高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年2月14日

(令和5年2月14日(火) 9:34~9:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 経済安全保障担当大臣として報告を申し上げます。
 本日、第4回目となる「経済安全保障推進会議」が開催されました。
 会議では、当方より、経済安全保障推進法の附帯決議や国家安全保障戦略を踏まえ、セキュリティ・クリアランスを含む我が国の情報保全の強化に向けた検討を進める必要があること、経済界からも主要国の情報保全制度と整合性のある制度の整備を求める声があることなどについて説明し、共有いたしました。
 その上で、総理から私に対し、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度のニーズや論点等を専門的な見地から検討するための有識者会議を立ち上げ、今後1年程度を目途に、可能な限り速やかに検討作業を進めることなどについて御指示をいただくとともに、関係の大臣に対しまして、我が国の情報保全の強化に向け、政府一丸となって取り組むようにとの御指示がございました。
 今後、総理の御指示を踏まえまして、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度の法整備などに向けた検討をしっかりと進めてまいります。
 次に、科学技術政策担当の大臣としてお知らせいたします。
 産学官の組織の垣根を越えたオープンイノベーションの取組を表彰する「日本オープンイノベーション大賞」授賞式を、明日15日(水)17時より内閣府講堂にて開催いたします。
 今年度は、行政とスタートアップの連携など17の優れた取組を選定いたしました。これらの取組が模範となり、我が国のオープンイノベーションが一層促進されることを期待いたしております。
 状況が許しましたら、私も科学技術政策担当大臣賞と内閣総理大臣賞の受賞者に対して、表彰状などを授与するとともに、閉会の挨拶をする予定でございます。各受賞者からのスピーチもございますので、プレスの皆様にも是非とも御参加をいただきますようお願い申し上げます。

2.質疑応答

(問)2つ教えてください。1つ目ですけれども、先程のセキュリティ・クリアランスの法制化について、1年以内で検討するということですと、来年の通常国会あたりに法案を提出するのかなと考えてしまうのですが、スケジュール感を大臣としてどのようにお考えなのでしょうか。また、対象者は、例えば「K program」の参加研究者はこの対象になるのでしょうか。
(答)総理からの御指示は、もちろん「法整備等に向けた検討を進める必要があります」とおっしゃった上で、「有識者会議を立ち上げ、今後、1年程度を目途に可能な限り速やかに検討作業を進めてください」ということですので、1年後ではなく、できるだけ速やかに進めてまいりたいと思っております。
 セキュリティ・クリアランスの対象者でございますが、これはあくまでも強制ではございません。例えば企業で、海外政府の調達に入りたいとか、海外の企業との取引においても、クリアランスを持っているのかいないのかと問われる場合がありますので、そういった海外との取引がある企業の方の中で、またその社員の中で、自分は是非参加したいと希望された方、学術研究に関しましては、共同研究でそのようなニーズがあって自ら希望される方については、検討対象になるかもしれませんが、しかし、その対象者の範囲も含めて、これから有識者会議できっちりと論点を詰めてまいりたいと思っております。
(問)もう一つ、先週、慶應義塾大学発ベンチャーのハートシード社が、iPS細胞から作り出した心筋細胞の移植手術を成功させたと発表しましたけれども、これに対して、大臣としての受け止めと今後の期待をお願いします。
(答)慶應義塾大学発のベンチャーのハートシード社が、重症心不全患者に対するiPS細胞由来の細胞移植の臨床試験を、AMEDの支援を受けて開始したということでございます。今回、1例目の移植を終えられたところと伺っております。その他にも計画されている臨床試験がございますので、成功裏に行われることを心から期待いたします。
 特に、この再生・細胞医療・遺伝子治療につきましては、昨年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」においても、我が国の国益に直結する科学技術分野とされております。ですから、私も健康・医療を担当する大臣として、この再生・細胞医療・遺伝子治療分野が着実に発展して、いち早く社会に成果を還元できるように励んでまいりたいと思っております。
(問)先程の質問と関連ですが、セキュリティ・クリアランスの関連で有識者会議を立ち上げるということですけれども、まず初回の開催はいつ頃を目指されるのかというのと、あと会議のメンバーはどういった方々で構成されるのか、選定状況を含めてお願いします。
(答)今日、正式に総理から御指示をいただいたところでございますので、調整、準備が整い次第、会議は出来る限り速やかに開催したいと思っております。
 有識者会議のメンバーでございますけれども、セキュリティ・クリアランスについて、これまでも経済界から御意見を頂戴してまいりましたから、経済界、そして学界、また法曹界など、様々な御知見、見識を有する方に御参加いただけたらと思っております。
(問)セキュリティ・クリアランスの関係で教えてください。
 欧米などでは、セキュリティ・クリアランスを付与するに当たって、いわゆるバックグラウンドチェックは欠かせないと思うのですが、日本で導入する場合、こういうことが一つ必要になってくるかと思われます。人権問題との関わりから慎重論も根強くあると思うのですが、プライバシーの懸念などをどう払拭していくか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)私の問題意識としまして、セキュリティ・クリアランス制度を法整備においてきっちり確立するからには、少なくともG7各国など友好国・同志国との間で通用するものにならなければならないと思います。そういった意味で、これまでにも下準備といたしまして、私自身、強い思いを持っておりましたので、各国で、どのように調査されているかなど、各国の情報も集めてまいりました。
 その中で、人権問題との関わりでございますが、あくまでも、先程申し上げましたように、御本人が希望されなかったら調査をしないわけでございます。そして、またその必要性のない事業者もいらっしゃるわけでございますので、そこを十分に勘案しながら、また御理解を求めながら議論を進めてまいりたいと思っております。
(問)2014年に施行されました特定秘密保護法と今回のセキュリティ・クリアランスの法制化に向けた準備とのすみ分けについてお伺いしたいです。特定秘密保護法は主に公務員を対象とはしているのですが、防衛産業に関しては、民間人も適性評価をすると定めがあります。こうした既存の法律と言いますか、既にある制度を踏まえた上で、今回、今日総理から指示がありましたセキュリティ・クリアランスを法制化する必要性や意義について、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
(答)特定秘密保護法の場合は、御承知のとおり、国防関係、また外交、それからいわゆるスパイ活動、テロリズム、こういった4分野に限定されております。これから私達が作り上げていこうとしているものは、そうではなくて、いわゆる「産業版」でございます。
 また、特定秘密保護法の場合は、セキュリティ・クリアランスを持った人が特定秘密にアクセスしようとする場合は、そのアクセスする対象の情報は、全部、特定秘密に指定されたものになります。
 例えばこれから、予断を持っては申し上げられませんが、情報通信や宇宙関係など、割とマルチユースな技術に対してアクセスできる、そういった資格を付与することになりますと、それらを全部特定秘密に指定することは考えにくいと思いますので、特定秘密保護法とは分けて考えていただきたいと思います。あくまでも日本企業が海外の政府調達や、また海外の企業との取引、また共同研究から排除されない環境を作っていくためのものでございます。
(問)大臣は以前から、経済安全保障分野に関するセキュリティ・クリアランスの必要性を訴えてまいりました。今回、総理からの指示を踏まえて政府として検討が加速することになりますが、それに関しての所感をお願いします。
(答)苦節半年でございましたけれども、今日、総理から正式に御指示いただき、また関係閣僚の皆様に対しても、しっかりと我が国の情報保全の強化に向けて政府一丸となって取り組むように御指示をいただきまして、大変心強く思っております。こうなりましたからには精一杯、これまで積み重ねてきました様々な情報収集を基にしながら、有識者会議でもしっかりと御議論いただいて、日本に合う良い制度を作ってまいりたいと思っております。
(問)話題が変わりまして、中国の女性の方が土地を購入したと主張している沖縄県の屋那覇島について伺います。同島については昨日、官房長官が、「領海基線を有する国境離島などに該当しないため、重要土地調査法の対象とならない」と説明されております。一方、島がある伊是名村によると、役場には土地の購入や開発に対する不安の声が寄せられているという報道もありまして、内外無差別の原則があるというのは承知の上ですが、この屋那覇島を巡る現状についてどう見られているのかというのと、政府として調査するかどうかの是非について、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)私達は、法律に基づいてしか行政を執行することが出来ません。現在、私が担当しているのは重要土地等調査法でございます。もう、十分御承知のことだと思いますけれども、機能阻害行為の用に供されることを防止するために、土地・建物の利用状況の調査を実施して、必要に応じてその利用の規制を行う法律でございます。その規制の対象も、重要施設周辺と領海基線を有する国境離島及び有人国境離島地域離島にある土地・建物になりますので、御指摘の屋那覇島に関しましては、これらに該当しませんので、この法律の対象にはなりません。
(問)所管外と言われてしまうかもしれないのですが、日銀の正・副総裁人事が今日、国会等に提出されると思うのですが、印象で結構ですのでお願いできますか。
(答)担務外のことでございますので、印象も含めてコメントは差し控えます。
 それから、本件ですが、本日、衆・参の議院運営委員会の理事会において政府から国会に人事案が提示されるということですから、今後、国会同意人事のプロセスが始まる段階にあると承知いたしております。
(問)若干柔らかい話になるのですが、今日、2月14日でバレンタインデーですが、総理にチョコレートをあげたりするようなことはございましたか。
(答)チョコレートは用意いたしておりません。記者の皆様にも御用意がございません。申し訳ありません。
(問)それは皆様に対してということですか。
(答)記者の皆様にも買っていません。
(問)総理にチョコレートというのはいかがでしょうか。
(答)チョコレートは買っていません。

(以上)