小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年8月2日

(令和4年8月2日(火) 11:00~11:11  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 宇宙政策担当大臣として、宇宙政策委員の人事につきまして報告いたします。
 前委員の任期は7月30日で満了し、今後2年間の宇宙政策委員を7月31日付で任命いたしました。お手元の名簿のとおりですけれども、五十音順に紹介させていただきます。
 まず、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授の遠藤典子さん。これまでも宇宙政策委員として、経済安全保障を始め、幅広い観点から宇宙政策の推進にご尽力いただいております。
 続きまして、元自衛隊航空幕僚長の片岡晴彦さん。日本の安全保障にとって、また経済社会にとっても宇宙システムの重要性が高まっている中、安全保障の専門家としてご審議いただきます。
 続きまして、株式会社西武ホールディングス社長の後藤高志さん。これまでも宇宙政策委員として、広い視点から宇宙政策を引っ張ってきていただいております。遠藤委員と後藤委員のお二方が再任となります。
 続きまして、学習院大学法学部教授の櫻井敬子さん。行政法がご専門で、国家公安委員も務めていらっしゃいます。宇宙の安定的で持続的な利用のため、ルールづくりが国際的に大きな課題であり、法律家の観点でご審議いただきます。
 続きまして、京都大学生存圏研究所教授の篠原真毅さん。宇宙空間や月面での活用が期待されるマイクロ波送電を始め、革新的技術の開発と実装に取り組まれているご知見とご経験からご審議いただきます。
 そして、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の白坂成功さん。宇宙工学の専門家で、ベンチャービジネスのご経験もお持ちです。宇宙システムを社会に実装し、利用する観点からご審議いただきます。
 次に、東京大学公共政策大学院教授の鈴木一人さん。国際政治学の専門家で、宇宙安全保障に深い知見をお持ちです。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国際的観点からご審議いただきます。
 次に、国立天文台長の常田佐久さん。JAXA宇宙科学研究所長等を歴任された宇宙科学の専門家です。宇宙科学探査の分野で世界の先頭集団を走っていけるよう、ご審議いただきます。
 続きまして、慶應義塾大学理工学部教授の松尾亜紀子さん。前の日本航空宇宙学会の会長を務めるなど、宇宙工学の専門家です。我が国の自立的な宇宙活動にとって、ロケットの打上げ能力の確保は状況な課題です。ご知見を活かし、ご審議いただきます。
 以上、9名を宇宙政策委員に任命いたしました。なお、委員長は委員の互選により選任されるものとされております。新しいメンバーでの第1回の会合を8月4日に予定しており、そこで委員長を選出予定でございます。
 また、宇宙政策委員会の発足から約10年にわたりまして委員長として我が国の宇宙政策を力強くけん引していただきました故葛西敬之委員長に改めて感謝の意を表します。
 退任された青木節子委員、折木良一委員、中須賀真一委員、松井孝典委員、松本紘委員、山崎直子委員におかれましては、これまでのお力添えに感謝するとともに、別の立場で引き続き日本の宇宙政策にご尽力いただければと思っております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)先週、概算要求基準が閣議決定されましたけれども、科学技術担当大臣としては来年度の概算要求に向けてどのようにこれから取り組んでいくのか、教えてください。
(答)概算要求基準でございますけれども、先週閣議決定されたということで、この基準の中では、私が今担当している科学技術・イノベーション、そして経済安全保障、そしてスタートアップや人への投資、これらが重要政策に位置付けられております。
 この科学技術・イノベーションというのは、常々申し上げておりますとおり、国力の源泉だと私自身考えておりますので、岸田政権の成長戦略の1本目の柱である科学技術立国の実現に向けて、今年の「骨太方針」、あるいは「統合イノベーション戦略2022」などを踏まえまして、知の基盤と人材育成の強化、そしてスタートアップなどのイノベーションエコシステムの構築、そして次期SIPなどの先端科学技術の戦略的な推進、こうした政策課題に対応できるように概算要求に向けてしっかり検討していきたいと思っています。
 また、令和5年度は現在の第6期の科学技術・イノベーション基本計画の3年目に当たります。まさに折り返しの年ということで、重要な年だと考えております。国際競争は熾烈になってきておりますので、そこに打ち勝っていくためには、科学技術予算の確保というものをしっかりやっていかないと、予算がないと政策は講じられませんから、そこは担当大臣として財政当局としっかりと向き合っていきたいと考えています。
(問)宇宙政策委員会についてですけれども、メンバーが7人ほど代わりましたけれども、宇宙の利活用が広がる中、宇宙政策委員会に今後どういった議論を期待していますでしょうか。
(答)宇宙空間の位置付けですけれども、この宇宙空間というのは安全保障上、ますます重要性を増しております。またそれだけではなくて、私たちの社会経済活動がどんどん宇宙空間に依存していくと。そうした中で、今後の産業面でも、あるいは科学探査の面でも、国として、国家としてしっかり取り組んでいかなければなりません。この宇宙空間の利活用をめぐる国家間の覇権争いというものも激しくなってきていると。また、そうした視点に立って経済安全保障上も非常に重要な空間だと考えています。
 課題は山積しています。取り組まなければいけないことがたくさんあり過ぎると感じています。ただ、宇宙の今の基本計画に宇宙活動の自立性という基本的な考え方をしっかりと位置付けておりますので、この自立を支えていく産業基盤、あるいは科学技術基盤、こうしたところを抜本的かつ早急に強化していかなければならないと考えています。そうしたことを考えながらどうアプローチしていくのか、それを新しい委員の方には議論いただきたいと思います。
 直近で議論いただく議題につきましては、宇宙政策委員の皆様と当然相談しながらやっていくことにはなると思いますけれども、私自身の問題意識としては、これも常々申し上げているとおり、先般の宇宙開発戦略本部でも本部長である総理から発言をいただいておりますけれども、宇宙空間にアクセスする能力、ロケットの打上げ能力ですけれども、これを抜本的に強化していかなければいけないし、衛星コンステレーションを構築していくこと、またアルテミス計画の推進、こうした重点事項に位置付けている、記載したものをしっかりと政府としては進めていかなければならないと考えております。宇宙政策委員会の有識者の皆様方に様々な角度からご議論いただき、知見を共有させていただきたいと考えています。
(問)先日、中国が打ち上げた長征ロケットの残骸がフィリピンの近海に落下したと思います。無制御での落下とされているかと思うんですが、受け止めを教えてください。
(答)ご指摘の中国のロケット「長征5号B」につきましては、今年の7月24日に打ち上げられまして、このロケットの一部が日本時間の7月31日の午前、大気圏に再突入し、今、ご指摘があったように、フィリピン周辺海域に落下したとの報道は承知しています。
 現時点におきまして、我が国において、この再突入に伴うと見られる被害報告は確認されておりませんが、国連の「宇宙活動の長期持続可能性ガイドライン」、いわゆる「LTSガイドライン」というものがございますけれども、このガイドラインでは、まず宇宙物体の非制御再突入に関するリスクの軽減について、連絡、そして調整を行うとされております。また、同様にこのガイドラインにおいて、非制御再突入を行う物体の破片のリスクを最小化する設計技術を適用すること、こうしたことがこのガイドラインで求められているところであります。
 当然、宇宙活動に当たっては、安全性と透明性の確保が重要であると考えます。こうした国際的な規範を満たす形で非制御再突入に際しては、適時適切な情報共有など責任ある行動を取られるよう、中国に対して改めて呼び掛けていきたいと考えております。

(以上)