新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年11月17日

(令和5年11月17日(金) 9:20~9:33  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず冒頭、サンフランシスコに出張いたしましたので、その結果をご報告させていただきます。
 11月15日にサンフランシスコで開催されたCPTPPの閣僚会合に出席するため、14日から本日までアメリカ合衆国に出張してまいりました。
 今回の会合では、主に新規加入要請の対応、そして「協定の一般的な見直し」について、閣僚間で率直な議論を行い、結果を共同声明という形で取りまとめをいたしました。
 CPTPPは、ハイスタンダードなルール、そして先進的で野心的な貿易システムの成功例であり、また、単なる経済的な利益を越え、世界の平和と繁栄にも貢献するということを、私の考えを皆様の前で意見を申し上げてまいりました。
 そして、日本はこれまでも強いリーダーシップを発揮してきたわけであります。今回の会合でも、国会開会中ではありましたが、国会の御理解をいただきまして私が出席し、新規加入や協定の一般的な見直しの議論において日本としての意見を申し上げる、そして各国と協力しながら積極的に貢献するという姿勢を示すことができたと考えています。
 この機会を活用しまして、ペルー、シンガポール、オーストラリア、ベトナム及びイギリスの閣僚と二国間会談を行い、密接な連携の重要性を確認したというところでございます。
 今回の議論を踏まえ、他の締約国とも協力しながら、CPTPPのハイスタンダードな維持に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 また、今回、出張の機会を利用いたしましてスタートアップ、それから成長戦略に関することで、現地で活躍する日系スタートアップの関係者ですとか、また、電子インボイスの先進的な取組をやっている企業、また、アシストスーツを研究している大学教授、更には企業の関係者、また、カリフォルニア大学のバークレー校の日本研究専門家との意見交換等々を行ってまいりました。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)冒頭にもございましたCPTPP閣僚会合なのですが、その成果と、TPPを巡っては中国が加盟申請をしていたりですとか、アメリカの復帰を求める声、これもございますが、会合でどのような議論が行われて、大臣としてのお考えをお聞かせください。
(答)今回、まず出席したことは大変意義があったと思っています。前回、5月のときに残念ながら大臣が行けなくて、国会の関係があって副大臣出席になって、それに対して残念だという声が挙がったということも聞いておりました。
 実際に行きまして、全ての国が大臣が参加しておりましたし、また、私がまいりましたことで、やはり会合においても、日本がこれまでイニシアチブを取ってきてくれた、そしてイギリスの加入について大変な尽力をしたということに関して、席上で口々に感謝を私のほうに頂くといったこともございました。
 それから、二国間の会合をやった中で、この一般的な見直し、それから新規加入の問題については日本はどう考えているのかということも、それぞれの皆さん、日本がどう考えているのかということをとても私は質問を受けました。ですから、私たちが一定のイニシアチブを取りながら信頼、そしてやはりこれは直接会っていろいろお話しすることでこういったコミュニケーションが取れる、これはとても重要なことだと思っております。
 「一般的見直し」につきましては、CPTPPを「ゴールドスタンダード」として維持・発展させるため、そのためにはまず貿易の歪曲的措置や経済的威圧への対処についての議論を深めていく重要性を今回確認しております。今後、来年はカナダが議長国になるのですが、そういう中で具体的な議論を進めていくことになります。
 そして、さはさりながら、個別具体の新規加入の国をどう取り扱うか、こういったような話し合いは今回の会合では行われておりません。共同声明に盛り込むべく、そうした総括的な議論を行ったということでございます。
 それから、中国についても個別の話はございませんでした。しかし、大事なことは、やはり世界の貿易ルール、要するに貿易ルールを守っていくということがとても重要だということ、それからCPTPPのゴールドスタンダードといわれる高いレベルを維持できるのかということを見極めるということの皆さんの合意は一定のものがあったのではないかと思っているわけであります。
 それから米国の復帰のことがありましたね。米国の復帰についても、これは閣僚会合ではございませんでしたが、ビジネスの皆さんとの会合があったり、それから企業たちが行うベイエリアカウンシルというのがありまして、そこに呼ばれていって、そういう中では、やはりアメリカの問題というのは関心があるように感じました。
 私のほうからは、ベイエリアカウンシルでのレセプションにおいては、一つ残念なことはアメリカがいないことだと。なぜならアメリカの人たちが設定してくれた会議にアメリカがいないわけですから。ですからそれは残念なことであって、我々はアメリカの動きは常に歓迎すると、このことだけは一言言ってまいりました。そんな状況です。
(問)賃上げに関して1点伺います。先日、15日に政労使の意見交換会が開かれまして、岸田首相から来年の春闘について「今年を上回る水準に御協力をお願いします」という御発言がありました。大臣として、具体的には、今年3.58%なわけですが、どれぐらいの水準の賃上げが必要とお考えかお聞かせください。
 また、来年の春闘も含めて、それで終わりではなくそれ以降も含めてどのように継続的な賃上げを実現していくのか、お取組の考え方を教えてください。
(答)一昨日、春季労使交渉に向けて意見交換がございました。私は残念ながらというよりも、他の公務があってサンフランシスコにおりましたので、その内容については承知をしておりますし、終わった後の報告も受けているわけであります。
 まず、具体的な賃上げをどのように実現させていくか。これは平均の数字が最終的には動向として出てまいりますが、それを更にどこまでにするか。これは個別の労使、またはそれぞれの団体が決められることだと思います。政府とすれば、最大限の応援をしていきたいと思っております。
 大事なことは、それぞれ業態ごとに労務費、それから物品費、構造が違ってまいりますので、それぞれの企業において適切な物品費と労務費の転嫁がどうすれば行われるのか、そしてその交渉がしやすくなるのはどのようなことが重要なのかということをよくよく、私とすれば、様々調査も今、既に始まっておりますし、そういった実態を捉まえた上で、政府としてできることは最大限の応援をしたいと思っています。
 もともと、この賃上げが安心してできる、それは業績が拡大していく。そのためには、まずは消費の可処分所得を押し上げるために、今回、経済対策、また補正予算において対策を打ちます。もうご案内のことでございますから、そういった可処分所得を増やすことによって賃金上昇と消費拡大、これを応援する政策はしっかりと講じていきたいと思います。
 加えて、その賃上げを持続的なものにするためには生産性の向上が不可欠でございます。国内投資の拡大、そして労働市場改革、また、スタートアップの育成など、企業の参入・退出の円滑化、「供給力の強化」といった政策それぞれを相互連携させながら構造的な賃上げを求めていきたいと考えています。
(問)ご出張お疲れさまでした。スタートアップのご視察でどんな具体的なことをご覧になったのかとか、あとご担当としてこういったものを政策にどう生かしていけるか、何かお感じになったことがあれば教えてください。
(答)日本出身の方で現地で成功している、そういう皆さんとの協議を行いました。その中で、私が今進めておりますグローバル・スタートアップ・キャンパスの構想について説明して、これを実行しあらしめるためにはどのような工夫が必要かというような意見交換をさせていただきました。
 実践のVCの皆さんですから、それぞれすばらしいご意見もありましたし、参考にさせていただきたいことも、提案も頂きましたので、そういったものを踏まえて、やはりより実践的なものにしていくことが重要だということ。
 それから、アメリカの今、シリコンバレーのスタートアップがどういう状況になっているのか。刻々変わっていくわけであります。もしかすると、日本が今、私たちがめがけていることは少し前のアメリカの動向だとすれば、やはりそれは常に直近の状況、また、その先の状況を見ながら計画を作っていかなくてはいけないという意味においても、実態を聞かせていただくという中で大変、意義あるものだったと思っています。
 それから、自動運転は、実は試乗して、実際にどういう仕組み、またどんなことが課題としてあるかということを意見交換する予定だったのですが、岸田総理が行き、大統領が来て、中国の主席もいて、とにかく大渋滞になってしまって。残念ながら、向かったんだけど途中で車が動かなくなって、それが一つできなかったことが残念なんですが。
 でも、電子インボイスにしても、それからアシストスーツなども含めて、やはり新しい経済を取り込んで、それを社会変革とともに産業にしていく。こういう取組が必要だと私は思っているし、今回の経済対策にはそういった面をたくさん入れ込まさせていただきました。
 ですから、やはり実際に現地で動いていることを聞くというのは、見るというのはとても重要なことでございまして、大変有意義だったと思っています。

(以上)