松村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年4月12日 

(令和6年4月12日(金) 13:45~14:00   於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨

 
 私からは冒頭、第9回防災推進国民大会、通称、「ぼうさいこくたい2024」について申し上げます。
 本日、大会のテーマと出展申し込みの案内を公表いたします。今年は2016年に発生をいたしました熊本地震から8年目、2020年に発生した7月豪雨から4年目の年に当たることを踏まえまして、「復興への希望を、熊本から全国へ~伝えるばい熊本!がんばるばい日本!~」これをテーマといたします。熊本城ホール一帯におきまして、10月19日、20日に開催の予定でございます。
 大会を通しまして、熊本の「創造的復興」の取組を全国に発信することで、被災地に希望の灯火をつなぎ、国民の防災意識の向上、こういったことにつなげてまいりたいと考えております。
 出展申込の受付につきましては、4月16日から開始予定でございます。ぜひ、全国の皆様からの御応募をお待ちしたいと思っております。応募要項などの詳細は、事務方にお尋ねをいただければと思っております。
 ちなみに、私が熊本(出身)だから熊本に決まったわけではございません。前任の谷(元)大臣のときに、既に御決定をいただいていたところでございます。
 また、この趣旨とすれば、昨年が神奈川でございました。やはり、関東大震災で大きな被害を受けた、こういう被災地を回りながら、被災地での復興状況、また防災意識を高めるための大会でございますので、ぜひ、今日、御臨席の記者の皆様方も御参加をいただければ大変ありがたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)4月14日で熊本地震の発生から8年を迎えます。2点、お伺いしたいのですけれども、まず1点目が、8年目を迎えるに当たっての防災大臣としての所感。それから、もう1点が、能登半島地震で復旧とか復興のフェーズがだんだん変わりつつありますけれども、8年前の熊本地震の施策とか教訓を、どのようなものを生かしていくべきと大臣がお考えかというのをお伺いさせてください。
(答)まず、大臣というよりも熊本(県民)の1人として、「あれからもう8年か」という思いでございます。早かったような、遅かったような。少し抽象的な表現でございますけれども、熊本(県民)の1人として、しかし、着実に復旧・復興を果たしてきたかなと思っておりますし、これからも、さらに創造的復興、こういうのをやり遂げていかなければならないという思いでございます。
 その上で、改めて、お亡くなりになられた方々に対しまして心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、被災なさった皆様方全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。
 政府におきましては、これまで、熊本県をはじめ、被災自治体と緊密に連携をいたしまして、復旧・復興に取り組んでまいりました。
 まず、インフラにつきましては、公共土木施設等の災害復旧工事がおおむね完了をしておりまして、鉄道についても、南阿蘇鉄道でございますが、最後まで不通区間の残っていた、この鉄道が昨年7月に全線で運行を再開しております。
 また、ピーク時には29市町村で2万255世帯、4万7,800人の方々が応急仮設住宅に入居されておられましたが、住まいの再建・確保が着々と進みまして、熊本県による応急仮設住宅の供与は昨年3月をもって終了をしているところでもございます。
 また、熊本のシンボルであります熊本城でございますが、「奇跡の一本石垣」と呼ばれました飯田丸五階櫓につきましては、積み直しが昨年9月に完了をしております。ただ、完全復旧には、まだ28年ほどかかりまして、2052年の予定でございます。まさに息の長い復旧・復興でございます。
 また、道路網の整備も進められておりまして、益城町におきましては県道熊本高森線。今までは2車線でございましたが、これを4車線化が進められております。
 国としても、物流効率や深刻化している周辺の渋滞緩和、半導体産業などによる地域振興に資するため、熊本市北部と大分市を結びます中九州横断道路の整備を進めているところでございます。
 この道路につきましては、皆さん、「阿蘇の赤橋」といって、阿蘇の57号線の大橋が落ちたのは記憶に残っているかと思いますが、あそこは橋が落ちただけではなく、橋は地震に耐えたのですが、のり面の崩れてきた土砂で崩落してしまいました。
 そういうものを復旧するに当たって、阿蘇へのアクセスが、仮設道が必要でございましたので、外輪山に10年ほどかかる予定のトンネルが3年ほどで開通いたしまして、それを仮設道として応用してきたわけですが、57号線も復旧できることが分かりまして、ダブルスタンダード(ダブルネットワークの意)で進めた結果、そのトンネルの方は大分へつながる中九州横断道路といったものに変わっていくという状況が出来上がったところであります。
 また、大変な災害を受けた熊本県でございましたが、「災い転じて福となす」ではございませんが、半導体受託生産で世界最大手のTSMCが熊本の進出を決めてくれまして、菊陽町の建設が進んでおりまして、4月24日には、まず、第1工場が開設をしたところでございます。先般は、第2工場も熊本に造るということで発表がなされておりまして、非常にビッグチャンスが熊本に来たところでもあります。
 地元経済のさらなる好循環を、災いを乗り越えた、その先にあったチャンスをしっかりつかんでいただいて、熊本県、あるいは九州、日本の半導体戦略、熊本で一翼を担っていただきたいと、このように考えております。
 また、益城町における復興まちづくりや、熊本城において残る文化財の復旧などの復興に向けた取組を進めていかなければならないと考えておりますし、政府としても引き続き、熊本地震からの復旧・復興に向けて支援をしてまいる所存でございます。
 当時、私が担当しておりました経済産業副大臣として、なりわい再建。恐らく、あと1社ほど残っておったかなと思っておりますが、確定的ではございませんが、こういったものもまだございます。
 こうやって考えてみますと、能登の復旧・復興、熊本でさえ8年経ってこの状況でございます。何度も何度も繰り返し、復旧・復興には心折れることなく地元の皆様方をサポートし、やっていく必要があるなと、改めて、熊本地震(から8年)を迎えるに当たって思っているところでもございます。
 また、どのようなものを生かしていくかという御指摘でございますが、今回の熊本(地震)の経験を生かして、あらゆる場面で石川県、あるいは被災自治体と連携をしながら、また各省庁と連携をしながら、知恵を出し、御提言、また、その実行に向けてやってきたわけですけれども、なんといっても熊本地震での経験を踏まえた木造仮設住宅、これは一つ、良い提案ではなかったのかなと。半島という地理的制約のあるなか、高齢者の方が多くございますし、なかなか復旧・復興するにも住宅再建の土地もなかなか、ないという状況でございましたので、こういった御提案をさせていただきましたし、自治体職員や医療従事者、それからボランティアなど、さまざまな方々が、今回の災害において現地入りをいただきまして、避難所の運営や住宅の被害の調査、被災者の健康管理などの支援に積極的に従事をいただいたところでございます。
 熊本県とは、やはり気持ちを共有しておりましたので、皆様方、お願いをいたしましたところ、熊本(地震)の恩返しだと、私と同じ思いで、すぐさま石川入りをしていただいて、いろんなお知恵をいただいたところでもございます。そのことを石川県にもお伝えをしながら、石川県にはどういうパターンが合うのかということをやってまいりましたし、今後もやってまいりたいと思っております。
 また、被災した熊本市の大西市長におかれましては、既に石川県珠洲、輪島、それから新潟、富山と、被災自治体にも入っていただきまして、熊本市の場合は液状化の被害が出ました。約3,000戸弱であったかと思いますが、こういう知見をお持ちでございましたので、行政として、どのようなスキームで復旧・復興に当たったらいいか、こういったアドバイスを、それぞれの自治体の皆様にしていただきましたし、私にもいろんなお知恵を貸していただいたところでございます。
 例えば、液状化の復旧に当たるにしては、まず地元の皆様方とのコンセンサスをしっかり取って、合意形成を行うことが第一義だと、こういう御指摘をまずいただきました。技術よりも、まず、やはり進めるに当たっての、そういった視点、非常に参考になったところでもあります。
 こうした、たくさんの知見を教えていただきましたし、また、そのことをしっかり形として御提案をし、石川県や被災自治体の皆様方、共有をいただいておりますので、さらに、さらに復旧・復興を加速させてまいりたいと考えているところでございます。
 特に、先般、馳(石川県)知事もおいでになりましたけれど、5月末を目途に石川県が今、取りまとめていらっしゃる「創造的復興プラン」こういったものを取りまとめる。従いまして、これに向けての御協力を、ぜひお願いしたいということでございましたので、引き続き熊本からの知恵であるとか、人であるとか、こういったおつなぎをいたしながら、復旧・復興に臨んでまいりたいと考えております。
 失礼しました。TSMCの菊陽町の建設していた工場が2月24日でございました。4月と申し上げましたので、訂正をさせていただきます。残念ながら、復旧に当たっておりましたので、出席することはできませんでした。以上でございます。
(問)先ほどの質問とややかぶるのですが、先日9日の財政審の分科会で能登半島地震からの復旧・復興に当たって、集約的まちづくりの検討が必要だという旨の提言が財務省から示されたのですが、そのことに対して馳知事が、「冷や水をかけられたような思いだ」というような御発言もされていて、あらためて担当大臣として、今後の能登半島地震からの復旧・復興のあり方、進め方について、お考えがあれば教えてください。
(答)よく、その質問は国会でもまいります。いわゆる「国がビジョンを示すべきじゃないか」と。しかし、熊本地震を経験した1人からすれば、やはり、まず地元の意向であろうと私は考えております。
 従いまして、そのことも御助言を申し上げまして、現在、「のと未来トーク」を石川県では進めていらっしゃいます。やはり、地元の方々が、一番、地元の課題や地域のことを御存じですから、そういった中で、持続可能な地域を作っていくための地元の皆様方の御意見の集約。それに加えて、やはり高所からの、少し広い目で見たアドバイスであったり、御意見であったりというものを融合させながら地域づくりをやっていくことが、一番重要ではないかなと私自身は思っておりますし、そのことを第一義に考えて、地元の御意向。これがやはり寄り沿っていくことという言葉につながってくると思いますので、まずはお話をお伺いし、どういうふうにお考えなのか。その上で、どうしたらそれが実現できるのか。そういった復旧・復興に努めてまいりたいと考えております。

(以上)