小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年6月10日

(令和4年6月10日(金) 9:57~10:16  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)G7の科学技術大臣会合がドイツで開催されると思いますけれども、日本としてはどういうことをインプットするのか。また、来年、議長国になる日本で開催されるG7科学技術大臣会合の準備状況について教えてください。
(答)G7の科学大臣会合につきましては、今月12日から14日までドイツのフランクフルトで行われることとなります。今回、私は諸事情により出席できないので、代理として大野副大臣に参加いただくこととなります。
 このG7の科学大臣会合におきましては、議長国ドイツが設定したテーマとしましては、科学及び研究の自由、そして気候変動のための研究、そして新型コロナウイルス感染症の罹患後の症状に関する研究などについて議論する予定でございます。我が国としては、現下の国際情勢も踏まえまして、自由や人権といった基本的価値を共有する国々が国際的に協力して、オープン、そして安全で地球規模課題を解決していくような研究環境をつくっていくことが必要であると考えています。G7の科学大臣と共にオープンサイエンスの推進、また研究セキュリティ、研究インテグリティの重要性というものを確認したいと思っております。
 我が国としても、例えば昨年の年末にガイドラインを改正して、研究インテグリティの強化などを行ってきているところでもございますので、こうした我が国のやってきたことも踏まえて、大野副大臣に対応いただくということになっております。
 また、来年のG7の科学大臣会合の話ですけれども、これはまさに今、検討中でございまして、時期ですとか場所については今後決めていきますけれども、まず今回のドイツのフランクフルトでの会合は、これから行われますので、そのアウトプットなどを踏まえて、そこは議長国としてしっかりと検討していきたいと考えております。
 また、この会合の成果につきましては、会議が終了後、改めてご報告させていただきます。
(問)今回の骨太では再生医療とか遺伝子治療が盛り込まれましたけれども、遺伝子治療については歴史的経緯もあって日本はちょっと立ち遅れていると思います。この立ち遅れている日本の遺伝子治療をどうやって巻き返していくのか、大臣のお考えを教えてください。
(答)遺伝子治療分野の研究開発につきましては、第2期の健康・医療戦略の中で6つの統合プロジェクトがありますけれども、そのうちの一つとして「再生・細胞医療・遺伝子治療プロジェクト」が位置付けられています。関係省庁が取り組んでいるところでございますけれども、遺伝子治療というのは、まさに昨今、各国が力を入れて、グローバルに見るとかなり熾烈な国際競争になっていると感じています。したがって、ある意味有望な投資先の一つになっている一方で、我が国としてはご指摘のとおり立ち遅れていると。そもそも遺伝子治療の基盤を強化していく、これを本当に急がないといけないフェーズにあると思っています。
 そうした状況、認識がありますので、健康・医療戦略推進本部の下に協議会を設けて、5月の末に推進するための方策を取りまとめました。それにのっとってやっていくのですけれども、例えば「CRISPR-Cas3」といったような、我が国が我が国の独自の技術を活用していくことですとか、我が国が他国に比較優位を持っているところとしては、やはり再生・細胞医療分野がございますので、ここといかに融合させていくのか。こうしたことを考えていきながら、いかにしてこの分野において新たな価値を生み出していけるかというところが極めて重要だと思っています。現時点ではまだまだこれからと認識しています。
 また、研究開発も重要ですけれども、当然その先を見ていかなければなりませんので、それをどうやって製造し、また臨床開発をしていくのかというところも重要になっていくのは当然だと思いますし、そのためにどうやって支援をやっていくか。できるだけハンズオンの支援が必要だと思いますが、その支援の在り方ですとか、また臨床研究の拠点をどうやって整備していくのか、またベンチャーの新規市場の開拓支援、あるいは製造基盤をどうやって整備していくのか、課題は本当に多岐にわたるところでございます。
 もう既にアメリカやイギリスが先行して走っていると認識しておりますので、そこに日本としてどこに力点を置いて、できるだけキャッチアップしていくのか、そこを関係府省がしっかりと連携しながら取り組んでいける体制をつくっていきたいと考えます。
(問)はやぶさ2についてお聞きします。
 本日未明に論文が正式に発表されました。火曜日の会見と重なる部分もあると思うんですけれども、結果の受け止めを改めてと、今後、日本としてどのようにサンプルリターンなどの宇宙探査を推し進めていくか、お聞かせください。
(答)いわゆる小惑星「リュウグウ」の砂の解析についての報道がありました。また、今ご指摘いただいたとおり、この成果に関する2つの論文が学術雑誌に発表されました。宇宙や生命の起源の解明につながっていき得る、その示唆を与える貴重な成果であると捉えておりますので、私自身としては、こうした成果を大変喜ばしいものと受け止めております。
 今後、我が国としてどうしていくかというところは、はやぶさ2などによって培われた世界最高水準の技術がございますので、これをどうやって生かしていくのかというのが重要だと思っています。火星探査計画のMMXを推進して、火星衛星「フォボス」ですけれども、火星の衛星の科学観測に加えまして、表面に着陸して、世界に先駆けて火星圏からのサンプルを採取し、2029年度に地球に持ち帰ることを目指しております。まず、我々として目指している目標の実現に向けてしっかり頑張っていきたいと思います。
 宇宙探査というのは、新たな知の創造ですとか真理の解明につながっていく、まさに夢のある分野でございます。科学技術を深化させるとともに、こうした探査の過程で当然国際競争もありますけれども、一方で国際的にどう連携していくのかということも考えていかなければならなくて、そういう意味で我が国の競争力を高めながらも有志国とどう連携していくのか。そこの連携を強化するいい機会でもございますので、国際社会における宇宙探査、宇宙の利活用における我が国のプレゼンスというものを少しでも高めていきたいと考えています。
(問)先日、科学技術立国の実現に向けて、例えば子どもたちに実験を通じて感動とか気付きを覚えてもらうことが大事、重要というお話をされていたかと思います。そこで、ちょっと個人的な話なんですが、大臣が個人的に感動したとか、面白いと思っている科学技術の分野ですとか、科学技術のこんなところが好きですというのがあれば、教えてください。
(答)なかなかいい質問ですね。私自身というよりも、この間、科学技術週間があって、ガラスというものがありましたね。政府が作っている結構大きなガラスに関する「一家に1枚」の広報ポスターがあって、それを私、自宅のトイレに貼っていたんですよ。そうしたら、小学校6年生の娘がすごい関心を持って見ていて、ガラスのこと、今の子どもですから、いろいろタブレットとかで調べるんですよね。それで、その後どうなったかというのは、私、フォローしていないんですけれども、こういうのも一つのきっかけになるんだなというのを実感したところであります。
 私自身は、理科の実験とかというと、かなり何十年も前の話になってしまいますけれども、でも、今まで肉眼で見えなかったものが見えるとか、本当にそういうシンプルな気付きでもいいと思うんです。世の中、今まで自分が知らなかったことを、理科の実験だけじゃなくてもいいんですけど、何らかのきっかけを与えてあげることによって、新しい知、新しいことを知って、それをきっかけとして新しい世界に導かれていく、そういうきっかけをつくってあげることが重要なのかなと思っています。
 あとは、これは別に子どもに限った話ではなくて、私自身も、この間は量子で伊藤公平先生の慶應義塾大学に伺いました。革新的な技術がどんどん出てきておりますので、当然全てについてよく存じ上げているわけではないですけれども、今、こういう立場にありますので、常に新たな技術というものはどういうものなんだろうということを学んでいく、そういう姿勢というのは持っていたいと思います。今、国会でなかなか忙しいんですけれども、国会が閉会した後に、新しい技術を自分なりに探求していく機会というものはつくっていきたいと考えています。
(問)経済安保の関係で1点お伺いします。
 先日取りまとめられた骨太や、新しい資本主義の実行計画などで、内閣府の中に経済安保の推進室を設けるということが明記されました。この経済安保推進室の設置の時期だとか、規模だとか、あるいは大臣としてどういった点に留意しながら、こういった新しい部署をつくっていこうか。そこら辺の考えがありましたら、教えてください。
(答)法律上、内閣府に新しく立ち上げる部局につきましては、法律の公布の日から6カ月以内ということになっていますけれども、可及的速やかにということで、6カ月ということを待たずに、かなり前倒しして立ち上げていく、そういう予定でございます。具体的な時期については、今、断言はできませんけれども、かなり前倒しをしていこうという、そういう思いでおります。
 規模等につきましても、今、精査しているところでございますけれども、人数という意味で重要な点というのは、4つの柱がありますので、それをそれぞれ法律の基本方針をつくり、また基本指針をそれぞれつくり、その基本指針に基づいて政省令などを整備していくことになります。ここは国会でも様々なご指摘をいただいていますから、それをしっかりと踏まえてやっていかなければいけませんので、相応の人数というのは必要になってくると思います。また、この分野は多岐にわたりますから、関係省庁から人を出していただかなければならないということも考えています。
 また、その4つの項目に限らず、骨太などにも様々な新たな課題を含めて書いていただいております。私どもも常にリスクの点検などもやっている中で、脆弱性を常に洗い出していくという作業をこれまでもやってきていますし、これからも続けていきますので、その中で必要であれば、そうした取組というものを進めていかなければならない。
 そういう意味では、新しく立ち上げる部局というのは、4つの柱をしっかりと施行に向けて運んでいくとともに、新たな課題にも向き合う、そういう側面もありますので、それをしっかりとこなしていける、その課題に対応できるだけの人数というものをそろえていかなくてはいけないと思っています。
 あとは、当然、司令塔機能をNSSと共に果たしていくことになりますので、このNSSとの連携、こうしたものもしっかりと取れるような体制をつくっていきたいと考えています。
(問)先日から、経済安全保障の連携強化のために、オランダの政府の要人が来日されていると聞いておりまして、大臣ともお会いになられるとお伺いしました。もしお伺いできるのであれば、どちらでどなたと、具体的にどのようなお話をされたのかということと、あと、もし大臣から、こういった諸外国との連携というところに関して所感とかがあれば、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
(答)先ほど、閣議が本日9時から行われたんですけれども、その直前に大臣室で表敬訪問を受けました。結構な人数の方にいらしていただきましたけれども、在京のオランダ大使に加えまして、オランダ外務省のファン・デル・プラス政務総局長をはじめ、複数の省庁から、そうした政府高官の方々がいらしていただいておりました。当然、経済安全保障について意見交換を行ったところでございますけれども、具体的なやりとりにつきましては、先方との関係があるので控えたいと思います。
 経済安全保障というのは、国会でも答弁させていただいているとおり、まずは我が国自身の取組でございますので、弱みを克服し、強みをどう獲得していくのかというところでございますけれども、志を同じくする同志国との連携というものは極めて重要だと考えております。今年の3月に大使からの表敬訪問も別途受けて、その中でも経済安全保障についての話が出たところでございますけれども、それに引き続いて、こうして同志国と意見交換ができたことは極めて有意義だったと思っています。
 今回、オランダ政府として、経済安全保障に特化する形でそういう場を設けていらっしゃるとのことで、日本の取組についてもかなり高い関心を持っておられたことは非常に印象的だったと考えています。

(以上)