小倉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年8月26日

(令和4年8月26日(金) 11:30~11:43  於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 皆さま、お疲れさまです。まず冒頭、私からご報告を申し上げます。G20の女性活躍担当大臣会合がありまして、先日、24日の水曜日、G20では2回目となります女性活躍担当大臣会合にオンラインで出席をいたしました。会議におきまして、まず私からロシアのウクライナ侵略について最大限に強い言葉で非難をさせていただくと同時に、国際社会が協調して対応することの重要性を指摘をいたしました。
 その上で、私も登壇をしておりましたので、男女共同参画社会の実現、女性活躍の推進が我が国の確固たる方針であって、「女性の経済的自立」は岸田内閣の主要政策である「新しい資本主義」の中核でありますこと、そして「女性の経済的自立」の実現に向けまして、特に日本政府として賃金格差の解消に対して情報開示の促進等を進めていること、更には、「デジタル分野におけるジェンダーギャップ」に関しまして、「女性デジタル人材育成プラン」を策定して、総合的な取組を進めていることなどをお話しをいたしまして、各国のご理解をいただいたところであります。
 引き続き国際社会としっかりと連携をいたしまして、また同時に、国際社会に対して我が国の取組を積極的に発信をしながら、男女共同参画、女性活躍に取り組んでいきたいというふうに思います。
 冒頭、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言に関連して、女性活躍大臣会合の中で、女性のデジタル人材というのは日本でいうと全体の19%程度ということだと思いますけれども、改めて、今コロナ禍でこういったIT人材の育成や機会をいろんな人が平等に受けられるというのはすごく大事だと思うんですけれども、大臣はどういうふうにこのIT人材をより増やしていくためにどういった取組が必要か教えてください。
(答)ありがとうございます。おっしゃってくださったように、全労働者に占める女性の割合は5割弱なのに対して、残念ながらIT人材は2割弱ということで、本来はそのポテンシャルを持ってるはずの女性の皆さん方がなかなかその世界に入ってくださらないという問題があります。
 一方で、今の経済状況の中で、非常にデジタル人材に対する需要も多いですし、そういった業界における賃金や所得もほかの業界に比べて非常に高い水準となっております。そういう意味では、デジタル人材の育成というのが男女間の賃金格差を解消する上でも非常に重要な取組だと思っておりますし、これは女性だけではありませんけれども、男性、女性共に、デジタルの仕事というのは時間と場所を問わないで働ける仕事の一つでもありますので、そういった人材を育てることによって子育てしやすい社会の実現にも繋がるのではないかと思います。
 どうやって育成をするかということについては、もちろん厚生労働省や経産省、そしてデジタル庁とも連携をして私としては進めていきたいというふうに思いますが、一つは、よく言われているようなアンコンシャス・バイアスというのがあると思うのですね。ITとかシステムエンジニアの仕事というのは男性の仕事であって女性の仕事ではないというような、そういうアンコンシャス・バイアスもあると思います。実際に理工系の大学に進学している女性の数も残念ながら少ない現状を考えると、そういったものが残念ながら我が国に存在するのではないかと思います。そういったアンコンシャス・バイアスみたいなものの解消を努めるべく、発信をしてくことが男女共同参画担当大臣たる私の役割の一つなのではないかなというふうに思っています。
(問)先日、埼玉の中3生による刺傷事件というのが発生いたしました。今非常に大きな問題になっておりますけれども、今のところまだ背景は判然とはいたしませんけれども、この事件に対する大臣の所感と、あと、今のところ、孤独・孤立の問題であるとか居場所の問題であるとかというのは、これは来年以降こども家庭庁と大きく関連してくると思うんですけれども、その辺についての大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
(答)ありがとうございます。昨日ちょうど孤独・孤立対策支援をされている方々と車座集会を開かせてもらいました。その中のお一方の大空幸星さんからも同様の指摘がありまして、彼曰く、特に若い人たちというのは客観的に孤立をしているという人は少ないと。学校にも行っていますし、学校にいればクラスメイトもいるということで、客観的には孤立はしていないけれども、実は非常に内心は孤独を感じているというのが相当数いるのではないかという話でした。
 この客観的な孤立と比べて、孤独というのはある種内心の問題なのでなかなか把握しづらいところもありますし、本人が名乗り出ていただかなければいけないのだけれども、やはり自分が孤独であるということをなかなかSOSとして外に声を上げづらいというような、そういう問題もあります。個々の事案に関して原因が何だということは軽々には申し上げることはできませんけれども、やはりこどもたちの犯罪とか被害とかを防ぐ意味でも、こういう孤立だけではなくて、孤独を感じているこどもたちがどれぐらいいるかということの実態調査をしっかりとやった上で、孤独に感じているそういう若者とかこどもたちが声を上げやすいような、そういう環境をつくっていくというのが我々の仕事なのではないかというふうに思っています。
(問)前任の野田大臣のことなんですけれども、今年3月に公表された家族の法制に関する世論調査についてお伺いします。選択的夫婦別姓の賛否を問う設問過程で、男女局が法務省に対して繰り返し内容修正や削除を求めていたことが分かったんですけれども、こうした経緯について、現在の担当大臣として率直な所感をお願いします。
(答)前大臣のことではありますけれども、確認をしたところ、事前協議の中で、8回ほど男女局の方で意見を申し上げたということを確認をいたしております。その上で、今回の調査に関しては、基本的には法務省の下で行われているというふうに承知をしておりまして、私としては、法務省で行われている調査に更にコメントを挟むものではなくて、むしろ男女共同参画担当大臣として基本計画に基づいてしっかり男女共同社会を実現をしていくということだろうと思います。
(問)ありがとうございます。男女共同参画を進めていくというところの中で、野田前大臣は旧姓の通称使用には限界があるなどと何度も指摘をしていたんですけれども、実際に旧姓の通称使用の法制度について、今小倉大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私としては、繰り返しになりますけれども、夫婦別氏に関して、国民の皆さん方が深く客観的に議論ができる土台を提供していくということだと思っております。今回の調査におきましても、20代から40代にかけて、まさにこれから結婚する、あるいは結婚している方々の新制度、新しい法制度を求める声というのが8割を超えております。そういったものを発信をすべきだというふうに思っておりますし、様々な政府の会議体の中でも旧姓使用の拡大の限界についても指摘をされております。例えば、旧姓使用を拡大するにしても、非常に金銭的にも時間的にも負担が大きいというような、そういう声もございますし、あるいは海外で働くとか生活をする、そういったときに当たって非常に旧姓使用の拡大では限界があるというような、そういうお声もいただいております。
 ただ、こういった限界というのは、実際に当事者になってみないと分からないところがあります。今回の調査で非常に私が興味深いなと思ったのは、夫婦別氏に対して進めなくていいのではないかというような声が、意外と10代から20代にかけて高かったのですね。だから、当事者になってみないとその困難というのになかなか気づかないようなところもあると思うので、そういった当事者ではない方々に対してもこういう問題があるのだ、課題があるのだということをしっかり周知・発信をしていくのが私の仕事かなというふうに感じています。
(問)ありがとうございます。最後になんですが、少し先の話かもしれないんですけれども、この調査は定期的に行っていまして、次回調査に向けてのところをお伺いしたいんですけれども、今回、世論調査の専門家からは、選択的夫婦別姓の賛否と旧姓の通称使用は全く別物なのに、同じ設問の中で聞くのはちょっと無理があるとか、そもそも制度に賛成か反対か2択で聞いた方がいいという指摘もあるんですけれども、大臣として次回調査はどういう形であるべきかという考えがあればお願いします。
(答)まさにこれから法務省が中心になってより分かりやすい調査の仕方を考えていただくと思いますし、それに当たっては私どもとしても事前協議をしていくということになろうと思います。より一般的な話で言えば、国民の皆さま方にとってより分かりやすい設問とか選択肢の方が、国民の皆さん方のお考えというのをしっかり反映することにも繋がると思うので、そういった調査の在り方になるように、私どもとしても意見を申し上げるべきことがあれば申し上げるということになるんじゃないかと思います。
(問)先日スウェーデンの大使と少子化対策に関して意見交換をしたというふうに聞いています。どのようなやりとりがあって、政策に活かせそうな部分みたいなものはありましたでしょうか。
(答)実は、スウェーデン大使の元にお邪魔したのは、私、先月1国会議員として、デジタルとスタートアップを担当しておりましたもので、非常に人口は少ないながらも行政のデジタル化を大胆に進めて、かついわゆるユニコーンと言われているような巨大なベンチャー企業も多数生み出している北欧の国々に視察に行ってまいりました。スウェーデンだけではなくて、フィンランド、エストニア、そしてデンマークにも行ってまいったのですけれども、大使からその報告を聞きたいということがありましたので、基本的には視察の受け止めというか感想を申し上げにスウェーデン大使と面会をさせていただきました。もちろん、少子化担当大臣になりましたので、少子化対策についても話題に上りました。
 スウェーデン大使館は、今や北欧の国々というの非常に少子化対策も男女共同参画も進んでいる国と言われているけれども、ただ、昔はそうではなかったのだと。何十年にもわたる試行錯誤の中でようやく実現をしてきた部分もあると思うという話と同時に、やはり同じ先進国として、同じ課題を抱える国として、北欧の国々とそして日本、議論をしていくような余地があるのではないかというようなお話をいただきましたので、私としてはやはり大切な国・地域として北欧の皆さん方とこの少子化問題についてもいろいろ意見交換ができたらなというふうに思った次第です。

(以上)