小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月6日

(令和5年1月6日(金) 11:01~11:25  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 皆様、新年おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。冒頭、私からは3点ございます。
 まず1点目、こども政策の強化に係る総理指示についてであります。先ほど総理から官邸において指示がございました。その時、お話をぶら下がりで申し上げた内容と重複いたしますけれども、再度御説明を申し上げたいと思います。
 岸田総理からこども政策の強化について検討を加速するため、本年4月のこども家庭庁の発足を待たずに、私の下で、第1に、児童手当を中心に経済的支援を強化をすること。また第2に、学童保育や病児保育を含め、幼児教育や保育サービスの質・量両面からの強化を進めるとともに、伴走型支援、産後ケア、一時預かりなど、全ての子育て家庭を対象としたサービスの充実を進めること。更に第3として、働き方改革の推進と、それを支える制度の充実を図ること。女性の就労は確実に増加をしました一方で、女性の正規雇用におけるL字カーブは是正されておらず、その修正が不可欠であります。その際、育児休業制度の強化も併せて検討することとの、これは年頭の総理の記者会見にも準じたものですが、3つの基本的な方向に沿って検討を進め、3月末を目途に具体的なたたき台を取りまとめること。加えて、その検討に当たっては、私、小倉でございますが、私の下に関係省庁が連携した体制を組むとともに、学識経験者、子育て当事者、若者をはじめとする有識者から広く意見を聴き、大胆に検討を進めてもらいたいとの指示がございました。
 総理自身も節目節目で直接当事者の話を会議に参加をして聞いて、私に御意見を下さるとの御発言もございました。近日中に私の下に関係省庁からなる会議を設けまして、具体的な検討を進め、先ほど申し上げた3月末を目途にたたき台を取りまとめてまいりたいと思っております。
 このたたき台の内容を踏まえて、4月以降、総理の下で更に検討を深めるとともに、こども家庭庁において、こども政策を体系的に取りまとめつつ、6月の骨太方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示するという指示もございました。
 私といたしましては、総理の指示を踏まえて、子育て世代の不安を解消し、子育てに夢や希望を抱くことのできる大胆な少子化対策を取りまとめるべく、スピード感を持ちながらも、他方で丁寧に当事者の意見を聴きながら検討を進めてまいりたいと、このように思っております。
 2点目であります。海外出張の件でございまして、明後日8日から15日にかけまして、フィンランド、スウェーデン、フランス、イギリスの4カ国を訪問させていただきます。特に少子化対策・こども政策関連では、こども政策の強化について総理から指示を頂き、検討を加速させるところであります。欧州諸国の担当閣僚等との意見交換や関連施設の視察によりまして、少子化対策・こども施策の先進的な取組や各国の実情をしっかりと把握をし、今後の検討に活かしてまいりたいと、このように思っております。
 また、本年、我が国では栃木県日光市においてG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を開催することといたしておりまして、会合の成功に向けて、構成国でありますフランス・イギリスの担当大臣との意見交換などを行いたいとも考えております。
 加えて、日本と同じく、孤独・孤立対策を実施をしております英国において、官民連携の取組や社会的処方を含めた孤独・孤立対策の現状や課題などを把握することによって、我が国における今後の孤独・孤立対策の検討に当たって参考にさせていただきたいと、このように思っております。
 最後、3点目です。交通安全対策担当の大臣といたしまして報告いたします。本日の閣議において、「交通安全対策の推進」につきまして、閣僚の皆様に対して協力をお願いさせていただきました。
 昨年の交通事故における死者数は2,610名と、現行の交通事故統計となった昭和23年以降で6年連続で最小を更新いたしました。この結果は人命尊重の理念に基づき、国を挙げて交通安全対策に取り組んだ成果だと、このように考えております。しかしながら、こどもが犠牲となる痛ましい事故が発生をするなど、交通事故情勢は依然として厳しいものがあるとも認識をいたしております。
 交通事故のない社会の実現を目指し、「第11次交通安全基本計画」や「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」に基づいて、「人優先」の交通安全思想を基本とし、関係機関・団体と連携して、通学路等における交通安全の確保や飲酒運転対策などの交通安全対策の充実を図ってまいりたいと思います。

2.質疑応答

(問)冒頭いただきました少子化対策の強化について、2点伺います。関係各省による会議体、検討会なんですけれども、トップは小倉少子化担当でよいのかということと、構成員は局長級ですとか、その辺はどういった方が担当されるのか。また、人数はどれぐらいを想定されているのかというのを1点伺います。
 もう一点なんですが、3月末に取りまとめるたたき台で、財源の確保策も触れるかどうか、この2点をまずお願いいたします。
(答)まず1点目につきまして、現時点で考えております会議の詳細について、御指摘いただいた点以外についても御説明を改めて申し上げたいと思います。
 御指摘いただいた、私の下に設けるということでありますので、座長は私を念頭に置いております。その関係省庁会議は内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省の局長級に参加してもらう方向で調整をいたしております。その関係省庁会議におきまして、先ほども申し上げたような学識経験者、子育て当事者、若者をはじめとする有識者から広く意見を聞き、大胆に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
 先ほど申し上げたように、私は15日まで海外におりますが、その間もこの会議の調整を海外でも進めさせていただいた上で、帰国後速やかに、可能であれば通常国会が開く前のタイミングで第1回の会議を開催させていただきたいと、このように思っております。
 2点目の財源につきましてであります。これも再三申し上げていることでありますが、こども予算の充実については、財源をどうするかということは重要ではございますが、社会保障については様々な社会保険との関係ですとか、国と地方の役割分担、受益と負担の関係などがありますことから、丁寧に議論を進めていく必要もあり、また、社会全体での費用負担の在り方を考えていくためには、再三申し上げておりますとおり、まずは必要なこども政策が何かをしっかりと議論をしていく必要があるというふうに思っております。
 今般の総理からの指示は、まさにそのための大きなスタートであり、私の下に関係省庁が連携した体制を組んだ上で、3月末を目途に必要なこども政策についての具体的なたたき台を取りまとめてまいりたいと思います。
 その際、このたたき台が、必要な政策の実現に向けて国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く財源の在り方について議論をする土台になるよう努めてまいりたいというふうに思っております。以上です。
 
(問)総理から指示がありました、「異次元の少子化対策」という、この異次元というのはどのようなイメージで捉えさせていただいたらよろしいでしょうか。
(答)ありがとうございます。これまで保育の受け皿整備や幼児教育・保育の無償化を中心に、その拡充に政府は取り組んでまいりました。例えば、具体的な結果といたしましては、待機児童は平成29年の約2.6万人から去年は約3,000人まで減少するなど、大きな成果があったと、このように考えております。他方で、昨年の出生数は80万人を割り込む見込みとなるなど、少子化の現状は危機的な状況にあると考えております。
 その総理の指示を踏まえまして、私といたしましては、この「異次元の少子化対策」といたしまして、漸進的な対策にとどまらず、長年の課題の解決に向けて一気にこれらを前進させ、若い世代の子育てへの不安を払拭させられるよう、ライフステージに合わせた総合的かつ大胆な少子化対策、これに挑戦をさせていただきたいと考えております。
(問)先ほど大臣がおっしゃった、その検討会でのたたき台という面なんですけれども、これは最終的には提言書を取りまとめるとか、その出口はどのような形を想定されているのか、教えていただけますでしょうか。
(答)それをたたき台と申し上げるのか、提言と申し上げるのか、報告書と申し上げるのかはさておきまして、3月末を目途に何らかのこども予算の強化に向けた具体的な取りまとめをさせていただいて、先ほど申し上げたように、私の試案に基づいて総理の下で更に検討を4月以降は深めていただくと。そのようなイメージでおります。そういうことですので、3月末を目途に何らかの提言と申しますか、具体的なものというのは取りまとめてさせていただきたいというふうに思っています。
(問)さっきの土台というところなんですけれども、3月を目途のところというのが、少子化対策、これまでも非常に難しくて、政府としてどういうふうに取り組んでいくかというのは、今までいろいろな歴史があったと思うんですけれども、大臣としてはどういうところに力点を置いたらいいのか、どういうような形で取りまとめていきたいというふうな思いがあればお願いします。
(答)力点はまさに総理がお示しをいただいた3つの方向性、これが中心になると思います。やはり経済的な理由で、こどもを持ちたいけど持てないというご家庭がたくさんいる中で、どうやって経済的に支援をしていくか、あるいは、働きながらこどもを育ててらっしゃる方への、量は先ほど申し上げたようにかなり増やしてまいりましたが、今度は安心してこどもを預けていただけるような質の充実をどう図っていくかと同時に、こどもをご家庭で育てていらっしゃる方々への安心の確保という意味では、産後ケアとか一時預かりのサービスをいかに充実させていくかということであります。
 もう一つはやはり先ほども申し上げたように、仕事と育児の両立支援ということでありまして。M字カーブは解消できましたものの、まだ出産を機に女性が正規として職場に戻れていないという現状がありますので、特に女性の皆様方が男性の育児参画を得ながら、いかに仕事と育児を両方進めていただけるかというような環境整備であります。
 いずれについても、これまで我が国で課題として指摘されていながらも一遍に解決にまでは至っておりませんでしたので、先ほど申し上げたように、これを機会に総理の強い思いもございますので、そういった課題が一挙にその解決に近づいていって、子育て世帯の皆様方が抱える不安というのを大きく払拭できるような、そういう取りまとめに向けて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
(問)大きなテーマだと思うんですけれども、3月まで政策の議論をされて、4月以降はまた財源の話ということになっていくのかと思うんですけれども、かなり時間軸が短い中でどういうふうに進められていく予定でしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、スピード感を持って密に議論を進めていきたいとも思っております。これまでもこども家庭庁準備室の下で、有識者会議を開催をさせていただきましたり、あるいは、こどもや若者、子育て当事者をお招きをいたしました「こどもまんなかフォーラム」も複数回重ねさせていただきました。更には、私自身も様々な現場にお邪魔をさせていただきまして、車座集会もさせていただきました。
 そういう意味では、今回の総理指示を待たずに、私たちとしてはこれまでにない、かつてない規模で関係者からお話を聞き、そして課題について把握をしているというふうな思いがありますので、そういったことも土台にしながら、短い期間ではありますけれども、中味のこもった、そういう仕上がりになるように努力をしていきたいというふうに思っております。
(問)2点ございます。1点目は3月までに報告書を取りまとめるというのは、総理が前倒しにされた理由について、大臣に御説明はあったかどうかについて、教えてください。
(答)特にその点については、コメントはございませんでした。
(問)もう一点が、予算倍増に向けた大枠ですとか道筋という言葉の確認なんですけれども、先ほどの説明ですと、必要な施策の積み重ねということで、財源については決めていかないというお話だったんですが、大枠の段階でも財源について触れる可能性というのは、あるのか、ないのかということを教えていただけますでしょうか。
(答)財源については、先ほどの質問と重なる点がありますので繰り返しになってしまいますが、もう一度申し上げさせていただきます。
 こども予算の充実については、財源をどうするかというのは極めて重要でありますが、社会保障については様々な社会保険との関係ですとか、国と地方の役割分担、受益と負担の関係などがありますことから、丁寧に議論を進めていく必要があり、社会全体の費用負担の在り方を考えていくためには、まずは必要なこども政策が何かをしっかりと議論する必要があると考えております。
 したがいまして、私の下で関係省庁が連携した体制を組んで、3月末を目途に必要なこども政策についての具体的なたたき台を取りまとめてまいります。このたたき台が必要な施策の実現に向けて国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含めて、幅広く財源の在り方についても議論する土台となるように努力をしていきたいというふうに考えています。
(問)今後の議論の進め方について伺います。これは関係省庁で構成する会議に、その他の有識者であるとか、当事者の方をテーマごとに招いてヒアリングをしていくという予定なのか、それとも、いわゆる有識者会議のように、構成員の方々がそれぞれ意見を出し合って、案をまとめていくということなんでしょうか。
(答)今のところ、私どもが想定しておりますのは、構成員としては先ほど申し上げたような内閣官房や内閣府、文部科学省や厚生労働省といった関係省庁でございまして、その会議ごとに先ほど申し上げたような学識経験者、若者や子育て当事者をお招きいたしまして意見を聞くと、こういった進め方を想定しております。
(問)大臣が先ほどおっしゃっていたこども政策の財源論、これからいろいろ議論は活発化してくると思うんですが、昨日、テレビ番組で甘利さんが「こども予算倍増については消費税も含めて地に足をつけた議論をしていかなきゃいけない」という発言もありました。この消費税というところは、少なくともこども予算倍増には5兆円の予算が必要になってきますけれども、消費税に触れる可能性について、現在の大臣の認識はどのように。
(答)これも繰り返しになりますが、先ほど言ったことに尽きると思いまして。まずは必要なこども予算が何か、少子化を抜本的に解決し得るような大胆な対策は何かをしっかりと議論した上で、社会全体の費用負担の在り方というのが議論できると思っておりますので、そこは何が入るかとか、何が入らないかという議論ではなくて、まずはこども予算をどうしていくかということについて、しっかりと議論を進めさせていただきたいと、このように考えております。
(問)今の質問とまた重なる形になってしまうかもしれないんですが、今度の3月末にまとめられるたたき台の時点で、年頭会見であった児童手当をはじめとした3つの対策について、個別具体に取りまとめると思うんですけれども、その中にその必要な財源規模とか財源のスキームというのは盛り込まないということで、その議論は4月以降になるということでよろしいでしょうか。
(答)この報告書と言いますか、先ほどからたたき台と言いますか、試案と言いますかどうかは別といたしまして、今日、総理から御指示をいただいた段階であります。これから議論がどう進んでいくか、それ次第だと思っておりますので、現時点において私自身が3月末に出来上がるであろう報告書の何が入って何が入らないというのは、まだ早計に過ぎるかなと、このように考えております。
(問)総理の指示の中、3つの柱の中に働き方の改革が入っておられました。大臣はこども施策のみならず、大きな施策の柱として、男女共同参画も所管されておりますけれども、働き方の改革に当たって、男女共同参画の観点からの検討も必要と考えますが、今回立ち上げられる検討会の方には男女共同参画局長も入られるということでよろしいでしょうか。お願いします。
(答)ありがとうございます。御指摘のように、やはり私、何度も申し上げているように、ジェンダー平等の実現と少子化対策というのはコインの表裏だというふうに思っております。しっかり働き方改革を進めて、今、女性に残念ながら偏っております、我が国の家庭における無償労働の負担割合、これを解消しない限りは、なかなか少子化の改善にも繋がらないというふうに強く考えております。先ほど申し上げた内閣府の中に男女共同参画局が入っておりますので、是非男女共同参画局にも入っていただいて、女性活躍の視点から、男女平等の視点から、しっかり少子化対策の議論にも参加をしていただきたいと、このように思っております。
(問)話が変わってしまうんですけれども、年初の会見ということもあって、今年こども家庭庁も発足しますし、こういった動きも出てくる中で、今年1年の抱負みたいなものが大臣御自身にあれば、お願いします。
(答)先ほど来、話題になっておりますようなこども予算の将来的な倍増に向けた大枠の議論というのもこれまでも続けてまいりましたが、年初をもっていよいよ本格化をいたします。それだけではなくて、4月にこども家庭庁の設置も当然ございます。
 この1年本当に6割以上の方がこの国は子育てに温かくないと思われてしまっておりますので、それを本当に払拭したいと思っています。
 私も先ほど申し上げたように、いまだかつてないほどこの4カ月強の間であっても、多くの若者やこども、子育て当事者とお話をさせていただきました。特に印象に残りましたのは、我が国において子育てをする時に、経済的にも大きな負担があると。更に、キャリアの面でもマイナスが生じてしまうと。こどもと接してかわいいという感情以外は、こどもを産み育てたとしても、なかなか夢や希望が持てない。この発言に私はすごく大きく心が動かされたと同時に、本当にこういうふうに思ってしまうような、子育て罰という言葉もありますが、ご家庭を少しでも1つでも減らしたいというふうな思いを強く思っております。
 そういう意味では、今年がその様々な子育て施策のターニングポイントになるような1年にしていかなければならないというふうに思っております。私自身も今年1年も丁寧に、されどスピード感を持ってリーダーシップを発揮をしつつ、その実現に向けて努力を続けていきたいというのが、今年の私の抱負です。

(以上)