小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年5月17日

(令和4年5月17日(火) 9:16~9:27  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)イノベーションについての考え方を教えていただきたいんですけれども、例えばIMDの国際競争力ランキングでスイスは1位を取っているんですけれども、ここは税制が非常にシンプルで、世界的大企業の本社であっても税理士が必要ないほどだと言われているんですね。また、例えばデジタル先進国のエストニアは、オンライン上で10分程度で会社を設立できると。そういう世界的状況になっている中で、日本がイノベーションを促進したり、それからベンチャーを次々出していくようにするためには、税とか法体系そのものについても見直しをしなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)そもそもイノベーションをけん引していくのは、今、世界的な潮流においてもスタートアップ、こうした主体に、今、フォーカスが当たりつつあるんだと思います。そうした観点から、今、CSTIの下に専門調査会を設けまして、まさに国内外の起業家ですとかベンチャーキャピタル、こうした方々からヒアリングを行わせていただいております。これは予算や資金の面だけではなくて、税制をどうするか、あるいは税制以外の制度的な手当てをどうするか、こうしたところについても精力的に議論を行っていただいております。
 例えば税制との関係で申し上げると、エンジェル税制が手続きが煩雑ではないかというご指摘もございます。また優秀な人材を確保する観点からは、例えばアメリカではストックオプションがしっかり運用されていると認識していますけれども、我が国とはそこの運用の在り方、制度の在り方で違いがあるというのも事実だと思います。
 また、スタートアップ企業が、制度面でいうと政府調達に参入しやすい在り方、こうした点については、現在、専門調査会を中心に議論していただいているものと承知しております。明日、この専門調査会が開かれて報告書の取りまとめが行われると承知しております。今いただいた税制の改革、また制度改革の改善も含めまして、我が国においてスタートアップ・エコシステムが形成されるように、そこはしっかりと各省庁と連携して取り組んでいきたいと考えます。
(問)来週の日米首脳会談と月探査に関するアルテミス計画について質問させてください。
 一部報道で、日米の協力関係について合意する見通しがあるとされていたんですけれども、何か新しい合意が得られる見通しがあれば教えてください。
 あと、月探査や宇宙探査に関して、日本として特に米側に伝えたい取組というものがあれば教えてください。
(答)まず、報道については承知をしておりますが、日米首脳会談の共同声明に盛り込まれる事項につきましては、首脳間で取りまとめられるものであって、予断すべき性格のものではないと。そもそも首脳会談で、今、月探査、アルテミス計画のことかと思いますけれども、その点について取り上げるかどうかということについての回答は差し控えさせていただきますが、アルテミス計画そのものにつきましては、先日、大型連休の後半に、私自身、訪米をさせていただきまして、パリク国家宇宙会議事務局長ですとかNASAのネルソン長官と直接お会いさせていただいて、またこのアルテミス計画も含めて日米協力の在り方については様々議論を深めさせていただきました。
 具体的には、ゲートウェイの居住棟建設への協力ですとか、あるいは月面を移動するための有人の与圧ローバの開発、こうした点について日本としてしっかり取り組んでいくということと同時に、総理からも去年の年末に発表していただきましたけれども、アメリカ人以外で初となる日本人宇宙飛行士の月面着陸を2020年代後半を目指して、これを実現していくということにつきまして、アメリカともしっかりと連携していきたい旨というのは、私から直接申し伝えたわけでございます。そうした取組を様々なレベルにおいて推進していくということが、極めて重要と考えております。
(問)10兆円大学ファンドについて伺います。
 現在、国会で審議中の国際卓越研究大学法案が本日の参院文教科学委員会で採決される見通しです。これまでの国会審議では、野党から、大学ファンドによる支援が大学間の格差を一層拡大させるんじゃないかという声とか、あるいは国際卓越研究大学に認定されるために事務作業ですか、これが過度な負担を研究現場に強いるんじゃないかという声も出ています。こうした声とか懸念に対する大臣の考えを教えてください。
(答)今いただいた国際卓越研究大学法案、これにつきましては、本日、参議院の文教科学委員会で審議されるものと承知をしております。世界と競争できる大学となれるポテンシャルのある大学を認定して、大学ファンドによる助成を含めた総合的な支援を行うことを定めた国際卓越研究大学法案ですけれども、これについては様々なご意見があることは承知をしておりますが、我が国の大学全体が地盤沈下をしている中で、世界と競争できる、世界と勝負できる研究大学を実現して、それを発展させていくことは喫緊の課題だと思いますし、それをしなければ、我が国の研究開発、イノベーションの力というのは、必然、世界の中で更に落ち続けるんだろうと思っております。したがって、この法案というのは絶対に通していかなければならないと私自身思っております。
 したがって、今回この法案の中身というのは、従来の発想にはない、そういう大学ファンドという形式を用いて、世界に比肩し得る水準の研究開発を行う大学の、特に博士課程の学生を支援、育成するということと、研究基盤を強化しなければいけないので、特に若手の育成を含めた基盤強化、また新しい学問領域をつくり出していく、そうしたことに対して大胆な投資をやっていなければならない、そのための今回の仕組みでございます。
 ただ一方で、本当に世界と勝負できる大学というものをどんどん国としても応援していくと同時に、我が国の研究力全体の底上げというものを当然図っていかなければなりません。それは二者択一の話ではなくて、どっちもやっていかなければならないんです。したがって、特定分野に強くて、地域の人材育成ですとか課題解決につながる、そうした研究開発を行っていく地域の中核大学などについては、いわゆる「総合振興パッケージ」を決定しましたので、この総合振興パッケージと大学ファンドというものを車の両輪としてしっかりと回し、支援を行うことによって、我が国全体の研究力の底上げを図っていくことが最も重要なポイントと考えております。
 また、後半にご指摘がありました研究現場の事務作業の負担というところにつきましては、今回、大学ファンドの中身、国際卓越研究大学の審査の具体的な在り方については、今後、法案が成立すれば、文部科学省におきまして、そこは具体的な検討がなされていくと承知しておりますけれども、これは前例のない改革を通じて研究基盤の抜本的強化を支援するものでございますから、提出する書類だけがどんどん増えて、形式的な、事務負担がただ増えるというようなことが当然あってはならないと思っておりますし、文部科学省もそこは認識をされているんだと思います。
 むしろ重要なのは、国内外の様々な専門的知見を有する有識者の方たちにもご協力をいただきながら、実質的な対話を通じて、対話型の審査を通じて、各大学のビジョンを柔軟に引き出していく、そういうプロセスが、私は法が成立した場合の運用としては極めて重要だと思っておりますので、そこは文部科学省ともしっかりと認識を共有する必要があると思っておりますし、そうしたご懸念が生じないように、政府全体としてしっかりとそこは配意していきたいと考えます。

(以上)