岡田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年2月3日

(令和5年2月3日(金) 10:29~10:47  於:中央合同庁舎8号館1階S101会見室)

1.発言要旨


 まず、北方対策担当大臣として御報告します。
 本日の閣議において、「2月7日の北方領土の日」に「北方領土返還要求全国大会」が開催される旨を発言いたしました。
 この「全国大会」は、北方領土問題の解決を求める日本国民の決意を内外に表明するため、午前11時半から所要1時間程度、開催の予定です。大会の模様はインターネットでも配信されますので、ぜひ御覧いただきたいと思います。
 「全国大会」等を通じて、国民世論の一層の高揚を図りながら、引き続き、裾野の広い返還要求運動を粘り強く推進してまいります。
 事務方は北方対策本部です。日程等の詳細についてはお問い合わせください。
 次に、地方大学・地域産業創生交付金について申し上げます。
 地方創生担当大臣として、地方大学・地域産業創生交付金の新規申請に対する有識者委員会の評価結果を御報告いたします。お手元に資料を配布しております。
 この交付金は、首長のリーダーシップの下、産業創生・若者雇用創出を中心とした地方創生と、地方創生に積極的な役割を果たすための組織的な大学改革に一体的に取り組む地方公共団体を重点的に支援するものです。
 この度、有識者委員会による評価が行われ、石川県と熊本県の2件について、評価基準を満たす優れた計画として「採択」と評価されました。
 具体的には、石川県と金沢工業大学等が取り組む「地域に培われてきた高度な繊維機械加工技術を生かした環境適合型複合材料川中(かわなか)産業創出プロジェクト」、また、熊本県と熊本大学等が取り組む「半導体産業の強化及びユーザー産業を含めた新たな産業エコシステムの形成」、この2件です。
 今後、内閣府において法律に基づく計画の認定等の手続を行った上で、国会で御審議いただいている予算案が可決された場合には、両県に対して、本年4月から本交付金による支援を開始することとなります。
 私から冒頭、以上です。

2.質疑応答

(問)先般、SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業について2023年度の募集が開始されましたが、選定を通じてどのように地域の活性化につなげるのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)先月20日から、御指摘のSDGs未来都市等の募集を開始いたしました。
 先月の会見でも申し上げましたが、今回の募集においては「2050年カーボンニュートラル」や「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、脱炭素社会の推進や、デジタル技術を有効に活用して地方創生を進めSDGsの達成に取り組む、他の地域のモデルとなるような先導的な提案を期待しております。
 これまでもSDGsの理念に沿った経済・社会・環境の3つの側面を統合した取組を通じて地域の社会課題解決の加速化を図るモデルとなる提案を受けて、毎年約30都市、5か年累計で154都市をSDGs未来都市として選定してまいりました。
 これまで選定してきたモデルの中から、多くの成功事例を生み出し、全国への普及展開を内閣府として支援していくことでSDGsを原動力とした地方創生の達成を図るとともに、来年度の実施に向けて全国の自治体から積極的な応募をいただくことも期待いたしております。
(問)北方領土の日の返還要求全国大会について伺います。今回は3年ぶりに有観客であるということの一方で、ロシアのウクライナ侵攻後、初めての大会となるかと思います。
 現状、墓参ですとか安全操業の再開の見通しが立たない中で、元島民の方の落胆であったり、全国的にも返還要求運動の機運の低下も懸念される中ですが、大臣が出席されるか、メッセージを出されるか分かりませんけれども、御自身としてどのようなことをどのような気持ちで訴えていきたいかというところを教えてください。
(答)北方領土返還要求全国大会は、おっしゃるとおり、今回、3年ぶりに元島民や運動関係者等の方々にも御出席いただいた上で開催される予定です。現時点で全国から1,000名を超える多くの方が御参加の予定と伺っております。
 この全国大会は、北方領土の早期返還を求める我が国の固い決意を内外に表明する極めて重要な場であり、こうした大会を、3年ぶりに関係者が一堂に会する形で開催できることは大変意義深いと考えております。
 他方で、四島交流等事業については、現時点では今後の具体的な展望について申し上げられる状況にはないと、残念ながら言わざるを得ない状況です。
 しかしながら、私は北方対策担当大臣として、今後も変わらず、北方領土の返還に向けた着実な取組を粘り強く進めていく考えです。
 その上で、この全国大会を通じて、皆様とともに、北方領土問題の解決を求める日本国民の切実な声を、国内外に幅広く訴えていきたいと考えております。
 私につきましては、国会情勢が許す限り、最大限出席をさせていただき、元島民や運動関係者などの皆様とともに早期返還を求める固い決意を訴えたいと、このように考えているところです。
(問)今の質問に関連して、もしかしたら少し重なる部分もあるかもしれないですが、ロシアとの領土問題を含む平和条約交渉が中断しているというこの現状で、対話が難しくて展望も望めないということですが、その状況下で開催をする意義について改めて一つ伺ってもよろしいでしょうか。
(答)ロシアとの関係に関しては、直接には外交に関わる事項ですので、私から具体的にコメントすることは控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、昨年9月にロシア政府が「四島交流」、また「自由訪問」に係る合意の効力を停止する旨の政府令を発表しておりまして、これは極めて不当なものであり、断じて受け入れることはできないと、変わらない考えです。
 こうした中で、御高齢になられた元島民の方々の思いに何とかお答えしたいという思いを抱きながら、現時点では、北方墓参を含む北方四島交流等事業を行う状況になく、今後の具体的な展望についても申し上げられる状況にはないと、先ほど申し上げたとおりです。
 このような対応を取らざるを得ないということについては、度々申し上げてまいりましたけれども、私も断腸の思いというものを抱いております。
 しかしながら、これも既に申し上げておりますが、この交流事業の再開は今後の日露関係の中でも最優先事項の一つであり、一日も早く本件事業が再開できるような状況となることを待ちながら、事業が再開された際には、安全かつ速やかに事業を進めることができるように、また、御高齢の方を含めて、参加者に安心して御参加いただけるように、元島民の皆様の思いを受け止めるとともに、関係団体の御意見も伺い、しっかりと連携しながら、準備を着実に進めてまいりたいと考えております。これが今の御質問に対する私の今の思い、考えです。
(問)もう1点のほうの冒頭発言で、地方大学や地方産業への交付金のお話があったと思うのですが、熊本県に半導体産業の強化という話があったと思いますが、今、国際的な半導体不足があって、政府としても半導体の国産化というところにかなり力を入れていらっしゃると思いますし、熊本県を国内の生産拠点の一つに今後していくというお話もあると思いますが、今回の交付金によって国内の半導体産業にどういった期待が持てるかというあたりと、この交付金がそれにどういうふうに影響していくか、活用していきたいかというものがもしあればいただければと思います。
(答)今回、熊本県から申請された計画は、熊本大学と熊本県内の半導体関連企業等が連携して、国内初の三次元積層実装技術を確立して、ビジネスまで結びつけるエコシステムの形成に取り組む計画というふうに伺っております。
 また、大学改革という意味では、熊本大学において、これは令和6年度と聞いておりますが、半導体に特化したコースを2つ設置するとともに、高専とのダブルディグリープログラム、高専に学びながら大学でも学び、そして学位を得ることができるプログラムを新設する。これは令和7年度と聞いております。こうしたことによって半導体人材の育成にも意欲的に取り組まれる計画と伺っております。
 こうした事業は極めて有意義なものと思いますし、本交付金を活用して是非とも取組を進めていただきたいと思います。そのことが熊本における半導体の生産拠点の強化にもつながると思いますし、日本全体にも良い効果をもたらす、こういうふうに期待しております。
(問)先ほどの北方領土に関連して、もう1点確認をしたいんですけれども、先般、ロシア政府が北方墓参については中止をしていないというか、認める意向を示したというような一部報道が出ていて、ただ、これ自体は恐らく新しい話ではなくて、ビザなし交流と自由訪問の中止だけをロシア政府は言っていて、北方墓参はその中に含まれないというようなこれまでの見解の繰り返しかとは思うのですが。このタイミングで日本政府として、ロシア政府が含んでいない北方墓参も含めて中止をしている理由について、改めて聞かせていただけますでしょうか。
(答)今、お話があった北方墓参に関する日露関係の合意は、影響を受けないというふうにロシアの外務省が言ったということは、メディアからの質問に答える形で、ロシア外務省がこのような回答を行ったものと承知しております。
 しかしながら現時点では、先ほども申し上げたように、北方四島交流等事業の今後の具体的な展望について申し上げる状況にはないと。その中には北方墓参を含めて、北方四島交流等事業の今後の具体的な展望について申し上げる状況にはないと、このように残念ながら申し上げている次第です。
 やはり御高齢になられた元島民の方々の切実な思いに何とかお応えしたい、という、私もそういうふうに強い思いを抱いておりますし、そのことにはいささかの変わりもないですが、北方墓参を始めとした事業の再開は、先ほど申し上げたように、今後の日露関係の中での最優先事項の一つと位置付けて、日本政府としては、一日も早く事業が再開できるような状況となることを強く期待しながら、その状況になった際、すぐにも動けるような準備を整えておくと、このように考えているわけです。

(以上)