小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月19日

(令和4年7月19日(火) 11:02~11:25  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)先日、KMバイオロジクス社が不活化ワクチンを使った治験で、熱や痛みがあるといった副反応が少なくて、高い中和抗体が得られるといった結果を発表しました。現在はmRNAワクチンを使っていますけれども、こうした安全性の高い国産ワクチンを早く実用化して使うべきだと思うんですが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)今、ご指摘いただいたKMバイオロジクス社が今開発中の新型コロナワクチンにつきましては、今、AMED、そして厚生労働省におきまして実用化を目指して研究開発や実用化に向けた支援、製造に関する支援をこれまでも行ってきています。今ご指摘いただいたように、安全性が高くて、かつ国産のワクチンを実用化していくということは非常に重要なことであって、mRNA以外も含めて、様々長所や特徴がございますから、そうした国産のワクチンを我が国自らが実用化していくということは、経済安全保障上も極めて重要だと思っています。
 したがって、特に新型コロナの対応というのは喫緊の課題であると引き続き認識しておりますので、少しでも早く実用化できるように、この支援を継続していきたいと考えています。
(問)宇宙関係で1つお願いします。
 先週、ロシアのロスコスモスの社長がロゴジン氏からボリソフ副首相に交代しました。ロゴジン氏は、国際宇宙ステーションに関係する国際協力で威圧的な発言をするといった強硬な姿勢を示すということもあったと思うんですが、社長の交代を受けて今後の宇宙における日露間の協力をどう進めるのか、考えを聞かせてください。
(答)今、日露の宇宙協力についてのご質問がございました。先日、プーチン大統領によってロゴジン総裁が解任されて、その後任としてボリソフ元副首相が新総裁に任命されたという報道は承知しておりますけれども、ロシアの国内の人事につきまして私からコメントすることは控えたいと思います。その上で日露の宇宙分野における協力について申し上げますと、例えばISS(国際宇宙ステーション)の運営につきましては、当然、国際宇宙基地協力協定に基づきまして5極、我が国、アメリカ、欧州、カナダ、そしてロシア、これがしっかりと協定を締結して一緒になってISSを運用しておりますので、当然ロシアにおきましては、国際社会の中におきまして、この協定に基づいて果たすべき国際法上の義務をしっかり果たしていただくということは重要だと思っています。
 また、ロシアに関わる国際情勢全般において、この宇宙分野にも少なからず影響が出てきているということは事実だと考えておりまして、世界全体で見たときのロケットの打上げ需給の逼迫につきましては大きな問題だと受け止めています。
 こうした打上げ能力の不足に関して出てきている影響につきましては、我が国としてできることはしっかりとやっていくということで、基幹ロケットであるH3ロケットの開発を急ぐということを含めまして、また今出てきている新興企業、ベンチャー企業、スタートアップをしっかりと応援していくということも含めまして、これまでこの場で申し上げておりますけれども、宇宙空間へのアクセスの能力を我が国として獲得していく、自立性を強化していくということに引き続き力を入れて目指していきたいと考えています。
(問)宇宙関連で1点お聞きします。
 若田光一宇宙飛行士が間もなく宇宙に向かうということで、今週、大臣表敬や記者会見を予定しているんですけれども、先ほども質問がありましたけど、この国際情勢の中でロシア飛行士などと宇宙に向かう若田飛行士への期待などはありますでしょうか。
(答)先日、NASAの発表によれば、JAXAの若田光一宇宙飛行士が、今年の9月以降にスペースX社の「クルードラゴン」に乗る形でISSに向けて出発する予定であるということになっています。
 若田光一さんのミッションにつきましては、日本人宇宙飛行士としては当然最多となる5回目となります。若田飛行士の長年の努力と実績が評価されたということだと思いますし、こうした形で国際的に信頼を得られたということは、私自身非常にうれしく感じています。
 長期滞在中に、若田飛行士は「きぼう」におきまして材料工学、あるいは老化に関する医学・生物学などの様々な実験・研究に取り組まれる予定であると伺っております。こうした日本人の宇宙飛行士の方が継続的にISSに滞在するということは、我が国の国際的な地位の向上の観点から大きな意義があると思っています。
 それと私自身、今回注目しているのは、先ほど申し上げた「きぼう」におきまして、若田さんが教育関連のいろんな試みをやると伺っておりまして、「きぼう」でのロボットプログラミング競技会ですとか、アジア・太平洋地域の青少年が考えた宇宙実験の実施を今考えておられるということを伺っております。そういう意味では宇宙というのは、これから非常に大きなポテンシャル、可能性があって、まさに希望があふれている、夢があふれている、そういう空間だと私は捉えておりますので、今申し上げたような教育関連の試みというものを積極的に若田さんにやっていただいて、これからの宇宙産業を支えていく子どもたちに気付きとか感動を与えていただけるような、そうした取組というのを期待しているところでございます。
 私は当然経験したことがないので、体感はしたことないんですけれども、恐らくこの9月以降の出発に向けて様々な準備、厳しい訓練も含めてあるでしょうから、若田さんには心身に気を付けていただいて、無事出発の日を迎えることを祈っているところであります。
(問)一部報道でも挙がっておりますが、経済安保について、政府の取りまとめる特定重要技術に関する基本方針の原案というものが報じられています。この中では、極超音速や、AIや、サイバーセキュリティなど、20項目程度が候補に挙がっているというようですけれども、今、特定の分野を幅広く選定して、そして絞り込んでいく、このプロセスの意義について、改めて大臣のお考えを教えていただけないでしょうか。
(答)報道については承知しておりますが、現時点で具体的に特定重要技術はこれだということを決めているという事実はありません。ただし、5月に経済安全保障推進法が成立して、できるだけ早く施行しなければいけないと考えています。したがって、まずは法律において決められている全体の基本方針、それと4本柱それぞれの基本指針、この4項目のうち支援色の強いサプライチェーンの強靭化のところと、今ご指摘いただいた技術の官民協力のところというのは先行してスタートさせていかなければいけないと思っております。この基本指針の策定も、有識者の方々の意見をしっかりと聞いて、伺って定めていくと国会でも答弁しておりますので、そのプロセスは急いでいきたいと思っています。
 本来であれば、すべからく重要と思われる技術にたくさんお金を投資して研究開発できればいいですけれども、現実的ではないと。一方で、先端技術こそが国力の源泉であるからこそ、主要国がしのぎを削って研究開発に莫大な資金と人と時間をかけて勝負しているわけでございますので、我が国としても、その競争に打ち勝っていかなければいけないと。全ての分野で日本が飛び抜けるということはあまり現実的ではありませんけれども、ただし国会審議の中でも、経済安全保障の重要な概念の一つとして、戦略的な優位性や不可欠性という言葉を出させていただきました。いかにしてこの分野は日本がないと国際社会が成り立たないというような分野を1つでも2つでも拡大していくということですけれども、その強みを獲得できるように、我が国として、勝ち筋と言うと言葉としては簡単ですけど、非常に難しいと思うんですけど、そこのビジョンなどを今後速やかに策定して、できれば、経済安全保障重要技術育成プログラムの公募につきましては、年内にその公募をスタートできるような、そういう時間軸で今検討を進めているところであります。
(問)先日の安倍元総理の事件を発端に、旧統一教会の件がいろいろ報じられています。被害を受けたとされていたる方々の件なども報じられておりますけれども、この被害を受けたとされる方々についてどう思われるかというのと、一方で旧統一教会と自民党議員の関連も様々取り沙汰されています。選挙で支援を受けたですとか、もしくはイベントで講演を行ったですとか、そういったことも報じられております。旧統一教会および関連団体と自民党議員の関係の在り方についてどのようにお考えになるか、教えてください。
(答)まず、被害を受けられた方ということにつきましては、私自身、その実態というものをつまびらかに、つぶさに承知しているわけではございませんので、その点についてはコメントを控えたいと思います。
 自民党に限らず、政治家と宗教団体を含めた様々な団体との関係につきましては、それぞれの政治家が責任を持って対応すべき問題だと捉えています。
(問)中国政府が導入しようとしている新たな国家規格について伺います。
 中国政府は外国オフィス機器メーカーに対して、印刷やスキャンの機能を備える複合機などの設定や製造の全工程を中国国内で行うよう定める国家規格を導入する方針です。日本の関係企業は、こうした中国での全面的な国産化に懸念を強めておりまして、業界団体の白書にも強制化への懸念が盛り込まれる見通しになっています。政府としてどのように受け止めていて、今後、中国当局にどう働き掛けていくお考えでしょうか。
(答)報道については承知をしております。今、民間団体ということは、恐らく私が拝読した記事によりますと中国日本商会のことを指されていると思います。民間団体の今後の行動についての報道について、私からコメントすることは控えますけれども、一般論として申し上げますと、中国という国家は世界第2の経済大国なわけです。当然、国際社会のルールにのっとった上で、その責任を果たす、国際社会の期待に応えることが当然求められることだと思っています。具体的には、中国におきまして、企業の正当なビジネス活動ですとか、あるいは公平な競争条件が確保されることが必要であると考えております。
 政府としては、こうした案件につきましては、官民がしっかりと連携をしていくことが重要だと考えておりますので、民間団体、企業とのコミュニケーションというのはしっかりと取った上で、必要あれば対応していくということだと考えています。
(問)関連で、米国とか欧州の関係団体も同様の問題意識を示しているんですけれども、米欧政府とこの問題について情報共有を図っていくようなお考えはありますでしょうか。
(答)本件について具体的なコメントというのは控えますけれども、一般論として申し上げますと、当然、アメリカ、欧州、基本的な価値観を共有する同志国でございますので、経済安全保障という取組を進めていく上では、まずは我が国自身としての基軸というものが必要であるということは再三申し上げているとおりです。それと同時に、アメリカ、欧州と密に連携をしていくということは当然だと考えています。
(問)経済安全保障関連で1点お伺いしたく思います。
 一部報道でも出ていますけれども、国産クラウドの安全強化に向けて官民で研究開発に着手するという報道がありまして、こちらのほうで研究開発には5,000億円規模を目指す経済安全保障基金の活用も視野に入れるという報道もありますけれども、この件について何か決まっていること。あと国産クラウドに関して経済安保上の重要性について、大臣のお考えになっているところをお伺いしたいと思います。
(答)後者から申し上げますと、この金額、いわゆる基金、経済安全保障重要技術育成プログラムの基金が5,000億円ということだと思います。これは、今年の骨太の方針を見ていただければ、そこに書き込ませていただいておりますので、必要あればご覧いただければと思うんですけれども、今、昨年度の補正で2,500億円手当てをしていただいているところでございます。これをできるだけ速やかに5,000億円を目指して積み上げていくと。それは目標として掲げております。そこは先ほどご質問があったように、先端技術の開発こそが国力の源泉を左右すると思っておりますので、担当大臣としては、そこの予算要求というのはしっかりと必要な額はやっていきたいと考えています。
 1点目のクラウドに関して、今回の法律、経済安全保障推進法との関係で申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、今、サプライチェーンの強靭化と重要技術の育成のところについて基本指針をこれから、今既に検討を開始しておりますけれども、策定に向けて今議論しているところですので、何か具体的にこれを決めたというものはありません。
 ただし、例えば国会答弁でも立憲民主党の落合議員かな、いろいろ何度か申し上げたと思うんですけれども、具体的にはまだ何も決まっていませんが、制度の立て付け上は、例えばサプライチェーンの強靭化の対象として、物資という言葉を使っていますけれども、その中には(プログラムを含む)とさせていただいておりますので、制度上は別に何かそれを排除するものではないし、特定重要技術も別に何かを排除するものではないということです。
 その上で申し上げますと、このクラウドというのは、これからデジタル化、デジタル社会、データ駆動型社会を目指していく上で極めて重要なものであることは間違いありません。既に政府が閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」、これは先月の上旬に閣議決定されています。これによりますと、政府が取り扱う情報の機密性に応じて、パブリッククラウド、プライベートクラウドを組み合わせて行う、いわゆるハイブリッドクラウド、この利用を促進することと、2点目として特に厳格な取り扱いが必要となる情報をクラウドサービスで扱う上での基準について年内に政府方針を定めること、3つ目としてクラウドサービスや関連する暗号化などの技術開発や実証支援しつつ、その成果を政府調達に反映していくこと、こうした方向性が示されています。
 これは閣議決定として決められていることですけれども、経済安全保障上は非常に重要なものだと私自身考えています。データの機密性に応じて適切なサービスの提供を受けられる環境を実現していくこと。この実現に向けましてデジタル産業、特にクラウドの事業基盤、あるいは人材育成も含めて、これを国内にしっかり確保していくということは経済安全保障上極めて重要だと考えておりますので、関係省庁とも連携をしながら、今後、施策を進めていきたいと考えています。
(問)「パパ活疑惑」を報じられて自民党を離党した吉川赳議員が、週末にブログで説明を発表しました。これまで公の場に出てこられていなかったり、ブログという形だったので、質問などできない状態で行われたわけですけれども、この説明の在り方が説明責任を果たしたとお考えになるか、教えてください。
(答)今のご質問につきましては、一般論として申し上げますと、政治家が国民の皆様に対して疑念を抱かれるようなことがあるとすれば、その政治家自身が国民の皆様に対して説明責任を果たしていくこと、これは当然のことだと考えております。それ以上でもそれ以下でもありません。

(以上)