小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月20日

(令和5年1月20日(金) 11:14~11:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 よろしくお願いします。私からは3点ございます。
 まず1点目、孤独・孤立関係になります。長引くコロナ禍の影響によって、孤独・孤立の問題がより一層深刻な社会問題となっておりますことに加えて、今後、単身世帯や単身高齢世帯の増加等により、孤独・孤立の問題の更なる深刻化が懸念されております。
 このため、こうした孤独・孤立の問題に対する継続的・長期的な政策対応を担保するためには、国及び地方において孤独・孤立対策の安定的・継続的な推進体制を整備することが必要です。
 そこで、総合的な孤独・孤立対策に関する施策を推進すべく、その基本理念や国等の責務、施策の基本となる事項並びに国及び地方の推進体制等を定める孤独・孤立対策推進法案を今通常国会に提出したいと思っております。
 2点目であります。子供の貧困対策を担当する大臣として報告いたします。このたび、お手元の配布資料にありますとおり、「子供の未来応援基金」によって、来年度、令和5年度に支援を行う団体が決定されました。
 有識者からなる審査委員会の審査を経て、学習支援や居場所づくりなど、貧困状況にあるこどもたちを支える全国各地の様々な活動を支援するものでありますが、コロナ禍を始め昨今の厳しい状況を踏まえて、これまでで最多となる146団体に対し、総額約2億3,000万円を交付することとしております。前回令和4年度は、133団体、総額2億200万円となっております。
 4月には「こども家庭庁」が設立をされますが、各団体におかれても、一人でも多くのこどもたちが、前向きな気持ちで夢や希望を持って成長していけるよう活動されることを期待しております。
 資料の詳細については、事務方までお問い合わせをください。
 最後に3点目、出張の案件であります。先日18日、長野県塩尻市へ出張し、女性デジタル人材育成の取組であるテレワーク推進事業「KADO(カドー)」を視察をしました。この「KADO」は民間企業や他の自治体との積極的な連携の下、テレワークを活用した柔軟な働き方の実現を通じて、就労時間等に制約のある子育て中の女性やひとり親をはじめ、多くの女性デジタル人材を育成し、雇用創出やDX化など、地域課題の解決へと繋げている先進的な事例であります。
 コワーキング施設を見学し、実際に就労されている方々の作業を拝見するとともに、百瀬敬塩尻市長をはじめ塩尻市の皆様と意見交換を行いまして、先進事例への理解をより一層深めることもできました。こうした優れた事例が全国各地域へと広がっていくよう、国としてもしっかりと後押しをすることの必要性を改めて感じたところであります。
 今回の視察で得た知見や塩尻市の皆様からお伺いした話をしっかりと踏まえながら、女性デジタル人材の育成について政府一体で強力に進めてまいりたいというふうに思っております。

2.質疑応答

(問)孤独・孤立の法案の関係ですけれども、先ほど中身についてのお話もありましたが、改めて今こういったものが必要な理由ですとか、そこに込めた大臣の思いですとかを。
(答)昨日、年初の出張報告をいたしました。先日のイギリス訪問では、孤独・孤立対策について官民連携に取り組む民間団体等との意見交換や「社会的処方」の現場視察を行いました。私としても大変刺激を受け、我が国においてもこれまでの取組を一層加速していく思いを改めて強くした次第であります。
 冒頭でも申し上げたとおり、我が国では今後も孤独・孤立の問題の更なる深刻化が懸念されております。こうした中、孤独・孤立の問題に対する継続的・長期的な政策対応を担保するためには、国及び地方において孤独・孤立対策の安定的・継続的な推進体制を整備することが必要となっております。
 また、政府におきましても、令和3年2月に内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置して以降、その所掌の範囲内において、実態把握、重点計画の策定、国における官民連携の体制構築、一元的な相談支援体制の試行、地方における官民連携体制のモデル構築など、孤独・孤立対策を進める上で基礎となる体制や政策基盤の整備を行ってまいりました。
 今後は現在の試行やモデル開発の段階から本格実施の段階へと進めていく必要があり、今回そういったことができる体制整備も含めて、こうしたことを実現するための法案を提出したいといったことが法案提出・法案作成の大きな狙いであります。
(問)追加で今の点についてもう少し伺いたいんですけれども、日本の孤独・孤立の状況って多分かなり調査された結果かと思うんですが、今の日本の孤独・孤立状況、どういうところが課題というふうに御認識されているか。単身世帯とさっきおっしゃったんですけれども、もう少し詳しく今の状況をどう感じられているかというところ。あとあえて法案という形をとられる、孤独・孤立は日本特有のところがあると思うんですけれども、法案という形をとらざるを得ない、とる必要があるということをもう少し教えてください。
(答)まず2点目、これまでも孤独・孤立対策担当室を中心に様々な試行錯誤を重ねながら、この2年間、実態調査ですとか、あるいは相談ダイヤルの実施、重点計画の策定、NPO等への支援、様々な施策を実施してまいりました。
 しかし、こういった施策を更に強化し、そして継続的かつ長期的に行うためには、やはり法的な基盤も必要でしょうし、例えばではありますけれども、総理をヘッドといたします孤独・孤立対策の推進本部、こういったものを政府横断でつくることによって、より政府全体としてこの孤独・孤立の問題にコミットできるのではないか、こういったことを念頭に置いて、今回法案の作成に至ったわけであります。
 もう一つ、実態調査を踏まえた上でということでありますけれども、こちらは昨年末に見直しました重点計画に盛り込んでおりますように、例えば実態調査を見ますと、当然、性別問わず、世代問わず、孤独・孤立の問題というのは存在するわけではありますが、やはり中高年ですとか男性、こういったところに大きな課題が隠されているのではないかというふうに思っております。
 そういったカテゴリーの方々はなかなか職場以外に居場所が少ないですとか、あるいは御自身で孤独・孤立であるというような声が上げにくいといったことをお伺いしておりますので、そういった中高年や男性の方々の孤独・孤立をどう解消していくかというのも課題でありますでしょうし、あとはこれもかねがね申し上げておりますように、強く頻繁に、あるいは常に孤独を感じてらっしゃる方というのは全体の1~2割にとどまりますが、何らかの孤独を感じてらっしゃる方は全体の8割にも及びます。そういう意味では、何となく孤独を感じている人が強い孤独にさいなまれないように、しっかり孤独の予防を図っていくということも重要だと考えておりまして、そういったところに、これから更に強化をしていく政策のテーマがあるのではないかというふうに感じております。
(問)昨日、こども政策の強化に関する関係府省会議がスタートしました。同時に自民党の方でも会議がスタートされて、小倉大臣も出席されて、今日の公明党の会議の方にも御出席されたと伺っていますけれども、改めて政府与党の会議でどのような議論を期待するかについて伺おうと思います。よろしくお願いします。
(答)私は昨日の自民党の会議にはフル出席をいたしました。残念ながら、今日の公明党の会議には閣議もございましたので、後半の方しか参加できませんでしたけれども、出席の議員の皆様方には本当に大変貴重な御意見を頂いたというふうに感じております。
 そういう意味では、私どもの検討会議、関係府省会議の開催に当たって、会議でもしっかりと有識者や当事者に意見をヒアリングすると同時に、検討会議以外でも、例えば「こどもまんなかフォーラム」でありましたり、私どもの視察の現場で、こどもや子育て当事者、更には子育て支援をされている方々の意見に丁寧に耳を傾けたいと思います。与党の場でそれぞれの地域で様々な意見に耳を傾けていらっしゃる方々の意見を聞くというのは、更にこども政策に関する充実した議論を実施することにも繋がると思っておりますので、大変僭越ではございますけれども、与党の議論にも期待をさせていただいておりますし、両党ともこの3月末に向けて提言を出していただけるということでありますので、その提言を出していただいた暁には、しっかりとその内容を受け止めてまいりたいというふうに思っております。
(問)今の質問の関連で、今後は有識者の方からお話を聞く機会になると思いますけれども、今のところ、その3本柱はそれぞれ幅がいろいろ広いと思いますが、どういった方、あるいはどれぐらいの人数の方をお呼びしたいというふうに今のところお考えでしょうか。
(答)正直に申し上げて、現時点ではまだ決まっておりません。申し上げているように、当事者であるとか有識者、あるいは子育て支援を実施されている方、バランスよくお伺いをしたいというふうには考えております。
(問)今の関連で。関係府省会議なんですけれども、昨日出席された、第1回目だったかと思うんですが、様々な意見が出て、かなり長引いて議論をなさったと伺っています。御自身でどういうふうに感じられたかを、もし1回目の感想があればお願いします。
(答)ありがとうございます。おっしゃるとおり、当初の予定は30分でありましたけれども、1時間オーバーした大変白熱した会議であったと思います。
 私からは、通常の会議と違って、もう皆様関係する業務でお聞きした意見でも構いませんし、省庁の立場を超えて、垣根を越えてということを私は申し上げた。自分の省庁に関係することではなく、個人の意見でも構いませんので存分に申し上げてくださいと。我々が熱量を持ってしっかりと議論しなければ、国民の皆様方は政府が真剣になって少子化対策に取り組んでいると思ってくださらないと。我々がワンチームになってまさに熱量を持って議論をしましょうということを呼び掛け、皆様それぞれから自身の省庁の施策に関することもあれば、全く関係なく自身の経験に根ざした、そういった御意見も頂きました。
 議論のスタートとしては、非常に良いスタートが切れたのではないかなというふうに思っております。引き続きそれぞれの構成員がしっかり質問し、発言し、ワンチームとなって熱を持って、この議論を今後も進めていきたいというふうに強く感じた次第であります。

(以上)