小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年5月27日

(令和4年5月27日(金) 8:36~8:44  於:参議院本館3階内閣記者会3)

1.発言要旨


 科学技術政策担当大臣としてご報告させていただきます。
 来年度から実施を予定しております次期、つまり第3期のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に向けまして、本年度実施するフィージビリティスタディ(FS)の対象となる15の課題候補のプログラムディレクター(PD)候補を決定いたしました。4月1日から4月22日の応募期間の中で応募いただいた方に対しまして、PD候補にふさわしい経験、そして能力などの基準を踏まえて、書面と面接による審査を実施いたしまして、最終的に昨日のガバニングボードにおきまして15名のPD候補を決定いたしましたので、本日公表いたします。
 今後、このPD候補につきましては、関係する有識者や関係省庁、また関係法人などで構成される検討タスクフォースの座長としてフィージビリティスタディを実施していただくとともに、技術面、そして事業面でインパクトが大きいテーマに絞り込んで、社会実装の出口戦略を含む研究開発計画案を作成いただく予定としております。
 このPD候補のリーダーシップの下で、Society5.0の実現に向けた革新的な研究開発計画案がまとまることを期待しております。
 詳細につきましては、科学技術イノベーション推進事務局までお問い合わせいただければと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)宇宙政策について伺います。
 先日、アメリカのボーイング社の宇宙船が、ISSから地球への帰還に成功しました。これは、アメリカにおいてはスペースX社に続き2例目の快挙になります。このことについて大臣の受け止めと、もう1点、日本の国として有人宇宙船の開発に将来にわたって進むべきかどうか、あるいは民間に有人宇宙船については開発を任せるべきか、その辺の大臣の考えを教えてください。 
(答)まず、先日、アメリカのボーイング社の新型宇宙船、「スターライナー」と呼ばれていますけれども、これがISSから帰還したとの報道については承知しています。これは、今おっしゃったように世界で2例目となる民間企業が開発した有人宇宙船でございまして、宇宙船やロケットの分野におきまして民間企業が主体となって開発が進展して、また高頻度で、また価格も安い、そうした宇宙輸送が本格化することで宇宙ビジネスの活性化につながっていくんだろうと、そこは期待をしているところであります。
 我が国の対応としましては、宇宙基本計画でどう書かれているかというと、将来の宇宙輸送システムの研究開発に当たっては、産学官の幅広い主体が参画した継続的な推進体制の下で挑戦的な研究開発を実施し、その際に将来における有人輸送の重要性に留意することと明記されています。
 私の受け止めとしては、今の我が国が置かれている状況からすると、今回の「スターライナー」のような有人の宇宙船の開発というのは、かなり野心的な目標だと思っていますが、一方で、今後、宇宙空間の利活用の重要性というのがますます高まっていくことを考えれば、その野心的な目標を目指して、それに向かって取り組んでいくということは私は極めて重要だと考えています。それを国が主体となってやるのか、あるいは民間産業に任せるのか、そこの判断まではまだ至っていないです。その前に、前も申し上げましたけれども、宇宙空間の利活用に当たって、私は打上げの能力の確保というのは極めて重要だと思っているので、まずは基幹ロケットをしっかりと完成させるということと同時に、今出てきつつある民間のスタートアップをしっかりと国としてできる限り支援していくことというのは重要だと思っています。いずれにしても、さらにその先の目標として有人の宇宙船、チャレンジングでありますけれども、そこを国として宇宙空間の利活用の自立性の確保という観点からすると、極めて重要な課題だと私は受け止めています。
(問)先日、宇宙飛行士の野口聡一さんが退職すると会見されました。多大な貢献をされた方ですけれども、何か所感があればお願いします。
(答)野口聡一さんがJAXAを6月1日付で退団されると承知しています。皆さんご案内のとおり、野口さんは平成8年に、今のJAXA、当時宇宙開発事業団に入社されて、平成17年のスペースシャトル「ディスカバリー」のミッションへの参加、これが初めてだったんですけれども、そこから都合3回にわたって宇宙に滞在をされて、通算すると本当にほぼ1年間、300日以上宇宙空間に滞在されて様々な活動に従事をされました。
 野口さんにおかれては、地上においても、宇宙空間におきましても、我が国の宇宙開発に多大な貢献をされてきたことに対して感謝と敬意、この気持ちを表したいと思っています。
 野口さんのあいさつ文、皆さんご覧になられたかもしれませんが、そこには今後の宇宙の可能性ですとか、あるいは後進、若い、これから宇宙空間を目指す人に対する野口さん自身の本当に熱い思いが込められていると私は感じました。昔の中国の言葉を引用されていまして、「功遂げ身退くは、天の道なり」という、ある意味、野口さんらしいメッセージだと受け止めています。
 このあいさつ文の中には、今後、自分が身を退いて、これから新たに宇宙飛行士を目指していく方々に道を譲りたいということが明確に書かれていますし、宇宙が人類共通のフロンティアであって、そこに対して若い方々に挑戦をよろしくお願いしたいというメッセージが書かれています。こういう形のメッセージを残していただいているので、私としては、こうした野口さんの思いというものを、宇宙政策担当大臣としては受け止めているつもりです。野口さんにおかれましては、またさらに次の新しい場で野口さん自身の経験ですとか知見というものを我が国の宇宙産業、宇宙活動の発展のために生かしていただきたいと、そのことを期待しています。

(以上)