高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年12月26日

(令和5年12月26日(火) 11:08~11:18  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 科学技術政策担当大臣として報告を申し上げます。
 今年4月に策定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の状況についてお話しします。
 本日、第70回総合科学技術・イノベーション会議が持ち回りで開催されました。ムーンショット型研究開発制度において、フュージョンエネルギーに関する新しい目標が決定されました。本制度を活用して小型化・高度化をはじめとする独創的な技術開発により、一刻も早く社会に実装されることを目指します。
 また、年明けには、新しい目標の狙いや海外の状況を紹介する国際ワークショップの開催を検討しています。詳細につきましては、準備ができ次第、御案内いたします。
 また、12月1日から15日まで、産業協議会について登録窓口を設けましたところ、メーカー、スタートアップに加え、通信、商社、金融など、多様な業界約50社から、参加を希望する登録がございました。今後は中心となる発起人の企業と連携しながら、今年度中の設立に向けて取り組んでまいります。
 フュージョンエネルギーの早期実現はもちろんですが、関連産業の発展に向けて研究開発の強化など、取組を加速してまいります。

2.質疑応答

(問)今年は阪神が優勝するなど、色々あったかと思いますが、今年最後の会見ということで、今年の振り返りと来年への抱負をお願いします。
(答)この1年間、経済安全保障、科学技術、宇宙政策、また知的財産戦略など、我が国の国力を高めるための重要政策に腰を据えて全力で取り組んでまいりました。着実に成果を上げることができたと考えております。御関係の皆様の御協力に心から感謝を申し上げます。
 年末、最後の記者会見ということで、いくつか紹介させていただきます。
 まず、経済安全保障の分野におきましては、セキュリティ・クリアランス制度の検討を開始して、有識者会議におきまして、制度化に向けた議論を一通りこなしていただくことができました。来年の抱負といたしましては、通常国会への法律案提出を目指し、また成立を期してまいりたいと存じます。
 また、「経済安全保障推進法」に基づくサプライチェーン強靭化の取組と、それから先端重要技術の研究開発支援(K Program)を軌道に乗せることができました。基幹インフラと特許出願非公開の運用開始に向けた道筋もつけることができました。
 それから、科学技術政策や健康・医療の分野でございますが、我が国初の「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定することができました。また、仙台で開催しましたG7科学技術大臣会合では、オープンサイエンスや研究セキュリティ・インテグリティに関する共同声明をまとめることができました。調整で様々御苦労をおかけいたしましたが、G7としてスペースデブリの問題に関してしっかりと取り組んでいく、こういった合意ができたことも嬉しいことでございました。
 また、国会では「仮名加工医療情報の創設」を柱とする「次世代医療基盤法」の改正を行いました。
 宇宙政策の分野ですが、我が国初の「宇宙安全保障構想」を策定することともに、「宇宙基本計画」を改定しました。また、企業や大学による宇宙開発を支援する「宇宙戦略基金」を創設することもできました。
 9月から、知的財産戦略と併せて、新たにクールジャパン戦略を担当することになりました。来年になりますが、5年ぶりの「クールジャパン戦略」の見直しをしたいと思っておりますので、検討を開始したところでございます。
 来年も、担当する各分野において、引き続き取り組むべきこともございますし、課題は山積していると思いますが、今年の成果の上に立って、幅広い担当分野についてしっかりと目配りをして、一つずつ着実に取組を進めたいと考えております。
 皆様におかれましては、お元気で新年をお迎えになりますよう、お祈り申し上げます。
(問)先日、宇宙関係で、探査機のSLIMが月の周回軌道に入りました。どういう思いで見ていらっしゃったかということと、順調にいけば来月には月面着陸挑戦ということかと思いますが、改めて御期待もお願いします。
(答)9月に打ち上げられたJAXAのSLIMが、昨日、月周回軌道への投入に成功したということでございます。
 去る12月11日に、ISSに滞在中の古川聡宇宙飛行士との交信イベントに、盛山文部科学大臣とともに参加させていただきました。その際、SLIMを利用した研究に携わっておられる大学院生の方々とも御一緒いたしました。SLIMは、我が国の若い人材も活躍されている重要なプロジェクトだと思いました。
 月面着陸は来年1月20日に予定されておりますが、成功しますと我が国初の月面着陸ということになります。そして、難度の高いピンポイント着陸を成功させることによって、日本のプレゼンスを向上する機会になると思いますので、御関係の皆様におかれましては、引き続き頑張っていただきたいと思っております。
(問)先月発足した「『日本のチカラ』研究会」についてお伺いします。
 今後の議論の在り方や、いつまでに政策提言等の成果を出されたいかといった方向性について、現時点でのお考えを教えてください。また、勉強会をめぐっては、党内で総裁選の足場づくりとの見方も上がっていますが、こうした見方についての大臣の所見を伺います。
(答)内閣府の大臣記者会見でこの話題を出されるのはとても困るのですが、まだ2回開催したところでございます。情報力をテーマに勉強いたしました。来年は恐らく、事務局の御手配次第ではございますが、外交力、防衛力、経済力、技術力、人材力といったことで、順次勉強を進めていくようになるのではないかと思っております。
(問)冒頭発言されたフュージョンエネルギーの新組織について、こちらの組織が果たされる役割について期待されるコメントをいただきたいです。
(答)協議会の役割ということかと存じますけれども、一つは安全規制に関しても検討したいと思っております。これは民間企業の参画を促すために、とても重要なポイントでございます。既に米国や英国では、核分裂と核融合は異なるということで、核分裂とは異なる規制を適用する方針を示しておられます。我が国でも、産業化に乗り遅れないように、産業協議会と連携しながら、安全確保の基本的な考え方を検討していきたいと思っております。
 もう一つは、民間企業のさらなる参画によって関連産業が発展していく、つまり核融合発電そのものの目標は割と先のことでございますが、今でも日本の企業は、核融合分野において世界で屈指の技術を誇っているわけでございますから、一つ一つの技術要素を活かして、それが新たなビジネスとなって日本に富を呼び込めるような、そういう形をつくっていきたいと考えていますので、技術マップ、産業マップを含めた国内外の動向調査などの活動もしていきたいと考えております。

(以上)