、それから事務負担の少ない中で、国民の皆さんの可処分所得を増やしながら、それが物価高の支援につながり日本経済の新しいステージの構築、これに更に加速化できるような、そういった工夫をしていきたいと、このように考えております。
 それから、今回の措置につきましては、精査中ではございますけれども予算規模は約1.1兆円前後でございます。そして、対象者数につきまして、定額減税し切れない方々への給付、ここで言うと【4】のここの方々なのですが、この方々への給付は、おおむね2,300万人程度へ支給するということになると思います。
 それから、子ども加算給付の対象として、低所得者の中の子育て世帯という、ここでございます。この部分は100万世帯強を見込んでおります。
 それから、均等割のみの世帯者向け給付。ここは200~300万世帯程度と考えております。
 そして、まず住民税非課税世帯。従来の3万円に加えて7万円、計10万円を支給するという、ここの【1】のところでございます。この方々は、私たちの補正予算で計上し、そして既に執行中でございます。自治体に対しては、補正予算が成立後、速やかに連絡を取り、あらかじめ自治体のほうでも準備いただいておりましたので、まず11月、12月議会で、この対応をいただいております。そして、年内でできるだけ予算措置がされ支給開始ができるような、そういったことをこれまで情報提供などサポートしてまいりました。
 それから次に、住民税の均等割のみ課税をするという、ここでございます。この世帯については、住民税非課税世帯と同水準の、世帯当たり10万円の給付を行うということを考えております。政府がこうした世帯に着目した、この給付金を支給するのは今回が初めてであると私は認識しているわけであります。
 また、低所得者の子育て世帯、ここでございます。この【2】でございますが、ここに向けましては、住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯に18歳以下のお子さんがいる場合には、1人5万円を加算するということでございます。子ども1人当たり5万円を加算するということでございます。
 給付の時期につきましては、「迅速」にお届けするという趣旨、それから、国会でも様々なそういった要請、ご議論がございました。これを踏まえて、できるだけ急ぐことにいたしました。結果として、来年6月の課税情報をもとに支給するということも考えられたわけです。ですから、それは来年度に支給ということも考えられましたが、いろいろ検討いたしまして、今年の6月に既に判明している令和5年度の住民税の賦課決定情報、これをもとに来年の2月から3月頃を目途に支給開始となることを目指して自治体を支援していきたいと思っています。
 ここの部分は今年度内で支給を行うと。ここの左側です。この赤い部分です。これを考えているということでございます。
 それから、令和4年度に所得があって令和5年度での住民税非課税世帯にはならないが、退職などによってその後、所得が低下して令和6年の定額減税の対象にもならないと、こういう世帯ができる可能性がございます。こうした方には、令和6年度の住民税情報をもとに、新たな住民税非課税世帯、ここでございます。住民税非課税世帯として、この方々は納税されないわけでございますので、令和6年度になった上で、この10万円の世帯当たり給付をするということを考えています。こちらで受けられなかった方が、令和6年になってこちらの層になった場合には、これは10万円をこの時点で給付すると考えているわけであります。
 そして、ここの定額減税でございますが、所得税などの定額減税は、これは本人に加えて配偶者を含む扶養親族1人当たり4万円の減税ということでございます。例えば本人+扶養親族3人。4人家族の場合は4万円×4人ということで16万円の減税になります。一方、それほど多くの住民税と所得税を払っていない方については、4万円を超えない場合には減税しきれないわけであります。こうした方につきましては、ここの【4】でございますが、令和7年3月の確定申告、だから再来年3月になりますが、そこの確定情報を待っていては支給がかなり遅れてしまいますので、令和6年中に入手可能な情報をもとにして、減税しきれないと見込まれる額を前倒しで給付すると考えております。ここの部分です。これ、令和6年から支給するということにしたいと思います。
 その際には、分かりやすくすること、それから自治体の事務手続の軽減を考慮いたしまして、減税しきれない額を1万円単位で算定して給付すると考えております。1円から1万円単位で、その間にいる方々には4万円に足らない部分を1万円単位で給付するとしようと考えています。
 次の2枚目をよろしくお願いいたします。
 簡素で迅速な執行をどう実現していくかということでございますが、この件につきましては、給付チーム、それから地方創生推進室、デジタル庁、さらには総務省、こういった方々と綿密に連携しながら執行面についての整理をいたしました。
 まず、先行する7万円給付については、政府が様々なサポート、情報提供を行いまして、年内に予算化する自治体が9割でございます。12月25日に会期末を迎える自治体がかなりあると思うのですが、そういった自治体が中央議会の最終日までに議決いたします。これらが9割程度でございます。それから、約290の自治体では年内の支給を開始する予定になっているということを聞いておりますが、月末に議決して、その時点ではもう郵送準備を整えておりますので、議決次第発送する。そうすると年内には通知が行くと。それにもとづいて住民の方々に申請いただければ、年明け早々には大半の自治体で支給が始まると私は考えております。
 例えば最も早い方でございますが、岡山県の総社市はLINEとマイナンバーカードを用いたサービスを構築しておりまして、支給までの日数を非常に短縮する工夫をしてくれました。12月8日にサービスが開始し、最速で12月20日に振り込みが始まるというような自治体もございます。
 こういったことで、今回成案が得られた次の給付につきましても、デジタルを活用した迅速な取組を促していきたいと考えているわけであります。
 そこで、どういう工夫をしたかということでございますが、まずは定額減税をしきれないと見込まれる額に対する給付。これは全く新しい性格のものでございます。給付額の算定に当たっては、様々な税のデータを用いる必要があるわけであります。
 これが新たな業務となって自治体の負担になってはいけないということで、デジタル庁と連携いたしまして、必要な地方税データを簡易に抽出して、これをもとに対象者の推計所得税額を一括算定する、そういうツール、システムを開発します。これは全自治体に提供いたします。
 それから、自治体の給付に関しましては、本来、税情報は他の部署に使えないことになっているわけであります。これを、「特定公的給付」という指定を受けますと、この自治体の中で税情報を速やかに活用できると、こういう体制を整えるわけであります。
 これまでは、個別申請のある自治体に限って、そういった「特定公的給付」の指定をしてまいりましたが、今般、国が全自治体を包括指定するということで、全ての自治体が新たな手続をすることなしに税額の情報を速やかに活用することができるということに調整しております。それによって、事務の第一段階である「対象者の抽出」の事務負担がこれまでよりも劇的に軽減されるということになります。
 それから、前回も申しましたが、「ファストパス」という迅速な事務処理についての工夫をしたわけであります。
 これもどういうことかというと、こちらが現在の一般的な流れでございます。対象者を抽出するまではみんな一緒ですが、その後の、郵送してから確認書を記入、返送、受理、審査、決済、それから降り込み手続と、これが通常のパターンです。そこを「ファストパス」によって、できる限りデジタルを使いながら縮めていくということを考えたわけであります。
 例えば品川区におきましては、これは非常に熱心にやっている早い自治体でございますが、ここからここまでの流れで、早い自治体であっても、通知してから口座の振り込みまで、最短で35日かかるのです。これは通知から支給決定までが約21日です。その後、口座に振り込むまでが14日と。こういうことが、素早くやっても手続上そういうふうにかかっていたわけであります。
 これに加えて、自治体の中には、その通知書に返信はがきではなくて、またはファックスではなくて、QRコードを記載して、そのQRコードをスマホで読み取ったり、パソコン通知でオンライン申請できると。こういう簡易迅速な給付をつなげているところもあります。
 品川区は、それもやはりやっておりまして、品川区の場合、QRコードを使ったり電子的な申請をすることによって、通知から支給開始までは21日かかっていたのですが、それを6日に短縮するということができます。こうした「ファストパス」の事例を全国の自治体にお示しして、そして横展開をしていくというふうに考えているわけであります。
 それから、さらに早い「ファストパス」を用意したいと思います。これは現在、デジタル庁において「給付支援サービス」という新しいシステムの開発を進めています。これは来年の2月半ばぐらいには完成して、そして希望する自治体には導入が可能ということになります。もちろん導入の初期費用についても国が支援して、全国の自治体で、希望すればファストパスのフルデジタルの給付支援サービスというものが使えるようになります。
 これは、申請者がマイナンバーカードで本人確認をした上で電子的な申請を行うことによって、金融機関の振り込みまでがフルデジタルになります。ですから、通知から口座の振り込みまでが3日~4日というものができます。これは来年の2月中旬ぐらいには全国の自治体で使えるようになります。
 もちろん紙による紙ベースの支給というものも従来どおりに行われています。ご要望に沿って、どれでも選択できるようになるのですが、そういった電子の力を使った簡便な迅速なシステム、ファストパスが事務の手間がなく、そして導入の費用も自治体においてはかからずに今回、使えるようになるということでございます。
 その中で、特に「スーパーファストパス」というのは、「ファストパス」においても、郵送して、あなたはこの対象になっていますから申し込んでくださいという、QRコードにするか、返信ハガキなりファックスで戻してくださいと、この手続があるのですが、「スーパーファストパス」というのは、ここを、自分が対象者であるということが住民の皆さんは想定できるわけですから、その住民の方から自治体のほうにアクセスして、そして自治体の通知を待たずにオンライン申請をすれば、これはそこでもって3、4日で処理が終わることになるということでございます。この通知がなされるまで、これには印刷や郵送とで14日かかっているのです。ですから、こういうところを電子の力で短縮することができるということでございます。
 総社市は、12月8日にサービスを開始して、20日に振り込みと先ほど申しましたが、そういう既に先駆的に実施している自治体もございます。それに加えて、今、国が開発している、このフルデジタルの申請から手続、入金までが一気通貫にできる、これを使うこともできるということでございます。
 今般の給付措置、これは国会でのご議論等もございました。速やかに行うべきだということ、それから私たちとしても迅速簡潔にしたいという考えをもとに検討してきましたので、来年6月を待たずに速やかに支給を開始するということ。それには財源等の手当が必要でございますから、その調整をいたします。そして、制度の概要と、こうした内容につきましては今、詳細のものを自治体に、前倒しで情報提供を昨日より始めているというところでございます。
 これをもって、私どもとすれば家計への負担、物価高を乗り越えるための可処分所得の支援、それから来年の6月にちょうど春闘の結果でもって賃上げが始まり、かつボーナスが支給されるタイミングで減税をかけることによって、その月の可処分所得は大幅に上がるわけであります。それがきちんと消費に回りつつ、結果として企業の業績拡大の下に賃上げが構造的なものになっていくと、この流れをしっかりしたものにしていきたいと、このように考えているわけであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)給付金についてお尋ねします。今回の仕組みなのですが、定額減税に合わせた複雑な中身になっていると思うのですが、給付の業務に当たる自治体の業務も複雑な面があろうと思いますし、対象者の方には早い支給を求める声もあると思うのですが、それについて大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)今、私が説明したように、あまり複雑でないと思います。シンプルになっています。それから、そもそも基本、これまで自治体は、もう何度も給付措置を行っています。その土台を使った上でさらに工夫するということで、自治体の負担はできる限り軽減するようにと。また、このことによって新たな負担が出ないように、新しいシステムは国で開発して、それのセットアップも含めたそういう費用も国できちんと対処するということでやっておりますので、ここは自治体には随分のご理解をいただいているのではないかと思います。
 あとは、自治体の中で、それぞれまだ情報が行き渡っていない部分がありますから、私どもとすれば丁寧にいろいろな資料はお送りしていますが、それでも、まだ実態として最新の設備に、最新の仕組みになっていないところがあると思います。それは今般のことでかなり統一化されるのではないかと。
 「特定公的給付」を全国の自治体に対して国が包括指定するというのは画期的なことでございまして、スタートラインは全部一緒になりましたので、あとは自分たちが一番やりやすい、QRコードでやるのか、それともマイナンバーカードを使ってやるのか、それとも自治体のホームページにアクセスしてもらうのか、それは住民の選択とともに、自治体がそれぞれ対応していけばいいということでございます。
 そして、しかも「ファストパス」と「スーパーファストパス」というのは、ノーマルパスがあるということ。これは大前提です。これしか駄目ではなくて、基本的な紙がベースのものはやっていくと。だけど紙ベースのものだけで素早くやろうとすれば、そのときに臨時的に大量の人材を投入し、経費をかけてということが出てきます。だから、それはもうやらなくてもよいのではないかと。通常の事務として受けて、そして粛々とそういった手続を行う。その中で、人と資金の手間をかけずに電子の力で「ファストパス」をすることで組み立てましたので、そこは自治体の皆さんにも十分ご理解いただけるのではないかなと、このように思っています。
(問)デジタル技術を活用した給付方法について伺います。今回の手法は、今後想定されるような同様の給付にも活用できるかと思います。今回蓄積されたノウハウを今後、どう政府内で活用していくかについて一つ伺いたいのと、併せて、今回の手法というのは自治体並びに国民への周知というのが基本になってくると思うのですが、そのあたりをどう進めていくのか、お考えを伺えますか。
(答)今回構築しました仕組みは、これはもとより今回のみのために構築したわけではありません。今後の国及び自治体が様々なこうした給付を行う際に活用いただく、そういう基盤となるものを提供したつもりであります。ですから、まずは今回の給付と、それから減税の足りないところの支援に使っていただきますが、今後、こうした仕組みをつくることによって様々な制度への活用展開が見込まれると思いますし、給付支援サービスというのは、そもそもが自治体の普遍のシステムでございますので、自治体が一度入れれば、それを使って住民の皆さんに様々な給付ができると考えているわけであります。
 それから、やはり自治体との連携というのは極めて重要で、むしろ私たちは、こうすれば早く行くと、ここが滞るというのは自治体からの情報、これは密接な連携の中でお寄せいただいたものを踏まえて、私たちが全国からの情報を基に総括的な検討を加えたということでございまして、もとより国と地方の密接な連携、これが大前提になっているということでございます。
(問)自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、昨日4人の閣僚が交代するという極めて異例な事態になったと思います。大臣も閣僚のお一人として、この事態どのように乗り切っていかれるのかということと。やはり世論調査なんか見ましても、政治への不信というのは非常に強まっているというふうに思います。こういうことも含めまして、どのように取り組んでいかれるか教えていただけますでしょうか。
(答)国民の声というものには常に謙虚に耳を傾けて、そして、またそういった中で国民からの信頼をいただくように全力を尽くしていくのが、政府の務めであり、閣僚、チームの一員として、そこはまずしっかりと対応していかなくてはいけないと思っているわけであります。
 今回新たに任命された4人の方々は、いずれも再入閣の方でございます。今日、第1回目の閣議がございましたが、非常に安定的な実務的な方々でありますから、ご活躍いただけるのではないかなと期待をしております。
 そして、現在も日本経済は新しいチャンスを迎えています。本日、ここの記者会見に来る前も株価が大きく上がっています。そういう中で、この経済の大きな波、新しいチャンスをつかまなければいけません。ですから、あらゆる様々な声があって、ご指摘をいただくこと、これには真摯に対応しながら、何よりも私たちは暮らしを安定させ発展させていく。そのためには、内閣が一丸となって、与えられたそれぞれの役割を分担しながら、粛々と仕事に邁進する。このことによって国民の信頼をいただける、このようにしていかなければいけないと心に決めております。
(問)今の政策集団の関係で、以前もちょっとお伺いしたことなんですけれども、大臣が所属される平成研究会ですね。こちらでは同様の問題がないのか、状況に変化がないのかということを教えてください。お願いします。
(答)私ども平成研におきましては、これは会長はじめ関係の方々が既にいろいろなお答えをされております。私は閣僚の立場で、他の政治団体の活動に関することは控える立場だということを申し上げながら、承知している報告受けたものについてはお答えをしてまいりました。状況に変化はございません。
(問)改めてちょっと先ほどの「ファストパス」とか「スーパーファストパス」の意義というのをお伺いしたいんですけども。一個は物価高に負けないというところから、低所得の方々にこういった給付が少しでも早く行き渡ることの大切さ、それでこういったものをつくったという意義と。あと、もう一つの観点では、デジタル敗戦と言われた中で、こういったかなりデジ庁とうまく連携してこれから大きく変わっていく一里塚になると思うんですけど。この2つの観点で、今回の意義というのをお伺いできますでしょうか。 
低所得、物価高に負けないという今ある中で、低所得者の方々に少しでも早くこういったものを届けられる仕組みをつくったという大切さとか意義と、その後、デジタル敗戦からこの今回の一里塚の意味をちょっと教えてください。
(答)これは、この色で分けましたけど、ここで、これが令和5年度内に行う措置です。これは住民税の均等割非課税世帯、それから、均等割のみの世帯、かつそこで子育て世帯をされていると。とにかくここの皆さんは今、生活が厳しい、そういった実感のある中で、できる限りの可処分所得を増やして家計を応援するという意味において、素早い対策を打つということにいたしました。
 特にこの住民税均等割課税世帯は、これまでこういった観点からの給付したことございませんので、新たなものです。それに加えて、子育てのいる家庭にはこの10万円にプラス5万円の子供の人数分ですから、そうするとこちらの4人で、子供が2人いれば4人家族で16万。ですから、こことのバランスも含めて、やはりここに素早く支援すること、これ腐心をしました。
 それから、令和6年から、それから、ここの子育て世帯の部分というのは、均等割、税の税額が特定されないとここが決まらないので、当初、来年の6月に住民税の税額が確定した段階から給付という案もあるのではないかということがあったんです。でも、そこは思い切って今年の2月、3月でそれができるようにしようと。先ほど説明いたしましたけども、そういう工夫をしながらできる限り実践的な制度にしたつもりであります。
 それから、減税も、これやり方によっては確定申告が終わるまでは減税効果が出ない方もなんて生じさせるわけいきませんから、そこは非常に工夫をしながら。
 ここのところも1円から3万9,999円までの納税額の方がいらっしゃるわけで、その方々に一人一人に対応する、この税プラスこの交付金ということになったら、これはもう膨大な作業になってしまいます。ですから、そこはこの1万円刻みでもって、多少の差はあるのですがマイナスの人はいないわけです。プラスアルファの人しかいない。
 そういう中で、とにかく私たちは可処分所得をいかに増やしつつ、所得が増えたということを実感していただきながら、それが安心して消費に回るような。今もうトレンドとして、物価高は心配でございますが、しかし月例経済報告等を分析すれば、生鮮食料品を除く物価は一服感がもう既に出ています。私たちの国の日本の倍以上の物価高だったヨーロッパはもうとっくの昔に収まっているわけです。
 ですから、世界のトレンド、我が国のトレンドの中でも、物価は安定的にかつ抑制的な中で物価高の上昇があって、そして、それに対して私たちは今度30年来の大きな賃上げをやろうとしていると。
 これは物価が緩い上昇になって上昇率が下がってくる中で、賃金の上昇が上がってく、ここがクロスする時点ができるだけ早くしたいわけです。これが今後の経済の動向によって、私たちの消費マインドによって、遅れてくのか早まるのか。
 これはもう経済は生き物なんですから、やっぱりモメンタムとして国は新しくなるんだと。そして、それには余計な金をかけずにもう早く配りますよと、そして、使ってもらいますよということを実感してもらわなければならないと。
 かつ、そこが何かこうしなきゃ駄目とか、そうはいっても全ての方がデジタルを対応できるわけではないし、また対応したいわけでもないとするならば、そういうことをベースをちゃんと大事にしながらやってこうと。
 これまでのいろんなご意見を踏まえながら、そもそもがこのDXとかこういったキャッシュレスとか、こういう部分というのは、選択肢を持たせながら、利便性が分かって、そして、簡単に使えることが、しかも経済効果が早くに上がるということが分かれば自然に移ってくものだと。
 だから、そういう今回は実績として、安心とともに期待を持っていただけるような制度をつくりたいということで。これはもう給付金チームが首っ引きで私とも何度もいろいろやりながら、様々な前提も既成概念も打ち捨てて、まずは政策目的を達成するためにどこまで工夫できるかという観点でやった。
 だから、本当のきつきつの制度だけで考えていったらここまでのことにはならなかったかもしれませんが、しかし、総理の指示というのはそういうことだったと思っておりますし、総理としても是非これを国民の皆さんにきちんと伝えてほしいということを私は承っております。
 デジタル敗戦は、対処しようと思っていたのに技術が追いつかなかった。もしくは、デジタル化を行うがあまり、その他の要素をうまく配慮できなかった。様々な要素があると思います。
 ですから、もう私たちは何度もこれまでトライしてきましたから、いよいよ国民の皆さんと一緒に、我が国のデジタルトランスフォーメーションというのはすごいスピードで進むということ、これを体感していただければありがたいし、そういう理解をする方が増えれば増えるほどデジタル化は進んでいく、こういうことだと思います。

(以上)