高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年5月17日

(令和6年5月17日(金) 10:00~10:11  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 経済安全保障担当大臣として、2点報告を申し上げます。
 まず、本日5月17日より、「経済安全保障推進法」の基幹インフラ制度の運用を開始しました。
 本制度は、基幹インフラに対する外部からの妨害行為を未然に防止するため、重要な設備の導入などに際して国が事前の審査を行うものでございます。基幹インフラ役務の安定的な提供を確保する上で重要な制度です。今後、制度が実効的に運用されるように、しっかりと関係省庁と協力をして取り組んでまいります。
 この基幹インフラ制度の運用開始をもちまして、「経済安全保障推進法」に定められた4つの制度の全てが実施に移されたことになります。
 経済安全保障推進法の各施策は、有識者会議の委員の皆様、また事業者などの皆様の御意見も踏まえながら、施行準備や運用を進めてきたものでございまして、これまでの関係者の皆様の御尽力に心より感謝を申し上げます。
 次に、同じく本日、「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」及び「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。
 「重要経済安保情報保護活用法」につきましては、運用基準の作成などに関する規定など一部が即日、つまり本日施行となります。それ以外の大部分の規定は、本日から起算して1年以内の施行となります。
 また、先ほど申し上げました基幹インフラ制度の対象事業に「一般港湾運送事業」を追加する「経済安全保障推進法の一部改正法」につきましては、本日から起算して1年6か月以内の施行となります。
 今後は、両法律の円滑な施行に向けまして、下位法令や運用基準の策定など、関係する分野の方々の御意見をよくお伺いし、関係省庁とも連携をしながら準備を進めてまいります。

2.質疑応答

(問)経済産業省の調査なのですが、大学発ベンチャーがここ数年、順調に伸びていると。この結果について、大臣の受け止めと今後の政策への反映について教えてください。
(答)嬉しいです。大学発ベンチャーは、大学における革新的な研究成果を経済社会のイノベーションに結び付ける担い手として、重要だと認識をしてまいりました。
 その観点で、一昨日、経済産業省が発表した「令和5年度大学発ベンチャー実態等調査」の結果で、令和4年度が3,782社でしたが、そこから506社増加して4,288社と過去最高を更新したということでございます。
 内閣府では、文部科学省、経済産業省と連携して、令和2年7月に、世界に伍するスタートアップ・エコシステムを我が国にも形成すべく、全国8地域を「スタートアップ・エコシステム拠点都市」として選定して、大学発ベンチャーを含めたスタートアップの海外展開などを支援しております。
 また、文部科学省で令和3年度より、「スタートアップ・エコシステム拠点都市」の中核となる大学などにおいて、実践的なアントレプレナーシップ教育やギャップファンドを含む一体的な起業支援体制の構築による起業支援を実施していますので、これらの取組の成果が順調に表れていると思っております。
 内閣府としても、関係省庁と連携しながら、これらの施策を着実に実施していきたいと思います。
(問)来週20日に、バイオ戦略の有識者会議で、バイオエコノミー戦略案の取りまとめが予定されています。まだその会、開かれていないのですが、この戦略案ではどのようなことが盛り込まれることを期待されていらっしゃいますでしょうか。
(答)バイオテクノロジーやバイオマスを活用するバイオエコノミーは、環境・食料・健康などの諸課題の解決、それからサーキュラーエコノミーと持続可能な経済成長の実現を可能とするものでございます。グローバルな投資やルール形成などの競争が加速しております。
 これまで、経団連のバイオエコノミー委員会や、自民党のバイオサイエンス推進議員連盟の先生方からも、私自身、直接、「バイオ戦略」改定に向けた御提言をいただいてまいりました。我が国においても、バイオ分野に非常に大きな期待が寄せられていることを実感しております。
 我が国には、発酵産業の伝統や蓄積もございますし、また豊富な生物資源・遺伝資源など、バイオエコノミー発展の基礎となる強みがございます。
 そうした我が国の強みを生かして、グローバルな競争にも勝ち抜いていくとともに、人類全体が直面している諸課題の解決や持続可能な経済成長の実現に貢献できますように、バイオエコノミー市場の拡大に向けて夢のある目標を掲げて、技術開発だけではなく、市場形成や事業環境整備の戦略が盛り込まれるといいなと期待いたしております。
(問)基幹インフラの件で2点伺います。今の国会でも、指定の在り方、例えば、港湾の指定が一昨年の時点でやった方が良かったのではないか、また、病院の指定が外れているのではないかといった、色々な指摘もかなり出ていると思いますが、今の基幹インフラ制度の課題感と、今後どう取り組んでいきたいかというところで、もし何かありましたら一言いただきたいです。また、この基幹インフラは、今回民間企業にかなり具体的に対応をお願いするような制度になってると思いますが、この間の民間企業とのやり取りと周知の状況をどのように認識されているか伺えればと思います。
(答)後者の御質問ですが、本日から規制の対象となる特定社会基盤事業者210者に関しては、既に公開いたしております。
 そこに至るまでにも、随分やり取りを重ねてまいりました。よく制度の内容、また意義については、御理解をいただいていると思っております。
 それから、基幹インフラ制度に対しての問題意識ですが、これは閣僚の立場で少し申し上げにくいことではありますが、委員会の答弁でも言ったような記憶もありますので、率直に申し上げますと、私自身が自民党の経済安全保障推進本部長であった時期、イコール政調会長であった時期もそうなのですが、「経済安全保障推進法」は、一昨年5月に成立をいたしましたけれども、その推進法案を国会に提出する前から、基幹インフラの対象に、医療、港湾の話も当時出ておりました、これらを加えるべきではないかということで、特に私自身は医療に関して繰り返し発言をしてまいりました。
 今回、一般港湾運送事業は追加されましたけれども、医療に関してはぎりぎりまで厚生労働省ともやり取りをいたしましたけれども、現在、指定をする段階ではないと、医療DXの進展に向けて、今後検討をするという結論をいただきました。
 でも、インシデントでかなり重大なものが発生してから追加的に対応するとなると、また法改正をしなければいけないものですから、そういうことよりは、やはり事前にリスクを最小化するための取組を急ぐべきであるという考え方に変わりはございません。
 厚生労働省においても継続的に検討していただけるということですので、できるだけ早い御検討をお願いしたいと思っております。

(以上)