新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年11月20日

(令和5年11月20日(月) 11:43~12:00  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

(冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)私からは1点、先週行われました政労使の意見交換会で取り上げられました、労務費の転嫁についてお伺いしたいと思っています。11月中に公正取引委員会からガイドラインが出されるということで先週、骨子案が出されたと思うのですが、この中で発注者として取るべき行動などの具体的な案が出ているのですが、これら発注者が実効性を高めるような、そういうような取組、狙い、罰則規定など、そういうことがあれば、何か考えられていることがあればお伺いできればと思います。
(答)まず、この我が国雇用の7割を占める中小・小規模企業の持続的、構造的賃上げが極めて重要。そして、その賃上げの鍵を握っているのは、企業の業績を上げていくことと併せて物価高に対応する価格転嫁というのが重要だと考えるわけであります。
 そこで、物件費の転嫁については、それぞれ根拠が分かりやすいということもあります。大事なことは、それに加えて労務費をどうやって転嫁していくかと。特にそこのところで、公正取引委員会が業界ごとに労務費に係る実態調査把握をした上で、今月中には労務費の適切な転嫁のための価格構成に関する指針を策定・公表するという予定になっているということでございます。
 今お尋ねのことにつきましては、また具体的な内容については公正取引委員会が最後の詰めをやっているところでございますので、その中でまたお教えいただきたいと思うのでございますが、発注者側は、転嫁に対する取組方針を経営トップの関与の下に決定を有することと。それから、受注者側は子会社でございます。受注者側との定期的な協議を設けること、そして受注者側が準備する根拠資料は、負担にならないように賃上げに関する公表資料を用いることなど、こういったものを今、指針としてお示ししているというところでございます。この指針を公表した後に、関係省庁との連携によって全国的な周知徹底を図っていきたい。そして、中小・小規模企業の賃上げを全力で支援していきたいと思っているわけであります。
 併せて、この賃上げの流れを確実にするためにも、生産性の向上とともに三位一体の労働市場改革、リスキリングですとか、それからジョブ型の移行、そして成長分野での円滑な労働移動と、今、経済対策などで打ち出しております「供給力の強化」を進めていきたいと考えているわけです。
(問)新たな経済対策の裏付けとなります補正予算案について今日、閣議決定されまして国会のほうに提出されました。経済対策をめぐっては、世論のほうからも厳しい評価があるところだと思うのですが、国会の論性を通じまして、大臣のほうとして、この経済対策、補正予算案についてどのように分かりやすい説明をされていくか教えていただけますでしょうか。
(答)非常に丁寧な、そして国民の皆さんにできるだけ分かりやすい説明が必要だと思っています。経済対策、そしてその反映する補正予算において、私どもが、総理が何度も申し上げておりますのは、日本は30年ぶりに変革のチャンスを迎えているのだと。そして、そのチャンスを生かして、日本経済を熱量あふれる新しいステージに押し上げるためのスタートダッシュが今回の経済対策である補正予算だということでございます。
 何よりも、まずは目の前の物価高から国民の暮らしを守る。これと併せて、賃上げの流れを確実、また継続させていくために、今申し上げましたような国内投資の拡大や労働市場改革を進めていきますよと。そういった具体的な目の前の課題とともに、更なる成長をもたらす仕組みをこのところで思い切って変えていく、そういう対策を今、打ち出して、様々な分野から総合的な施策を入れております。
 特に今回の減税は、結果的にそれが賃上げの応援に回れるような、可処分所得の減少を、しかも減税によって予見性を高めていくという中で、そのメッセージの中で消費の拡大、そしてそれは結局、賃上げにつながっていく流れをつくりたいと思っております。
 ですから、来春の春闘によって賃上げの動向が見えてまいります。6月には住民税の当該年度の税額が確定するわけです。そのタイミングで、しかもその6月はちょうどボーナス月になりますから、ボーナスで賞与を、いつもの給与よりもたくさん頂くわけです。そのときにこの税を引くということで更に可処分所得が上がるという効果を狙いながら、好循環の実現の後押しをしたいというもので打ち出していきます。
 その前の給付については、今、最も物価高の影響を強く受けている低所得者層の皆さんや、それから、その中でも特に子育ての皆さん、こういった方々には給付金として、ここのところで支援を。これは、補正予算が成立後に速やかにお届けできるように、自治体とも連携しながら重点支援地方交付金をしっかりと使っていくと。この給付金は、7万円の給付だけではなくて、そもそも重点支援地方交付金には、それに加えて生活支援のためのものが含まれております。これはずっと続けてきており、今回もまた更に5,000億ほど拡充するわけであります。そういったものも含めて支援していくということで、それぞれの課題に対して適切な効果が出るようなことを考えているのだと。
 なかなか、減税がよかったのか、給付金がいいのかというお話や、じゃあその給付金の額が足りているのかとか、そういうところで、その1点のみで議論が止まってしまいますと、その先のどういう効果を狙っているのかということがとても重要で。大事なことは、日本経済を民需主導の持続的な成長軌道に乗せていくこと、そして企業の設備投資や生産性の向上と相まって、働く人たちのスキルをアップして、その中から自分たちで納得できる賃金の上昇がある。この流れの中で経済が大きく動いていく、それを私たちはつくるべきだと思っているし、つくれると思っているわけでありますので、そういった全体的なストーリーがあって、これまでの経済対策とは、コロナによって本当に生活が縮小し、経済が縮小し、手当てしなければもう維持できないというときの対策とは違う形で打ち出しているのだということ、これをやはり総理が熱心にお話しされておりますし、私はそれを補足する形で具体的な説明をしていきたいと、このように考えています。
(問)先週公表されました7-9月期のGDPに関連して伺えればと思います。先週公表のGDPでは、実質成長率が3四半期ぶりにマイナスというふうになりまして、大臣の談話でも内需は力強さを欠いていたというふうにありました。改めて足元の景気認識についてお考えをお聞かせください。
(答)2023年7-9月期は前期の4-6月期と比べて、GDPの1次速報で名目で個人消費、設備投資ともに増加しております。一方で、実質では個人消費が横ばい、設備投資は減少。それを私どもとしては力強さを欠いていたと表現したわけであります。
 実質の個人消費の内訳は、サービスが増加した一方で、財、とりわけ耐久財が減少した。この財消費の減少は、物価上昇の影響に加えて自動車が、8月の大規模な工場停止がございました。これを受けて国内向けの販売が減少したという一時的な要因が含まれているという分析をしています。また、個人消費の過半を占めているサービス消費は外食中心に持ち直しを継続しているという傾向も見てとれます。
 更には、実質の設備投資の内訳を見ますと、7-9月期は機械投資や建設投資を中心に減少しているわけであります。この建設投資は、昨年の同じ頃に、これは熊本TSMCだとか、それからキオクシアだとか、そういった大規模な投資がございました。そういったものの工事の進捗が一服しているというような影響もあると思っております。
 そして、2023年度の設備投資計画、名目は前年度比13%。企業の投資マインドは引き続き堅調となっているわけであります。更には、日銀の短観などと見ますと、この業況判断のDIでいうと、非製造業のDIは、大企業、中小企業を含めてバブル期以降の最高水準になっております。投資計画の強い意欲がある中で、また業況判断としてもよいという方が増えている中で、そういったマインドを実体経済にどう反映させていくか、これが課題ではないかなと思うわけであります。
(問)本日、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の第1回の有識者会議がございました。先般、大臣は御出張中にも現地のベンチャーキャピタルなどと意見交換もされたと伺っております。今回、大臣の冒頭発言を伺いましたが、何かを参考にしていたり、後ろをついていっている限りはそれを越えることはないのだと。世界を驚かせる、でもまだ言えないというような御発言もありました。これらを踏まえて、今後どう進めていくかというお考えがあれば、言える範囲でお伺いできればと思います。
(答)スタートアップは、日本経済を次のステージに押し上げるための大事な大きなエンジンの一つだと思っているわけであります。日本全体が、工夫しながら世界に通用するスタートアップのエコシステムを、今回のこのキャンパス構想を通じて是非つくらなければならないと思っているわけであります。
 したがって、予定調和で、あらかじめこのぐらいでいいだろうでは打ち破ることはできないわけです。もうスタートアップを強化しようというのは随分前からやっていて、様々な工夫があるし、一つ一つで成功例も出てきていますが、大きな日本の力には、まだそこまでには届いていないと。
 ですから、グローバルなスタートアップのそれを、キャンパスという形でみんなが集まって、そしてスタートアップの皆さん、それからそれを支援するベンチャーキャピタル、またそれらをオーガナイズする仕組みをつくっていこうというのが、今回のところでございます。
 サンフランシスコで、実際にそういうベンチャーキャピタルで日本人としてあちらで大きな成果を納めている皆さんともお話しして、どこに日本の問題があって、どうすればいいのか、そこはある程度見えてきています。でも、それが現実に本当に効果のあるような仕組みとしてつくれるかということ、ここを打ち破らなければならないので、そこはみんなで是非頑張って考えていこうではないかと。
 有識者会議の皆さんには、ですからあらかじめ枠が決まっている範囲の議論ではなくて、思い切った提言、それからいろいろなご意見を頂いた中で、恐らくあれだけのすばらしい方々が有識者としたお集まりになりましたが、それぞれお考えが違うと思います。いろいろなアイデアがあると思うので、そういったものを持ち寄りながら、そして現実に今日は、ハーバードとMITで大活躍している日本の若き研究者、将来本当に有望な、今アメリカでは大谷翔平さんが大活躍しておりますが、いずれスタートアップの中の大谷翔平になるのではないかと有識者の方が評しておりました。そういう人たちの話も含めて、どこを工夫できるか、これを徹底的に追求していきたいと、私はそう思っているわけであります。
(問)先ほど他の記者さんからも質問がありましたが、その関連なのですが、本日、各社の世論調査で岸田内閣の支持率が下がっているという結果が出ました。とりわけ経済対策に対する厳しい評価が目立つような結果になっているのですが、先ほど大臣は熱い思いを述べられましたが、そこはなかなか国民のほうには伝わっていないのではないかと思うのですが。その結果に対する受け止めや、今後どのように発信していくのか、その点について伺います。
(答)世論調査の結果というのは、私たちは常に謙虚に、そして厳しく受け止めたいと思っています。国民からのご期待をいただけない限り政策効果というのは限定的になってしまうといったことがございます。
 ですから、総理を中心にして、我々とすれば内閣を挙げてみんなで工夫しながら、とにかく目の前の困っている人や厳しいところをお手伝いしながら、その先の新しいステージをつくろうではないかと。
 ですから、今回の対策では、これまでの2013年の安倍内閣から打ち出した経済対策以来最多となる36項目の規制緩和項目ですとか、税制もこれまでやったことのない新しい制度を6項目盛り込んでおります。そうしたところまでなかなか説明が至る前に、まず目の前の給付金と減税で、それについての議論が、それは大変関心を持っていただいたありがたいことなのですが、それが何をもたらして、同時にどんな仕組み、今回は工夫があるのだということ、これを丁寧に、しかも折あるごとに私は説明していかなくてはならないだろうと思っています。
 何よりも、国民の共感を得ることがとても重要だと思いますから、そういう意味において、まずは謙虚に国民のお声を受け止めながら、我々は政策をしっかりと訴えていきたいと考えているわけです。

(以上)