高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年2月3日

(令和5年2月3日(金) 9:30~9:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 宇宙政策担当の大臣として、報告を申し上げます。
 令和5年度予算案における宇宙関係予算について取りまとめ、公表することとなりました。政府全体の宇宙関係予算の総額は、既に可決いただいた令和4年度補正予算と令和5年度予算案とを合わせて、6,119億円となりました。これは、前年度を約900億円上回る大幅な伸びとなっております。
 宇宙は、今後成長が期待され、ますます重要性が高まる分野でございます。昨年末に改訂した「宇宙基本計画工程表」の着実な実施に向けて、関係各省庁においても、積極的な予算措置をしていただいたもので、関係省庁の御協力に改めて感謝を申し上げます。
 まずは国会において御審議をいただくことが必要でございますが、可決いただきました際には、予算の速やかな執行を行い、しっかりと成長に繋がるよう、関係省庁とよく連携して宇宙政策を推進してまいります。
この後、内閣府のホームページに掲載予定ですので、どうか御覧ください。
 詳細につきましては、宇宙開発戦略推進事務局にお問合せください。

2.質疑応答

(問)先日の核融合戦略の有識者会議で、時間軸と資源投入について明確に示すべきではないかという意見が出ていますけれども、大臣としては、今後の核融合戦略で核融合を実用化するために、政府予算はトータルでどのぐらい必要だとお考えでしょうか。
(答)それは大変難しい御質問です。核融合エネルギーの実用化までに要する費用につきましては、今後、ITER計画などの成果や、原型炉の計画の具体化などを踏まえて検討する必要がございます。
 戦略の骨子案では、今後の具体策としまして、「核融合産業の育成」を挙げております。これは、スタートアップを含む民間企業の巻き込みや支援、そして戦略を産学官連携で推進することが必要とされております。ですから、現時点で実用化に必要な政府予算を見積もることは困難です。
 ただ、核融合ですけれども、日本にはこれまでITER計画で培った大変な技術的優位性があると思っております。ですから、この核融合技術から、他の産業への波及についても、私は大いに期待をいたしております。
 核融合エネルギーそのものの実用化には、多額の費用を要することが想定されますけれども、例えば小型化などの研究開発にも取り組んでまいりたいと思っております。コスト・ベネフィットもしっかりと考慮しながら、検討を更に進めていくことになると思います。
(問)話題が変わりまして、先日、ウイグル協会などの調査で、中国のウイグル自治区の監視体制に組み込まれている中国のハイクビジョンのカメラに、TDKやローム、SONYといった日本企業の製品が使われている疑いが発覚しました。ハイクビジョンは米国のエンティティ・リストに追加され、欧州でも禁輸措置が検討されています。日本の高性能な部品が中国の人権侵害行為に加担してしまう可能性について、大臣の受け止めと、政府としてどう対応していくか、お考えなどをお伺いしたいと思います。
(答)日本は、人権を普遍的な価値だと考えていて、人権擁護は全ての国の基本的な責務だという立場でございます。ですから、日本は深刻な人権侵害については、しっかりと声を上げていかなければなりません。ようやく人権DDについては、各企業などにも浸透し始めたところだと思います。
 日本は現在、輸出貿易管理令はございますけれども、例えばアメリカのエンティティ・リストのように特定の企業を名指しして、ここに対しては技術を出さないとか、製品を出さないといった法律の立て付けはございません。
 ただ、様々な先端技術を有する我が国としましては、基本的価値観を共有する欧米などの同志国と緊密に連携しながら、人権侵害に対するツールとして、今後、輸出管理の枠組みが活用可能かどうか、政府内でしっかりと検討してまいりたいと思っております。様々な御意見が現状ではあるようでございますけれども、検討をしっかりしなければならない問題だと考えております。
 この際ですから、多くの民間企業の方に知っていただきたい点を申し上げます。
 アメリカのエンティティ・リストは、どんどん追加されていっています。場合によっては、アメリカの輸出管理規制は中小企業も含めて日本国内の企業にも適用されることがございます。政調会長時代に、予算委員会の質疑の場で、当時の萩生田経済産業大臣に対応をお願いしたのですが、どういった場合に日本の企業がアメリカの輸出管理規制の適用を受けることになるのか、判断が困難な場合が多いと思います。常に中小企業の皆さんがアメリカのエンティティ・リストをチェックするのも大変なことでございます。
 ジェトロのウェブサイトで、昨年の12月に「商務省国際貿易局の統合スクリーニングリスト」の利用ガイドを公表していただいたこと、そしてまた相談窓口も設置していただいたということで、ジェトロの皆様、また経済産業省の皆様に大変感謝をいたしておりますし、多くの企業の方々に御活用いただきたいと思っております。
(問)冒頭も宇宙関係の話があったのですが、H3ロケットの打上げが近づいてきましてお伺いしたいのですが、H3ロケットが世界の衛星の打上げや宇宙ビジネスに使われるようになるためにはどういった戦略が必要だと考えているか、聞かせてください。
(答)H3ロケットは、次期基幹ロケットでございます。現在のH-ⅡAロケットと比べますと、打上げコストが半減すること、また打上げ能力が3割増強するといった特徴がございます。
 ですから今後、海外の打上げ需要にもしっかり応えられるものになっていくと私は期待をいたしております。まずは2月13日の打上げを成功させて、着実に実績を積み重ねて、市場の信頼を勝ち得ていかなければならないと思います。
 それに加えまして、今後、国内外における打上げ需要を考えてみますと、H3ロケットの打上げ能力を絶えず強化していく必要があると思います。具体的には、衛星コンステレーションの構築に向けた衛星搭載能力の強化、それから打上げの高頻度化が必要になりますので、文部科学省ともよく連携しながら継続的に取組をしてまいりたいと思っております。
(問)一部報道で、「セキュリティ・クリアランス」法案の有識者会議のメンバーを巡って栗生副長官と対立なさっているとの報道があるのですが、事実関係をお願いできますか。
(答)栗生副長官と私が本件について直接お話をしたことはございません。民間を含む幅広い関係者から、これまでずっと御意見を伺いながら論点整理を進めてまいりました。ですから、今後、有識者会議の設置も含めて議論をスピードアップさせてまいりたいと思っております。

(以上)