小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年11月11日

(令和4年11月11日(金) 9:32~9:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 まず冒頭、私から4点ございます。
 1点目は、昨日、11月1日に、広島市の特別支援学校の小学部の児童がスクールバスの中に約45分間取り残される事案があったとの報道がありました。本件については学級担任が適切に対応したことで大事には至らなかったものの、静岡県牧之原市の事故があって間もない中で繰り返し同様の置き去り事案が起きていることは極めて遺憾に感じております。
 私を議長とする関係府省会議において、10月12日に緊急対策を取りまとめたところでありまして、特別支援学校についても所在確認と安全装置の装備を義務付けるとともに、安全装置の装備について事業者の負担が実質的にゼロとなるよう定額補助を行う予定であります。
 緊急対策についても、特別支援学校に対して地方自治体を通じて周知をしているところであります。これも繰り返し申し上げていることでありますが、今回のようなヒヤリハット事案について施設内での共有を徹底していただくと同時に、そういった事例をきちんと蓄積し、他の施設に共有することも重要でありまして、ヒヤリハット事案を事故の防止に繋げていくことも徹底していきたいというふうに思っております。
 また、所在確認の義務化は来年の4月からでありますけれども、この義務化を待たずとも、やはり各施設には所在確認を徹底していただきたいと思っております。安全徹底マニュアルはもう既に先月作成をして、各自治体を通じて施設に周知しておりますので、このマニュアルに沿った対応、例えばチェックシートをバスの中に置いてきちんとチェックをしていただくとか、そういったことは来年の4月を待たずともしっかりやっていただきたいというふうに強く思っております。
 こうした各施設における安全管理の徹底について、各自治体を通じて現在行っております実地調査を含め、様々な機会を捉まえまして改めて周知徹底を図るよう、私から事務方に指示をしたところでもあります。
 国におきましては引き続き緊急対策をスピード感を持って着実に推進をしてまいります。また、各自治体等においても緊張感を持って安全対策に取り組んでいただきたいというふうに強く思っております。
 2つ目です。今日の閣議におきまして、今月20日を「家族の日」とし、その前後1週間である明後日13日から26日まで「家族の週間」を実施することについて、閣僚の皆様にご協力をお願いしました。
 「家族の日・家族の週間」は結婚、妊娠・出産、こども・子育てに温かい社会の実現に向けて、多様な家庭や家族の形態があることを踏まえつつ、国民の皆さまに子育てを支える家族と地域の大切さ、世代間の助け合いについて理解を深めていただくためのものです。
 内閣府では20日から「家族の日オンラインフォーラム」をYouTubeでの動画配信により開催いたします。私からも国民の皆さまにメッセージをお伝えする予定です。詳細はお手元の配布資料をご覧ください。
 そして、明日11月12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施いたします。私の右側に今年のテーマを書きましたポスターも用意してございます。女性に対する暴力は重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。この運動はその認識を広く社会全体で共有し、暴力の根絶を目指すものでありまして、本年は「性暴力を、なくそう」というテーマの下に実施をさせていただきます。
 今日の閣僚懇談会では、各閣僚に対して本運動への協力を求めるとともに、運動期間中、シンボルマークであります、私の胸に付いておりますパープルリボンを着用するようお願いをいたしました。明日からは全国47都道府県、380カ所以上でシンボルカラーであります紫色にライトアップをする「パープル・ライトアップ」を行うなど、各地で様々な意識啓発のための取組を行います。私もメッセージ動画により、国民の皆様に呼び掛けを行ってまいります。動画はお手元の資料からご覧ください。
 また、先週、オンライン視察を行いましたワンストップ支援センターをはじめ、性犯罪・性暴力被害の相談窓口では、被害にあわれた方の声を何よりも尊重し、意思を守ることに全力を尽くしていただいております。ためらわずにご相談をいただければと考えております。
 本運動を通じ、性暴力のない社会をつくるために、それぞれの場で一歩を踏み出していただきたいと思っております。皆様のご協力をあわせてお願いを申し上げます。
 最後、4点目であります。政府の総合緊急対策の一つであります、「孤独・孤立相談ダイヤル#9999」の試行についてであります。次回は12月1日の1日間と年末の12月28日からの1週間実施させていただきます。12月1日におきましては、これまでの試行において利用者の選択が一番多かった「孤独・孤立での悩み」に特化し、より広く協力団体を募って体制強化を図りつつ、集中的に相談を行う予定であります。
 また、年末の12月28日からの1週間については、既存の窓口も閉まり、利用者のニーズが高まる時期に実施をするものであります。孤独・孤立の問題でお悩みの方はこどもから大人まで、外国人の方も含めてぜひこの機会にお悩みをお話しいただければと思います。
 冒頭発言は私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭に発言された広島の特別支援学校の件なんですけれども、これは前も岩手県でも起きたばかりで、なぜこういったものが緊急対策をしている中でも繰り返されてくるのか。大臣のお考えをお聞かせください。
(答)一つは冒頭に申し上げたように、ヒヤリハット事案、もしかしたらこれまでも発生していたものの十分に施設内での共有ですとか、あるいは自治体への報告というのが図られていなかった可能性があるかと思います。
 そういった点については、私どもも隠さず、ヒヤリハット事案については施設内に速やかに共有すると同時に、またそういった事例の蓄積をして、意識啓発もしていきたいというふうに思っておりますので、そういった形で改善を図っていきたいというふうにも思っております。
 また広い意味で言えば、やはりまだまだ各施設の現場、多忙な中でなかなか意識が回っていないというところもあろうかと思っております。そういった点につきましては、そういった中にあっても意識を持ってこどもの置き去り防止をしていただくためのマニュアルみたいなものも、先ほど申し上げたように私どもは作りましたので、そういったものを活用していただきつつ、今後そういった置き去り防止に努めていただきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、やはりこどもの命に関わるものでありますから、私としてもこの短い期間でこういった事案が多数発生をするというのは大変憤りを感じているところもありますので、いま一度、冒頭申し上げたように、自治体を通じて周知徹底を図るよう事務方に指示したところであります。
(問)冒頭発言の「女性に対する暴力をなくす運動」についてお伺いします。この相談件数が上がっているというような資料もありますけれども、実態としては性被害者、性暴力の被害の方が実際に相談に繋がって声を上げられるケースというのは、かなりこれは氷山の一角だというような指摘もあります。
 政府として改めてこういった性被害、性暴力の被害者が声を上げやすい環境をつくるために、どういったメッセージ発信が必要なのか。もう一度お伺いします。
(答)ありがとうございます。
 まさに実際に被害をあわれていながらも、1人で悩み、誰にも相談をされていないという方も多数いらっしゃると思います。そういった方々に対して、自分で抱え込まずにしっかりと相談をしてほしいということを広く知っていただくものが今回の期間だというふうに思っております。だからこそ今回は「性暴力を、なくそう」というテーマの下に様々な運動を展開しているところであります。
 そういった中で、そういった被害を受けた方が速やかに相談をしていただけるように、「#8891はやくワンストップ」などの周知、相談窓口の周知も進めていきたいと思っております。また、SNSの相談、「Cure Time」の実施、性暴力被害者のための夜間・休日コールセンターの設置などの取組も行っております。
 今後もワンストップ支援センターなどの相談窓口をこういった形で広く周知をするとともに、一方でやはり受け皿づくりも重要ですので、その体制強化等にも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
(問)内閣府も先般、アンコンシャス・バイアスについての調査を行っています。その結果、アンコンシャス・バイアスの言葉を2割しか分からなかったということで、男性ほど意識が強く、また、発言や言動だったりするのは女性の方が多かったという結果だったと思います。大臣自身の受け止めと、また、内閣府として今後政策へどう活かしていくか、お考えがあれば。
(答)ありがとうございます。
 ご指摘のとおり、11月8日に計画実行・監視専門調査会で、性別による無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスに関する調査結果を報告し、公表いたしました。
 これもご指摘のとおり、今回の調査によりますれば、性別役割の「意識」は男性が強い一方で、直接言われた・言動や態度から感じた、いわゆる「経験」の方は女性の方が多いことが判明をいたしました。
 ということは、男性は女性と比べて性別に基づく役割を直接言われた、あるいは言動や態度で間接的に接した「経験」は少なく、伝統的な役割観に自身がとらわれていること自体に気付いていない可能性が伺えます。
 そういった意味では、内閣府においてこの固定的な性別役割分担意識や、無意識の思い込みの解消に向けて、アンコンシャス・バイアスに関して気付きの機会を提供し、理解を深めていただくことを目的として、調査結果を踏まえたチェックシート・事例集、性別による固定的役割分担にとらわれないフリーイラストの作成ならびに活用促進などに取り組んできたところでありまして、今年度におきましても全国の地方公共団体の男女共同参画主管課や広報、人事管理の担当者等を対象としたワークショップの開催を行うことといたしております。
 引き続きこうした積極的な情報発信によりまして、固定的な性別役割分担意識などの解消に向けて私としても取り組んでまいりたいというふうに思っております。
(問)広島のバスの件に戻るんですけれども、こういった置き去り事案が短期間で相次いでいますが、現状のマニュアルを何か見直したりだとか、追加で対策を取られる考えはおありでしょうか。
(答)ありがとうございます。
 この広島の事案を私も子細に承知をしているわけではありません。また広島市等々を通じて状況の確認をしたいと思っておりますが、そもそも45分間バスに置き去りにされたということであります。バスの乗降車時にきちんとドライバーや補助員が所在確認さえしていればそもそも45分の置き去り自体も発生しなかったわけであります。
 今回のマニュアルではしっかりと所在確認をしてくださいということを書いておりますので、そういった我々が作ったマニュアル等々を遵守していただければ、今回の事案も防げていたのではないかというふうに推察されますので、むしろ我々が作っておりますマニュアル等々の周知徹底を図ることが事故防止に繋がるのではないかというふうに感じております。
(問)ありがとうございます。別件ですけれども、孤独・孤立相談ダイヤルについて伺います。試行の12月分で3回目になりますけれども、本格的な事業の実施に向けてこれまで積み上がってきた課題と成果などはありますでしょうか。
(答)ありがとうございます。
 2回やらせていただきました。様々な工夫もいたしましたし、相談件数も多数に上りました。ただ、応答率がなかなか上がってこないというところがありましたので、今回はまさに12月1日、1日間に絞った中で体制をかなり増強して、問い合わせに対して高い応答率で臨めるような、そういう工夫もさせていただきました。先ほど申し上げたような年末年始というのはどこの行政機関も閉まっております一方で、人が孤独感を感じやすいのもまた年末年始でありますので、そういった時期を捉まえて今回実施をすることとしたわけであります。
 3回が3回ともその前の回の教訓を踏まえつつ、新たな取組をさせていただいております。今後についてでありますけれども、そのこれまでの3回の試行結果の分析を踏まえて、今度は孤独・孤立対策の官民連携プラットフォームにおいて今後の方策を検討しつつ、これも何度も申し上げておりますが、本格実施に向けて環境整備を進めていきたいというふうに思っております。
(問)広島の方の追加でお伺いさせてください。これ、たぶん短期間に2つ起きたということというよりも、もしかしたら今まで起きていたことがこうやって報道で公表することになってくると明らかになるけど、今まで実は起きていたことかもしれないなというふうに思いますけれども、その意味で、この間、政府として調査されましたけれども、今後、例えば恒常的な調査をされていくとか、そうしたお考えというのはありますでしょうか。
(答)これも推察に過ぎませんが、これまで起きていたいわゆる重大事件・事故に至らないヒヤリハット事案が共有されていなかったということであります。
 これについては、まずは今回のマニュアルに基づいて、そういったヒヤリハット事案も隠さずに報告・共有をしてもらうということをやっていただくことが第一であります。
 今回の例えば安全装置の導入義務化とか所在確認とか、監査を通じて、その点も加味をして各自治体にやっていただくことになろうかと思っております。現時点におきましては政府が何か再調査をするとか定期的にやるというよりも、むしろ自治体の定期的な監査のところでそこはしっかり見ていただく形になろうかというふうに思っております。

(以上)