小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年8月1日

(令和4年8月1日(月) 14:56~15:12  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 皆様、お疲れ様です。今日も集まっていただきましてありがとうございます。
 本日、経済安全保障推進法の総則、サプライチェーン強靱化、および官民技術協力部分の条文が施行されました。また施行に当たり私の担務に内閣府特命担当大臣として、経済安全保障の職務が新たに追加されました。さらに、こうした事務を担当する組織として、内閣府に経済安全保障推進室が設置されました。
 これに伴いまして、先ほど経済安全保障推進室におきまして職員に訓示を行ったところでございます。総勢50名程度の新組織ですが、それぞれの出身省庁や年次の垣根を越えて自由闊達に議論してもらい、経済安全保障の推進のために尽力してもらうよう指示をいたしました。
 経済安全保障推進室におきまして、全体の基本方針そして先行施行するサプライチェーン強靱化、また官民技術協力の二つの政策の各基本指針につきまして、先週の有識者会議での審議を踏まえまして、9月下旬を目途に、閣議決定することを目指して準備を進めてまいります。
 また、こうした作業と並行して、サプライチェーン強靱化につきましては、特定重要物資の指定に向けた検討を関係省庁と連携しながら進めていくとともに、官民技術協力につきましては研究開発等の対象となる技術の具体化や伴走支援の枠組みである官民協議会の枠組みにつきまして、検討を進めてまいります。
 基幹インフラ役務の安定的な提供の確保や特許出願の非公開につきましても、制度の円滑な施行に向けまして、関係省庁や事業者などと緊密に連携しながら、来年以降の施行を目指し、しっかり検討を進めてまいります。
 さらに経済安全保障の課題は多岐にわたるため、この法律だけではなく、例えば、骨太の方針にも記載されている通り、重要情報を扱う者への資格付与、民間企業への資本強化を含めた支援のあり方、国際情勢などの変化を踏まえたサイバーセキュリティの確保などにつきましても検討を行っていかなければなりません。
 今後、内閣府の経済安全保障推進室は国家安全保障局経済班とともに、幅広い関係省庁の議論を牽引する役割を担うこととなりますが、これらの課題についても、スピード感を持って対処してまいります。
 私からの報告は以上でございます。

2.質疑応答

(問)2点ありまして、まず1点目がちょっと改めて全体的なところでお伺いしたいんですけれども、本日一部が施行されて、また新たな体制というものを組んでスタートという形になったんですけども、局面が変わったじゃないんですけども、ある意味新体制というところでそういうところでの大臣ご自身の意気込みというのをお伺いできればと思います。
(答)常に意気込みを持ってということは変わりはないんですけれども、先ほど職員に対して訓示をしたその中身について若干触れさせていただきますと、これまで多くの職員が本当に熱意を持って職務に励んでくれたおかげで、この5月に経済安全保障推進法が成立をした、このこと自体は重要な一歩ですけれども、今後、これをいかに実効性を担保する形で、運用していくのか、これが重要であって、かつ、極めて難しい作業だと思っています。
 従って、こうした職員のかなり入れ替わりはあるんですけれども、引き続き多くの職員の力を借りる形で、しっかり制度設計をして、実効性あるものとして頑張っていきたいというふうに思っています。
 また経済安全保障の法整備を含めた取り組み自体については世界各国から非常に関心高く持って見ていただいておりますので、この法律の具体的な運用に向けてしっかり頑張っていくとともに新たな課題についても、しっかりと検討を深めていきたいと思っています。
 これで今、私達がやっていることは当然日本の将来にとって極めて重要だと思っておりますし、将来どこかの時点で今を振り返ったときに、あの時日本の安全保障のあり方が経済面からもアプローチしていく安全保障のあり方というものに変わったのだと、そういうふうにおそらく見られるような、そういう重要な時期だと思っておりますので、これまで以上に気を引き締めて、この仕事に職員とともに邁進して取り組んでいきたいと思います。
(問)ありがとうございます。
 もう1点は、先ほどちょっと言及されていました今後の課題のところで、骨太にもあるようなセキュリティクリアランスということなんですけれども、こちらも非常に緊張感っていうのを産業界含めて急がれている、期待されてるわけですけども、その辺についても大臣ご自身の今後の進め方、できればスケジュール感含めてお伺いできればと思います。
(答)この点につきましては、ご案内の通り衆参両院の内閣委員会から国際共同研究を見据えて、重要情報を扱う者への資格付与、これをセキュリティクリアランスと言うかどうかは別として、この資格付与につきまして、検討を深め、措置を講ずるべきといった趣旨の、附帯決議をいただいております。
 これは国会からのある意味宿題というふうに受けとめておりますので、スピード感を持って検討を進めていかなければいけないと思っております。この場でも申し上げたことがあるかと思いますけれども、まずはこうした重要情報を扱う者への資格が本当に必要なケースというものが、どういう場合にどういうケースがあるのかということをしっかりと検証した上で、その検証を踏まえて、速やかに対応を考えて講じていきたいというふうに思っています。
 繰り返しになりますけども、これは、国会からの宿題でございますので、迅速に検討を進めていきたいということです。
(問)重要技術のところですけども、Kプロの扱いっていうのはこちらの内閣府の新しい経済安全保障推進室の方で進めていくのか、もしくはCSTI、これまであちら側の事務局で進めてきたと思うんですけれども、その辺のそれぞれ、また基金が積みあがっているのは経産省だったり文科省であったりするわけで、そのあたりの役割分担といいますか、どういうふうに考えればよろしいでしょうか。
(答)一言で申し上げれば、連携していくということです。
 例えばKプロを進めていくにあたって、ビジョンというものをこれから策定していきます。この間、有識者の方々に議論いただきまして、パブコメにかけてその後中身が固まりましたら、今のところ予定しているのは統合イノベーション戦略会議とあとは閣僚からなる経済安全保障推進会議の二つを合同で開催して、そこで決めていくというふうなことを今想定しておりまして、そういう会議の建付けに表れているように、今基本指針を含めて、今新しく立ち上げた室の中に技術を扱っていて技術を担当している職員もいますし、CSTIの職員も別途いるんですけれども、そこで連携をしながら、そこは対応していくということでございます。
(問)具体的にそのビジョンを作る、その軸となるのはどちらになるのでしょうか。
(答)連携してということです。
(問)特定重要物資等については、今後また閣議決定の後とかでまた決めていくことになるかもしれないんですけれども、経済安全保障推進法ができたとき、国会審議とかの方でも政省令によるその指定っていうのは、ややもすれば恣意的な運用に繋がりかねないという指摘もありましたが、具体的に最後に詰めていくことになると思うんですけれども、どういった形でやっていきたいと大臣はお考えでしょうか。
(答)国会審議で、そこについては様々与野党の議員の皆様から問題提起をいただいておりますので、だからこそ、今まずこのサプライチェーンにしても技術のところにしても有識者会議開かせていただいて、まず基本指針を作っていくと、その基本指針に基づいて、また政省令しっかりと作り込んでいかなきゃいけないと思っています。まずは今、有識者会議の皆様からの意見をちゃんと伺い、パブリックコメントもしっかりかけるということで、そこでいただいた意見を可能な限り反映していくということであります。そうした形でできるだけその行政の恣意性というものを小さくしていきたい、懸念がないような形にしていきたいというふうに思っております。
 それとスケジュール感については先ほどあえて申し上げなかったですれけども、まだ固まったものではありませんが、特定重要物資、最終的に政令で指定することになると思いますけれども可能であれば年内、また重要技術の公募につきましても年内に公募を開始していける、そういうスケジュール感でやっていきたいというふうには考えています。
(問)週末に開かれた経済版2プラス2の共同声明の中でも、日本でこの経済安保推進法が成立したことに留意する、という文言が含まれました。
 これが一部施行でも施行されることによってアメリカをはじめとする国際間で、こういった経済安保での連携だとか協調というものがどういうふうに進んでいる可能性があるのか、大臣のお考えがあれば教えてください。
(答)先週末の2プラス2で、この経済安全保障推進法についてもアウトプットで触れられているということです。
 これまでも国会審議等で繰り返し申し上げているのは、国際連携が当然重要です。同盟国アメリカ含めて有志国との連携というのは当然必要ですけれども、まずは我が国として、サプライチェーンの強靱化も含めて、他のパーツについてもそうなんですけど、どう経済安全保障を強化していくのか、自国の意思と能力でどこまでその強化していけるか、そこの視点がまずは重要だと思っています。
 従って、国家安全保障戦略、年末に向けて3文書改定の中で経済安全保障の視点を入れていきますけれども、そうしたまず自国の国益確保という視点に立つということは、そこは非常に重要だということは繰り返し申し上げております。その上で、サプライチェーンにつきましては、全ての物資についてこの日本一国だけでこの供給網を強靭化するというのは、物資によるかもしれませんが、それは難しいところも出てきますので、一国で全てはできないでしょうから、アメリカ含めてこの同志国との連携というものは当然重要になってくると。なので週末の日米の経済版2プラス2もそうですし、またクアッドの枠組みでもそうですけれども、多くの半導体を含めて、重要物資の連携のあり方については関係国と意思疎通を図っていく、それは国の国益に照らして必要なことだろうと考えています。
(問)先端技術についてですけども、今、国際共同研究で例えば資格だとか、そういう議論もありますけれども、元々国際共同研究の中で意外なところから新しいものが出てきてしまったり、イノベーション生まれてくると思うんですけども、そうした中で、まずは国内の研究インテグリティを確保できるような体制が必要だと思うんですけども、その体制を整備するためにどのように考えているのかを教えてください。
(答)ありがとうございます。
 まず国内の研究インテグリティの確保につきましては、まず例えば大学などの研究機関におきましては、まずは大学自身がしっかりとそこは意識を高く持っていただいて、対応していただく必要があると思っています。従って、先般も日本学術会議が研究インデグリティに関し、これ日本だけじゃなくて世界各国のアカデミアが向き合っていかなければいけない課題ということで認識が共有されていると思いますけれども、そうした論点整理をされたということですので、大学の自律的な判断、努力というものを期待したいというふうに思います。
 さはさりながら、こうした研究インテグリティ、研究セキュリティも含めて、やはりこうした先端技術の研究開発に取り組んでいこうとすると、その管理のあり方というのはいろいろ難しい面が出てくると思います。
 従って私達政府としても、この技術やあるいはその研究のデータこうした管理のあり方につきましては、アカデミア含めて、その研究機関の皆様方としっかりと多くの情報提供、情報共有しつつ、全体として一朝一夕にいくものではないと思いますけれども、このインテグリティの確保に貢献できるように行動していきたいと考えております。

(以上)