小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年6月28日

(令和4年6月28日(火) 10:53~11:07  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)低分子の医薬品開発について、製造の段階で海外へ依存していることが指摘されています。例えばですけれども、ウクライナのEnamine社という会社があるんですが、ここは日本の製薬企業とか研究機関にスクリーニング用化合物を提供していますけれども、今回の戦争で出荷が滞っていると。こうした状況を踏まえて、健康・医療の観点、あるいは経済安全保障の観点から、戦略的な医薬品開発について大臣としてどのようにお考えなのか、教えてください。
(答)医薬品を国内で開発して製造していける体制をつくるということは、経済安全保障上極めて重要だと思っています。今、健康・医療戦略推進本部におきましては、2020年度からの第2期戦略から、医薬品開発協議会を設置して、関係省と協力をした上で、医薬品の研究開発から実用化まで一貫した取組を行ってきているところであります。また、先月成立した経済安全保障推進法の中で、サプライチェーンの強靭化というものを一つの大きな柱として位置付けています。
 現在、この法律が公布されましたので、施行に向けて基本方針ですとか、サプライチェーンの部分の基本指針の策定に向けて、今、検討を行っているところです。それを行った上で、サプライチェーンの強靭化の重要物資というのは指定していくことになるんですけれども、仮にこの医薬品の中で、そういったものが指定されるようなことになるのであれば、当然、そこはしっかりサプライチェーンが強くなるということでございますし、重要物資を指定していくに当たってどこが弱いのか、厚労省でも既に様々な医薬品については先行して検討が行われておりますけれども、そういう形でしっかりと手当てをしていくということだと思います。
 繰り返しになりますけれども、何か有事が起こってから対応するのでなくて、平時からどこにチョークポイントがあるのか、これは医薬品に限った話ではないですけど、そういったことをしっかり見極めていくということだと思っています。
 また、厚労省におきましても「医薬品産業ビジョン」を昨年取りまとめましたので、サプライチェーンの話を含めて、いろいろ厚労省は検討していますけれども、経済安全保障の観点からは、ここが司令塔という形で、しっかりと全体を見渡す形で対応していきたいと思っています。
 ロシア・ウクライナの影響につきましては、様々分かってきたことがございますが、今、おっしゃっていただいた例というのは一例だと思うんですけれども、全体として見たときに、幅広い品目にわたって何かサプライチェーンに大きな影響が出ているとは今の時点では認識はしておりません。ただ、状況はいろいろ変わってまいりますので、そこは医薬品であれば厚生労働省、あるいは経産省になっていきますけれども、そういうところとしっかり連携しながら、このサプライチェーンのところについてはしっかりと目配せしていきたいと考えています。
(問)先日、東大の研究チームが老化細胞を除去することで加齢による疾患の予防・治療につながるという、そういうような成果を出したんですけれども。この研究はムーンショットでも支援されておりますけれども、大臣として今回の成果について受け止めをお願いします。
(答)これは令和3年度からAMEDのいわゆる健康・医療分野に関するムーンショットとして、東京大学医科学研究所の中西真教授が老化細胞除去に関する研究開発を推進してきているということで。そもそも健康・医療分野のムーンショットの目標としては、「2040年までに主な疾患を予防・克服し、100歳まで健康不安無く人生を楽しむ」という、かなり大きな目標ですけれども、そうした100歳まで人生を楽しむための医療・介護システムを作っていくということになっています。この中西先生の研究というのは非常に期待しているところでありますし、夢があるプロジェクトだと考えています。
 中西先生のチームは、2040年までに技術の社会実装を目指していると伺っておりますので、この中西教授のプロジェクトを含めて、平野さん、PD(プログラムディレクター)をやっていますけれども、このリーダーシップの下で今の研究開発が着実に進捗していくことを期待しておりますし、政府としても後押ししていきたいと考えます。
(問)宇宙関連でお伺いします。
 先日、韓国が国産ロケットの打上げに成功しました。自力で衛星を打ち上げられる国が増えたことになりますけれども、所感があればお願いします。
(答)韓国が衛星を独自のロケット「ヌリ号」で打ち上げて、衛星の軌道投入に成功したということです。そうした報道は承知しています。
 韓国がこういう能力を着実に力を付けてきているということでございますけれども、まず我が国自身として何をするかというと、今後、安全保障にしろ、産業にしろ、宇宙空間の利活用をしていくに当たって、一番最初の打上げの能力をしっかりと自国で獲得していくということが私は極めて重要だと思っております。基幹ロケットの開発を急がなければいけないと思いますし、開発と同時に、例えば衛星を複数同時に打ち上げる、あるいは基幹ロケットを高頻度で打ち上げていく、こうしたことにもチャレンジしていかなければならない。また、今まだ日本では本当に数えるほどぐらいしか民間のスタートアップが出てきておりませんけれども、こうしたスタートアップ、本当にチャレンジングな課題に挑戦していただいておりますので、こうした民間企業がもっと育っていくように、そこはしっかりと政府としても伴走していけるところは伴走するということだと考えております。
 韓国についてどう受け止めるかということですけれども、今回の打上げが成功したものにつきましては、今後しっかり精査していかなければいけないと思います。今の日本の獲得している技術や能力の水準からすれば、まだそこには至っていないと認識しておりますけれども、もう少し長い時間軸で捉えたときに、我が国自身は開発を急がなければいけないんですけれども、我が国自身の衛星をどんどん打ち上げると同時に、やはり海外のマーケットのニーズを取りに行かなくてはいけないので、そこはしっかり意識しなければいけません。将来的に潜在的なコンペティターになる可能性というものは当然ございますから、他国の開発状況をしっかりと注視しながら、我が国としても能力の開発をしっかりと続けていくということだと考えています。
(問)岸田政権、やはり安保法制というのは一つの成果だと思うんですけど、参議院選挙たけなわですけど、千葉も激戦ではありますが、国民にどのような形で訴えるのか。担当大臣として、何がしかそういう訴えというのは、国民に伝わっているという印象がありますでしょうか。
(答)参議院選挙の今真っ最中ですけれども、どういうスタンスで臨んでいるかというご質問と受け止めました。内外を取り巻く情勢というのは極めて厳しいと思っております。別にこれは今回の選挙に限った話ではありませんけれども、国際情勢について言えば、ウクライナの情勢がありますし、また、我が国を取り巻く東アジアの安全保障環境も年々厳しくなってきていると。経済安全保障の分野にも、それが及んできていると。そういう厳しい情勢と、また当然コロナ禍、これは継続しているわけでございますし、いかにそれを克服して日常を取り戻していくのか。足元では物価が上がっていますし、国民の皆様の生活、肌感覚として、そういうのを感じられる状況での今選挙だと思っています。
 したがって、私としては、まず短期的には物価の高騰に対して緊急経済対策を打ち出して、補正予算を手当てして、ガソリン価格を始め、今のところ、これでも足元はやっぱり高くなってきていますから、それでもいろいろ抑え込む努力をしているということだと思いますけれども、同時にまた今、足元は電力の需給が逼迫していて、こうしたことをどう考えていくのか。こうしたことを含めて、政権与党のスタンスというものを国民の皆様に分かりやすく訴えていかなければならないと感じています。
 また今回、岸田総理が、選挙中ではございますけれども、G7サミット、NATO首脳会議に、選挙中、時間を割いて出られているという中で、国際社会における我が国の立ち位置、国際社会において、我が国がどう貢献していくのか、こうしたことを併せて国民の皆様に私は訴えていくいい機会だと捉えて、参議院選挙、私は担当大臣というよりも一政治家として、しっかりと結果を出すべく力を尽くしていきたいと考えます。
(問)経済安保についてお尋ねします。
 先ほどおっしゃっていたG7に関連しまして、岸田総理がG7サミットで経済安保の連携を各国首脳に呼び掛けたということですけれども、日本政府の説明によると、サミットで経済安保が議題になるのは初めてと見られるということです。今回、G7で連携を呼びかけた狙いは何なのか、またG7各国と今後どういった分野での連携を想定しているのかについて、お聞かせください。
(答)会議での具体的な中身について私から詳細を申し上げることは控えますけれども、まず経済安全保障について、我が国自身のスタンスというのは、国際連携は重要だと思いますが、国際連携ありきではなくて、その前に、我が国自身の脆弱性をいかに把握、克服して、我が国としての強みを獲得していくのかというところに当然主眼があるんですけれども、例えばサプライチェーン1つ取ってみても、自国の中だけで全て完結するわけではございません。志を同じくする国との連携というのは当然重要になってまいりますし、そういう1つ1つの国際連携を積み重ねていく中で、大きな国際秩序が構築されていくことになると考えております。
 そういう意味で、今、国際秩序の根幹を大きく揺るがしている情勢が世界の中で起こっている中で、G7の首脳が経済安全保障という分野で連携を図っていくことは重要であると思います。我が国としては、今回、経済安全保障という切り口という意味では、こうした法律というのは、あまり世界に例がないとこの場でも申し上げましたし、こうした担当大臣を置いている国というのは、基本的に今まであまり見たことない。
 そういう意味で、岸田総理が経済安全保障について他国に増して高い意識を持って取り組んでいるということは厳然たる事実だと思います。そういう日本が世界に対してG7の場でリーダーシップを取って連携・協調を働き掛けていくということは非常に意義のあることだと思いますし、結果として日本の国際社会におけるプレゼンスを高めていく。これは経済安全保障の一つの目的でもございますので、そういう意味では本当に時宜にかなった岸田総理による発信だったと受け止めています。

(以上)