新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年11月2日

(令和5年11月2日(木) 19:30~20:25  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 遅くに皆さん、ありがとうございます。
 本日、臨時閣議が開催され、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」が決定をされました。
 我が国経済は、長引くデフレを背景としたコストカット型経済から脱却できる千載一遇のチャンスにあると、私は今、正にこの新しいステージに光が差していると考えております。
 そこで、今回の経済対策は、今後3年間程度を「変革期間」として、予算や税制措置、そして制度・規制改革を総動員し、我が国経済を熱量あふれる新たなステージへと移行させるためのスタートダッシュにしたいと考えています。
 今回の経済対策では、未来の日本にとって真に必要な施策を重点的に取りまとめました。
 国民の皆様に、「今日より明日が良くなる」ということを感じていただける、そうした経済対策になったものと考えています。
 経済対策の裏付けとなる、令和5年度の補正予算における一般会計追加額は13.1兆円でございます。これと定額減税及びその関連経費を合わせると、全体の規模は17兆円台前半程度ということになります。これを前提とした経済の押し上げ効果、これは実質GDPの年成長率換算で1.2%程度と見込んでおります。
 また、消費者物価については、燃料油価格、電気・ガス料金等の負担軽減策によって、来年1月から4月までの間に前年同月比1.0%程度抑制されると見込んでおります。
 そして、直近2回の経済対策、この規模、国費ベース、及び実質GDPの押し上げ効果が、まず岸田内閣ができた後、初めて組みましたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策。これは2021年11月でございますが、これは31.6兆円、5.6%程度の押し上げという対策をまず打っています。
 そして、次に約1年後、2022年10月でございますが、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策。これは29.1兆円、そして4.6%程度の押し上げの対策となっておりました。
 コロナ対策としての需要追加策等を含むそれらと比較すると、物価高対策と供給力の強化を車の両輪とする今回の経済対策の規模、効果はだいぶ考えてこのような規模にしたということがご理解いただけると思います。
 そして一方で、今回の経済対策の実質GDPの押し上げ効果も、年成長率換算でなく、全体として見れば3.5%程度の効果がありまして、年末に結論が得られる法人税等に関連する税制措置によって、今後効果の上積みも予想されると考えるわけであります。
 私とすれば、コロナ禍を経て、今回初めて取りまとめました、次の経済に向けての経済対策、内容的な充実も様々を図ったつもりでございます。
 まずは最近の経済対策と比較いたしまして、6項目の税制措置を今回入れましたが、加えて制度や規制改革が36項目ございます。これは2013年以降の経済対策の中で最多のものでございます。何よりも規制改革を織り込みながら、新しい経済へのいろんなチャンスをつくっていく、こういう意味においてスタートダッシュとしてふさわしいものになったのではないかと考えています。
 まず、今回、今まであまりなかったのかもしれませんが、私どもとして政府がまとめた経済対策のポイントと、それから併せて政策ファイルというものをつくってみました。
 この中で、まずは今回の対策は、新たなステージへのスタートダッシュをするための5つの柱をこのようにつくらせていただきました。
 そして、この柱のもとで視点を変えて見てみる。狙いとして、国民生活を守り抜く、人を育み地域を活性化する、世界に出て海外の活力を取り込む、こういう狙いで見るとどんな政策があるのかということを、ポイントの中で、それぞれの狙いに向けてどのような政策が入っているかということをまとめました。
 一方で、これは私も何度も申し上げておりますが、フロンティアを開拓する。それから、デジタル技術の社会実装、そして何よりも政策の横串、省庁間の連携を図る、それから制度間の連携を図ることで、様々な副次的な、また相乗効果を生めるのではないか。こういう観点からまとめると、どういう政策がこれに該当するかということをこの中にまとめさせていただきました。
 そして、制度や規制改革、そして新たな予算や税制措置、特に今回、創設した制度が幾つもございます。ですから、そういうものですとか、新たなガイダンスを生み出すものについての政策のポイントを国民の皆様にできるだけ分かりやすくするためにも出させていただいたということでございます。
 この次に政策ファイルを御覧いただければと思います。
 こちらも今度は政策の事例集でございます。この中でまず1ページ目は、何よりも我々がまず、最初に取り組みます、「物価高により厳しい状況にある生活者・事業者の支援」ということでございまして、1人4万円の定額減税、そして住民税非課税世帯に対し、これまでの給付と合わせた合計10万円目安の支援を検討する。
 また、電気・ガス、燃料油の激変緩和策を継続して、物価高の負担の軽減を行う。
 これは正に3つの狙いのうちの「国民生活を守り抜く」という観点からです。こういったものを打ち出しているということをまとめました。
 それから次のページでは、今度は「企業の賃上げ・投資促進のための税制措置」ということで、赤字企業を含めて賃上げを支援するため、中堅・中小企業を対象とした繰越控除措置、これは創設でございます。今までこういったものはやったことはございませんでした。赤字企業であっても賃上げをしてくれる、そういう企業には、その結果としてその企業の収益が出るようになった時に控除をさせていただく、新たな制度でございまして、正に賃上げ促進税制の強化のための措置でございます。
 また、イノベーションボックス税制、これも初めてのことでございますが、国内での研究開発による特許権など、知的財産から生じる所得に対して総括的な優遇税制も新たに導入するということを打ち出しているわけであります。これらは「省庁・制度間の連携」とともに新たな措置ということでなると思います。
 それでは、次をお願いします。リ・スキリング、これも我々が賃上げの実現のために非常に重要な、三位一体の労働市場改革の中の一つの要素でございますが、必須の取組です。
 しかし、これは教育訓練給付制度を厚労省が所管していて、そして、文科省と経産省が認定した講座を給付対象ということになっているわけであります。
 ですから、これ以外にも実は社員のスキルアップをするための講座というのは幾つもあります。でも、それが国の認定のものになっていない限りはリ・スキリングの補助金の対象にならないです。
 ですから、この際、各団体にも連絡を取って、もし有効であると考えられるようなリ・スキリングのための取組を行っているならば、国に申請をしてくださいと。そして、その中で、新しい枠組みを拡大しようじゃないかと。
 それから、これまで厚労省と経産省が、これはもう完全に所管が別々になっておりますが、これも今後リ・スキリングにとって両省の連携ができないかというようなことも、これから是非やっていただきたいということを私のほうからお願いをして、取り組むことになっております。
 次のページをお願いします。これもまた教育フロンティア戦略ということで、GIGAスクール構想の更に発展進化版でございます。
 まずはGIGAが1人1台、こどもたちに端末は配らせていただきましたが、更新がここで来るわけであります。来年度から更新が始まってまいります。それをまずは着実に更新をしていく。
 その際には、自治体単位で調達していたのですが、今後、基本、県単位で調達をお願いすると。その中でその地域にとっては一律の価格で、そして県のサポートによって自治体間の差が出ないように、そういったこともやろうではないかということを考えております。県のほうに基金を設けて、そして、県内の市町村を総括して教育レベルの均てん化を図る、こういった取組もやろうと思っています。
 そして、それに加えて、GIGAスクールの配られた端末をどう有効に使うか。デジタルの教科書もこれから整備してまいりますが、大事なことは、今、自分たちが学習しようとしている内容を、それにとって最適な教育コンテンツはどこにありますか。これを生成AIに聞くといろんなデータを出してくれます。インターネットや様々なところにあるデジタルデータを、それぞれの学習に応じて、生成AIを使ったこういったこともやっていこうではないかと。そして、こどもたちにとって最適な学習が提供できるような仕組みに持ち上げていこうではないかと。
 そして、また今までは国のほうで行いました端末は小中でございますから、高等学校段階のデジタル人材、DXハイスクール、こういったことも是非更に進めていこうということで、これは実はGIGAスクール構想であるのですが、生成AIを組み合わせて、そして全国の、少なくとも県単位で共通の調達ができ、そして、結果的にはインターネットを通じて全国にそれがつながっていく。我が国のこどもたちにとって最適、そして、それぞれのこどもの関心に応じたコンテンツを提供できる、そういう新しい仕組みをつくろうということが、そのまず一歩として今回の経済対策にその支援が入っているとご理解いただきたいと思います。
 次をお願いします。これも新しい創設した措置でございます。まずは人手不足に悩む中小企業に省力化をしていただく、省人化のための投資をしていただく。
 その際に、補助を受けようとして申請をするのでございますが、これまでの申請はとても大変でした。経済効果だとか様々な計算だとか、とても複雑な申請書が必要だったのですが、今回、例えばこういうロボットを導入した、ある施設を導入したならば、それはどのぐらいの経済効果が上がるので、補助金は、この設備を入れたならば補助額はこうなりますということをカタログ化しまして、中小企業の皆さんはそれを選んでいただいて、自分たちはこれを選んで省人化・省力化を図るとともに、それに伴う補助金はこのぐらいが入ってくるということがすぐに分かるような、申請しやすくする仕組みをつくろうということで創設いたします。
 それから、中堅や中小企業の、今、経済が上がっているところで、上手な経営をしている企業は設備投資意欲がとても高くなっています。そういうことに関しまして、設備投資を支援するための新たな支援策を更に拡充して、結果的に企業の業績向上が賃上げにつながっていく、こういう連携をさせたいと考えています。
 次をお願いします。その更に先にあるのが、先端・次世代半導体、そして蓄電池などの時代を引っ張っていく新しい、しかも世界規模な、大規模な生産や活動を行う研究開発を支援していきたいということで、既にこれは皆さんもご案内のとおりでございますが、大規模な国内生産拠点が出来上がりますと、そこの地域には、この半導体産業だけではなくて、そこの会社に参加する、それこそメンテナンスのための建設から電気設備から水道工事から、そして給食を提供する業者から、ありとあらゆる地域の関連産業が活性化することになります。
 それから、もう既に熊本ではTSMCのところで顕著に現れておりますが、初任給が全国平均を大きく上回る、そういう賃上げを、ハイスペックな賃金を前提とした企業活動が行われていて、大きな経済波及効果が担われるわけで、それを全国それぞれの地域で工夫をしていただきながら、生産拠点をそれぞれがおつくりになれば、それに国としても大規模な支援をしていこうではないかと考えているわけであります。
 次をお願いします。農林水産業、これは今、輸出額5兆円を目標にいたします。
 それから、今まで輸出したことのない優れた製品や物品を持っている、そういう日本の中小企業を海外にハンズオンでお手伝いしようと。これも1万者ということで、応募はだいぶ登録はしていただきましたが、実際の輸出につながるのはまだまだこれからでございます。
 ですから、これもハンズオンをするにしても、まずは商工会議所ですとか、地域のそういった機関も活用いただきながら、協力いただきながら大規模に海外展開していこうではないかと。
 それは物流や、それから例えば相手の国に対して輸出する際の検査基準だとか、それから工業標準をあわせることで、これまでの輸出が難しいとされた地域にも十二分に輸出されていく可能性があると思います。ですから、それは一つ一つを開拓するためにも、既にもう始まっている仕事ですが、これを更に拡大させる。それは各省の連携が欠かせません。そして、こういうことをやるためのDX、これを絡ませることによって更に効率が上がっていくと。そして、これらの産業を後押しするための省力化・省人化投資、これによって生産性を更に上げると。様々な展開が見込まれているわけで、是非これを大々的に動き出せるようにしたいと考えています。
 次をお願いします。これはドローンによる物資配送。これは物資配送だけではなくて、例えば効率化を図るだけではなくて、山間や離島地域。離島などには船で運ぶ船便がなかなか維持できない。そして、それゆえにコストが高くなって、島や山の中の物品は高くならざるを得ない。
 ドローンの自動飛行がもう既に技術的には確立されていますから、こういったものを無人地帯における目視外飛行はまだ認められていないんです。
 ですから、これらも規制改革を絡め、そして電波環境だとか、こういったものの支援を、総務省や国交省などの様々な制度・規制を緩和しながら、こういったものを社会実装させるための、そういう物資配送の事業化をするのだと。そのために資する制度改革をいたしましたし、そのための予算を今回後押ししたいと考えているわけです。
 次に行ってください。これもまたとても大きな話で、既に政府は新東名高速道路において、100キロ区間を自動運転のトラックを走らせるというのは発表しています。
 でも、自動運転トラックが走行するということは、大量輸送、そして今までとは違う時間で輸送が可能になります。であるならば、まずは自動運転を実現させなければ、技術的には確立されていますが、安全だとか様々な基準を整備するのに加えて、その先にあるのは、大規模に運ばれてきた物品を、今度は高速道路でインターチェンジで拠点をつくって、そこに集まったものを、地域でもって小口の物流が必要になります。
 今までであれば、自分のそもそもがグループの中での輸送になっていたものを、例えば伝票の基準を統合化してDX化することによって、空き車だとか、それから新たなビジネスチャンスで、要するにマッチングをして運びたい人がいるならば私の品物を運んでくださいと。これをDXで高度化しようじゃないかということを考えております。
 そして、そこは当然のごとく、大型のトラックはEV若しくはFCVが最適なんです。この際、元々、EVやFCVの商用の車はまだなかなか、構想はございますが、まだ実現にまでもう一歩のところでございます。
 ですから、こういう高速道路で現実に仕事ができるならば、そこにGX関連のこういう新しいトラックを走らせて、そして、そこはAIを活用して受発注のマッチングをさせると。そして当然、この高速道路の拠点のところには水素ステーションやEVステーションをつくっていく。そして、その先に今度は地域の経済の活性化が入ってくる。こういうふうに次世代の物流というのを実現する。
 しかも、これは全国の高速道路でどこで自動運転を走らせようが、基準を統合化して、全てがつなげられるようにしていく。最初は高速間ですが、理論的には全国の高速道路が業者は違っても一つになって、この国の大物流動脈ができるではないかと、そういったことに取り組むためのまずは最初の取組だと。こういう位置付けに今回させていただいたわけであります。
 次をお願いします。皆さん、お気づきだと思いますが、自動飛行させるドローンも、それから自動運転をするトラックも、一番重要なのは宇宙からの測位信号です。ですから、私どもがやっている、今回、宇宙政策を戦略的に強化して、法律の改正をして、JAXAに宇宙戦略基金を設置し10年間で総額約1兆円の支援を目指すということになります。
 こういったものを措置して、そして、その中で輸送、衛星、探査など、こういった3分野、探査も含めて、そういったことを宇宙の仕事を一挙に産業化させようと。
 私たちはロケットもどんどん飛ばしますし、衛星のコンステレーションも含めていろんな開発をいたします。世界からも受注できるようなスピード、内容で、宇宙を開発していこうではないかということが私たちの国のフロンティアであって、今、激しい国際競争の中でほんの数年の遅れが致命的な遅れになる。
 ですから、今回、ここは非常に大きな議論があって、財政的にもどうなんだということはありました。党のほうのご議論でも最後の最後まで大きな声を出していただいたところでございますが、私とすれば宇宙政策の戦略的強化というのは、実は国内で新技術を実装する時の基盤になるということも含めて、今回の対策で世界に出て、海外の活力を取り込む、そして国内の社会的課題を解決するためのものとしてもやろうと。
 大規模災害が起きた時に人が入れない地域に支援物資を運ぶ。それから、瓦礫の山の中を自動的に探索し、支援物資を届ける。それは地球上の座標が電子的にデータが指示が出ていなければ、無人でもって機械は動かないです。これは全て宇宙からの信号なんです。こういったことをやりたいと。
 これはもう既に政府としていろんな役所が連携して進んでいる、G空間プロジェクトというんですけれども、そういったものを実装させようということでございます。
 次をお願いします。併せて、海もこれまでの海洋基本計画に加えて、海洋開発重点戦略というものを今回つくります。
 これによって、今、水深2,000メートルまでは走ることができるAUVを7,000メートルまで、これは世界最高です。そういった自立型の無人探査機の開発をしようと。
 それから、EVカーへの電池や、それからLEDのもととなるレアアースが南鳥島の沖合に世界が使う分の、今いわれているだけでも200年分以上が眠っております。超深海に。そういったものを、いよいよ6,000メートルからレアアースの混じった泥を揚泥できる予算が今回組まれます。
 その中で海洋資源の実用化もやってみたいと思います。
 これも実は、このAUVが海中で自在に走るのは、結局、海の中の位置が指定されない限りは自在に走れないです。その位置は宇宙から出してきた測位電波を海上で中継船が受け取って、それを海中に電波を発信することで、この中で3Dマップができるわけです。それをもとに動きます。
 ですから、海底で人が行けないようなところで資源を開発することも可能になりますし、そこまで深くなくても、洋上風力ができれば、その保守点検のために常に掃除をしたりメンテナンスしなくてはなりません。そういったものも自動ロボットができるようになる。
 これもフロンティアの改革であるとともに、いろんな情報、技術を重ね合わせることでできるものですが、こういったことが可能になる。そのための予算が今回入っているということでございます。
 次に行ってください。これで終わりか。いろいろ私が兼ねてより申し上げておりますように、今、日本政府が行っている、各省が行っている仕事は、重ね合わせたり相互運用することで、とてつもない効果を現すことができる。それこそが私たちの次の日本、そして経済を引っ張っていく新しいステージになり得るのではないかと。
 まず、目の前の生活に苦しんでいる人たち、物価高を何とか国民生活から守らなければなりません。それをやりながら、次の投資を実際に産業化して、そして、それを社会に実装する。事業化した上で、それが現実に装着されることを実装と呼んでいます。そういったところまで押し上げて、そして、人口減少、少子高齢化であっても成長する日本をつくるのが我々の使命だと思っています。
 加えて、是非皆さんに改めて申し上げたいのは、今、10万円の給付と4万円の減税がとても話題になっています。これは可処分所得を支えて、賃上げを結果的に実現させるための、そして生活をまずは物価高から守るためのお手伝いであります。
 でも、これに加えて、今回の重点支援地方交付金というのは、低所得世帯支援と、それから、これまでもやっておりましたが推奨事業メニューの支援を行っている。それによって、例えばこれから寒冷地で地域によっては灯油の使い方が全然違います。ですから、そういうところには地域の事情に合わせた支援メニューが、自治体の独自の判断でお手伝いできる、これも強化いたします。
 今、6,000億あって、5,000億執行しました。今回、5,000億を是非要求したいと思っています。ですから、またプラス6,000億をもって、これで地域の実情に合わせた支援をする。それはプレミアム商品券やマイナポイントを発行したり、それから中小企業や農林水産の業者、そして医療、介護、保育施設、こういったところへの支援にも使っていただいておりますし、きめ細かな、自治体がその地域の実情に合わせた支援を行う。
 これもあることはもう既に織り込み済みになってしまっていますが、現実には燃油の3,000億に加えて、その倍の支援が生活支援で出ているということはやはり国民にお伝えをしたいと思っています。
 今般、総理が本当に力を入れて、我々も精いっぱい、いかに新しいステージに移行していくための、皆さんにその思いが伝わるか。現実にチャンスはもうたくさんできているんです。ですから、これを伝えるための経済対策をしっかりと丁寧に説明していきたいと思っておりますし、冒頭申しましたが、何よりも私どもは規制改革をどこまでできるのか、新たな制度を幾つつくれるのか、これを各省にしっかりと検討してもらいたいという要請のもとで、今回の36項目、この規制改革の項目は、2013年安倍内閣をつくって以来、最大の規制改革項目になっているということ。これが私たちが次のステージに向かうための決意を表している証左ではないかなと思っていただけるとありがたいと思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)2点お伺いさせてください。
 今回の経済対策について、先ほど総理も言及されましたが、財源についてどうお考えかというのを1点お伺いさせてください。
 それと、もう一点が、これも総理が先ほど触れられていましたが、歳出構造を平時に戻すということで骨太の方針では話が出ていましたが、それに関して今回のこの経済対策は矛盾していたり、そういうようなことはないのかというのをお考えをお伺いできればと思います。
(答)補正予算につきましては、速やかな編成に向け、財源を含めて計数の精査が財政当局で進められております。その上で、財政健全化を進めていくというのは、これは経済成長と密接な関係があります。今回の経済対策の内容は、物価高から国民を守り抜くための施策に加えて物価高に負けない構造的賃上げに向けた環境整備、そして更に生産性向上や供給力強化に資するための国内投資の拡大支援、そういう目の前のまずはお手伝いをしながら将来の成長につながる、それがストーリーとしてつながっていく、こういうものになるように盛り込んでいるということを私は今説明したつもりでございます。
 そして、今回の一般会計13兆円がどういう規模であるか、大きいか小さいかということに関して、しかも需給ギャップがほぼなくなりつつある中で、こういった額がどうなんだというご意見があることも承知いたしますが、ただ客観事実として、岸田内閣が2年前に最初につくった2021年の経済対策は、一般会計の総額31.6兆円です。そして、次に昨年つくったのが29.1兆円です。今回、13.1兆円ですから、財政を、コロナのときは何としても、実際に家庭にお届けして支えなければいけなかった。今は賃上げの兆しも見えています。そして、経済成長も見えています。その中で、それを本格的なものにするためには、当面のお支えをするとともに、先に行って経済の自立力とか自分の力を強めるための、そういうものを入れて、その効果を狙っていく。ですから、この経済対策は第一弾でございます。そして、この次の新年度の予算編成に向けて、このシナリオに沿って次の2の予算の矢を打っていかなくてはならないなと思っているわけであります。
(問)所得税の減税について伺います。
 岸田首相は、これまで国会答弁などで、所得税の減税について、デフレの完全脱却のために必要だという答弁を繰り返されています。内閣府として、今回の経済対策に盛り込まれた減税の理論的な裏づけというのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。その点をお願いいたします。
(答)私たちとすると、まずはデフレ脱却のために重要なのは不安定な足元を固めることだと、そして物価高に負けない持続的な賃上げを実現する。そのためには、最も物価高に苦しんでおられる、そういった層の皆様方には、迅速に寄り添った対応をするための給付措置をいたします。
 これに加えて、今、4月から、正に次の賃上げの動きが出てまいります。そして、それが始まることを見ながら、賃上げとあわせて減税によって可処分所得の増強を狙う、そういう効果ある減税を行っていくということで、しかもそれは今度はお一人4万円ですから、世帯扶養親族に応じて、それは倍数になってまいります。そういった規模のものを行いながら、春闘による賃上げが始まるタイミングで可処分所得を増やすことによって、その賃上げ効果を後押しできるのではないかと。それは、今よい兆しは見えていますが、一方でこれだけ物価高が続いてまいりますと、消費者心理が少し心配な面も出てきているわけで、こういったものを払拭するためにも非常によいタイミングで私は今回打てるんではないかと、また打たなければならないと思っています。
 そして、それに併せて、私たちは三位一体の労働改革と呼んでいますが、賃上げ税制の強化と、それから職務給(ジョブ型)の移行、それから労働移動の円滑化を通じて、自分たちは、会社も業績が上がっていくし、そして私たちは今、可処分所得が増える中で物価高に負けない、そういった家計を持ちながら、その先には賃上げがきちんと現実化すると。その中で経済が自立的にきちんと力強さを維持し発展させていく、そういう流れをつくらなければならないと思っているわけです。
(問)今回の経済対策の中で、大臣が最も重要だと考えているポイントについて教えていただけますでしょうか。
(答)これは、私は、まずはもう一つ前の青いほうのですね。ここに、そのポイントをつくらせていただいております。何よりもこの5つの柱それぞれをきちんと国民の皆さんにお届けしなければなりません。そして、それは様々な狙いで幾つもの政策がそれぞれの視点で織り込まれている。
 先ほどから少し、時間が長くなり恐縮でしたが、自動トラックを走らせるのも、ドローンを動かすのも、それから例えば旅館の配膳ロボットを動かすのも、それはそれを入れたからではなくて、それを踏まえてどうやって経営を強化しながら、そしてそこに従事できる人々を増やしていくか。人手不足は構造的な問題になっているので、失業率は下がっていますし、有効求人は高水準だし、どこかにあいている人がいるわけではないとするならば、一つは人が少なくても事業が維持できるような経営をしなければならない。それにロボットを使う。そして、それらは、そのロボットを動かすためには一つの技術だけでは動かないので、幾つもの連携をさせる。そういう今回は総合的な、この国が本当に新しいステージ、次のステージに移っていくための具体策を幾つもの狙いの中で組んでいるんだと。
 ですから、是非国民の皆さんには、丁寧に私ども説明させていただきますし、本当に動くのかと、このマインドを上げていくこともとても重要だと思います。それが私どもが最も腐心しているところでございます。
(問)経済対策について伺います。
 物価高対策に重点を置かれていますが、日銀が大規模金融緩和を維持している中で、物価高の要因である円安基調は変わっておりません。電気・ガソリン代への補助金によってエネルギーの消費が促されれば、化石燃料の輸入額などが増えて円安圧力にもなりかねません。経済対策だけでは抜本的な物価高の抑制には限界があるように思いますが、この点について大臣のお考えを教えてください。
(答)まず、これは基本的なこととして、為替の動向について私の立場でコメントすることは常に控えております。
 それから、金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべきでありますし、今回の日銀決定は金融市場での円滑な長期金利形成が行えるよう柔軟性を高めるものと受け止めているわけであります。
 その上で日銀には、政府と密接に連携を図った中で、賃金の上昇を伴う形での物価安定目標の持続的、そして安定的な実現に向けた適切な運営を行っていただきたいと期待しております。
 我々は、まずは物価高に対する国民の生活を守ることと、それから構造的賃上げの実現、様々な対策を通じた持続的な経済成長の波をつくっていく。これが両方相まってよい結果を出せるようにしていきたい、経済を力強くしていきたい、このように考えているわけです。
(問)この表題なんですけれども、経済対策。「デフレ完全脱却のための総合経済対策』ということですけれども、新藤大臣としましては、こちらに盛り込まれた様々な施策を発現した場合に、デフレは完全脱却できるというふうにお考えなのか。また、こうした見出しを立てられるからには、来年のどこかですとか、どこかのタイミングで遠からずデフレ脱却を宣言できるという感触はあるのでしょうか、教えてください。
(答)「デフレ完全脱却のための総合経済対策」は、総理が非常にこだわりを持ちながら私たちが共有している問題意識であります。それの最大の眼目は、決してこの流れを後戻りさせないことであります。後戻りさせないためには、新しい経済のステージをつくらなければと考えていただければいいと思います。これは脱却のための対策であって、それに向けてまずはスタートダッシュを図ろうと、第1の矢でございます。
 ですから、これがまずは国民の皆さんに御理解いただきながら、そして政府が誠実に様々な対策を着実に実行していくことで、やっぱりこれは結果を出していかないと、説明をしただけでは簡単に世の中が動くわけではありません。ですから、速やかな、そして合理的かつ高度な政策の実施をしていく中で、大きなうねり、きっかけをつくって、そして2の矢、3の矢につなげていきたいと考えているわけです。
(問)私から2つお伺いします。
 1つは、るる出ているんですけれども、給付とか減税に加えて、あとはガソリンの関係とか電気・ガスのところなんですけれども、経済対策の議論中、政府内、与党内から、こうした施策は逆にインフレを落ち着かせる方向ではなくて、インフレを助長してしまうのではないかと、いつまでたっても物価高は収まらないんじゃないか、そういう効果を出してしまうんじゃないかという声がかなり上がりました。その辺、最終的に政府としてどう整理されたのか。恐らく、そうしたことはないという整理はされたんだと思いますが、そこをまずお聞かせください。
(答)まず、これはインフレを望んでやっているわけではなくて、デフレを脱却するということですね。そして、それは今いい傾向が出ていますが、しかしそこはまだ力強いとは言い難い部分もあると。ですから、まずは経済を下支えしながら、次なる新しい動きを、また次のステージに向けての、そういった賃上げに代表されるような、そういうったことを強めていこうということであって、まずは経済を、私たちが求める物価の上昇率を超える適切な物価上昇率を、それと超える賃金上昇、これを実現させるための流れをつくるためのものだと考えているわけで、この一つの対策で全てが解決できればいいと思いますが、私たちは少しでもそれに近づけたいと思いますけれども、これはこの対策を打った上で次のものに向けていかなければならないと。現時点において、この対策が何か悪い方向に、悪影響を及ぼすようなものにはなるとは思っていないわけであります。
(問)ありがとうございます。もう一点だけ、すみません。
 重点支援地方交付金なんですけれども、今回、給付のほうで1.1兆円、それからあと各種の物価高対策のために0.5兆円、合計1.6兆円更に上積みされるということになりました。これはもともと地方創生臨時交付金の中の一部としてつくられて、今回、恐らくこっちが残ったということになると思うんですが、こちらもいつまでもやっているわけにいかないというか、諮問会議の中でも、もともと平時という言葉をこの辺にも使われていたと思うんですが、この出口戦略といいますか、それは最終的には何とかデフレを脱却したらとか、いろんなところはあると思うんですけれども、その辺、どういう出口を思い描いていらっしゃるかということを教えてください。
(答)まず、今回の経済対策で、特に燃油対策ですとか、そういったものは来年の4月までの措置を決定しているわけですね。その中で常に国際情勢や経済の動向を見ながら、そこの中で適切な基準で対策を打つということになると思います。
 ですから、今、私たちは出口戦略というところまで行く前に、まずは兆しが見えたんですから、それを安定的なものにする流れを確実なものしていくための取組が必要だろうと。その中で、当然のごとく経済が自立性を増して、そして様々な指標が、これは正に自分たちの活動で循環が始まっていくならば、そのときには政府としてのお手伝いは、それはまたそのときの適切な対応をしていかなければならないし、今後、そういった制度や規制緩和、改革、こういったものは、そこまで行けば非常にまた大きな力を持っているんではないかなと考えているわけです。
(問)最後、今伺った2つと逆というか、一見矛盾するようなことをお伺いするんですが、JAXAの話なんですけれども、10年で1兆円という額で、従来の日本の宇宙戦略から考えれば、かなり思い切られたかなと思うんですが、米中などを見ますと、まだ額としてむしろ少ないんじゃないかという印象を持ったりもするんですが、中期的にこうした支援、定性的な表現で構わないんですが、大臣としてどうお考えになっておられるか。例えば中期的に見たときに、もっとお金が必要なんじゃないかとか、そういう考え方ができると思うんですけれども、その辺、現時点の考えを聞かせてください。
(答)まず、この宇宙戦略基金、これをつくろう。これには宇宙の重点戦略というものをつくるということが基本にあります。現行、我が国の制度においては「宇宙基本計画」のみなんです。ですから、基本計画という様々な事業の羅列というか事業の固まりはあるんですが、それらを連結させながら、どうやって戦略的に動かしていくかという計画がございませんでした。ですから、それを重点戦略をつくろうと。その上で、そのためには実行手段として戦略基金というものを設ける。
 この今回の大きな改革は、JAXAは従来、自ら研究、自ら行う事業にのみ資金を受けていたのであって、JAXAがハブとなって、国内研究機関や、大学や、その他企業に、そういう役割分担しながら開発を進めていく、こういう機能は持ってなかったわけです。ですから、今回法改正をします。
 その上で、金額も大きな思い切った金額をお願いしているわけでありますが、この中で相当部分は、すぐに仕事が始められる、そういうものを積み上げながら、そしてJAXAが自分の機能とともに、JAXAがハブとなって世界の企業を含めた、そういう宇宙戦略ができないか、するべきだというのは我々の狙いでございまして、おのずと、その執行具合によって、その後の展開というのは出てくると思いますし、かつ今、世界の企業は、スタートアップは、全て国や公的な資金だけを頼りにして大きな事業を行おうとしている取組はありませんね。ですから、まずは私たちは、日本においてもスタートアップの企業はたくさん出ています。日本初のスタートアップでも、NASAから仕事をもらったり世界展開しようとしている企業もございます。そうしたものも含めて、宇宙は国内ではなくて世界の市場ですから、そういう中で私たちがきちんとしたイニシアチブを取れる、そういう分野を早く確立させないと全て他国に依存することになってしまう状態、これだけは避けたいということで今回の大きな取組が始まっています。
 ですから、額以前に、まずこういう構造改革をしましたので、これがきちんと動いていけるかどうか、ここをしっかりと法制、法律の改正も含めて環境を整えながら支援していきたいと、このように思っています。
(問)大臣の熱量あふれるプレゼンがすごく印象的だったんですけれども、こういうプレゼンをされる機会はあまりないように思うんですけれども、今回設定された理由、背景と、岸田総理もこの2か月前から自分の言葉で話されていると思うんですけれども、そこの因果関係といいましょうか、大臣の熱量みたいなのがあったら教えていただければと思います。
(答)総理の強い思い、これは今日も記者会見の中で、様々なご意見をいただきましたが、何があろうと、国民のために、国のために自分は役割を果たすんだと。それは、日本がどう変わろうとしているのかということが本当に伝わるかどうかなんです。やっぱり皆さん不安に思っているし、心配を持っています。でも、一方で期待もしていると思うんですよね。ですから、その期待に応えられるような私たちは場所というもの、そして計画というものをお示ししていく必要があると。それは総理の強い思いだと思います。
 私も今回、経済財政の総括的な総合調整を担う役職を拝命しました。ですから、今までこういう機会をつくらなかったのは決まってなかったからです。そして、断片的に一つ一つの仕事がこうなるかということではなくて、総括的に連携させることで効果が出るので、これはこういうふうに取りまとめない限りは効果をなかなか説明することができなかったので、今後これはいろんな機会があればよく説明したいと思いますし、そもそもがもともとの経済対策の本編は、もうお配りされたと思いますが、こんなことを作ったことはないわけですよ。これはビジュアルも含めて、しかもうちの役所のスタッフも、若い人たちが、ものすごく頑張って、夜遅くまでデザインや色まで含めて考えて作りました。
 ですから、そういう熱量があふれるのは、まず自分たちが熱量を出さなけりゃ人には伝道いたしませんから、そういう思いは自覚をして、まずは私がそこの担当の閣僚になっているわけですから、そういった思いが伝わるように心がけたいと思っています。
(問)1点だけ、基金についてお伺いします。
 今回の経済対策では、複数の分野で基金の新設が書き込まれているように思うんですけれども、基金というのが複数年度にわたって事業資金を確保できるメリットがあり、一方でデメリットも多く指摘されていると思うんですけれども、今般の基金新設に当たって何に留意する必要があるかという辺りだけお聞かせください。お願いします。
(答)これは、基金が無制限に、しかも複数年度にわたりながら額があまりにもふくらまないようにと、これは非常に留意しているところです。ですから、実際に基金を設けると、そして経済対策で方向性は示しますが、それで現実に積まれる予算というのは、これはかなりのいろいろ工夫をしながら必要なものに絞っていくということ。それから、基金は複数年度にするのには、それなりのそれぞれ理由がございます。ですから、単年度収入の弊害を除くためのものであるとともに、しかし一方でその運用の管理についてはしっかりとした国民に説明責任を果たせるような、そういった工夫もしていかなければならないと思いますし、実際には基金を運用していく中で、私たちがつくった予算が適切に執行されているかどうかと、こちらのチェックも非常に重要だと思いますので、そういったものも踏まえながら、なるほど基金が必要だったんだと言えるような、そういう成果を出せるように頑張っていきたいと思います。

(以上)