高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年2月20日

(令和6年2月20日(火) 10:27~10:38  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 冒頭、私から3件ございます。
 まず、宇宙政策担当大臣として報告を申し上げます。
 2月17日、H3ロケット試験機2号機の打上げが成功いたしました。本当にうれしく、明るいニュースでございます。
 まずは、昨年3月のH3ロケット試験機1号機の失敗以降も、幾多の困難にひるむことなく、成功への道を拓かれたJAXA、関係企業や研究機関の皆様、そして搭載衛星の開発や製造に携わられた皆様、御地元の皆様をはじめ、御関係の皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げます。誠におめでとうございました。
 今回の打上げの成功は、我が国の宇宙政策の最重要課題でありますロケット打上げ能力の抜本的強化に向けた大きな一歩であり、大きな飛躍でもございます。
 H3ロケットは、我が国の宇宙活動の自立性確保と国際競争力強化のために極めて重要な、新たな基幹ロケットです。今年度創設しました「宇宙戦略基金」について、先日、事業設計の基本的な考え方として、2030年代前半までに国内でのロケットの打上げ能力を、基幹ロケットと民間ロケットを合わせて30件程度確保することを、目標の一つに掲げました。自らロケットを打ち上げることができる国や地域の数は限られております。日本は、そのうちの一国です。
 また、ウクライナへの侵略以降、ロシアのロケットが使えませんので、世界的に打上げ需要は逼迫しております。今回のH3ロケットの産声を弾みに、今後は国内の打上げ需要だけではなく、海外の打上げ需要も取り込むことによって、我が国の経済成長につなげられることを期待いたしております。
 2件目も宇宙政策担当大臣としての報告です。
 2月18日から19日にかけて、JAXAの商業デブリ除去実証(CRD2)「フェーズ1」の契約相手方であるアストロスケール社の、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」が打ち上げられ、軌道投入と通信確立に成功しました。
 人工衛星やスペースデブリが増加する中、宇宙空間の安全で持続的な利用の実現には、デブリ除去に関する技術開発がますます重要になってまいります。私が議長を務めました昨年のG7科学技術大臣会合では、スペースデブリ対策についても活発な議論を行いました。
 デブリ除去をはじめとする軌道上サービスは、我が国が技術としては世界最先端を誇っております。本格的な商業化ができれば、世界に市場が開けると考えております。
 「ADRAS-J」でございますが、今後、2009年に打ち上げられたH-IIAロケットの第2段機体に4月頃に接近して観察を行う予定で、この技術実証が成功することを期待しています。
 また、「ADRAS-J」の運用に当たりましては、周辺の人工衛星の安全を確保するとともに、不当に他の人工衛星を害するのではないかという疑念を持たれないようにする必要がございます。そのため、透明性を確保して国際社会の信頼を得るべく、政府としては、内閣府のホームページにミッション情報を公表しております。この公表は、内閣府が策定した「軌道上サービスを実施する人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン」で定めておりまして、優良事例でもある今回のミッションを国際的にも発信してまいります。
 3点目は、科学技術政策担当大臣としての御報告でございます。
 既に御案内しておりますとおり、本日、「第71回総合科学技術・イノベーション会議」を開催する予定でございます。
 本日の会議では、今後の科学技術・イノベーション政策の方向性について議論を行うとともに、「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」について改定を行う予定でございます。
 なお、この詳細につきましては、会議終了後に事務方からブリーフィングをさせていただく予定でございます。

2.質疑応答

(問)H3ロケットの件で1つお願いします。
 先程、まさに海外の衛星の打上げ需要を取り込むことが大事だとおっしゃっていましたが、その目標に向けて、国の基幹ロケットということであると、政府による売り込みという意味でトップセールスも大事になってくるかと思いますが、その点について今後の政府としての取組を教えてください。
(答)おっしゃるとおり、相手国の政府機関や海外企業に対するトップセールスというのは非常に重要でございます。官民一体となってH3ロケットの海外展開の商業活動を後押ししてまいります。
 詳細は具体的に申し上げることはできないのですが、既にH3ロケットの海外からの受注獲得に向けて、官民連携で取組を進めてきたところでございます。今回の打上げ成功をきっかけに、海外からの受注が実現していくことを期待しております。
(問)セキュリティ・クリアランス制度についてお伺いいたします。法案の提出がもう間近に迫ってまいりました。これまで会見の場でも似たようなことを何度かお尋ねしておりますが、制度導入には経済界からの強い要望があった一方で、身辺調査などでプライバシー権が守られるのかといった不安の声もあり、社会全体の理解という点ではまだ広まっていないことから、今後の国会審議では丁寧な説明が必要となる法案でもあります。
 大臣は以前から、制度導入の必要性を訴えて行動に移してこられましたけれども、今までの有識者会議の議論なども踏まえまして、改めて制度の必要性と今導入する意義、また国会審議でどういった点を重点的に説明していかれる方針か、お尋ねいたします。
(答)まず制度の意義でございますけれども、我が国の情報保全の強化につながることが1点。そういうしっかりとした情報保全制度を持っている国だということで、その国から信頼性を評価された方、民間人の方も含めて、海外においても信頼性を得ることができることで、日本企業の海外ビジネスのチャンス拡大につながっていくと思います。
 今後、国会での議論の中でどういうことを重点的に説明していくかということですが、これはどのような御質問が出るかによるかと思っております。
 様々な報道を拝見しておりますけれども、まずプライバシーですが、例えば、民間企業が技術を開発した、それが非常に先端的なものであったとして、いきなり国の役人が訪ねてきて、「おたくの技術を指定します」といったようなものではございません。あくまでも国が保有する重要な技術に限定して、それを明らかにして、そこに厳重な鍵をかける。そしてまた、それを共有していただく民間事業者があったとしたら、これはあくまでも先方の御希望でございますが、一緒に情報を共有したいということであれば、重要な情報を取り扱う仕事に従事する方に対して調査をして、信頼性を確認するものでございます。
 そしてまた、その調べた個人の情報は、決して企業の経営者であったとしても提供はいたしません。国で厳重に管理をするということで、プライバシーの侵害には当たらないと考えております。
(問)冒頭で御発言があったアストロスケール社の関係ですが、アストロスケール社以外にもスペースデブリ除去のビジネス化に向けた動きは加速しています。スペースデブリ除去の宇宙ビジネス拡大をどのように大臣は見ていらっしゃるのか、コメントをお願いします。
(答)アストロスケール社が考えている方法とはまた別に、例えば、レーザーを利用してデブリを大気圏まで下げて燃やすというような方法を提案され、また検討されているところもあると承知しております。
 いずれにしましても、こういったサービスが広がっていくことによって数多いスペースデブリが減っていく、これが大事だと思っております。
 特に、国際宇宙ステーションが安全であること。また、飛行士の船外活動が安全なものであること。また、日本もこれからまだまだ人工衛星を上げていきますから、そういった人工衛星が破壊されないこと。こういった安全で持続的な宇宙の利用環境をつくっていくことに向けて、しっかりと応援をしていきたいし、取り組んでいきたいと思っております。

(以上)