高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年3月3日

(令和5年3月3日(金) 9:35~9:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 まず、健康・医療戦略担当の大臣として報告を申し上げます。
 本日の閣議におきまして、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案」、いわゆる「次世代医療基盤法」改正法案が閣議決定されました。
 次世代医療基盤法は、カルテなどの医療情報について、個人情報の保護に十分配慮しつつ、医療研究での利活用を促進するための法律ですが、研究現場のニーズにより一層的確に応えられるよう、所要の改正を行うものでございます。
 主な内容を御紹介します。
 現行法では、医療情報を提供する場合、患者名の削除に加えて、突出した検査値や希少な疾病名などの削除が必要となる「匿名加工」を求めておりますが、研究の質に影響が出るとの声がございました。この解消のため、改正法では患者名などの削除を行うものの、データ内容には手を加えない「仮名加工」での医療情報の提供を認めることといたします。ただし、個人情報の保護の観点から、その利用は国が認定した事業者に限定いたします。
 今回の改正により、個人情報を保護しつつ、より有用な医療データを提供することが可能となり、我が国の医療研究の発展に資するものと考えております。法案の成立に向けまして、今後の国会審議に力を尽くしてまいります。
 次に、科学技術・イノベーション担当大臣として報告をいたします。
 去る2月28日、核融合戦略有識者会議を開催し、戦略案について議論を行いました。これまでは「核融合」と呼んでまいりましたが、近年、海外では「フュージョン」、つまり融合と呼ばれておりまして、我が国が初めて策定する核融合の国家戦略を国内外に発信することを考え、本戦略では「核融合」を「フュージョン」と表現しております。
 このフュージョンエネルギーは、エネルギー安全保障上、重要であることに加えまして、その先端技術は医療、海洋、宇宙などの他分野で産業化・イノベーションも期待できますので、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略と題しております。
 本戦略では、フュージョンエネルギーを新たな産業として捉えた上で、フュージョンエネルギーの実用化に向けて、我が国が培った技術的優位性を活かして市場の勝ち筋を掴むための施策を提示しております。今後、統合イノベーション戦略推進会議にお諮りし、我が国の戦略として取りまとめたいと思っております。
 次に宇宙政策担当の大臣として報告いたします。
 今月8日、「第8回宇宙空間の安定的利用の確保に関する国際シンポジウム」をオンラインで開催いたします。このシンポジウムは、宇宙空間の持続的・安定的な利用の確保に関する国際的な議論を促進するため、内閣府が2016年から主催しています。当日は、冒頭に私から御挨拶をさせていただきます。
 また、昨年12月にお会いした際にデブリ対応の必要性について賛同をいただきました英国のジョージ・フリーマン科学技術担当大臣や、米国及び欧州宇宙機関の関係者からスペースデブリの問題に焦点を当て、宇宙空間の安定的利用に関する取組などの講演をしていただき、その後、パネルディスカッションを予定しております。
 このシンポジウムを通じまして、宇宙空間の安定利用の確保に関する議論が深まり、この分野での産学官連携や国際連携が一層進むことを期待しております。
 内閣府ホームページから登録をすれば、どなたでも視聴していただけることになっております。詳細につきましては、事務方にお尋ねください。

2.質疑応答

(問)フュージョンエネルギー戦略が取りまとまったのですが、アクションプランを実行するためにどのぐらいの予算規模が必要なのか、また、どのようにしてその予算を確保していくのか、大臣のお考えを教えてください。
(答)戦略案では、2050年頃となっていた発電の実現時期を可能な限り早く明確化するとともに、研究開発の加速によりまして原型炉を早期に実現するとしております。
 また、内閣府が政府の司令塔となり、QST(量子科学技術研究開発機構)を中心に、アカデミアや企業が結集する拠点の設立、また産学官で計画的な人材育成などを予定しております。
 発電の実現までに必要な要素は不確実性が高いので、具体的な予算規模はまだ申し上げる段階にはございませんけれども、関係省庁と一体になって必要な予算額は確保してまいりたいと思っております。

(以上)