高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年4月28日

(令和5年4月28日(金) 9:15~9:26  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 
 経済安全保障担当大臣として御報告を申し上げます。
 本日の閣議におきまして、経済安全保障推進法に基づく基幹インフラと特許出願の非公開の両制度の実施に当たっての考え方を示す基本指針が閣議決定されました。
 基幹インフラの基本指針におきましては、規制対象となる事業者などを定める際には、事業者の負担に配慮しつつ規制対象を適切に定めていくことや、審査に当たって考慮する要素などを定めています。
 なお、本日中に基幹インフラ制度に関する相談窓口について、事業所管省庁及び内閣府のホームページに掲載される予定でございます。事業者の皆様には、是非積極的に御活用いただきたいと考えております。
 また、特許出願の非公開の基本指針におきましては、非公開の対象となる発明の考え方などを示しているほか、保全審査におきましては、特許出願人の手続負担に配慮するとともに、特許出願人と丁寧な意思疎通を図ることとしております。
 政府としましては、両基本指針においてお示しした基本的な考え方を踏まえまして関係者とよく調整をしながら、来年春頃の制度の運用開始に向けて取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟から申入れがありましたが、高市大臣としては、ILCの日本誘致についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)昨日、議員連盟の皆様がお越しになりました。このILC計画が目指す標準理論を超える新たな粒子の発見や、それによる宇宙創成の謎の解明というのは、素粒子物理学に新たな進展をもたらすものとして、その意義は十分に理解いたしております。
 他方、このILC計画ですが、巨額な経費を要する国際プロジェクトでございます。国際的な費用分担や技術的な成立性を含めて様々な課題が解決されなければなりません。また、国内外の幅広い御理解と御協力が得られるということが必要だと考えております。
 昨年2月にまとめられました文部科学省におけるILCに関する有識者会議の検討会の報告書では、計画の進め方の再検討や関係国の研究機関との協力の下での技術開発などについて提言がされたと聞いております。
 特に欧州の関係国は、ILC計画に対する投資についてかなり慎重な姿勢を示しております。このような状況を踏まえれば、まずは必要な技術開発を着実に進めるととともに、関係国が参加できる環境の醸成が必要になってきておりますので、国内外の研究者間でしっかり御議論いただくことが重要だと考えております。
 今申し上げられるのは、内閣府としては、研究者コミュニティーの動向、また文部科学省における対応状況を注視していくということでございます。
(問)経済安全保障について、冒頭のところなんですけれども、基幹インフラと特許非公開の基本指針が閣議決定されたことで、来年春頃までに制度開始を目指すということで、本格的な全面的な施行に向けての動きが加速すると思いますが、改めて大臣の意気込みと、経済安全保障のセキュリティ・クリアランスなどの課題もありますけれども、どういったふうに対処をされていくのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
(答)今回、閣議決定されました基幹インフラと特許出願の非公開の基本指針は、先ほど申し上げましたとおり、両制度の実施に当たっての考え方を示すものでございます。これは、法律の運用の透明性を高めるということと、事業者の皆様にとっても予見性の確保につながると考えております。この両制度を円滑に実施するために、しっかりと取り組んでいくということ、それから、先行して施行されたサプライチェーンの強靭化、また先端的な重要技術の開発支援、この取組も着々と進んでおりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 先ほど申し上げましたが、基幹インフラと特許出願の非公開の両制度については、来年春頃に運用開始をしたいということで進めてきておりますので、この基本指針の考え方に基づいて、関係する政省令の策定を進めなければなりません。関係事業者や産業界の皆様と丁寧な調整を行って、有識者の御意見を踏まえながら制度の詳細について検討を進め、制度を十分に周知した上で運用開始できるように取り組んでまいります。
 また、セキュリティ・クリアランスでございますが、これは有識者会議で非常に熱心に御議論をいただいておりますので、できるだけ速やかに検討を進めてまいりたいと思っています。
 また、経済安全保障の課題というのは相当多岐にわたります。ですので、不断に検討、見直しをしなければいけない思っております。例えばサプライチェーンについても、特定重要物資が11物資だけでいいのかといえば、また新たなニーズというものも出てくると思いますので、不断に見直しをしながら経済安全保障を強化していきたいと思っております。
(問)水曜日の未明に、民間のispace社が無人機で月面着陸を目指したんですが、果たせないという結果に終わりました。この結果をどう御覧になっていたという御所感と、一般論で結構なんですが、有望な宇宙ベンチャーをどのように政府として支援するということが考えられるのか、教えてください。
(答)私も当日の明け方まで起きて、祈るような気持ちで見ておりました。途中で通信が途絶えたという情報がございましたが、その後どうなったんだろうということで心配をしておりました。
 それでも、我が国のスタートアップ企業であるispace社が、民間企業としては世界初となる月面への軟着陸を試みられたということは、これはすごいことでございます。当初の計画全てを達成することはできませんでした。ここは残念でございます。
 ただ、スタートアップによる果敢な挑戦というのは、我が国の宇宙産業への参入、また投資を促進するという意味では宇宙産業の発展を促す好循環を生み出すきっかけになると思いますので、大変意義深いと考えております。
 ispace社は、既に挑戦を続けるということを力強く表明しておられます。今回の経験を糧に、成功への歩みをしっかりと進めていただくことを期待申し上げます。
 また、政府としての取組ですけれども、例えば現在もスペースデブリの除去技術の獲得に向けた民間企業との技術開発・実証、人工衛星・ロケット関連の技術開発支援、またビジネスアイデアコンテストなどの新しい宇宙ビジネス創出に対する支援、更には関係府省における衛星画像データの利用実証、それからSBIR制度の活用といったことで応援をしております。とにかく、こういった事業、制度を活用しながら、宇宙スタートアップ企業の支援に取り組んでまいりたいと思っております。
(問)26日に量子技術のポータルサイトが立ち上がりました。御所感があれば、お聞かせください。
(答)特に所感はございません。量子という重要な分野でございますので、ここは国としても力を入れているところでございますから、あらゆる側面から必要な政策を検討していきたいと思っております。
(問)それを情報発信していくということですね。
(答)はい。

(以上)