谷内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年6月16日

(令和5年6月16日(金) 10:01~10:16  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。私から冒頭2点申し上げます。
 まず、1点目。本日の閣議において、災害対策基本法に基づき、毎年国会に報告することとされている「防災白書」の令和5年版が閣議決定されました。
 今年の白書では、令和5年が大正12年の関東大震災の発生から100年の節目となることから、特集として「関東大震災と日本の災害対策」と題し、関東大震災の被害及びその対応を検証するとともに、その後の大規模災害等を契機とした災害対策の進展等について記載しています。
 災害の多い我が国では、災害を自分事として捉え、「自らの命は自らが守る」という意識を国民一人一人に持っていただくことが重要です。
 本白書を通じて、国民の皆様に我が国の防災対策の歩みについて理解を深めていただくとともに、関東大震災100年を契機に、それぞれの立場で、また、それぞれの地域で、防災について考え、防災の取組を更に進めていただくことを期待しています。
 続きまして、2点目です。本日の閣議前に開催されました犯罪対策閣僚会議において、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」のフォローアップが行われました。
 警察では、まずもってこの種犯罪の首謀者や指示役を含め、犯罪者グループの実態の解明や検挙に向け、全力を挙げているところであります。
 また、「緊急対策プラン」に基づき、幅広い省庁や民間事業者の方々と連携し、
○ サイバーパトロール等を通じたいわゆる「闇バイト」等情報の排除
○ 「置き配」を含む非対面での宅配荷物の受取りの拡充等
に向けた取組を進めているところであります。この宅配の問題は、4月20日に大手宅配事業者との間で覚書を締結しております。また、
○ 特殊詐欺に利用される通信手段等の手口の分析や情報の発信
にも取り組んでおります。
 最近、相次いで発生している貴金属等を狙った強盗事案に対する対策を含め、引き続き、諸対策を強力に推進してまいりたいと考えているところであります。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)防災白書についてお聞きします。今回の白書にまとめられている関東大震災の教訓を踏まえて、政府として、今後どのような防災対策を進めていくおつもりなのかお聞かせください。
(答)今更言うまでもなく、100年前の関東大震災当時は、建物の耐震化がなされておらず、地震の揺れによって多くの建物が倒壊し、加えて大規模火災が発生したため、約10万5千人の方が亡くなるなど、甚大な被害が生じたところであります。その後、震災の教訓を踏まえて、法令による耐震規定が世界で初めて制定されるなど、建物の耐震化が進みました。
 その後の100年間においても、自然災害による度重なる大規模被害等を踏まえて、災害対策基本法を始めとする災害対策の強化が図られてきました。
 一方で、強化を図ってまいりましたけれども、我が国を取り巻く環境は大きく変化してきております。気候変動による自然災害の激甚化・頻発化。また、人口の減少、そして、高齢化。空き家の増加、SNSの普及とその活用といった大きな課題に適切に対応する必要があると思っております。
 引き続き、過去の災害の経験や教訓もいかしながら、併せて社会情勢の変化にも目配りして、災害対策の不断の見直しを行うとともに、災害対応に万全を期してまいりたいと思っております。
(問)同じく防災白書に関してなんですけれども、防災白書の中で昨年のアンケートの結果が載っているかと思うんですが、防災意識が若干低下されているという分析になっておりますが、そのことについての大臣のお考えと、また、冒頭でも「自らの命は」というお話がありましたけれども、今後どのように防災意識の向上を図っていくかということについて教えてください。
(答)御指摘のように、自然災害への対処、その場合どうするかということを家族とか身近な人と話し合ったことがないという回答が、昨年の調査では全体の約37%を占めていると、そういう数字が出ております。
 そのため、内閣府としては、あらゆる機会を通じて、国民の皆様に防災について考えていただけるよう、「防災週間」、あるいは「津波防災の日」などの時期を中心とした各種訓練や啓発活動の推進。あるいは、地域住民による自発的な防災活動に関する計画である地区防災計画。また、自ら避難することが困難な高齢者や障害者などの避難を支援する計画である個別避難計画の策定促進。そして、地域や学校における、子どもたちへの防災教育の取組の推進などの取組を行っているところであります。
 また、冒頭申し上げましたように、今年は関東大震災から100年でございます。多くの普及啓発イベントが開催されます。内閣府におきましても、この秋9月に、震源地である神奈川県において、防災に関する様々な取組を行う団体が一堂に会する「ぼうさいこくたい」を開催することにしています。様々な団体において関連行事が開催されるということを、内閣府の関東大震災100年特設ページ、ホームページにございますが、紹介しているところであります。
 これまでも多くの連載記事、この春以降既に始まっている記事も少なからずございますが、また、テレビ番組においても同様でございますが、さらに関東大震災から100年ということもあり、広く国民の皆様の防災意識の醸成を図ってまいりたいと思います。
 併せて、メディアの皆様の御協力は欠かせないところでございますので、引き続き、御協力いただけるとありがたいと考えているところであります。
 いずれにいたしましても、いろいろな媒体を使いながら、国民の皆様が防災について考え、具体的に行動いただけるよう、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
(問)活火山法の改正法が成立しましたが、その受け止めと、改正を受けて今後必要になる作業や取組があったら教えてください。
(答)先般、改正活動火山対策特別措置法が成立いたしました。この改正活火山法につきましては、本日の閣議において、公布が決定されたところであります。
 この改正法では、文科省に火山調査研究推進本部を設置することや、8月26日を「火山防災の日」と定めることなどが規定されており、火山防災対策をより一層強化するための対策を進めていく必要があると認識しております。
 内閣府といたしましては、かねてより課題となっております、避難確保計画の作成支援をより一層推進するとともに、火山防災に対する関心とか理解を深めるため、防災訓練の推進や普及啓発に努めて、火山防災対策の強化に努めてまいりたいと思っております。
 この法律そのものの施行は、来年の春となっておりますので、火山調査研究推進本部の体制や火山に関する専門人材の継続的な確保のための取組につきましては、関係省庁や地元自治体と連携して、来年度からの施行に向けて、しっかり検討を進めてまいりたいと思っております。
(問)ありがとうございます。続けてなんですけれども、国土強靱化基本法も成立したかと思うんですが、その受け止めと、改正を受けて今後必要になる作業や取組がありましたら教えてください。
(答)同じ日に、改正国土強靱化基本法も議員立法で成立いたしました。事前防災の大切さ、それを計画的に進めることの重要さということは、今更私が言うまでもないことであります。
 この国土強靱化基本法が改正されたことによって、国土強靱化実施中期計画の策定ということが法定化され、法律の根拠を持つことになった。また、国土強靱化推進会議を設置することも法律的な根拠を得たということであります。
 それによって、今、5か年加速化対策の3年目でありますけれども、この今の5か年の実施計画はしっかり行うということと、引き続き、国土強靱化の対策を継続的・安定的に取り組むことが担保されたということでございますので、しっかりと国民の生命、財産、暮らしを守ってまいりたいと考えているところであります。
 現在、法の制定を受けて、新たな国土強靱化基本計画を今年の夏をめどに策定すべく、検討を進めているところでございますが、今般の法改正で位置付けられた「国土強靱化推進会議」を速やかに立ち上げて、有識者の意見を伺って、策定作業を進めてまいりたいと思っております。
 同じく法改正で位置付けられました「実施中期計画」につきましても、必要な検討を進めてまいりたいと考えているところであります。

(以上)