山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年10月4日

(令和4年10月4日(火) 18:42~19:03  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 新しい資本主義実現会議の概要について、ご報告いたします。冒頭、価格転嫁対策の強化について、古谷公正取引委員会委員長から説明があり、その後、新しい資本主義の実行に向けての総合経済対策の重点事項を取りまとめました。
 重点事項は、人への投資と分配、スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進、科学技術・イノベーションへの投資、資産所得の倍増、経済社会の多極集中化、GX及びDXへの投資、社会的課題を解決する経済社会システムの構築、経済安全保障・サプライチェーン強靱化・個別分野の取り組みの8本柱です。
 これらについては、今回の補正予算、あるいは年末の税制改正大綱にしっかりと反映してまいります。
 重点事項の主な内容は以下のとおりです。人への投資と分配について、持続的な成長と分配の好循環を達成し、分厚い中間層を形成していくため、短期・中長期にわたる賃上げが不可欠である。
 短期の賃金引上げに向けては、政府としては来春の賃金交渉において、物価上昇をカバーする賃上げを目標にして、個々の企業の実情に応じて労使で議論いただきたい。
 公正取引委員会は、中小企業の賃上げが可能となる環境を整備するため、転嫁拒否の悪質事例は、公表し、改善を強く促すなど、踏み込んだ対応をお願いする。
 非正規雇用労働者の待遇の改善を図るため、正規と非正規との不合理な待遇差を禁止する、同一労働同一賃金の施行を強化する。
 また、フリーランスの方が報酬の支払遅延などでトラブルに直面しないよう、取引適正化のための法案を今国会に提出する。
 中長期の構造的な賃金引上げのためには、来年6月までに「労働移動円滑化のための指針」を策定する。
 リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しやセーフティーネットの整備、年功賃金から日本に合った職務給への移行等を含め、新しい資本主義実現会議で議論を進める。
 キャリアアップのための転職については、相談を受け、一気通貫で支援する仕組みを整備するとともに、労働移動を受け入れる企業などに対する支援を実施する。
 これらも含め、現在3年間で4,000億円規模で実施している人への投資強化策について、5年間で1兆円へと抜本強化する。
 スタートアップの起業加速について、起業を志す若手人材を5年間で1,000人規模でシリコンバレーや東海岸に派遣する。
 スタートアップの振興のため、SBIR制度を抜本拡充するとともに、一定期間、経営者の個人保証を不要にする金融支援を創設する。
 最後に岸田総理からは、「関係大臣におかれては、与党とも連携して、本日取りまとめた重点事項を経済対策等に反映し、着実に実行いただくように。」との発言がありました。
 最後に、本日資産公開の訂正をし、公表させていただきました。再度の訂正となり、おわび申し上げます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)賃上げのところなのですが、今年は物価高騰をカバーできる賃上げ目標にということで、昨年は3%という具体的な数字があったのですが、今年はないということはどういう心なのかということと、また具体的に物価上昇をカバーする賃上げというのは、どのぐらいの上げ率であるとか、伸び幅であるとか、そういったことを指しているんでしょうか。教えてください。
(答)来春の賃金交渉に向けた短期の賃金引き上げについては、政府としては、物価上昇率をカバーする賃上げを目標にして労使でご議論いただきたい、このように申し上げております。
 カバーする賃上げ、これは何かについてですけれども、これは個々の企業、それぞれに置かれている立場が違いますので、個々の企業の実態に即して、これも含めて労使でご議論いただくべきことと考えております。
 これをサポートするために公正取引委員会には、転嫁拒否などの悪質事例については、企業名の公表などの対応をお願いいたします。
 また、非正規雇用労働者の待遇の改善を図るため、全国労働局に加え、新たに全国321カ所に設置された労働基準監督署にもご協力をいただき、その遵守を徹底してまいります。
 また、もう1点、働く人の1割弱になりました、増加しておりますフリーランスの方の処遇を安定させるために、契約書面の交付義務や報酬の支払遅延の禁止などを定める、フリーランスの取引適正化法案を今国会に内閣官房から提出する予定です。
(問)そうすると、例えば本日発表されました、東京都消費者物価指数は2.8%で、かなり高い伸びを示しているのですが、個々の企業に応じてということですから、必ずしもこれを上回れとか、そういった意味でおっしゃっているわけではないということでよろしいんでしょうか。
(答)政府としての考え方をきちんとお示しをしたということなのですが、それは個々の企業の実態に即してということです。
(問)今のご質問とも関連するのですが、足元、消費者物価指数が実質賃金の算定に使われる帰属家賃を除く総合指数なんかですと、8月が3.5%ぐらいの伸びになっています。
 昨年は3%を超える賃上げということでしたけれども、今の現状を鑑みて、昨年の賃上げの要請に比べて、より踏み込んだ、大幅に高いレベルでの要請をされたというふうな認識はございますでしょうか。
(答)これは紋切り調のお答えになると、個々の企業の実態に即して労使でご議論いただきたいというのが、私どもがお示しをした今回のものですけれども、我々として、政府として持っている認識は、まさに実質賃金が上がるようにしてまいりたいと。これが我々の共通した思いですので、それに向かって、今、前の質問に対してお答えしたように、じゃあ具体的にどうするんだっていうところも含めて、きちんとメニューをお示しをし、それと同時に個々の企業に即した形で労使でご議論いただく。環境は我々のほうでも整備をする努力をしながら、一体となって進むということだと思います。
 問題意識は、実質賃金を上げたいという問題意識を持っております。
(問)もう1点、今日、総理もご発言の中で、年功賃金から日本に合った職務給への移行というふうなことを議論していくというお話がございましたけれども、日本に合った個々の企業の実情に応じたと書かれていますけれども、日本に合った職務というのはどういう趣旨で、今後どういう姿を目指してらっしゃるのか。
(答)これもこれから中身をしっかり詰めていかなくてはいけないことになりますが、しかし考え方としては、職務給、いわゆるジョブ型といわれるようなものです。これを導入していくというのを、完全にそれだけにしていくのかというと、そういうことではないんだと思うのです。
 やはり日本の社会に根付いている働き方の慣行、あるいは会社の在り方、あるいは我々一人一人の働いている人間たちの在り方、メンタリティ、いろいろありますよね。そういうのを含めて、もちろん職能給という形で、いわゆる年功序列でやってきたものから、職務給のほうに少し移動させようという考え方はあるのですが、全部が全部、それを職能給から職務給に変えていくというような、そういう乱暴なことを言っているのではなくて、日本のこの社会に合った形のものを工夫しながら、そちらの方向に進めていこうということを表すための表現だと思っていただければと思います。
(問)今後、来年6月に向けて官民で指針を策定するということですけれども、具体的に今後どのような会議の進め方等を考えてらっしゃるか、お伺いできればと思います。
(答)今の段階では、こういう形の会議体を作って、このような形で議論しますということがあるわけではないのですが、しかし、この新しい資本主義実現会議の下で何にしても議論を進めていかなくてはいけないと思っておりますので、我々のチームが主体となって議論は前に進めたいと思います。
(問)スタートアップ、これ数を数えたら、7足す3足すあれで20項目、一応重点事項があるのですが、これは年末の閣議決定に盛り込まれる内容と見ていいんでしょうか。もう時間がありません。
 それから、この中で一番面白いと思うのは、1大学1IPO運動と書いてありますけど、ここに書いてある、「1大学につき数十社起業し、1社は新規上場を目指そう」というのは、これはすごいと思うんですけど、ここの研究大学というのは何を指していて、一体どういう枠組みでやろうとされているのか、国立大学を指すのか、この辺を伺いたいです。
(答)まず、ここに書かせていただいているものは、まさに今回の経済対策に向けての重点事項という形で整理をさせてもらっていますので、もちろんこれから先、さらにこれ以外のメニューも含めて、この12月までには5カ年計画を練り上げて、皆さま方にお示ししようと思っていますから、その中にはさらにこれを超えたものも入ってまいります。
 一方で、この経済対策に今、乗せ込んでいかなくてはいけないと思っているものを、ここに抜き出して、ここに書かれているという、そういう理解をしていただければと思います。
 それから、1大学1IPOの話ですけれども、これはある意味、ムーブメントをどんどん醸成していかなくてはいけないというかたちの中で、大学発のベンチャーというのは、これから先の日本の社会を考えた時に、大変重要な一つの社会を変えていく柱になっていく、そういう考え方を私たちは持っておりまして、そうしますと、具体的にどの大学でどういう形のものをするかってことを今の段階で決めているわけではありませんが、何十社でも、何百社ができればもっといいですが、何十社でも1つの大学で、大学が自主的に自分たちでもやろうという機運を持っていただいて、ベンチャーを立ち上げるという機運を高めていただくことによって、その中から1つぐらいはIPOのできる会社というものが出てくるように頑張ろうやと。こういうムーブメントを起こしたいと思っております。それをここにこのように書かせていただいているということだと、ご理解ください。
 ですから、これから具体的に、一つ一つの大学がやりたいというものを、あなたのところは駄目なんてことを言うつもりは全くないので、参加したいという大学には全部参加していただけるようにと思っていますし、できるだけ多くの大学がこの運動に参加して、ともにスタートアップを盛り上げていく、こういう機運が醸成されるように努力をしたいと思います。
(問)日曜日に一部報道で、大臣が旧統一教会の関連する世界平和連合神奈川県連合会の事務局長の方が、初当選以来、熱心に声を掛けてきて、その中で大臣のほうから街頭演説や国政報告会に招待したほか、誘われたイベントに出席したことがあるというような報道が出されました。これに関して確認をさせてください。
 この話に関連ですが、事務局長の招待でこれまで世界平和連合などの横浜や千葉や海外のイベントに出席、招待されてきたというふうな理解でよろしいでしょうか。
(答)そのような理解をしていただければと思います。
(問)関連でお伺いしたいのですが、当時から少し調べれば、世界平和連合というのが旧統一教会の関連団体であるというのは分かるようなことですし、全国霊感商法対策弁護士連絡会が再三にわたりまして、この団体との政治家とのお付き合いについて警告を発されていたかと思いますが、大臣の危機管理として、この団体の認識というのを改めてお聞かせください。なぜこの団体の会合に毎年のように出席されていたのかもお聞かせください。
(答)平和連合に所属されている方がいらっしゃったのは事実です。私自身はこの記者会見等々も含めまして、再三にわたって申し上げていることですが、当該団体の会合等々に私を含めた政治家が出席をするということで、その団体にお墨付きを与えてしまうような、そういうことに対する思慮が本当に不足していたと思います。これは真摯に反省をしなくては思っております。
 ですから、これから先は一切関係は持たないように慎重に行動はしてまいりたいと思います。
(問)昨日の会見での大臣のご説明に関連して、事実関係の確認をさせてください。
 細かいことで恐縮なのですが、2018年に旧統一教会が主催する、2018神日本家庭連合希望前進決意2万名大会祝勝会に大臣はご出席されたことをお認めになり、党への報告も速やかに訂正しますというふうにおっしゃられたのは、内閣府の会見要旨も確認したのですが、9月20日の会見だったということでよろしいでしょうか。
(答)議事録等を改めて私のほうでも確認いたしまして、20日火曜日の記者会見において発言をしたということを確認しております。昨日は16日の金曜日に記者会見というふうに申し上げましたが、正しくは20日の記者会見でありました。おわびして訂正いたします。
(問)昨日の会見の後、あまり時を置かずに報道室を通して、この件について問い合わせをして、大臣のご発言が誤っていたということを確認しているのですが、今日のこの会見まで訂正をされなかった理由についてお伺いします。
(答)訂正は出させていただいたっていうことですよね。
(問)これまで訂正は出てなかったかと思いますが。
(答)ちょっと事実関係を確認させてもらってもいいですか。どういうことだか分かりますか。すみません、では事務方からあとで回答させていただきます。
(問)冒頭、資産公開の訂正について述べられましたが、改めて一部株式の記載がされてなかったということですけれども、その理由について改めて教えてください。
(答)これは本当に申し訳ありませんでした、完全に私のミスですが、きちんと申し上げますと、有限会社くじらという動物病院を経営する会社がございまして、私も動物病院を経営してまいりました経験がありますことから、その知見を貸してほしいということで2002年に設立した、そのときに出資とともに役職に就きました。
 その後、2012年に内閣府の大臣政務官に就任する際、大臣等規範の兼業の禁止規定、これに従いまして、会社関係の整理を行いました。ご指摘の会社をそのときに退職しております。
 退職と同時に株式についても整理されているとの認識だったものの、同社の株式30株が保有したままとなっておりました。同社からは配当を受け取っていないこともありまして、外部から指摘されるまで気付くことができなかったということです。改めて大変申し訳なく思っております。

 

(以上)