山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年10月7日

(令和4年10月7日(金) 9:20~9:45  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 TPP11について2点申し上げます。まず、10月7日金曜日夜から9日日曜日、シンガポールに出張し、協定の最高意思決定機関であるTPP委員会の第6回会合に出席いたします。
 コロナ禍からの回復や物価高騰など、世界経済の不透明性が高まる中、こうした課題に対処する上でも、TPP11のような自由で開かれた貿易秩序を構築する経済連携協定の重要性は増しており、サプライチェーンの強靱化、デジタル経済やグリーン経済等の新たな課題に対する取り組みなど、TPP11協定の実施に関する取り組みや英国の加入プロセス等について議論を行う予定です。
 また、スタートアップを所掌する大臣として、この機会にスタートアップ関係者との意見交換を予定しております。
 さらに、9月30日、マレーシアがTPP11発行のための国内手続きを完了した旨を寄託者であるニュージーランドに通報いたしました。これにより、11月29日、同国がTPP11の9番目の締約国となる予定です。TPP11の主要なパートナーであるマレーシアがTPP11の締約国に加わり、TPP11のメリットの実現がさらに進むことを喜ばしく思っております。他の未締結国についても、可能な限り早期に必要な手続きの完了を期待したいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)TPPを巡って2点お願いいたします。TPPを巡っては、英国の加入交渉が遅れておりますが、今回の委員会のほうで、どの程度進展を期待するか。また、そもそも英国が加入することの意義を日本国としてどう考えているか教えてください。
 またもう1点、TPPでは中国も台湾も加入申請をしておりまして、「ひとつの中国」を掲げる、中国政府のため結構難しい対応を迫られると思いますけれども、どのように対応していかれる予定でしょうか。教えてください。
(答)英国のTPP11加入につきましては、昨年6月のTPP委員会で加入手続きの開始、加入作業部会の設置が決定されたものです。加入作業部会の議長を務めている我が国として、プロセスの適切かつ円滑な運営に努め、本年7月には東京都内で各国の高級実務者および専門家の参加を得て作業部会会合を対面で開催いたしました。
 英国加入プロセスについては、こうした会合の他、オンライン協議等を通じ様々な分野で継続的に取り組みが進められております。今回のTPP委員会については、英国が参加するわけではありませんが、TPP11締約国間で英国加入プロセスをどのように進めていくかについて議論が行われることになると考えております。
 我が国にとってグローバルな戦略的パートナーでありまして、重要な貿易投資相手国でもある英国がTPP11に加わることとなれば、TPP11を通じて、自由で公正な経済秩序の構築を推進する上で大きな意義があると考えております。
 我が国はTPP11新規加入手続きの最初の事例である本加入手続きにおいて、加入作業部会の議長としてTPP11のハイスタンダードなルール及び市場アクセスを維持しつつ、加入プロセスが適切に進められるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。また、我が国として、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、我が国の国益にかなった最善の結果が得られるように、しっかりと取り組んでいく所存です。
 中国、台湾の話がございましたが、これまでも申し上げてきましたとおり、TPP11は市場アクセスの面でも、電子商取引、知的財産、政府調達、国有企業、衛生植物検疫措置等ルールの面でも、高いレベルの内容となっております。我が国としては、加入要請を提出したエコノミーがTPP11のこうした高いレベルを完全に満たす用意ができているのかどうかについて、まずはしっかりと見極める必要があると考えております。
 加入要請を提出したエコノミーの扱いについては、他の参加国とよく相談する必要があり、加入手続きの取り進めについては締約国のコンセンサスによって決定を行う必要があるところ、我が国としては戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら対応してまいります。
(問)もう1件、別件でお願いします。旧統一教会の問題に関しまして、国会では立憲民主党の泉代表から岸田首相に「山際氏を更迭しないのか」といった厳しい質問も出ました。岸田首相は「山際大臣自ら丁寧に説明を尽くす必要がある」という答弁をされました。大臣、どのように説明し、理解を求めていくおつもりでしょうか。また、念のため確認いたしますが、大臣職を辞職される等のお考えはないか教えてください。
(答)過去に旧統一教会の関連団体との接点があったのは、悪質商法や悪質な寄付といった社会的な問題が指摘される団体であることや、被害を受けている方がまだ多数いらっしゃるという認識が不足していたためです。また、そうした団体のイベントに出席することで、いわば団体にお墨付きを与えてしまうようになったことを率直に反省しております。
 こういう状況でございますので、今まで指摘されたことも含めまして、きちんと分かっている事実というものを丁寧に国会においてはご説明を申し上げていきたいと思っております。
 一方で、総合経済対策の取りまとめやスタートアップ5カ年計画の策定、コロナ対応など、様々な仕事を頂いておりまして、一つ一つしっかりと取り組んでいくことで閣僚としての責任を果たしてまいります。
(問)シンガポールでスタートアップの関係をやられるというふうに伺いましたけど、ここはシンガポール大学とか、確か理工大学とか、もう既に東大の上の大学が幾つもあるようなところですけど、こことの関連。どのようなスタートアップ、華僑資本とやるのでしょうか。どんなお考えなのか伺いたいです。
(答)今回は、実際にシンガポールでスタートアップをもうしている、そういうスタートアップそのものの方々と突っ込んで意見交換をさせていただくということ。さらには、サポートの側であるベンチャーキャピタルの皆さんとも意見交換を膝詰めでやっていきたいと思っております。
 もちろん、今おっしゃったように、それらがプレーヤーとして、大学に所属される方もいらっしゃれば、研究者の方もいらっしゃるでしょうし様々なので、そういう意味では大学との絡みのような話というものも出るかもしれませんが、お会いする方は、そのスタートアップ関係の方とベンチャーキャピタリストの方という形でやろうかなと思っております。
(問)新型コロナ対策についてお伺いします。マスクの着用について、昨日、岸田首相が国会で「マスク着用のルールを含めた感染対策を検討する」と述べられました。この夏にマスク着用の場面の整理はされていらっしゃるかと思いますが、この場面の整理と、岸田首相のおっしゃるルールとの関係と、新たにルールを作成する意義についてお伺いします。
(答)これは総理からも答弁申し上げているとおり、原則として屋外でのマスクというものは着用する必要がないということは、これまでも申し上げてきたわけなのですが、第8波というのか、次の波に向けて、我々がウイズコロナの生活というものをどのようなものにしていくかという、そういう文脈の中で、このマスクの着用の仕方等々に関して国民のコンセンサスをしっかり得ていく必要があるよねと、こういう議論が政府全体で行われていると思ってください。
 その上で、当然これもずっとこれまでも申し上げてきたことですけれど、科学的なエビデンスというものをベースにして、我々は行動をどうするかという、ある意味ではルールのようなものを決めてきたものですから、その専門家の皆さんとの議論というのでしょうか、ディスカッションもしなきゃいけないと思っております。また社会受容性という、国民全体でどのようにしていくかということも含めて、社会がどういう雰囲気かということも、このルールを作っていく上では大変重要です。特にこのウイズコロナという話になると、そういう状況になりますので、そういうことを勘案しながら、どういうルールでいくのがいいのかということを、全体としてコンセンサスが得られるようにしていくと。そういう文脈で総理はご発言されているものだと思います。
 現段階において、いつまでに何をやるとかということは決まっているわけではないんですけれども、8波というのか、次の感染の拡大に向けていろいろ準備をしなきゃいけないという中の一つとして思っていただければと思います。
(問)現段階で、さらなる緩和を進めるというような方向性というのは、まだ分からないということですか。
(答)緩和とは、マスクの話ですか。マスクに関しては、ですから今申し上げたように、もちろん科学的なエビデンスというものも必要ですし、社会受容性というのも必要になってきますので、ウイズコロナの社会というものがどういうものかということを、これまでも慎重にやってまいりましたけど、議論する中で、こういう形のガイダンスがいいのではないかということを、改めてコンセンサスが得られるようにしてくって作業になると思います。ただ、現段階で何か決まったものがあるわけではありません。
(問)もう一点お伺いしたいのが、旧統一教会との関係についてなんですが。事務所のほうに取材をさせていただいて、世界平和連合神奈川県連合会の関係者の方から紹介された会合で、大臣が出席された会合の中にアフリカビジョンセミナーがありまして。大臣がこの会合に出席された際に、このセミナーが旧統一教会の関連団体が関係するものであるということを認識されていたというふうにご回答を頂いているのですけれども。8月10日の臨時閣議後の会見だったと思いますが、大臣がこのセミナーに出席されたことを認めた際に、「認識として、どのような方々主催しているものだということを明確に確認したかどうかというのは、私には分からない」というふうに述べられているのですが、この2つの回答が食い違うように見えるんですけども、どちらが正しいんでしょうか。
(答)これは時系列で考えていただければと思いますが、この8月10日の段階での発言っていうのは、その会議そのものに関しての資料は無かったということを申し上げていると思うんです。資料は無かったので、どなたかに紹介されたかっていうことは明確ではないというお話をしたわけなのですが、その後、この会議体が出している、公表している資料等々もしっかり確認し、その上で今般のお話をさせていただいているものだと理解していただければと思います。
(問)この神奈川県連合会の関係者の方が世界平和連合の方であるということは認識されていたというふうにも伺っていますが、その方からご紹介されたものだったというのが分からなかったということですか。
(答)これは、前々から申し上げているとおりなんですけれども、まず資料が無いんです。ですから、確実なところでどうかということを申し上げられないというのは、これまでも申し上げてきたことなのですが、しかし、どなたかからご案内をいただいているのはそのとおりで、どなたがご案内いただいているかというと、今ご指摘のあった方なんです。ですから、その方からご案内をいただいたものだというふうに認識をしているということなのですが、それ以上でも、それ以下でもないんです。
 実際に、今も公表されている資料等々を見ると、どこが主催されたものかということは書いてないんです。なので、その主催者が誰かというのは、いまだ公表資料等々からは確認できないのですが、しかし、それはいつもご案内をいただいている方からのご案内であれば、その関係のものであろうというふうに今、様々な調査を行ってきた結果として、そのように結論付けてご説明を申し上げているということです。
(問)8月10日の段階では、その方から紹介された会合だったというのが分からなかったので、会見では分からないというふうにお答えになったという。
(答)その段階では、そうだったということです。
(問)今おっしゃられたのは、ご案内をもらったのであれば、その方からだろうというのは、その時点では推測はできなかったのでしょうか。
(答)正確に物は言わなくてはいけないということで、慎重にこれまでもご説明申し上げてきたんです。ですから正確に物を申し上げると、今のようなことなんです。実際に資料は無い。ですから公表されているもの等々で確認していくしかない。その作業を必死になってやらせていただきました。やった結果ですけれども、その公表されているものを見ても、どこが主催かということは書いてないんです。しかし、私自身の事務所では、その方からのご案内を受けた時に、非常にニュートラルに、いってみれば他の団体と同じようにその方のことも扱っておりましたので、その来たものに関して、私が都合が付くならば出席し、都合が付かなければ出席しないという、そういう形でこれまで政治活動をやってきましたから、その関連の会議等々は、その方がご案内を持ってきてくださるということでしたから、そうだったのだろうと、そう申し上げているわけです。
(問)すみません、最後に。この件に関しては、会見の場でその場で指摘されたものではなくて、最初に大臣のほうから、こういうことが確認できましたというふうにおっしゃられていたかと思うんですけれども。その確認をされた段階で、当時、神奈川県連合会の方から案内をもらったものだろうという推測も、特にそこまでには至ってなかったっていう意味でよろしいんですか。
(答)ですからこれも繰り返しになりますけれど、まず自分のほうでは確認するための資料が無いので。ですから私が記者会見で申し上げたことは事実ですけれど、それは外部からのご指摘を受けて、それでそれを調べた上で、こうであったという、そういう発表をさせていただいたものだと思います。
 その後、だいぶ時がたちましたよね。その間に様々な公表されている資料等々をこちらのほうでも必死になって精査させていただいて、その結果として今、ご説明ができるようになったと。こうご理解いただければと思います。
(問)2点お伺いしたいです。先ほどのコロナのマスクの関連で、ちょっと確認させていただきたいのですが。第8波に向けての感染対策の中での検討というような話もあったと思うんですけれど、マスクについて、インフルエンザの同時流行も懸念されている中で、現時点で8波に向けてマスクをさらに緩和するようなことをそもそも考えられているのかどうかというのを、まず一点伺えますか。
(答)ですから我々は感染症対策を一方でしっかりとやり、一方で経済社会活動をいかに活性化させていくかという、まさにウイズコロナという言葉で呼んでいるような、そのオペレーションをこれからさらに進めなければいけないと、そういうコンセプトに基づいて動いております。
 なので、先ほどから申し上げているように、やみくもに全部やめてしまうというような乱暴な議論をしているわけではなくて、科学的な知見に基づいて、何が有効で、何は過剰なのかということもだんだん、これは知見が積み重なってきているということもありますから。その中で、この夏の前に、原則外にいる時にはマスクは着用しなくてもいいということを申し上げてきたわけなんです。しかし、いまだそれが社会に浸透しているかというと、そうではないですよね。ですから、これからウイズコロナの社会の中で、どうすれば感染症といわばうまく折り合いをつけていけるのかと。こういうことを科学的な知見に基づきながら。そしてもう一つ、社会的受容性というものをしっかり我々は勘案しながら、そのコンセンサスをどう得ていくかということが非常に大切だと。その作業を今、やらせていただいているということであって、やみくもに何か緩めるというような形で物事を進めようとしているわけではありません。
(問)もう一点、話題は変わりまして総合経済対策についてお伺いしたいです。昨日、茂木幹事長がガス料金についても家計・企業の負担を1割ぐらい抑えられるような措置が必要だとの発言があったのですが、都市ガスについて事業者間での融通を円滑にするとか、逼迫が生じた時の節約要請とかっていうのは検討があると思うんですけれど、電気料金のような直接的な緩和策について検討をするのか、それとも今後、検討の可能性があるのか、その辺についてお伺いできますか。
(答)エネルギーと、それから食料の高騰に対して対応しなくてはいけないという、その大きなかさの中で我々議論しておりますから、エネルギーの中にはガスも当然含まれていると思っていただいていいと思います。ですから、具体的に電気についても、ガスについても、このような形のものを何かしようというような、そういうことをまだ決めているものではありませんし、実際にガスに対して何かやるかということも決めているわけではありませんので、ですから議論の最中だと思っていただければと思います。
(問)先ほどの旧統一教会の関係で、いろいろな資料を確認した結果、どこが主催かが書いてなかったから確認のしようがないというお話だったんですけれども。だけれども関係者の方からご紹介を受けたということを確認できたっていうところが、あまり理解ができなかったので、どうして確認できたのかというところを、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)ちょっと誤解があるようなので。私のところに、事務所のほうにその関係者の方が熱心にご案内を持ってきてくださる方がいらしたわけです。ですから、逆に言うと、それ以外の方から何かご案内をいただくというようなことは、確か2019年か何かに出席をした会合がありますけれど、それはその方からではなかったと思います。私の事務所のすぐ近所にその団体の事務所があるということで、その方が持っていらしたんではないかと思いますが。基本的に、この関連団体のことに関しては、その方から何かをご案内いただくという形をしていましたので、当然、その会議に関してもその方がお持ちになったものだと、こう判断しているということです。
(問)関連団体と関係ないイベントは他の方からも紹介があるけれども、関連団体に関してはその方からしか、普通に考えたら紹介がないだろうということで、その方から紹介を受けたんだろうというふうにお考えになっているということですか。旧統一教会と関連のない他のイベントもたくさんあると思うんですけれども、それは、それ以外の方からも紹介を受ける可能性があるという。
(答)ちょっと理解するのに時間がかかりましたが、基本的に、政治家ですから、この団体とだけ付き合っているわけではないので。もう本当にあまたある、この団体を含めた宗教団体といえども―、宗教団体も、ものすごく数ありますよね。そういう団体と当然、日頃からお付き合いはしています。それが政治活動だと思います。それ以外に経済団体もあれば、他の団体もありますよね。そのたくさんある中の一つとして、この団体の方もいらしたということです。ですから、私は何か特別なお付き合いをしてきたわけではないということは、常々これまでも申し上げてきたことなんです。
 当然、それぞれの団体から様々なご案内をいただきますから、それぞれの団体のご案内は、それぞれの団体の方が持ってくるというのは当然ですよね。ですから、この団体の方の関連のご案内は、この団体の方が持ってくるっていうことを申し上げているわけで。ですから、逆に言うと、その方以外ではないということですから、この関係団体の何かイベント等々に関しては、その方からご案内をいただいたものだという整理をしているということです。

(以上)