谷内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年9月13日

(令和5年9月13日(水) 12:34~12:55  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨

 皆様、おはようございます。先ほどの閣議において、辞表が取りまとめられましたので御報告いたします。
 昨年8月10日より、岸田内閣の一員として、国家公安委員会委員長、防災担当、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当大臣の任に当たり、国と国民を守るという強い思いで、全力で取り組んでまいりました。
 この1年1か月の間、皆様には大変お世話になりました。心より御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 また、全てを申し上げることは出来ませんが、この場をお借りして、退任にあたっての所感を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、国家公安委員会委員長についてでありますが、私の就任は、安倍元総理の銃撃事件を受けた警護の検証・見直しが行われている最中であり、就任直後から、私自身も国家公安委員会における議論に参画いたしました。正直な話、これほど激しい、熱心な議論が行われているという姿にびっくりし、また、感銘も受けました。時に激しい議論を経て、警察庁の関与を従来と違って抜本的に強化する新たな警護要則を制定するなど、要人警護の強化に取り組んできたところでありますけれども、そのような最中に、本年4月に、岸田総理に対する爆発物襲撃事件が発生し、私も大変ショックでありました。
 その襲撃事件の反省、また、対策、今後の方策を検討し、そうした緊張の中で5月のG7広島サミットを迎えることとなりました。国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、警察も総力を挙げて警戒の強化に当たったところでありますが、おかげさまで、国内外の要人の身辺の安全と行事の円滑な進行を確保するという、開催国としての責務を果たすことができたという点で、安堵の気持ちでございます。
 今後も警護、特に選挙などは主催者等との調整ということは大変難しい面もございますが、十分連携しながら安全対策を講ずるとともに、常に不断の見直しを含めて、万全を期すことが大事だと思っております。
 他方、治安上の課題はこの警護だけではなくて、SNSで犯罪者を募集するという、今までにない新たな手口による特殊詐欺等への対策、また、度重なるサイバー空間の脅威への対処をはじめ、大変速いスピードで、めまぐるしいスピードで社会・経済情勢が変化しており、また、複雑化しております。そういう治安課題に対し、警察は着実に対処していかなければなりませんし、そのような取組にも意を用いてきたつもりであります。
 単に各省庁との連携だけではなくて、犯罪そのものが、国の境界を越えている。ASEAN、欧米との国際的な連携の強化も今まで以上に進めていくことが必要だというふうに思っております。引き続き、的確に治安課題に取り組まれることを期待をいたしております。
 次に、防災であります。防災の重要性については、言うまでもありません。昨年8月10日に着任して以来、大雨、台風、あるいは能登半島地震、自然災害が相次いだわけでございますが、これらの災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
 政府といたしましては、災害が発生してからではなく、発生する前から対策に万全を期すため、いわゆる災害が発生する「おそれ段階」では初めてとなる特定災害対策本部を設置するとか、あるいは、「おそれ段階」で災害救助法の適用を行うといったことも、宮崎県を始め、9県のほうで実際に活動させていただいたわけであります。
 全国各地10を超える被災地に出かけてまいりましたけれども、被災された方々の声をしっかりお聞きしながら、激甚災害の指定、被災者生活再建支援制度の活用など、被災地の復旧、被災者の生活と生業の再建に全力を尽くしてきたところであります。
 今年は、関東大震災から100年の節目ということでございます。大きな巨大地震に対処するため、日本海溝・千島海溝地震対策に係る基本計画も変更いたしましたが、そのほかの巨大地震に対しても、備えを強化するための取組を始めているところであります。
 併せまして、一人一人が、過去の災害の記憶とか教訓を受け継ぎ、防災意識を高めることが大変重要だというふうに思っております。
 私も事あるたびに、いつどこで災害が起こり得るかもしれないという心構え、また、心構えと併せて常にそういうことへの備えの重要さを、各地方自治体の首長を始め、関係者の皆様に繰り返し、私自身の28年前の阪神淡路大震災の経験も踏まえて述べてきたところでありますけれども、そういう意識、備えの充実・強化ということは、休むことなく持続的に続けていかなければならないというふうに思っております。
 今、台風シーズンでもあります。引き続き緊張感を持って、万全の危機管理体制の確保に努めていただきたいと思っているところであります。
 国土強靱化につきましては、現在5か年加速化対策を講じております。全国の自治体から、感謝の声が多く届いているところであります。
 ただ、引き続き、是非取組を力強く進めてほしいという声を受けて、先の国会において、国土強靱化基本法が改正され、この実施中期計画が法定計画、つまり法律の根拠がある計画とされたところであります。今後の取組に根拠を持つことになり、非常に意義のあるものと受け止めております。
 そして、このような中で、「新たな国土強靱化基本計画」を本年7月に策定したところでございますが、今後とも、強くしなやかな国土づくりにしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 海洋政策につきましては、第4期の海洋基本計画を策定いたしました。この計画の下、海洋開発重点戦略の策定と必要な予算の確保等により、海洋政策を更に強力に推進していくことを期待いたしているところであります。
 領土・主権対策についてであります。領土・主権をめぐる正確な理解、これが何よりも大切であります。国民の皆様に少しでも幅広く浸透するよう努力してまいったところでございます。
 また、コロナ禍を経て3年ぶりに「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」を開催いたしました。
 カジノについてでありますが、カジノ管理委員会は、令和2年1月の発足以来、IR整備法のカジノ事業等の規制に向けた取組を行ってきたところであり、今後申請が予定されているカジノ免許の審査に向け、引き続き、厳格なカジノ規制を実施するための着実な取組を期待いたしております。
 NISC、サイバーセキュリティの問題であります。本年7月に、「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群」、また「重要インフラのサイバーセキュリティに係る安全基準等策定指針」を策定いたしました。
 政府機関、重要インフラ事業者のレジリエンス向上や能力開発に取り組んできたところでありますが、昨今の、冒頭にお話しさせていただきました度重なるサイバー攻撃に対処するために、しっかりと政府全体として、より積極的に取り組むことを期待いたしているところであります。
 先の通常国会では、私が所管している法律の新たな成立はございませんでしたが、先の臨時国会では、FATF勧告対応法を成立させることができ、我が国のマネロン対策を国際基準に引き上げるための重要な一歩を印すことができたというふうに思っております。
 今後とも各省庁だけではなく、諸外国と連携し協調しながら、取組が進んでいくことを期待いたしているところであります。
 終わりになりましたが、在任中の皆様方の御厚ぎに改めて感謝を申し上げまして、退任の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)大臣お疲れ様でございました。警護について改めて伺います。先ほど大臣から言及ございましたけれども、安倍元総理の事件の警護検証・見直しの最中に御就任されて、就任の会見では、二度とこうした事件を起こさないためにしっかりと取り組む、警察庁に取組をさせるという意味のことをおっしゃっています。警察庁が見直しを進める中で、大臣からございましたように4月には岸田総理の事件も発生しました。更なる見直しを迫られている、ここまで対応を取ってきたところですけれども、振り返りまして、改めて警護への取組、現状どういうふうに評価されているか、それから課題があるとすればどういうふうにお考えかお願いします。
(答)安倍元総理の襲撃事件は昨年の7月8日で、私は8月10日に就任して、それ以降、国家公安委員会、臨時会も含め、たくさんの回数を十数回やられたかと思いますが、私もそのうち半分ぐらいの会合に出席させていただきました。
 その中で、大変熱心な激しい議論を経て報告書が取りまとめられ、新警護要則を施行されたわけでありますが、ただ、結果的にこの春、岸田総理に対する爆発物投てき事件が起きたということは、やはり大変重く受け止めなければならないと思っております。
 ですから、更なる取組の強化も図ったところでありますが、しかし、一番難しいのは、やはり通常のイベントよりも選挙の時に、警護対象者がより国民の皆様に触れ合いたいという強い希望がある。一方、警備・警護の方は、できる限り安全を確保するためという、その兼ね合い、バランスをどうするかというのは、常にこれからも引き続き様々な実例を踏まえながら、磨き上げていかなければならないと思います。それは、警察だけが熱心に取り組んでも駄目ですし、政党側の協力も得なければなりませんし、また、お互いの信頼関係がなければなかなかうまくいかないのではないかと思います。そこのところが今後の課題として、バランスを図りながら、しかし、より安全な警備・警護ということが引き続き課題として、残っているというよりも、常にそれはあるということではないかと思います。
(問)防災の分野でお伺いしたいと思います。先ほどお話がありましたように、就任からの1年、全国で大きな水害とか地震とかというものが相次ぎました。大臣として被災地にも多く足を運ばれていらっしゃいましたけれども、特に印象に残っていることと、そして、特に大臣として力を入れて取り組んできたことについて教えてください。
(答)印象に残っていることは様々ありますけれども、被災された現場は、それぞれ全く同じということはないと。やはりそれぞれの地域に応じた被害の様相というものがあるということを改めて感じさせられました。
 例えば、5月5日の能登半島の地震。その時に、本州の中で一番小さい市、珠洲市。たしか人口1万3,000人だったと思います。それが平成の合併前から市であったということは、昔は3万人はいたと。しかしながら、今は1万3,000人であると。加えて、高齢化率が52%、空き家率が20%を超えている。こういう大変厳しい状況下に震度6強の地震が襲った。
 それはたまたま珠洲市ではなく、全国どこでも起こり得る人口減少、高齢化、空き家率や空き家の増加、そういう中でどういうふうに対策を講じていくか。そこのところをしっかりと考えなければならないというふうに思います。
 能登半島の地震で初めて災害救助法の適用対象にブルーシートを入れさせていただきました。それもこれだけ高齢化が進んでいる中で、やはり自ら屋根にブルーシートをかぶせるということはなかなか難しい。それは公的な費用で、現物のブルーシートの用意だけでなく、それを張りつける経費も含めて災害救助法の適用対象にするというふうに、そういう現状に合わせた対策を講じさせていただいたところであります。
 そういう現場の声をしっかりと受け止め、そして、先ほどの繰り返しではありますけれども、やはりそうは言っても毎年同じところで災害が起こるわけではない。しかし、全国どこでもそういう可能性がある。常にそういう心構えは持っていただきたい。
 そして併せて、それだけの備え、訓練も含めて、それを持っていただきたいということを、地方自治体の首長だけではなく、機会があるたびに国民の皆様に、時にテレビで、あるいはラジオで、あるいは集会で述べさせていただいたところであります。それは私自身の阪神淡路大震災の苦い教訓から、心からそう思っているということでもありました。
 しっかりと、しかし柔軟に対応するということが、災害対策にとっては重要ではないかというふうに思っております。

(以上)