小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年6月17日

(令和4年6月17日(金) 9:42~9:56  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)先日の健康・医療専門調査会で調整費についての議論が行われました。調整費、過去の経緯もあって、現場にとって使いやすくなるようにAMEDの三島理事長なんかも問題意識を持って改革中だと思いますけれども、現在の調整費についての取組状況と、大臣としての所感をお願いします。
(答)調整費につきましては2つのタイプがあって、理事長裁量型と、いわゆるトップダウン型の2つがあります。私自身は理事長裁量型の経費を十分に確保することというのは極めて重要だと思っております。また理事長が基本的に裁量で自由にできる理事長裁量型経費の一層の効果的な活用に向けて、制度や運用の改革に向けた検討をすべきといった意見が、過去の例えば自民党の提言も含めてこれまでもあったということは認識しています。
 それを踏まえた上で、AMEDの中で各事業のプログラムディレクター、あるいはプログラムスーパーバイザーなどとも意見交換をしながら、研究現場の状況を踏まえて、理事長裁量型経費に関する三島理事長としての配分方針が今年の4月に示されました。大きく4つの柱からなっていて、私自身は三島理事長の方針というのは非常に共感を覚えておりまして、是非この方針にしたがって改革を進めていっていただきたいと思います。
 その中身はご存じだと思いますけれども、若手の育成とか国際連携を重視するというのがあるんですが、三島理事長の方針の中で一番、重要だと思うのは事業間の連携。これについてしっかりと意識しながら理事長裁量型の経費というものを配分していくのだと。各省のいわゆる縦割りとか予算の配分にとらわれることなく自由にやっていくというところは、やはり今、様々な分野が融合してきている中で当然の流れだと思います。したがって、三島理事長の方針にのっとって、しっかりと現場のニーズを酌んだ上で、これからも改革を進めていただきたいと、私自身そのように受け止めています。
(問)昨日、原子力委員会の委員が交代しました。中西前委員の功績についてどのように評価されているのか、また岡田新委員への期待をお願いします。
(答)中西先生、前委員は、放射線利用などについて豊富なご知見がございまして、私自身もお話しさせていただいたことが当然ございますけれども、基礎研究、また研究基盤、また人材育成などの重要性について非常に高い意識を持っておられたと私自身受け止めております。
 また、中西先生のご尽力のおかげで、先月の末に医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランが取りまとめられましたけれども、中西先生の強い思いがそこにこもっていると思っています。原子力の利活用の在り方につきましては、様々なご意見が今世の中にあるとは承知していますけれども、非常に医療用ラジオアイソトープは、前向きな分野で、まだまだ世の中にそんなに広く知られていないと私は思っているんですけれども、先生が退任されるときに、これをもっと前に進めてほしいという、そういう思いを私自身受け止めさせていただいていますので、しっかりここは進めていきたいと思います。
 昨日任命がありました岡田往子先生ですけれども、昨日お会いさせていただきまして、特に環境放射能の測定ですとか放射線教育などによる福島の支援、またエネルギー分野における女性の活躍をどうやって加速していくかというような強い問題意識を持っておられる先生でございます。
 先生との細かなやりとりというのは、ここで紹介するのは控えますけれども、昨日も様々な意見交換をさせていただきまして、原子力の話もさることながら、原子力分野を含めた科学、サイエンスの分野にどうすれば、例えば今の子どもたちがもっと関心を持ってくれるのだろうかとか、既に例えば原子力の分野に関わっている女性の研究者の方たち、恐らくメーカーとかにたくさんいらっしゃると思うんですけれども、その方たちの知見をどうやって社会のために活かしていただくかとか、そういう視点が非常に強い先生だなと思いまして、また私自身も岡田先生から様々なことを学んで、原子力委員会としっかりと連携しながら政策を前に進めていきたいと考えています。
(問)国際宇宙ステーションについてお聞きします。
 ISSの運用ですけれども、2030年まで延長するか否かの議論が続いておりますけれども、現在の検討状況を教えてください。
(答)まず、ISSの延長の話と絡む形で、この間、前回、G7の科学大臣会合のコミュニケについて少しお話をさせていただいて、そこの声明の中で対ロシアとの関係についても触れさせていただいたんですが、正確に申し上げますと、あの場でコミュニケには、「我々はロシア政府が関与する政府支出の研究プロジェクトとプログラムを必要に応じて制限している」という記載があります。これは、これから何かを規制していくというよりも、英語の文章そのままなんですけれども、必要に応じた制限が現在既に行われていると、そういう声明であるということは冒頭付言をさせていただきたいと思います。
 それとの絡みも含めてISSの延長について申し上げますと、当然今のウクライナの情勢というのは予断を許さない状況が続いていると認識しています。そもそもISSというのは、2024年までは現在の体制で運用していく予定になっています。その後のことにつきましては、これまでもこの場でISSの延長については、アメリカ、欧州、カナダ、この3極としっかりと密に連携をし、検討を行っていくと申し上げおります。現在そこの状況に何か大きく変わりがあるというわけではありませんけれども、あくまで我が国として、他国とも連携を当然するんですけれども、主体的にそこは判断をしていきたい、そういう思いがあります。今申し上げられるのは、そこまでであります。
(問)今週末に日本版AAAS(JAAS)の設立総会があります。科学と政治や行政との対話を重視していきたいというふうに掲げている団体なんですけど、こうした動きについてご所感と期待することなどがあれば教えてください。
(答)このいわゆるJAASの第1回目の総会、キックオフミーティングが明日行われるものと聞いています。私も、この事務局の方が一度大臣室に来てくださって、お話させていただいたことがあるんですけれども、このJAASが中堅、あるいは若手の研究者の有志の方も参画する形で、日本の研究力が相対的に低下してきていると、そういう危機感を持たれていた記憶があります。その中で日本の科学をもっと活性化したい、元気にしたい、そういう思いを持って様々な活動を行っていると受けておりますので、その活動について期待をしているところでございます。
 内閣府としても、科学技術の活動については、国民の皆様にもっとご理解いただけるように、私たちは私たちでしっかりとやっていきたいと思っております。また双方向で様々な方と対話の機会などを設けるということも意識しながら、こうした国民の皆様の科学に対する意識というものの醸成に努めていきたいと考えています。
(問)今日、総理が愛知県豊田市に行かれて、トヨタ自動車の豊田さんなんかと脱炭素などについて意見交換なさって、その後、三重のほうで三重県と奈良県の知事と中央リニアの推進についてお話をなさるそうですけれども、経済安保なり科学技術のほうかもしれませんが、ご所感があればよろしくお願いします。
(答)総理が、私は細かな日程を存じ上げているわけではないんですけれども、脱炭素の大きな流れの中で、我が国がどういう分野で勝負できるのかということを見定めていくことは極めて重要だと思っております。また、先端の技術にトップリーダーである総理が実際にご自身の目で確認されて様々なお話を聞かれるということになるんでしょうから、そういう中で岸田総理が新しい資本主義の成長戦略の一丁目1番地として科学技術立国の実現ということを掲げていらっしゃいますので、総理自らがそういうところに足を運ばれるということは、極めて意義があるんだろうと思っております。
 中央リニアのほうも、様々ないろんな角度からいろんな課題があるということは承知していますけれども、リニアについては日本の誇る技術だと思っておりますので、そこを総理が、今日どういう目的で行かれるのかというのは私は詳細を存じ上げないんですけれども、今のトヨタの話を含めて、そういう先端の技術に触れられるということは極めて意義のあることなんだろうと思っております。
 経済安全保障の観点から脱炭素という話が出ましたけれども、当然脱炭素という流れがあるので、その中で各国とのある意味競争にもなっておりますから、どういうところで、どういう技術を育成していくかということも重要であると同時に、脱炭素ということを考えるならば、エネルギーの安全保障ということもリアリスティックに考えていかなければいけないと思っています。
 今、萩生田経産大臣を中心に、この夏、電力需給が逼迫するというようなことが想定される中で、様々な取組をされていますが、我が国のエネルギーの供給の在り方というものは、脱炭素というものを目指していく中でどうするのかということを地に足を着けてしっかりと考えていくべきだと思います。今、経済安全保障という観点から、様々な基盤産業がありますけれども、この場でも何度か申し上げたとおり、本当にその中でも基盤となる産業は、エネルギーや情報通信だと思っています。当然電力がなければ、これからのデジタル化社会は動かなくなりますから、その中で全体としての最適解をどう見つけていくのかということは、繰り返しになりますけれども、地に足を着けて考えていくべきだと私は考えています。

(以上)