松村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年8月15日
(令和6年8月15日(木) 10:31~10:47 於:中央合同庁舎8号館5階共用会議室B)
1.発言要旨
おはようございます。私からは冒頭3点申し上げます。
まず1点目でございますが、南海トラフ地震臨時情報発表から1週間を迎えることについて申し上げます。
このまま地震活動や地殻変動に特段の変化が観測されなければ、本日の17時をもちまして政府としての「特別な注意の呼びかけ」は終了いたします。
先ほど総理から、「特別な注意の呼びかけ」の終了までの間、引き続き、緊張感をもって対応に当たるよう指示があるとともに、呼びかけを終了する場合の対応として、国民が行うべき措置がどのように変わるのか、引き続き平素から行うべき防災対策の内容はどのようなものか等について丁寧な情報発信を行うこと、初の南海トラフ地震臨時情報の発表に伴う一連の対応や社会の反応等を振り返り、国民への呼びかけ要領等の運用面についても、不断の改善を図ることについても、指示がございました。私といたしましても、御指示を踏まえ、しっかりと対応・検討を進めてまいりたいと考えております。
政府といたしましては、引き続き緊張感を持って対応するとともに、国民の皆様におかれましては、大規模地震の発生の可能性がなくなるわけではないことに留意していただきながら、「日頃の地震への備え」について、引き続き定期的に確認していただき、来るべき大規模地震に備えていただきたいと思っております。
続いて2点目でございますが、台風7号についてであります。
台風7号は、発達しながら北上し、明日、8月16日(金)から、明後日、8月17日(土)にかけまして、強い勢力で東日本や東北地方に接近するおそれがあります。
夏休みの期間でもあることから、帰省や旅行など多くの方の移動が見込まれ、台風により道路の通行止めや鉄道の運休、航空便の欠航など、交通関係への影響が懸念されます。
国民の皆様におかれましては、最新の気象情報や交通情報に十二分に御注意をいただくとともに、地方自治体からの避難情報にも注意をしていただき、早めの安全確保をお願いいたします。
台風の進路に近い地域にお住まいの方におかれましては、「物の固定」や「備蓄食料や避難所、避難経路の確認」など、事前の備えを行っていただくようお願いをいたします。
台風が接近した場合には、不要不急の外出を控えるとともに、河川や用水路、土砂崩れのおそれのある斜面、海岸等には絶対に近づかないようにお願いをいたします。
政府といたしましては、本日16時から、これは私も出席をいたしますが、関係省庁災害警戒会議を開催し、十分な体制確保、地方自治体や関係機関への注意喚起などを行います。災害対応に万全を期してまいりたいと考えております。
続いて3点目でございますが、令和6年梅雨前線豪雨等による災害に係る激甚災害指定については、既に8月6日(火)に岸田総理から指定見込みを公表しているところでありますが、このたび、更なる調査を進めた結果、新たに適用措置を追加する見込みとなりました。
具体的に申し上げると、既に指定見込みを公表しております公共土木施設、農地、農林水産業共同利用施設等の災害復旧事業の特別措置の他に、公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助、私立学校施設災害復旧事業に対する補助、市町村が施行する感染症予防事業に関する負担の特例、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」による国の貸付けの特例を地域を限定しない「本激」といたしまして、中小企業信用保険法による災害関係保証の特例については山形県鮭川村を「局激」として、激甚災害に指定する見込みであります。
被災された自治体や被災者の皆様におかれましては、財政面や資金面に不安なく災害復旧に取り組んでいただきたいと思います。詳細につきましては、事務方にお尋ねをいただければと思います。
私からは以上でございます。
2.質疑応答
- (問)おはようございます。「巨大地震注意」の件でお伺いします。今回、主に対応について担ったのは地方自治体の御判断でということだったかと思いますが、自治体によっても対応が様々あったかと思います。
初めての臨時情報ということで、今回の対応について内閣府防災として振り返りですとか、今後の対応について何か議論するようなお考えはありますでしょうか。 - (答)まず、今回の臨時情報の発表は、御指摘のとおり、令和元年の運用開始以降初めてのことでございました。国民の皆様におかれましては、大変御心配をお掛けいたしましたが、この間、大規模地震への備えへの取組など、冷静に御対応いただいているものと考えておりますし、感謝を申し上げたいと思っております。
総理の御指示も踏まえまして、まだ5時(17時)まででございますので、引き続き緊張感を持って取り組むとともに、その後、やはり何らかの振り返りが必要だろうと考えております。
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループがございますので、そういったところで今回の国民の皆様への周知のありよう、こういったものも議論をしていただく必要があるかと私自身は考えております。また、そういった指示を出したいと考えております。 - (問)ありがとうございます。また、別件になりますが、昨日、岸田首相が次期総裁選に不出馬を表明されました。このことに対しての受け止めをお願いいたします。
- (答)まず、総理の御発言については、大変驚いたというのが率直な感想であります。一国の総理の御決断でありますから、大変重い決断をなさったものと思いますし、私自身は重く受け止めたいと考えております。
私といたしましては、引き続き岸田内閣の一員でございますので、全身全霊を懸けまして職責を全うしてまいりたいと、このように考えています。 - (問)臨時情報の関係でお伺いします。
先日、臨時情報発表によって社会経済に与えた影響について総理に報告されたかと思うんですけども、可能な範囲でよろしいんですけども、社会経済活動への影響について、まとめている数字がありましたら教えてください。 - (答)特段まとめている数字はございませんけれども、今週、各省庁が調べました。例えば、宿泊のキャンセルの状況、特に西日本6県、和歌山県、三重県、徳島県、高知県、愛媛県、宮崎県、こういったところは例年よりもキャンセルが多かったと。ただ、キャンセルが出た後もまた申込みがあったというような報告を受けております。
また、鉄道各社におかれましては、それぞれに徐行運転でありますとか、一部運休というところもあったようでございます。
また、買占め等の情報もございましたけれども、いろんな業界にお尋ねをいたしたところ、完全に備蓄というか、備えはあると。ただ、流通の段階で届いていなかったりというような状況でありました。
そのような状況、数字としては捉まえておりませんけれども、比較的冷静に国民の皆様は対応いただいたのではないかなと、冒頭申し上げたとおり感謝を申し上げているところでございます。 - (問)それに加えてなんですけども、「巨大地震注意」というのは社会経済活動の維持というのがベースにあるかと思うんですけども、そういった影響については、今おっしゃられたように冷静に対応できたというような受け止めでいらっしゃいますでしょうか。
- (答)そうですね。おっしゃるとおりだと思います。
- (問)引き続き臨時情報についてのお尋ねだったんですけれども、今の御質問は臨時情報の「巨大地震注意」が今回出たことの影響として受け止めをお話しされたと思うんですけれども、今回は「注意」でしたけれども、可能性としては、今後「巨大地震警戒」、M8以上のものが出た時に、更に一部の地域に事前避難を呼び掛けるなどの対応をされる「巨大地震警戒」があると思うんですけれども、「注意」以上に更なる混乱が予想されるかと思っているんですけれども、良い機会なので、「巨大地震警戒」が今後出た場合に対しての課題の受け止めと、それに対して、内閣府として巨大地震警戒が出た時にどういうふうに対応していきたいか、今後のケーススタディとして御教授をお願いできますでしょうか。
- (答)まず、今回初めての情報発表でありましたので、国民の皆様におかれては戸惑いもあられたかと思います。その上で、今朝も総理から御指示をいただきましたけれども、先ほど質問にもございましたが、それぞれの対応、また省庁との連携、こういったものは振り返りを行い、今後の対応に活かしていくべきであると、まず考えております。
その中で、今回の一連の対応や社会の反応等を踏まえまして、平時からの南海トラフ地震臨時情報の周知、また広報、また、御指摘がございました警戒については、こういったものの情報発信、呼び掛ける内容と、自治体や事業者などの各主体における防災対応等について、十分な対応が取られたか検証が必要であると考えております。その上で、またいろんな議論の中で明確な対応を示してまいりたいと考えているところでございます。
いずれにしても災害対応については、個々の災害の教訓を踏まえまして不断の見直しを図っているところでございますので、今回の一連の対応の社会の反応等についても、しっかり検証した上で対応してまいりたいと考えています。 - (問)ありがとうございます。似た質問なんですけれども、昨年、内閣府の方で行った南海トラフの対策推進地域向けの住民アンケートで、「巨大地震警戒」と「巨大地震注意」がそれぞれ出た場合の行動についてお尋ねしている質問に対して、住民の方から「事前避難を検討します」という回答が、「警戒」の場合が25パーセントで、「注意」の場合は24パーセントというあまり変わらない数字が出ていて、なかなか違いが、周知が進んでいないかなというのが受け止めだったんですけれども、大臣としてもその数字に関しては、更なる周知が必要だというふうに捉えられる数字という感じでしょうか。いかがでしょうか。
- (答)やはり備えておくことは、まず重要であろうと考えます。アンケートの数字で一様にお答えすることは困難でありますけれども、今回、南海トラフのこうした情報が出ましたことで、国民の皆様、大変防災意識が高まられたのではないかなというふうに考えております。
そういう意味では、数字に頼ることなく、引き続き私共は今後の南海トラフ、また首都直下地震、こうしたものの想定及び検討状況を、各自治体や省庁と連携しながら更に進めてまいる必要があると改めて考えたところであります。 - (問)そもそもなんですが、南海トラフ地震はそのうち来るわけで、南海トラフ地震への対策が今どこまで進んでいて、そこの現状認識とどこに課題があるか。その課題があるとすると、今後どう改めていくか。そのあたりを教えてもらえますでしょうか。
- (答)全体論ということでよろしいですね、南海トラフについての。
まず、南海トラフ地震につきましては、当該地震に対する特別措置法に基づきまして、最大クラスの被害を想定した上で基本計画を策定し、関係省庁が連携して対策を推進しているところでございます。
現在、基本計画の見直しに向けまして、中央防災会議の下に設置をいたしましたワーキンググループにおきまして、現在17回ワーキンググループを開催し、防災対策の進捗状況の確認、被害想定の見直し、また、新たな防災対策の検討を進めているところでございます。
具体的には、建物の耐震化や津波からの避難対策などに加えまして、少子高齢化などの最近の社会情勢の変化や、過去の地震災害における課題を踏まえ講じるべき新たな対策や、時間差で発生する地震への対応などについても議論を行っているところであります。
これらを踏まえまして、関係省庁や自治体とも連携をしながら被害想定の見直しや新たな対策の検討を行い、基本計画の見直しにつなげてまいりたいと考えておりますし、今年発生をいたしました能登半島地震での検証、こういったものも参考にいたしながら、現在進めているところであります。
(以上)