小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月22日

(令和4年7月22日(金) 10:55~11:08  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)量子について、年度内には理研の国産量子コンピューターが稼働する予定になっていますけれども、GoogleとかIBMのマシンだと、ソフトウエアがいじれても、中のハードはいじれないという。今度、国産のができると、ハードも含めて研究開発を行うことができるんですけれども、そういう状況、このメリットを生かしてどういうふうに今後研究開発を進めていくべきだと大臣はお考えでしょうか。
(答)量子コンピューターの話ですけど、そもそも量子技術そのものは、経済安全保障上も非常に重要な技術でございますので、国としても量子に関する新しい戦略ということで、このビジョン「量子未来社会ビジョン」を策定して、今、取り組んでいるところです。できる限り高度な量子技術を自国で保有し、また研究開発、人材育成に力を入れていかなくてはいけないと思っています。
 また、量子コンピューターにつきましては、世界各国におきまして実装、実用化に向けた取組が進んでおりますので、我が国としても、それに負けるわけにはいかないということで、その取組を加速しているという状況です。
 今ご指摘があったように、理研におきまして今年度中に、この量子コンピューターの試作の初号機を完成させることを目指して今やっているんですけれども、今おっしゃったように、IBM、Google、こうした量子コンピューターだと、それをベースにしてアプリケーションを考えていくことになります。それはそれで意味があることだとは思いますけれども、ハードウエアにアクセスすることはできないと。
 私が重要だと感じるのは、経済安全保障上の自律性の議論にもつながるんですけれども、国産の試作機をしっかり作ることによって、ハードウエアにしっかりアクセスできる、これは非常に重要なポイントだと思っています。物をしっかりと自分たちで作ることによって、知見は蓄積されますし、人材育成にもつながってくると。かつ国産の量子コンピューターのハードウエアにアクセスできるということは、それに基づいたアプリケーションの幅というものが広がっていくことを意味しますので、そこはしっかりと意識をして取り組んでいきたいと考えます。
(問)遺棄化学兵器処理事業について教えてください。
 現在の事業は遺棄化学兵器の条約の枠を超えて、日中間で実施していると思うんですけれども、いつ頃終わるのかという見通しが今のところ立っていません。一方で、条約締結当時とは異なって、中国は今、世界第2位の経済大国になって、技術力も非常に高くなっています。独自に処理することも可能じゃないかと言われていますけれども、大臣としては年間数百億円のこの事業をいつまで続けるべきだとお考えでしょうか。
(答)これは遺棄化学兵器の条約上の話です。この処理というのは、化学兵器禁止条約に基づきまして、我が国として全ての遺棄化学兵器を廃棄する義務を負っております。可能な限り早期の処理事業の完了を目指してきているところでございますが、まず難しい点は、日中双方において遺棄化学兵器の所在に関する資料に十分なものがないということで、全ての埋設地というものを特定するということが困難な状況にあります。
 したがって、可能性としては、今後も遺棄された化学兵器が新たに発見される、その可能性というものは否定できませんので、事業の完了時期を現時点においていつまでに必ず終えますということは難しいということはご理解いただけると思います。
 ただ、繰り返しになりますけれども、条約上我が国が負っている義務でございますので、そこは中国側の協力も得ながら、可能な限り早期に、この処理事業を完了させていくという方針で臨んでいきたいと考えます。
(問)学術会議についてお聞きします。夏までに組織の在り方について政府の方針を出すとのことでしたけれども、検討状況について教えてください。
(答)これにつきましては、この場で何度か申し上げていますけれども、学術会議の在り方の見直しにつきましては、国民から理解され信頼される存在であり続けるために、どのような役割、機能が発揮されるべきかということで、梶田会長との間では未来志向で対話を続けさせていただいているところです。
 いずれにしても、今具体的にいつ、何月何日に国としての方針を発表しますということを言える状況にはないんですけれども、今年の年初から申し上げているとおり、今年の夏までには政府としての方針を出していくと。その方針には変わりはないと。既に7月、夏ということではございますけれども、引き続き政府の中での検討をしっかり進めるとともに、梶田会長を始め学術会議の皆様とはしっかりと議論をしていきたいと思います。
(問)先日、小林大臣のところに宇宙飛行士の若田光一さんが訪問されたかと思います。どのようなお話をされて、小林大臣がどういうふうにお感じになったのか、ご所感を教えてください。
 それから、会談の冒頭、小林大臣が宇宙の教育的な観点に注目しているというお話もあったかと思うんですが、後進の宇宙飛行士の育成や宇宙産業の裾野の拡大を進める上で、どういった教育活動が必要だと思っていらっしゃるのか、お考えを教えてください。
(答)昨日、JAXAの若田宇宙飛行士と山川理事長に大臣室へいらしていただきまして懇談を行わせていただきました。今年の9月以降に、またISSに長期滞在されるということで面会させていただきましたが、若田さんからは、3年連続で日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在することになったということで、これは宇宙技術の分野において、日本が高い信頼を得てきた証しであり、また日米の信頼関係が強固なものであることを示す証しであるということをおっしゃっておられました。
 また、日本実験棟の「きぼう」で様々な技術実証をやられるということですけれども、今後の月や火星の探査に、そういう成果をしっかりとつなげていきたいという意気込みを若田さんからは伺いました。
 私からは、若田さんご自身が今回で5回目に、日本人宇宙飛行士としては最多になるわけですけれども、若田さんご自身の長年のご努力、あるいは実績が国際社会から評価されたことだと受け止めていますし、宇宙担当大臣としてだけではなくて、一日本人としても非常にうれしく思いますということはお伝えさせていただきました。
 また、こうした日本人宇宙飛行士の方が長期間にわたってISSに滞在するということは、日本の国際的な地位を維持、あるいは向上させていくためにも、そういう観点から非常に大きな意義があるということを申し上げた上で、今、ご指摘いただいたように、教育の観点につきまして個人的には非常に関心を持って捉えているということを若田さんにお伝えさせていただきました。
 現時点での予定では、若田さんがロボットプログラミング競技会というものをやられる話ですとか、あるいはアジア・太平洋地域の青少年が発案した実験をいろいろやってみるということをおっしゃっておりまた。私からは、宇宙は非常にいろいろな可能性があると思っておりますし、本当に夢と希望に満ちた空間だと思っています。将来の宇宙産業、あるいは宇宙科学を支えていく子どもたちに何らかの気付きとか感動というものを与えるような、そういうミッションにしていただければということで期待をお伝えさせていただいたところでございます。
 今回の若田さんが行う予定の教育関連ミッションというのは、高度な技術、あるいは知識、チームワークが要求されるものです。当然失敗もあると思います。失敗、そしてまた更に挑戦ということで試行錯誤がなされると思いますけれども、こうして失敗と成功を繰り返すことによって、様々な学びを得る絶好の機会だと私は受け止めています。そうした子どもたち、あるいは若い世代の方たちが試行錯誤、創意工夫という、まさに科学、あるいはエンジニアリングのプロセスというか本質だと思っていますので、そういうものを宇宙空間において、宇宙という舞台で体験できるいい機会だろうと思っておりますので、若田さんのそうした活動、ミッションには期待をしているところでございます。若田さんに限らず大勢の日本人宇宙飛行士がいらっしゃいますので、今後も若い世代に対して、教育的な見地からいろんなメッセージを発していただきたいと思っています。
(問)経済安保の分野で1つお尋ねがあります。来週に有識者会議が開催されると聞いておりますけれども、法案審議前とほぼ同じメンバーではあるけれども、法案審議前と法案成立後、またいろいろ議論すべき課題とかも違ってくるのかなあと思います。この有識者会議に期待する役割や議論について、大臣の現時点でのお考えを教えてください。
(答)基本的には、この有識者会議の皆様方に昨年来ご議論をいただいて、政府としても中で検討してきた4項目でありますけれども、有識者の皆様の幅広い見地からご議論いただいて法制化に至ったという経緯がございます。
 今、「法案成立前と後で違うと思いますが」というご指摘があったんですけれども、というよりもむしろ法律に、法案審議の場でも、いろいろな与野党の議員の皆さんからご指摘いただきましたけれども、法律に書き込めることは、どうしても行政の機動性確保の観点から限界がありますので、その中で更に法律を実施していくに当たっての全体の基本方針や4項目の基本指針、これは更に詰めていく必要があると思っています。これまで携わってくださった有識者の皆様方、非常にご知見のある方だと認識しておりますので、また引き続き法律の施行に向けて、ご知見を共有させていただきたいと思っています。

(以上)