高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年4月26日

(令和6年4月26日(金) 10:00~10:14  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 宇宙政策担当大臣として報告を申し上げます。
 JAXAに設置した「宇宙戦略基金」に関しまして、今般関係府省が連携して、事業全体の制度設計を定めた「基本方針」、及び合計22の技術テーマと、その目標や実施内容を定めた「実施方針」を策定し、昨日の宇宙政策委員会における審議を経て、本日公表することとなりました。
 この会見後、速やかに内閣府のホームページに掲載をいたします。
 大規模な資金投入になる以上、事業全体としての明確な目標が必要であるという考えの下、基本方針では「2030年代前半までにロケット打上げ能力を年間30件程度確保すること」をはじめとするKPIを設定するとともに、各テーマについても、実施方針において具体的な成果目標を掲げております。
 また、テーマの技術成熟度や市場成熟度、実施者の規模に応じた支援の在り方をきめ細やかに設定しているほか、事業実施面でのJAXAからのサポートや柔軟な執行も可能にしております。
 22のテーマは、探査、輸送、衛星の3分野にわたり、事業化に向けて民間事業が主体となる技術実証から、大学などが主体となって進める革新的技術開発まで、幅広く設定されております。
 今後、JAXAにおいて準備ができ次第、公募が開始されることになります。民間企業、大学、国立研究開発法人など幅広い皆様からの積極的な御提案を期待しております。

2.質疑応答

(問)一昨日あった健康・医療分野の参与会合について、日本医師会の松本会長から経済安全保障推進法の特定重要物資の指定が適切になされていないのではないかと思われるような指摘がありました。大臣からも、厚労省に速やかに報告するように指示されていましたが、サプライチェーン調査など、「経済安全保障推進法」が適切に運用されているかどうかついて、大臣の御所感をお願いします。
(答)一昨日、私を座長とする健康・医療戦略参与会合において、「健康・医療戦略」の実行状況と今後の取組方針について議論をするとともに、第3期健康医療戦略の策定に向けた御意見を発表いただきました。
 その中で、おっしゃいますとおり、幅広い医薬品に対して安定供給確保を図ることが必要でないかという旨の御意見をいただきました。
 「経済安全保障推進法」でございますが、これは、国民の生存等における重要性が高く、供給途絶のリスクが認められるなどの要件を満たす物資を特定重要物資として指定し、その安定供給に取り組む事業者を支援するものでございます。
 医薬品につきましては、過去に供給途絶事例があって、海外1か国に供給を依存している「抗菌性物質製剤」につきまして、その要件該当性を厚労省と精査して、令和4年12月に特定重要物資として指定しました。このいわゆるβラクタム系の抗菌薬ですが、安定供給確保に取り組む事業者の計画を2件認定して、「経済安全保障推進法」を活用して安定供給確保の取組を進めております。
 他の医薬品についてですが、あのとき松本先生がおっしゃったのは風邪薬だったと思いますが、例えば鎮がい薬、せき止めや去痰薬の需給の逼迫の際には、製薬会社がさらなる増産への投資を行えるよう、厚生労働省において、令和5年度補正予算を活用した支援を行っているということです。
 私が申し上げた意見ですけれども、これはアメリカ等、海外も含めて、割とドラッグストアで一般的に売られているような様々なお薬について、原料を特定の国に頼り過ぎているというリスクは各国が抱えていると承知をしております。やはり薬は私たちの命に関わるものですから、きっちりとチェックをして、本当に必要なものはしっかりと提案をしていただきたいという思いから申し上げたものでございます。
 現時点で、厚生労働省から新たな措置の必要があるとは聞いておりませんが、やはりこの医薬品含め重要な物資の安定供給に関わるリスクについては不断に点検をしていただきたいので、必要な対応を厚労省と共に検討していくことになります。
(問)冒頭で発表ありました、宇宙戦略基金の実施方針と基本方針についてさらに質問なのですが、大臣が特に重要と考えるポイント、あるいは期待について、もう少し教えていただけないでしょうか。
(答)「宇宙戦略基金」は、激化している国際的な宇宙開発競争に後れを取ることなく、我が国の宇宙開発利用を加速するために必要な基金でございます。
 JAXAが長年にわたって蓄積してきた知見や経験を活かすことに加えて、長年にわたって技術を蓄積してきた日本の企業や大学、スタートアップ、また、これまで宇宙分野には参入してこなかった企業の力を糾合することで、宇宙産業を世界市場から我が国に富を呼び込める分野に発展させられるように、「宇宙戦略基金」をしっかりと活用してもらいたいと思っております。
 大事なポイントとしては、今回はJAXAと4つの府省が一致団結して制度やテーマを練り上げたこと。また、事業者にとって柔軟できめ細やかな制度にしていること。それから、わが国の宇宙分野のまさに知見の宝庫であるJAXAがしっかりとサポートすることであると思っております。
 今後、JAXAにおける体制が整い次第ですが、夏ごろから順次公募を開始して、第三者の審査会による支援先の選定後、速やかに支援を開始できるように、JAXAや関係府省が連携をして準備を進めているところでございます。産学官の総力を挙げて、宇宙開発利用を大きく前進させられたらと思っております。
 宇宙分野は、本当に私たちの生活に身近なところで役に立っている技術が非常に多くございますので、多くの方にも御理解いただき、また、興味を持っていただきたいと思っております。
(問)宇宙続きで、先日、JAXAがマネジメント改革検討委のほうで報告書をまとめまして、H3の1号機の失敗など一時トラブルが続いたことについて、人員不足が背景にあることを指摘していました。かねてから言われているとは思いますが、人材不足は、民間も含めてなんですけれども、日本の宇宙開発の足かせになりかねない課題なのかなというふうに思っておりまして、改めて宇宙産業の担い手を増やすために、政府としてどう取り組むのかをお聞かせください。
(答)宇宙分野は、これからの宇宙産業の拡大を見据えますと、我が国の技術の革新と底上げを目指して取組を加速しているのですが、同時に宇宙分野の担い手を育てていくことが重要であるのは、御指摘のとおりです。
 先ほど発表しました「宇宙戦略基金」のテーマに、「スペース・トランスフォーメーション研究開発拠点」を設けております。大学などの研究者を中核とした体制で、成果の創出、そして実装のための組織的な研究開発を推進することとともに、非宇宙分野からの参画も含めた裾野拡大を目指すことにしております。こういった取組を通じて、宇宙分野の人材育成を進めていきたいと思っております。
(問)2点伺います。1点目は人口減少についてです。読売新聞社は26日、人口減少に歯止めをかけ、社会の活力を維持させるために、「若者が希望を持てる賃上げ」、「住み続けたい地域づくり」など7項目を柱とする提言をまとめました。この提言の受け止めを伺います。
 また、提言では、地方都市からの人口流出を防ぐことも盛り込まれました。高市大臣の選挙区である奈良県を始め、地方における人口流出の課題は喫緊の課題だと思いますが、どのように取組が必要だとお考えでしょうか。
(答)御社の気合いの入った朝刊の記事、拝読いたしました。人口減少や地域間の格差の解消については喫緊の課題だと認識をしております。
 ただ私の所管の取組でしか申し上げられないのですが、例えば科学技術の分野でしたら、ICTなどの技術活用によるマネジメント、例えば、計画、整備、管理・運営といったことの高度化によりまして、新たに社会サービスと価値の創出を通して、Society5.0の先行的な実現と地域間の格差の解消を目指す施策として、スマートシティの取組を実施いたしております。
 また、「クールジャパン戦略」でございますけれども、「地域の魅力」をさらに活用していきたいと思っています。情報発信を図る必要があるという考えの下で、「クールジャパン官民連携プラットフォーム」を通じた全国のクールジャパンの担い手の連携強化や情報発信に取り組んでおります。
 ちょうど今年の6月を目途に、「クールジャパン戦略」の策定を予定しておりますので、新たなクールジャパン戦略においても、「地域の魅力」に着目した取組をしっかり位置付けたいと思っております。
(問)もう一点、先ほど出ましたけれども、経済安全保障推進法について伺います。推進法の特許非公開制度が5月から施行されます。併せて、基幹インフラ制度の運用も始まりまして、推進法が全面施行されることになります。成立から2年を経ての全面施行となりますけれども、大臣としての所感と、改めて推進法の意義を伺います。
(答)4つの新しい制度を法律で定めて、順次様々な準備を重ねながら施行をしてまいりました。いよいよ来月5月には全ての制度が施行に移されるということでございます。
 この各施策を進めるに当たっては、有識者会議の委員の皆様や事業者の皆様の御意見も踏まえながら、施行の準備や運用を進めてまいりました。また、内閣府の職員も含めて大変な苦労をしていただきました。これまでの関係者の皆様の御協力に感謝を申し上げたいと思います。
 この「経済安全保障推進法」は、我が国の自律性の向上、優位性・不可欠性の確保に資するものでございますから、この4つの制度の取組を着実に進めるとともに、不断の見直しも行っていかなければならないと思っております。

(以上)