新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年10月6日

(令和5年10月6日(金) 11:04~11:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

(冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)幹事社として1問お尋ねします。このところ長期金利の上昇が続いています。金利は「経済の体温計」ともいわれ、政府として適温経済への移行を目指す上で重要な指標の一つになると思います。反面、金利が上がると様々な資金調達のコストが重くなるほか、金融機関によっては保有する債券価格の下落が痛手となる可能性もあります。長期金利上昇の経済への影響をどのように分析されますか。また、このところの上昇は望ましい動きだとお考えでしょうか。
(答)長期金利の動向や水準についてコメントすることは、これは差し控えておりますので御了解いただきたいと思います。
 その上で、この長期金利の上昇は家計や企業、金融機関に様々な影響を及ぼすことが考えられます。ですから、その動向や経済への影響については、私どもとしても引き続き注視していきたいと考えています。
 更に何か個別のことがあればと思いますが、一般論としての金利の上昇がどういう影響を与えるとか、そういうことについてはお分かりだと思いますので。もし必要ならばコメントしますけど、よろしいですか。
(問)一般論として頂ければと思います。
(答)長期金利の上昇は、家計や企業については、金融資産への投資から得られる利子所得の増加につながるということがございます。一方で、住宅ローンや設備投資など、長期資金にかかる借入金利が上昇して、資金需要や実需に影響を及ぼし得るということもございます。
 また、金融機関につきましては、貸出金利の上昇が預金金利の上昇よりも大きければ収益改善につながるという面がございますが、一方で、保有債券の価格の下落による含み損につながるという様々な影響が考えられるのではないかと、このように考えております。
(問)経済対策の関連でお聞きしたいのですが、物価高の中で食料品の価格というのが高止まりが続いていて、所得の少ない家庭ほど家計への影響が大きくなっておりますが、今後策定される対策の中ではどのように対応を取っていかれるのでしょうか。
(答)電気やガスなどのエネルギーコストの上昇による物価高、それからご指摘のように食料品価格が高騰しており、厳しい状況があるということは私たちも承知しております。
 何よりも今回のこの物価対策や経済対策において、物価高から国民生活を守るという視点で様々な対応を検討したいということを申し上げておりますし、現在、様々な検討がなされ、作業をさせていただいております。
 この厳しい状況にある生活者の方々を守るために、どのような効果的な施策があるか、しっかりと検討しながら打ち出していきたいと、このように考えています。
(問)一昨日、全世代型社会保障構築会議が開かれました。有識者の方から、こども対策の財源だけではなくて、全世代型社会保障構築の理念、社会保障制度の持続可能性から改革を検討すべきだというような発言があったと聞いているのですが、大臣は有識者のこういったご発言をどのように受け止められたかを伺いたいです。
 加えてなのですが、社会保障改革で取りまとめる工程表のイメージはどのようなものというふうに考えていらっしゃるでしょうか。年度ごとに取り組む改革や目標額みたいなものも示されるのか、そのあたりをお願いいたします。
(答)まず、一昨日に、私が就任いたしまして初めてとなります、第14回全世代型社会保障構築会議を開催させていただきました。この中で、社会保障改革とともに少子化対策の財源確保を主要な議題として、その基本的は考え方についての意見を頂いたわけであります。
 冒頭、私からも申し上げましたが、正に今、ご質問がありました全世代型社会保障改革、それは理念をどういうふうに整理したらいいか、今までとは違う形の全世代という形で打ち出しました。ですから、そこをきちんと丁寧に説明していくことが、結局それが負担と給付の関係にもつながっていくと思いますので、そこは是非、更に議論を深めていただきたいということを申し上げました。
 そして、当面の課題をまずは乗り越えるための対策が必要です。それから中長期的な対策を考えることも必要です。それに加えて、全世代型社会保障の中には、その次の世代の人たち、未来の人たちに対してもきちんと残していける、またその方たちのことも考えた、そういう改革が必要ではないか。それを全世代型社会保障という概念の中にしっかり埋め込もうではないかということを今、私は考えておりますし、先生方にもそういう整理をしていただこうと思っております。
 それから改革工程表は、具体的に医療・介護分野の改革を中心にして、まずは短期的に来年度に速やかに実施すべき取組というものと、それから中期を見据えて2028年度までに実施すべき取組を整理することになるのではないかと考えておりますが、そこは構築会議の中で有識者の皆さんとしっかり議論していこうと考えています。
 併せて、やはり改革工程表を全世代型社会保障構築会議の中で具体的な検討をされるわけなのですが、そのときには工程表の精度を上げるという意味において、様々なデータですとか、そして工夫が必要ではないかなと思っておりますので、そこはまた今、議論を詰めているところなのですが、より分かりやすく、そしてみんなが目標を共有できるような、そういう形の工夫はしていきたいなと考えています。
(問)一昨日、日銀が発表しました需給ギャップですが、こちらはマイナス0.07%ということで、若干の需要不足という結果となりました。こちらに関しては、デフレ脱却の現状認識も含め大臣の受け止めを伺いたいのと、また、この0.07、若干の需要不足という数字が、現在検討されている経済対策に、例えば需要面の対策がもっと必要になってくるといったような形で考え方に変化をもたらすのか教えていください。
(答)日銀が2023年4-6月期の需給ギャップは、マイナス0.07%ということでございます。それは1-3月期が0.41ですから多少の改善にはなっていると。私たちは、内閣府の推計としては2023年4-6月期がプラスの0.1%ということでございます。
 この需給ギャップは、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるということがあるため、その数字については幅を持って見る必要がある。ただ、いずれにしてもマイナスのギャップが解消に向かいつつある傾向を示しているという点では、日銀も、それから内閣府も同じ傾向を示しているわけであります。そうした傾向が安定的に、かつ持続的になされるか慎重に見極めていかなければいけないことで、デフレ脱却については過日に申し上げましたが、再び後戻りしない状況をつくり出すことが非常に重要だということで様々な角度から総合的に判断していきたいと思っております。
 最後はなんと言いましたっけ。
(問)今回の0.07という数字が、経済対策のほうに何か考え方の変化をもたらすのかということです。
(答)それは要するに幅を持って見ると。我々とすれば、大きな傾向の中で、しかもこうしたよい兆し、新しい経済の光、これを持続可能な次なる新しい経済のステージに持ち上げることができるかどうか、そこが重要なので、その方向に今、我々は作業をしている。まずは経済対策で第一弾を打つし、その先もまだ続けていかなければいけないと思っています。
 ですから、大きな方向に、トレンドとしての方向には変わりはないと思っています。
(問)新たな経済対策について関連してお伺いできればと思います。与党のほうから所得税の減税を求める声も上がっていると思います。減税措置については、新しい資本主義の会議のほうで賃上げの減税であるとか、国内投資の減税の重要項目に盛り込まれていたと思いますが、所得税の減税ということについて、どのように検討されているか教えていただけますでしょうか。
(答)私たちが今、目指す、取り組むべき総合経済対策は、大きな柱として物価高から国民を守り抜くということ、それから投資を促進するための支援、更には新しいフロンティアを構築して、それを社会実装させる、こういう様々なことがございます。
 その中で、総理は「成長の成果である税収増を国民に適切に還元」するというふうに申し上げております。その手段としての賃上げ税制の減税制度の強化、戦略分野の国内投資促進や特許などの所得に関する減税制度の創設などを検討しているわけでございます。
 私たちの経済対策の目的にかなう形で、そして国民生活や企業活動を支援していくための具体的な施策を検討しているということでございまして、個別の話で、今はまだ申し上げる状態ではないと思いますし、総理が申し上げているのは、「成長の成果である税収増を国民に適切に還元」すると、ここにフォーカスしていただければいいのではないかと思います。
(問)今日、総務省のほうで家計調査が発表になりまして、消費支出のほうなのですが、前年同月比、実質ベースで2.5%減少と6か月連続で非常に個人消費が弱いような状況が現れています。実質賃金も2.5%減って、17か月連続でマイナスになると。なかなか家計に厳しい状況が続いていると思うのですが、足元の個人消費の動向、行方について大臣の御所見を伺います。
(答)本日公表された8月の家計調査においては、前年比マイナス2.5%ということで、7月のマイナス5.0%からはマイナス幅は縮小されています。
 そして、個人消費の判断に当たりましては、家計調査に限らず、様々な幅広いデータを総合的に評価していかなければならないと思っています。主要な個人消費の判断に当たっての家計調査は一つの要素ですが、それ以外にも小売販売額だとか新車・家電販売、外食・旅行消費、雇用・所得環境、消費者マインドですとか様々なものがございます。こういったものを踏まえて9月の月例経済報告では、「個人消費は、持ち直している」という判断をお出ししているわけでございます。
 今後、更に幅広い統計データを総合的に評価をした上で、消費の動向については10月の月例経済報告において、またその状況を踏まえて、お示しをしたいと考えています。

(以上)