小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年7月15日

(令和4年7月15日(金) 13:03~13:19  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)昨日、CSTIの有識者議員会合で松本洋一郎外務省の科学技術顧問が、科学技術外交について、こうやるべきじゃないかというふうなことを説明されました。大臣としては科学技術外交について今後どのように進めていきたいと考えているのか、お考えを教えてください。
(答)そもそも科学技術というのは、国力の源泉だと思っています。だからこそ各国が、この科学技術力の強化に向けてしのぎを削っていて、優秀な人材をどうやって獲得するかということも率先して各国はやっているという点と、一方で国際頭脳循環というのは重要なので、グローバルな課題というものもいろいろ出てきている中で、例えば日本人の研究者であっても海外で研さんを積んで、いろんなネットワークをつくって、また国のために頑張っていただくという循環が必要だと思っています。
 そういう観点から、先日、松本先生がCSTIの有識者議員会合で提案されていたのは、例えば在外公館に、既に科学技術のアタッシェは行政官としているんですけれども、それに加えまして科学技術フェローというもの、研究者ですね、恐らく海外の日本人研究者をイメージされていると思いますけれども、そういう方たちを在外公館に配置すべきではないかというご提案だったと受け止めています。
 私自身、こうした提案というのは非常に重要だと思っています。在外公館、行政官としての科技アタッシェは今頑張っていただいていると認識していますけれども、それに加えて専門家である研究者としての立場で情報の収集、あるいは人的ネットワークの形成、これを国益に資する形でやっていただくというのは、歓迎する形でやっていただくというのは重要だと思っておりますので、そうした提案というものをしっかりと受け止めていきたいと考えています。
 また、科学技術外交という意味では、来年、G7の議長国になりますから、先日はドイツで行われたG7の科学大臣会合には大野副大臣に出席してもらいましたが、来年は日本で主催することになります。またそれに至るまでの過程で申し上げれば、今年の10月1日にも、京都で今回ハイブリッドという形で開催する予定ですけれども、例年開催している国際科学技術関係大臣会合、これも主催する予定です。こうした国際会議をホストしていく。また、日頃から私の立場上、経済安全保障と科学技術、宇宙、健康・医療戦略ということですけれども、各国の大使を始め、海外から要人の皆さんがいらっしゃったりします。当然、科学技術の話にもなりますので、そうした機会をできる限り積極的に活用して、この二国間、あるいはマルチの関係というものを深めていきたいと考えております。
(問)昨日、政府が安倍元総理の国葬を行うと発表いたしました。前回、大臣ご自身も安倍元総理との間柄を、この会見でもお話しいただきましたが、今回、国葬になったことの意義について、ご自身の思いも含めてお教えください。
(答)これは岸田総理が昨日の会見で、国民の皆様に対してお伝えしたとおりだと思っております。憲政史上通算8年8カ月という最長にわたって内閣総理大臣という重責を担われて、様々な分野において功績があって、そして国際社会におけるプレゼンス、これはいろんな評価があるかもしれませんが、私が国会議員になって第2次安倍政権と共に議員として誕生して一緒に歩ませてきていただいたわけですけれども、国際社会における存在感、あるいは発言力、これは著しく高まったと捉えています。
 また、今回の逝去された原因というのが、ちょうど1週間前になりますけれども、民主主義の根幹たる選挙の遊説の最中に銃撃によって倒れられたと、そういうことを総合的に考慮された上で、この国葬儀ということになったと受け止めています。
 閣僚という立場というよりも、一政治家、また一日本国民という立場から申し上げれば、今回の国葬儀を執り行うということは、私自身は本当に重く受け止めておりますし、政府としてそういう方向性になりましたので、今年の秋と受け止めておりますけれども、それが滞りなく行われるように、私自身の立場でしっかりと力は尽くしていきたいと考えております。
(問)先日、NASAの「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が極めて精細な観測画像を公開したと思います。生命の存在可能な星の探索ですとか、宇宙の歴史そのものに迫る基礎的な研究の成果だと思います。そのご所感を教えてください。
 それから、日本として、こうした宇宙の探索とか歴史に関する研究にどのように取り組んでいくのか、あるいは取り組んでいきたいのかという部分でお考えを聞かせください。
(答)私自身も、このジェームズ・ウェッブ望遠鏡で撮影された写真を拝見いたしまして、非常に本当にクリアだと思いましたし、正直見てわくわくしたと、平たく言えば非常にわくわくしました。これはご案内のとおり、地上の望遠鏡とは違って、宇宙空間に打ち上げられた望遠鏡ですから、大気の影響は当然受けない。したがって、より遠くまで見える。より遠くまで見えるということは、より昔のことまで分かるということですので、初期の宇宙の形成にまで迫る成果が近い将来得られるということを期待しています。
 今回、このプロジェクトそのものについて日本が資金を出しているわけではありませんが、この計画に日本人の研究者の方も参画しているところでございます。そういう意味では宇宙の構造や形成過程を研究する野心的な分野だと捉えておりますので、日本人の研究者が、今後、画期的な成果を得ていくことを期待したいと思います。
 また、今回の望遠鏡のプロジェクトに限らず、はやぶさを始め、日本が強みを持っている世界に誇るべき業績というものをこれまで残してきたことを考えますと、宇宙空間の利活用の在り方として、もちろん産業振興ですとか安全保障の面というのは重要ですけれども、この科学的な探査は、これも非常に重要なものだと受け止めております。日本の強みが生かせる分野でもあると思いますから、そこは担当大臣として関係省庁とも連携しながら、更に力を入れていきたいと考えています。
(問)来年度予算の概算要求に向けて作業中だと思いますけれども、宇宙関連予算の要求に向けた大臣の考えをお願いします。
 それと、ISSと打上げが延期されているH3についてはどのような方向性で臨むのでしょうか。2点お願いします。
(答)来年度概算要求につきましては、まさに今、関係府省、宇宙事務局も含めて検討しているところです。そのベースとなっているのは、今年の5月に宇宙本部で決定をさせていただいた重点事項に基づいて、これをしっかりと計画どおりに実行すべく、その必要な予算を確保しなければいけないので、そういう観点に立って検討を進めています。
 今、おっしゃったように、H3については、これまで何度もこの場で申し上げているとおり、宇宙空間の利活用、様々なパーツがありますけれども、宇宙に自国の力でアクセスする能力を獲得するということは何にも増して重要だと私自身思っています。これは今、JAXAで、この実験を続けていただいているところでございます。これをしっかりとできる限り後押ししていきたいと思いますし、今後、この基幹ロケットを使って様々な衛星を打ち上げる計画が立てられておりますので、ここは何とかして早く完成に向けて必要な予算というものはしっかりと確保していきたいと思っています。
 ISSの話につきましても重点事項として位置付けられています。これは今後、2024年以降の話も含めていろいろ検討しているところではありますけれども、これも宇宙空間で、これまでも船内や船外で様々な実証実験をやってきた大切な場であることは間違いありませんので、H3にしても、ISSにしても、今、文部科学省でしっかりとその予算要求に向けた検討をしていただいていると承知しております。
 所管担当大臣として言えば、宇宙関係の予算というのが着実に伸びてきているわけです。本年度、補正も合わせると5,000億円を超えてきている。額ありきではないと思いますけれども、宇宙というのは我が国の未来を切り開いていく上で非常に重要な成長分野になりますし、大きなポテンシャルを秘めておりますので、これは予算を十分に、十二分にと本当は言いたいですけれども、ちゃんと獲得できるように、そこは力を尽くしていきたいと考えています。
(問)経済安全保障関連でお伺いしたく思います。
 一部報道で先日ありましたが、半導体などの特定重要物資の安定供給確保に向けた基本指針と経済安保を推進するための基本方針の原案が明らかになったという報道がございました。その中では、サプライチェーン確保のために、特定重要物資の指定について、国民の生存に必要不可欠など4要件を明記したとありますが、これにつきまして何か決まっていること等がございましたら、お伺いしたく思います。
(答)報道については承知しています。法律はこの5月に成立いたしましたので、可能な限り速やかに施行すべく、今、準備を進めているところです。
 法律をご覧いただければ分かるように、やらなければいけないことはたくさんあるんですけれども、まず大きなところで言うと、全体の基本方針を決めていかなければいけない。その上で4つの項目、今おっしゃったサプライチェーンも含めて、それぞれの基本指針を作っていかなければいけません。その作業は急いでいます。特に、基本方針を最初に作らなければいけませんし、それと併せて4つの分野のうち、「骨太の方針」にも記載したと思いますが、サプライチェーンの強靭化と、重要技術・先端技術の育成・官民協力の枠組み、この2つのところは規制ではなく支援措置でございまして、これは早く走らせなければいけないと考えています。
 したがって、ここの2つの項目の指針というものを、今、作業を急いでいるところでございます。具体的な時期はまだ決まっていませんけれども、その案を作った上で、有識者の方にも意見を聞かなければいけません。これは国会でも約束させていただいたことでございます。
 そもそも私自身、この国会の審議におきまして、サプライチェーンの強靭化で、物資の指定の在り方として、国民の生存にとって不可欠、あるいは広く経済、社会がそこに依存しているということ、あるいは外部依存性や蓋然性の話、その4つ項目というものを挙げさせていただきました。4つの要件は国会の審議の場でも私自身申し上げさせていただきましたので、当然、基本方針や基本指針を策定するに当たっては、国会で担当大臣として答弁させていただいたことに基づいて行うということでございますので、具体的な中身については、今、詳細を詰めているところでございますけれども、そういう方向性でしっかりとやっていきたいと考えています。

(以上)