小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年5月10日

(令和4年5月10日(火) 9:22~9:36  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 私から冒頭、この大型連休中に出張に行ってまいりました米国出張の結果につきまして、ご報告を申し上げます。
 科学技術政策、宇宙政策、経済安全保障担当大臣として報告をさせていただきます。
 5月3日から7日まで、科学技術、宇宙、経済安全保障などに関する要人との会談などのため、米国のワシントンDC、そしてロサンゼルスを訪問いたしました。
 ワシントンDCにおきましては、ネルソン大統領府科学技術政策局長代行、またコリンズ大統領科学技術顧問代理などと会談を行いました。今現在、この局長と顧問のポストが空席ということで、事実上の局長、また顧問と会ってきたということです。日米のコアパートナーシップに基づくAI・量子などの重要分野における協力を推進するための具体的な方向性について協議を行ってまいりました。
 また、パリク国家宇宙会議事務局長と、ネルソン国家航空宇宙局(NASA)長官と会談を行いまして、アルテミス計画を含む今後の日米宇宙協力の進め方について協議を行ってまいりました。
 さらに、シン国家安全保障会議次席補佐官、そしてヤング上院議員、ヤング上院議員というのは、今、アメリカ連邦議会で協議がなされております米国イノベーション・競争法案の起草者の一人でございます、こうした方々と経済安全保障について意見交換を行うとともに、タバック国立衛生研究所(NIH)長官代行、NIHも同様に長官が不在でございます、ポストが空席でございますので、長官代行のタバック氏と会ってまいりました。また、ファウチ国立アレルギー・感染症研究所長と健康・医療分野についても意見交換を行ってまいりました。
 ロスにおきましては、米国を代表する公共政策分野のシンクタンクでございますランド研究所を訪問させていただきまして、関係者との間で研究所の活動などについて意見交換を行ってまいりました。
 今回の出張の成果を科学技術政策、宇宙政策、そして経済安全保障政策などの更なる推進に役立ててまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)米国出張お疲れさまでした。
 米国出張についてなんですけれども、健康・医療とか科学技術について、要人との会談で、どういったトピックスが具体的に出されたのか、また今後の日米協力の方向性というのは見いだせたんでしょうか。そこら辺について教えてください。
(答)まず、科学技術についてですけれども、例えば重要技術の日米間連携といたしまして、AIに用いるデータの秘匿性を保つための研究開発を日米で協力しつつ進めることですとか、また量子分野の専門家交流を進めていくことなどを議論いたしました。
 また、6月中旬にドイツのフランクフルトで予定されておりますG7の科学大臣会合ですとか、また来年は日本が議長国になりますので、この2023年の会合を見据えまして、オープンサイエンスですとか、あるいは研究セキュリティ、あるいは研究インテグリティ、こうした課題が主要トピックの一つとして議論を継続していくことの重要性というのを確認したところでございます。
 また、科学技術の観点からは、ランド研究所の話ですけれども、これにつきましては、まさに今、国会で法案を審議いただいている経済安全保障との兼ね合いにおきましても、令和5年度にシンクタンクを我が国としては立ち上げていくという予定でおりますので、そうした視点に立って、ランド研究所と政府との関係性ですとか、あるいは高い調査研究能力を保つための仕組み、または人材の育成、確保、こうした点につきまして先進的なマネジメントの手法について様々な意見交換をしてまいりました。
 健康・医療につきましては、先ほど申し上げたとおり、主な面会先の相手はファウチ氏とタバック氏であったわけですけれども、ファウチ氏は主に新型コロナの経験ですとか、感染症分野における研究協力の可能性について建設的な意見交換を行いました。タバック氏とは、これに加えまして主に、がんムーンショットにおける日米協力の可能性につきまして意見交換を行ってきたところであります。
 もう少し具体的に申し上げますと、ファウチ所長とは、今後のパンデミックに対する米国のアプローチの仕方ですとか、準備計画の在り方について紹介が先方からございまして、また同時に日本で先般立ち上げたSCARDAに対する期待というものの表明がありました。そして、日米の医学協力計画を引き続き重視しながら、NIAID、国立アレルギー感染症研究所ですけれども、NIAIDを含めた米国内との研究機関とAMEDとの協力を進展させることで合意いたしました。
 タバックNIH長官代行とは、今年2月にアメリカで新たなキャンサームーンショットが公表されているんですけれども、その背景や狙いについて紹介が先方からあった後に、日本の強みとして、がんの研究における早期診断ですとか、個別化医療の重要性、また免疫などこうした日本の強みを生かした日米連携の在り方などに議論を行いましたし、またファウチ所長、またタバック長官代行とも、両者とも人材育成が極めて重要だという話をさせていただきました。そういう認識を共有したところでございます。
 以上、雑ぱくですけれども、科学技術、健康・医療についてはそのような議論を行ってまいりました。
(問)ロシア産原油の禁輸についてお伺いします。
 ロシア産の石油、数%ですがありますし、ではそれをまた中東に戻すかという議論は、経済安全保障のまさにサプライチェーンの観点からもあると思います。今回、G7で足並みをそろえるということでしたが、経済安全保障担当大臣としての認識と、もし対応策などお考えが現時点でありましたら、教えてください。
(答)これは岸田総理が発言されたとおりでございまして、石油を含むエネルギー資源の大部分を輸入に頼っている我が国としては、今回の決断というのは大変厳しい決断であったと受け止めていますけれども、今はG7の結束が何よりも重要であると考えておりまして、今回のG7の首脳声明も踏まえまして、我が国としてもロシア産石油の原則禁輸という措置を取ることになりました。
 実際の石油の輸入の削減、あるいは停止の時期などにつきましては、今後、実態を踏まえて検討し、時間をかけてフェーズアウトしていくものと承知しております。
 また、エネルギー安全保障、これは経済安全保障とまさに密接に絡んでくる部分でございますから、エネルギー安保を確保して、エネルギーのロシアへの依存度を低減していくためにも、エネルギー源の多様化ですとか、また供給源の多角化に向けた取組を進める必要があると。これは経済安全保障の視点から、そう考えております。
 従って政府としては、原油や天然ガスの供給源の多角化、また上流開発投資の促進、また同時に再エネや原子力の利用も含めまして、あらゆる手段を講じて、我が国のエネルギー安保、安定供給を確保していくということだと考えています。
(問)再び訪米の成果について伺います。
 NASAの長官とも会談されたということですが、日米の宇宙協力をめぐっては、月の周回基地のゲートウェイに搭乗する日本人飛行士の枠とか、米国が日本にも求めているISS運用の延長への協力などいろいろ懸案があったと思うんですが、こうした点も含めて今回の長官との会談で具体的に何か進展があったのか、教えてください。
(答)宇宙分野において日米は重要なパートナーであって、また日米両国の協力関係を発展させていくことについての認識をネルソン長官と共有いたしました。
 個別の詳細なやりとりにつきましては、紹介することを控えさせていただきますけれども、月の有人探査などを目指す、いわゆるアルテミス計画につきましては、ゲートウェイの居住棟建設への協力、また月面を移動するための有人の与圧ローバの開発などに日本としてしっかりと貢献していく、そのことを表明いたしました。また、米国人以外で初となる日本人宇宙飛行士による月面着陸を実現するように、改めて先方に伝達したところであります。
 また、ISSの2030年までの運用の延長についてでございますけれども、これはアメリカが運用を延長するという方針を踏まえまして、今後の参加の在り方などについての意見交換を実際に行いました。
 そのほか、日米豪印(クアッド)における宇宙協力など、幅広い事項につきまして有意義な意見交換をすることができましたので、今後の日米の宇宙協力の発展につなげていきたいと思っております。
 詳細を申し上げることはできないんですけれども、そういう話をさせていただきまして、ISSとの向き合い方につきましては、これまでも申し上げているとおり、ISSというのは船内、あるいは船外において日本人宇宙飛行士が貴重な経験を蓄積した場でもありますし、今申し上げたアルテミス計画を進めていくための技術実証の場としても極めて有益な場と認識しております。そうした認識についても、ネルソン長官との会談において改めて確認することができました。
 今、運用の延長に関しましては、実際に現下の情勢を踏まえながら、アメリカ、欧州、カナダ、こうした国々としっかりと連携を取りながら、我が国としての方針を主体的に適切に判断していきたいと考えているところであります。
(問)今の質問とも関連しますけれども、アメリカ出張の内容の関連で、バイデン大統領の来日に合わせて、宇宙関連分野でアメリカと何か連携を打ち出すようなことというのはお考えでしょうか。もしおっしゃられることがあれば、お願いします。
(答)日米首脳会談につきましては、何をアジェンダにするかということも含めまして、今、特に外交当局を中心に調整しているものだと承知しております。したがって、今、首脳会談について個別具体的なテーマについて私から申し上げることは控えますけれども、一般論として申し上げれば、冒頭申し上げたとおり、この日米の宇宙協力の在り方というのは、今後の日米両国としての国全体としての関係を強化していく上で私自身極めて重要なテーマであると認識しておりますので、そういう意識を持ってネルソンNASA長官ですとか、パリク国家宇宙会議事務局長と会談をしてきたということであります。

(以上)