小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月17日

(令和5年1月17日(火) 11:17~11:32  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 よろしくお願いします。私からは2点御報告があります。
 まず、こども政策の強化に関する関係府省会議第1回の開催についてであります。こども政策の強化についての岸田総理からの御指示を踏まえまして、1月19日の朝9時に第1回関係府省会議を開催することといたしました。
 構成員としては、内閣官房、内閣府、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省と国土交通省の局長級に御参画いただいて、3つの基本的な方向に沿って検討を進め、3月末を目途に具体的なたたき台を取りまとめる予定であります。
 今後の開催スケジュールにつきましては、第1回会議でお示しをしたいというふうに思っております。詳細につきましては、こども家庭庁設立準備室までお問い合わせください。
 2点目です。出張報告になります。少子化対策、こども政策、男女共同参画・女性活躍ならびに孤独・孤立対策担当大臣としての報告になります。今回、1月8日から15日までフィンランド、スウェーデン、フランス、イギリスの4カ国において担当大臣等と会談するとともに、現場を視察し、各国の政策に関する知見の蓄積や人的ネットワークの強化を図ってまいりました。
 まず少子化対策、こども政策については、フィンランド・スウェーデン・フランス3カ国の担当大臣と、また、OECDでは事務総長と会談を行いました。各国ともにその水準の違いはございますけれども、出生数の低下は大きな政策課題となっております。
 担当大臣等からは先般の総理指示で示された対策の基本的な方向性であります経済的支援の強化、保育サービスの量・質両面からの強化、女性が働くことのできる環境づくりや父親が育児に参画できる環境づくりなど、働き方改革の推進とそれを支える制度の拡充の重要性についてそれぞれ指摘がございまして、我が国の対策の方向性が各国の対策の方向性とも合致していることが確認ができました。
 また、少子化対策は国民一人一人のこどもを持ちたいという希望をかなえるためのものではあるものの、同時に社会全体にとって経済社会を発展させ持続可能なものにするという意義があること、また制度・予算だけではなく、社会全体の意識を変えていくための取組が重要であることについての認識を深めることもできました。
 また、今回の海外訪問では日本でも有名なフィンランドのネウボラを始め、妊娠・子育てに関する相談支援の最前線を訪問し、その取組をお聞きしてまいりました。
 各国とも両親やこどもたちにしっかり寄り添いながら子育てをサポートすることに注力をしており、我が国で今年度補正予算により全国的に開始した妊娠から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援等も各国の政策の方向性に合致したものになっております。今後も各国との連携を図りながら、伴走型相談支援の取組を全国に浸透させていきたいと思います。
 男女共同参画・女性活躍に関しましては、本年6月のG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合におけるアジェンダにつきまして、フランス及びイギリスの担当閣僚と意見交換を行いました。私からは岸田政権におけます「新しい資本主義」の中核に位置付けられる「女性の経済的自立」や新型コロナが女性に及ぼした様々な課題への対応を中心的なテーマとすることを提案をいたしまして、各国大臣から賛同を得ることができました。
 また、両国の担当閣僚や官民の関係者との男女間の賃金格差の解消や、企業における女性役員の登用促進に向けた取組に関する意見交換を通じまして、積極的な取組が関係者の理解を促し、環境や人々に変化を及ぼしてきたという両国の経験を伺い知ることもできました。
 続きまして、イギリスにおける孤独・孤立対策のプラットフォーム運営において中心的な役割を担う団体「The Campaign to End Loneliness」ならびに孤独問題を担当しているDCMS省(The Department for Digital, Culture, Media and Sport)との意見交換を行いました。
 イギリスでは民間団体、いわゆるチャリティを中心に、孤独対策に関するデータやエビデンスの収集や情報共有が図られておりまして、我が国における孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの取組の参考にしていきたいというふうに考えております。
 また、イギリスにおける「社会的処方」、ソーシャルプリスクライビングの取組現場を視察し、「社会的処方」に取り組む医師等との意見交換も行いました。イギリスでは「社会的処方」によりまして、疾患を抱える方が聖歌隊やスポーツ活動への参加など、地域の活動に参画することを通じて孤独感を解消するといった効果を上げており、こうした世界に先駆けた取組は示唆に富んだものでありました。
 今後とも孤独・孤立対策については日英両国において世界をリードしていくという認識の下で、我が国においてもこれまでの取組を一層加速してまいりたいと考えております。
 今申し上げたいずれの政策分野におきましても、今回の海外訪問におきまして、関係各国の政策担当者との人的なネットワークを構築することができたと感じております。今後ともそれぞれの政策分野において世界的な視点に立った政策の検討を進めてまいります。

2.質疑応答

(問)冒頭発言1点目のこども政策の強化に関する会議の方で、2点伺います。当初の会議の参画メンバーなんですが、当初から省庁が増えられたと思うんですけれども、当初発表されていたところから、財務省が入られるということですが、財源について議論をされるということなのでしょうか。もう1点は国交省が入られるということなんですけれども、どういう側面からの議論の参加になるんでしょうか。今の時点でお話しできることがあれば、お願いします。
(答)財務省は主計局に御参加をいただく予定であります。当然、こども予算は予算に関わる話でありますので財務省と、あとは地方の予算にも関わる話でありますので、総務省の自治財政局の方に御参画いただくことになったということであります。
 もう一つの住宅局に関しましては、やはり住宅政策がこども政策ならびに少子化対策に及ぼす影響が大きいのではないかというような、そういう御指摘もございましたので、国土交通省の住宅局にも御参加いただくことになったというのが経緯でございます。
(問)子育て期間中に短時間勤務を利用する労働者や現在の育児休業給付の対象外となっているフリーランスの方への新たな給付に関して、医療や介護といった各社会保険から拠出金を積み立てて財源とする方向で調整に入ったとの報道がありました。こうした拠出金の案についても今後の検討対象とするお考えはおありでしょうか。
(答)お答えをさせていただきます。先ほどの質問にも関係してくる点でありますが、こども予算の充実については財源をどうするかという点は重要でありますものの、社会保障については様々な社会保険との関係や国・地方との役割分担、受益と負担の関係など、きめ細かく議論をしていく必要があり、社会全体で費用負担の在り方を考えていくためには、まずは必要なこども政策が何かをしっかりと議論していく必要があると、このように考えております。
 今般の総理からの指示はまさにそのための第一歩、つまり、まずは必要なこども政策は何かをしっかりと議論をしていくということでありまして、私の下に関係府省会議を設け、3月末を目途に必要なこども政策についての具体的なたたき台を取りまとめることになったと、このように承知をいたしております。
 このたたき台が必要な施策の実現に向けて、国民各層の理解を得ながら社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く財源の在り方について議論をする土台となるようにしていきたいというふうに考えております。
(問)何点かお伺いさせてください。
 先般、岸田総理から異次元の少子化対策という表現で指示があったかと思うんですけれども、この異次元という考え方、大臣としての現在のお考えなどをお聞かせください。
 あと、児童手当とか経済政策支援に対しての強化というのも指示があったと思うんですけれども、この児童手当に関する御認識と、現段階で必要な強化というもののお考えがあれば教えてください。
(答)まず1点目でありますが、これまで保育の受け皿整備や幼児教育・保育の無償化などに取り組んでまいりました。例えば、待機児童数は平成29年の2.6万人から令和4年は約3,000人まで減少するなど、これは大きな成果があったというふうに考えております。他方で、昨年の出生数が80万人を割り込む見込みとなるなど、少子化の現場は危機的な状況にあると考えております。
 私としては、これまでの漸進的な対策にとどまらず、長年の課題の解決に向けて一気にこれを前に進め、子育て世代の不安を一遍に払拭させられるよう、ライフステージに応じた総合的かつ大胆な少子化対策に挑戦してまいりたいと、このように解釈をしております。
 児童手当につきましては、これまでの議論の中で高校生まで支給対象を拡大すべきではないか、2点目に多子世帯への支援をより充実すべきではないか、3点目に所得制限を見直すべきではないかなど、様々な御意見があると、このように承知をしております。
 私自身も国会での議論や子育て当事者の皆様との意見交換を通じて、様々なこうした声を伺ってきたところであります。3月末のたたき台の取りまとめに向けて、広く・丁寧に意見を聞きながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
(問)もう1点いいですか。少子化対策ということについて、一般的にはこども政策というものが想起されるという、今回の指示もそうかと思うんですけれども、非正規の問題をはじめとした経済政策も社会構想としては十分にやっていきたいということだと思います。
 今、新しい資本主義の雇用の流動化の議論というのは、セーフティネットの議論が先行しない限り、新たな不安を生みかねず、また少子化に進むんじゃないかという懸念というのも出ているかと思います。そういったところで、これまでの経済政策とこれからの経済政策との連動というのを、少子化を議論する上でどういうふうに考えておられますか。
(答)重要な指摘だと思っております。若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べて顕著に高くなっておりまして、20代・30代の若い世代の所得分布は2017年と1997年を比べますと、低所得層にシフトをしております。このことから、若い世代の雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することは重要と認識をいたしております。
 一方、政府といたしましては、経済政策については新しい資本主義実現会議や経済財政諮問会議を中心に議論を行い、事業再構築・生産性向上等と一体的に行う賃金の引き上げへの支援の拡充、「人への投資」の支援の「5年間で1兆円」のパッケージへの抜本強化、同一労働同一賃金の徹底による非正規雇用労働者の処遇改善などに取り組んでいるところであります。
 基本的には、経済政策については新しい資本主義実現会議や経済財政諮問会議において検討が進められているものと承知しておりますが、関係府省会議においてはそれらの会議における経済政策についての議論も注視しながら、経済的支援の強化、幼児教育や保育サービスの強化と全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実の3つの基本的な方向に沿った検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、今回の関係省庁会議におきましても、経済政策との連携などを図る、こうした観点から必要な関係省庁局長級を構成員とする予定であります。
(問)大臣、先ほど言っていただいた府省会議の関係なんですけれども、こちらは大臣を座長として臨まれるわけで、第1回会合はどんな流れ、中身になるものかという、現時点で決まっているものがあれば教えていただきたい。あと、総理が節目節目で出席されると前におっしゃっていたと思うんですけれども、こちらは第1回会合には参加するのかどうか、教えていただけますでしょうか。
(答)まず第1回目の中身につきましてでありますが、全世代型社会保障構築会議におけます清家座長ですかね、肩書きはもし間違っていたら改めて言っていただきたいと。事務方からお知らせしますが。全世代型社会保障構築会議の清家座長に全世代型社会保障構築本部の決定について御報告をいただきます。また、事務局から少子化の現状と課題について、まず御説明をしていただくことになります。更に、最後3点目といたしましては、構成員同士で今後のスケジュール、進め方について擦り合わせを行うこととなっております。
 総理の御出席はあるかどうかについては、現時点では今回は総理は御出席なされないというふうに承知しております。

(以上)