小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年12月23日

(令和4年12月23日(金) 10:42~11:02  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 よろしくお願いします。今日は4点あります。
 まず1点目、令和5年度予算案についてでありますが、本日の閣議決定に向けて現在調整中でありますものの私の所管事項に関する主なポイントをご説明したいと思います。
 まず、こども家庭庁の予算につきましては、昨年度当初予算と比較いたしまして、約1,200億円増額の約4兆8,000億円を計上する予定であります。
 個別事業についてご説明を申し上げます。大臣折衝の後のぶら下がりでも申し上げましたが、1点目は令和4年度第2次補正予算において創設いたしました、妊娠時から出産・子育てまでの一貫した伴走型相談支援と計10万円相当の経済的支援を一体として実施をする出産・子育て応援交付金についてであります。
 令和5年度当初予算においては、令和5年度下半期に必要な予算約370億円を計上する予定です。本事業の事業費が満年度化する令和6年度以降においても継続的に実施できるよう、安定財源の確保について引き続き検討してまいります。
 2つ目は、現場の保育士の負担軽減を図るための措置です。教育・保育給付費の基礎となる公定価格について、大規模な保育所において25対1の配置を実現可能とするため、チーム保育推進加算の充実を行うことといたします。公定価格による措置と併せて、見落としなどによる園児の事故を防止するため、登園時やプール活動といった多くの「人の目」が必要な時間帯の支援員配置を支援することといたします。
 「0.3兆円超の質の向上事項」の一つである「4・5歳児の職員配置の改善」を全ての施設について実施するためには、より大きな安定財源の確保が必要になります。しかし、長年にわたり着手できていなかった4・5歳児の配置改善の実現に向けた第一歩といたしまして、今般の措置により、現場で日々頑張っていらっしゃる保育士等の皆様の負担軽減を図っていきたいと考えております。
 3つ目は、産後ケアの利用料減免についてであります。産後ケア事業の利用者負担については令和4年度から非課税世帯を対象に減免支援を実施をしているところでありますが、全ての産婦が産後ケアを利用できるよう所得の如何に関わらず減免支援を行うことで、利用者負担の軽減を図ってまいります。
 4つ目は、地域におけるいじめ防止対策の体制構築の推進についてであります。学校外でのいじめ防止対策推進のため、自治体の首長部局が専門家などと連携し、いじめの相談から解決まで取り組むためのモデル事業や、第三者性の確保などに関して学識経験者等が助言等を行う「いじめ調査アドバイザー」の活用事業を新たに創設をさせていただきます。
 近年のいじめ問題の深刻化などを踏まえ、こどもの権利利益の擁護などを行う観点から、新たにこども家庭庁でもいじめ防止等の対策を行うことにより、これまでの延長線上を超えた対策を講じてまいります。来年度予算については、将来的なこども予算の倍増に向けた一里塚となるような予算とすることができたものと考えております。
 次に、税制改正についてご説明いたします。
 結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置について、適用期限を2年間延長いたします。関係団体とともに利用件数の増加に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、機構・定員についてご説明を申し上げます。
 来年4月設置のこども家庭庁の組織体制につきましては、長官をトップに、長官官房、こども成育局、こども支援局の1官房2局体制とし、この他、審議官2名、課長級ポスト14名、室長級ポスト11名を設置させていただきます。
 定員については各府省からの振替や新規増員により、内部部局350人、国立児童自立支援施設80人、総計430人を配置することといたしております。内部部局につきましては、内閣府・厚生労働省からの事務移管分208名から約1.7倍の大幅増とすることができました。これらの組織体制により、強い司令塔機能、政策立案機能を十全に発揮をし、こども政策を強力に推進をしてまいりたいというふうに思っております。
 そして、2点目であります。「女性活躍と経済成長の好循環実現に向けた検討会」についてであります。
 この点、お手元に資料があると思いますが、このたび私の下で有識者の皆様をお招きいたしまして、新たに今申し上げた検討会を開催することといたしました。ご報告をさせていただきます。
 岸田内閣の目玉政策であります「新しい資本主義」においては、多様性の確保が重視され、その中核として「女性の経済的自立」が位置付けられるなど、まさに女性活躍を重要課題の一つとして取り組んでおります。
 今月1日に開催された経済財政諮問会議におきまして、岸田総理から、「希望する女性が正規職に従事して働きながら、安心してこどもが育てられる社会を構築すべく、女性の就労、正規化促進等に向けて取り組む」よう指示がございました。
 また、女性の経済的自立に向けて、その解消が求められる男女間賃金格差はお手元の資料の2ページにもありますとおり、職階の男女差が主な要因との指摘があり、女性役員比率の向上を始め、女性の登用を促進することが重要であると同時に、女性の登用促進は、これは5ページ目に記しておりますが、企業のパフォーマンス向上の面でもメリットがございまして、我が国経済の発展にも資すると考えております。
 他方で、3ページ目にありますとおり、全上場企業の女性役員の割合は現状9.1%。東京証券取引所のプライム市場上場企業に限っても未だ約2割の企業において女性役員がいないというのが現状でありまして、更なる対応策を講じることが必要不可欠であります。
 加えまして、岸田政権が推進するスタートアップやDXを重点分野とする「成長のための投資」、リスキリング等の「人への投資」にも関連する女性起業家への支援や女性デジタル人材育成等の取組は、経済的自立の観点でも重要でありますが、こちらにつきましても資料4ページ目に記しておりますように、いずれも我が国の現状を見ると、道半ばの状態となっております。
 このような問題意識の下、これまでよりももう一歩踏み込んだ施策を幅広く検討する場とするために、この「女性活躍と経済成長の好循環に向けた検討会」を立ち上げることといたしました。こちらのパネルにも記しておりますし、お手元の資料でいえば6ページ目に書いておりますように、今申し上げたような女性役員比率の向上、女性デジタル人材の活躍、男女間賃金格差の解消に加えて、女性のアントレプレナーの支援、こういったものを通じて女性活躍と経済成長の好循環を実現し、こちらの矢羽根に書いてありますように、女性の経済的な自立と企業のパフォーマンスの向上、この両立を図っていきまして、最終的には私どもが目指す個性と多様性が尊重される社会に加えまして、我が国の経済社会のサステナブルな発展を目指すための議論のきっかけとなるような検討会にしたいというふうに思っております。
 メンバーについてでありますが、1ページ目に書いておりますように、金融経済界の一線の皆様方にお願いをいたしました。座長をお願いいたしております三菱UFJ銀行の平野特別顧問をはじめ、経済・経営の専門家であります構成員の皆様と課題解決に向けた実効性ある施策の取りまとめを目指したいというふうに思います。
 まず早速、今日の午後、第1回会議を開催いたしまして、以降毎月1回程度の開催を予定しております。本検討会におきます議論の成果を来年度策定する「女性版骨太の方針2023」にしっかり盛り込むべく、内容の濃い議論を行ってまいりたいと思います。
 3点目であります。来週12月26日月曜日に、第6回「孤独・孤立対策推進会議」を開催する予定でありますので、お知らせをいたします。
 今回の会議では、「孤独・孤立対策の重点計画」及び「孤独・孤立対策の関係予算」を議題とする予定であります。
 昨年末に策定した孤独・孤立対策の重点計画については、孤独・孤立の実態調査結果等を踏まえて、これまで有識者会議や推進会議での審議など、見直しの検討を進めてまいりました。こうした検討を経て、来週26日の推進会議で重点計画の改定を決定したいと考えております。加えて、孤独・孤立対策の関係予算についての報告を併せて行う予定としております。
 詳細については事務方にお尋ねいただきたいと思います。
 最後、4点目。バリアフリー・ユニバーサルデザインを担当する内閣府特命担当大臣として報告をいたします。
 バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進について顕著な功績又は功労のあった個人または団体を顕彰し、優れた取組を広く普及させるため、今月26日月曜日に、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式を開催いたします。
 近年、地域生活・就労の支援強化や、障害の有無にかかわらず誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う「心のバリアフリー」など、様々な施策に取り組んでまいりました。この表彰を含めましたユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進を通じて、バリアフリー・ユニバーサルデザインが社会の中で更に普及していくことを期待しております。
 今後とも全ての方々が生きがいを感じ、多様性が尊重される共生社会の実現を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
 なお、表彰式の詳細については、これもまた事務方にお尋ねください。

2.質疑応答

(問)冒頭発言にあったこども家庭庁の予算に関して伺います。先ほど、将来的なこども予算倍増に向けた一里塚という発言がありましたけれども、今回に関しては倍増という目標に比して伸びが小幅にも見受けられます。来年度以降の倍増に向けて、どのように取り組まれるのか、あらためてお伺いさせてください。
(答)概算要求の段階と比較をしても今回、1,200億円の伸びでありますので、しっかりと私どもの要望、目玉の施策の一つであります伴走型支援と10万円相当の経済的給付も含めて、政府部内でお認めいただいたと思います。
 他方で、ご指摘のとおり、将来的な予算の倍増ということを私どもも申し上げておりますので、その点につきましては引き続きまさに総理が骨太の方針までにその道筋を示すということを申しておりますので、こども家庭庁としてもその議論をしっかりと来年以降も積み上げていき、そして、国民の皆様方に我が国が子育てに温かい社会であるという実感をいち早く持ってもらえるように、努力を続けてまいりたいというふうに思います。
(問)冒頭発言にあったこども家庭庁組織体制についてお伺いします。今回、合計で430名という体制で発足することになったというご説明がありましたけれども、大臣として「こどもまんなか」社会を実現していく体制として十分な数だとお考えでらっしゃるかどうかという受け止めをお願いします。
(答)先ほど申し上げましたように、現状の200名程度から約1.7倍ということでありますので、現状の体制から大幅な増員となる見込みでありまして、局の体制も1官房2局体制ということであります。こうした規模の組織の中では、この2局体制というのは非常に異例のことだというふうに思っておりますし、大変充実した体制で来年の4月の発足を迎えることができるというふうに感じております。
 重要なのは、この体制の下でしっかりとした施策に結び付けていくということでありますので、これらの人員体制を最大限に活かして、こども政策を強力に推進をしてまいりたいというふうに思っております。
(問)先ほどの予算の関係で1点お伺いさせてください。保育士の課題とか支援員の増員についてなんですけれども、この秋の置き去り事故とか、世論が求めている配置基準との連関で、踏み込んだご所感があれば。
(答)これは再三申し上げていることでありますが、まさに冒頭申し上げたように、保育所におけるこどもの人数と職員の配置について一定の仮定の下で試算をしたところ、利用定員が121名以上の保育所において、4・5歳児の各年齢別クラスの人数が25名より大きくなる結果となりました。この場合、一定の要件を満たすと、1人の保育士が加算される現行のチーム保育推進加算を活用しても、なお4・5歳児クラスのいずれかにおいて公的価格上、1人の保育士が25名を超えるこどもを担当せざるを得ない状況になることになります。
 様々な場面で、保育現場の人員が不足をしていて大変だというお声も頂きましたので、今回、チーム保育推進加算を活用することで、公定価格上、4・5歳児の各年齢別クラスで25対1の職員配置を確保できるよう、利用定員が121名以上の比較的規模の大きな保育所について、チーム保育推進加算の加配人数を2名に拡充することにしたところであります。
 今回の措置は長年にわたり着手できていなかった4・5歳児の配置改善の実現に向けた第一歩と位置付けておりまして、1人の保育士で25名を超えるこどもたちを担当している場合もある大規模な保育所について改善を行うものであります。
 施設の規模を問わず、全ての施設について4・5歳児の配置改善を実現するためには、冒頭申し上げたように、より大きな安定的な財源の確保が必要となりますが、引き続き担当大臣として安定的な財源の確保と併せて幼児教育と保育の質の向上や、保育士の皆様の負担軽減のための配置基準の改善ということは政府部内で訴えていって、努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
(問)2点ありまして、1点目は今のチーム保育推進加算の関連です。今回の加算では、定員が121名以上の大規模な保育所が対象になっているという。これに当てはまる保育所は私立と公立合わせて全体の18%ということなんですが、121名以下の小規模の保育所にはどのように対応していかれるのでしょうか。
 あともう1点目が不適切保育の関係です。昨日も新潟の方で園児をロッカールームに閉じ込めるなど不適切な保育が相次いでいますが、実態調査について、年内に保育現場や自治体を対象に調査を開始できるように検討しているということだったんですが、スケジュール感を教えてください。
(答)全体的な施設の配置基準の4・5歳児のところの改善を実現するためには、先ほど申し上げたように、より大きな安定的な財源の確保が必要であり、それに向けて担当大臣として努力を続けてまいりたいと思います。
 今回の中でのこの121人未満の保育所への対応についてということでありますが、チーム保育推進加算が加配される人数は1名となりますものの、121名未満の保育所でも取得することができます。
 他方で、要件を満たしていても、聞くところによりますと、必ずしも加算を取得していない保育所の例もあるというふうに考えておりますので、改めて本加算についての周知を121名未満の保育所に対しても図ってまいりたいというふうに思っております。
 と同時に、こうした公定価格による措置とは別に、登園時の繁忙な時間帯などの職員配置の充実ですとか、あるいは令和4年度第2次補正予算での登降園管理システムに対する補助率のかさ上げ等も実施しているところでありまして、保育所の規模による制限の無い、こうした政策も組み合わせて引き続き保育現場の負担軽減に努めてまいりたいというふうに思っております。
 2点目の不適切な保育に関する点でありますが、こどもの安全・安心が最も配慮されるべき保育所において、このような不適切な保育の事案はあってはならず、これは繰り返しになりますが、誠に遺憾に感じております。
 保育所等における虐待等に関する対応につきましては、内閣府と厚生労働省の連名で、保育所や認定こども園等に対して、12月7日に自治体に対して事務連絡を発出いたしまして、まず保育所等における虐待の発生防止を改めて徹底すること、次に、虐待が疑われる事案が発生した場合の行政への速やかな情報提供・相談など、第3に、行政における迅速な事実確認の実施、最後に、保育士の登録の取消についても十分な事実確認の上で適切に対応することなどを周知したところであります。
 また、今後の対応に活かすために、保育施設における虐待等の不適切な保育の実態や、通報等があった場合の市町村等における対応や体制について、全国的な実態調査を行っていくということも申し上げたとおりであります。
 お尋ねのこの本調査のスケジュール感でありますが、来週にも調査を開始する方向で、現在、調査項目等について厚生労働省と調整中であります。調整がつき次第、また皆様方にご報告を申し上げたいと思います。

(以上)