新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年11月22日

(令和5年11月22日(水) 8:37~8:41  於:中央合同庁舎第8号館1階エントランス)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要をご報告いたします。
 今月は「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。」と、先月までの判断を下方修正しています。これは、我が国経済が緩やかな回復基調にあることには変わりなく、企業の業況や収益の改善が続いている一方、企業部門の好調さが賃金や投資に必ずしも回っておらず、内需が力強さを欠いた状況にあることを踏まえたものであります。
 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待されますが、引き続き海外景気の下振れリスク、物価上昇の影響等には十分注意が必要です。
 加えて、私から閣僚会議で説明した内容のうち、供給力強化に向けた課題について申し上げます。
 我が国の潜在成長率は、1980年から90年代の景気拡大局面と比べると資本と生産性の寄与が縮小しており、供給力引上げのため、国内の新規投資拡大、研究開発や人への投資を通じた生産性向上が喫緊の課題であります。このため、今般の総合経済対策を着実に実行していくことが重要です。
 そのほか、会議の詳細については後ほど、事務方のほうから説明を聞いていただきたいと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)月例経済報告が下方修正されましたが、どのような要因が挙げられるかについてお聞かせください。特に設備投資、また、弱含んでいるとの判断が続く住宅建設ではいかがでしょうか。併せて、先ほどもございましたが、好調な企業業績を設備投資につなげていくための取組などをお聞かせください。
(答)まず、企業の業況判断が、非製造業でバブル期以降の最高水準に達しています。そして、経常利益は7-9月期としては過去最高を更新しています。そして、2023年度の企業の設備投資計画は前年度比13%として、堅調であるという状況があります。
 しかし、実際の投資の実現が遅れておりまして、7-9月期のGDP1次速報では機械投資や建設投資を中心に2期連続のマイナスとなるなど、持ち直しに足踏みが見られるということをまず踏まえました。
 それから、この弱含んでいる中での住宅建設につきましては、9月に判断を引き下げて以降、弱含んでいるという判断を維持しているわけであります。これは、建築費の高止まり等を背景に住宅着工戸数が減少しているということを踏まえたということであります。
 そして、我が国経済の供給力、潜在成長率を引き上げていくためには、国内の新規投資の拡大による資本投入の引上げが喫緊の課題であると。そして、企業部門の好調さを投資に回していくことが重要と考えているわけであります。
 このため、今般の経済対策において、設備投資に係る今後の取組として、半導体や脱炭素の大型投資に関する集中的な支援、これは先端半導体の国内生産拠点の整備支援等を行うということ。それから、戦略分野の国内生産促進税制として、初期投資費用に加えて、工場などを運営するランニングコストが高いため民間としては採算性になりにくいが、国としては経済安全保障の観点から国内に戦略的に投資をいただく必要のある分野、蓄電池や半導体、そして電気自動車など、そうした投資に対して生産量の多寡に応じて事業費全体をベースに減税するという新たな制度を創設したいと考えています。
 また、イノベーションボックス税制、更には中堅・中小企業が工場等の拠点を新設する場合、そうした場合の新たな補助制度といったことを盛り込んで集中的な支援を行っていきたいと考えているわけであります。
 今回、新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスの中で、供給力の強化をしっかり進めながら賃上げを持続的なものにしてきたいと考えています。

(以上)