小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月28日

(令和4年4月28日(木) 8:39~8:51  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」が、昨日、公募を開始されていましたけれども、大臣として各大学に期待していることというのが1つ。
 もう1つ、今回、補助金のような予算にミシン目が入ったものじゃなくて、目未定の交付金として交付されるんですけれども、各大学にとっては非常に使い勝手がいいものなんですが、こうした交付金事業を今後増やしていくようなお考えがあるんでしょうか。2点、教えてください。
(答)昨日から内閣府におきまして、地域の大学向けの支援である「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」が新たに公募されています。この公募は、地域の中核となる大学が、その強みや特色を生かして、地域のニーズに即した社会貢献活動を推進することなどを目的としておりまして、この2月に取りまとめた総合振興パッケージの一環として構想されたものです。財源としては「PRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)」のメニューのうち、大学や研究機関におけるシステム改革を目的としたメニューの予算を活用しています。
 今回の公募では、社会実装を担う官庁ですとか、また自治体の自主財源による事業からの支援を受けて、地域課題の解決に貢献する大学にインセンティブ付けをするものであります。いわゆる報奨金として交付金を支給するものでございまして、交付された大学が裁量を生かして地域の大学の活性化のために活用できるのが特徴です。
 私としては、大学の現場が、こうして自由度の高い資金を戦略的に活用していただくことによって、大学が自らの強み、また特色を生かした地域イノベーションを創出する環境を強化して、成長の原動力として地域社会を牽引する存在となっていくことにつながっていくことを強く期待しています。
 この取組に加えまして、まさに法案が審議されていますけれども、大学ファンドとともに、また総合振興パッケージを車の両輪として、我が国の研究力全体の底上げを図っていきたいと思います。
 交付金を今後増やしていくかどうか、これにつきましては、自由度の高さというのは当然重要であると思いますけれども、そこはバランスを考えながら検討していきたいと考えております。
(問)宇宙政策について伺います。
 先週になるんですけど、アメリカのハリス副大統領は、いわゆる「ASAT」という衛星攻撃兵器の実験をアメリカとしては今後行わないという方針を発表しました。理由としては、スペースデブリを増やさないための措置であると。他国についても追随してくださいと呼び掛けをしています。こうしたアメリカの方針について大臣の所感と、政府は現在、軌道利用のルール作りについて検討していると思いますが、日本に影響することがあれば教えてください。
(答)米国政府が、いわゆる破壊的な地上発射型ミサイルによる衛星破壊実験を行わない旨を発表し、これを国際規範として全ての国にコミットメントして加わるように求めたということは承知をしています。「ASAT」の発射実験は多数の宇宙デブリを発生させますから、無差別に軌道上の宇宙物体の衝突リスクを当然高めるものだと捉えています。既に外務省から談話を出されていますけれども、政府として今回の米国の発表というのは、持続的かつ安定的な宇宙空間の利用の確保に向けた取組として評価をしているところであります。
 宇宙空間の持続的かつ安定的な利用の確保のためには、当然、国際的なルールを作っていかなければならないと思っています。したがって、我が国としては引き続き関係国に対しまして、長期にわたって軌道上を周回するスペースデブリの発生、あるいは拡散、これを防止するための責任ある行動というのを求めていきたいと思いますし、国際場裏での議論に積極的に取り組んでいきたいと思っています。
 ただ、自分たちが口で言うだけでは、あまり実効性というものが出てこないとも認識しておりますので、今、ご指摘いただいたように、ルール形成により積極的に参画していく、そしてできればこのルール形成というのを主導していく。そうしたことまで視野に入れて、昨年11月に発表いたしましたが、我が国独自のガイドライン、こうしたものを引き続き積極的に発信していきたいと思います。そうしたことでルールがまだまだ整備されていない宇宙空間の利活用に関する標準、あるいはルールメーキングについて、国際的に主導できるように努めていきたいと考えます。
(問)統合イノベ戦略2022についてお聞きしたいと思います。
 昨年の2021は6月18日に閣議決定されています。私の記憶だと、第6期になってから統合イノベ戦略というのは位置付けが割と明確になってきたのかなと。5年間という固定されたところでは、なかなかこういうふうに機動性がないので、統合イノベ戦略でそういうことを書き込んだりとかしていこうということで、より実効性のある科学技術政策をやっていくという形で重要なんですが、今のところ各論ではどうも見えているんですけれども、全体像として2022の議論というのが見えてこないと。恐らく成長戦略とか、岸田政権の科学技術の重要性というところに引っ張られて、そっちに打ち込む議論というのがあると思うんですけれども、統合イノベ戦略というのはとても重要だという理解の下で、科学技術政策大臣としてのご所感をお聞きしたいと思います。
(答)今、統合イノベーション戦略というのは、科学技術・イノベーション基本計画を実行するための年次戦略でございますから、例年は、今おっしゃったとおり、大体6月ごろに閣議決定を行っています。今回、2年目ということですけれども、当然、今年も6月頃の閣議決定を目指しまして、今、内閣府が中心となって、関係省庁ですとか、あるいはCSTIの有識者議員の皆様方と議論を進めて検討を進めているところです。2022については、まだなかなか姿が見えてこないということですけれども、直近の国内外の情勢を当然踏まえなければいけないし、先ほど申し上げた10兆円の規模の大学ファンド、こうした動き、また第6期の基本計画の初年度の実行状況、進捗状況も踏まえまして、Society5.0の実現に向けた政策をより具体化していくことが求められていると考えています。
 特に岸田政権として科学技術立国の実現というものをうたっておりますから、そのプロセスの中で、既に熾烈な国際競争に入っている量子・AI、こうした新たな戦略を取りまとめたところでございます。これは当然これまでとは若干違って、社会実装の視点にフォーカスを当てたものにしております。そうしたものですとか、まさに今日も国会で経済安全保障の法案の審議がございますけれども、既に打ち出している経済安全保障重要技術育成プログラム、あるいはスタートアップ創出元年ということで総理が今年は位置付けておりますけれども、そのイノベーションエコシステムの抜本的な強化、こうした切り口からしっかりと検討を進めることによって、成長と分配の好循環を実現できるような戦略として位置付けられるように、冒頭申し上げた6月頃に向けて、またさらに検討を進めていきたいと考えています。 
(問)技術流出の関連でお伺いします。
 直接的な所管は経産省になりますけれども、来月1日から外為法上の、いわゆる「みなし輸出」の輸出対象が拡大施行されます。改めてにはなりますが、経済安全保障上の今回の意義について、お伺いしてよろしいでしょうか。
(答)これは、外為法(外国為替及び外国貿易法)上の規制というのは、基本的にはクロスボーダー、国境を越えていくものの管理ということでございます。ただ、これまでの外為法の中におきましても、非居住者という方は、当然いつか外に出ていくということが前提となっていますので、国内における安全保障上、機微な技術につきましても、居住者から非居住者に渡る場合には、そこは外為法上の管理の対象となっていたわけです。ただ、この非居住者というのは、例えば留学などで来られて6カ月滞在すると居住者になってしまって、外為法の管理の枠組みから外れてしまうということがあるので、そういう方の中にも、例えば外国政府と非常に強い関係がある方などもいらっしゃいます。そうしたことをしっかりと外為法上の管理の強化という形で、そういう場合についても、しっかりと見ていけるように、今回「みなし輸出」の管理を強化するということでございます。技術を育てていくということが非常に重要だと思っておりますけれども、その育てた虎の子の技術が不用意な形で海外に流出してしまうということは、我が国の国益を毀損することにつながると考えておりますので、そうした観点から今回手当てをされたものと認識しておりますし、それが実効性を持って運用されるように、関係省庁と連携をしながら取り組んでいきたいと考えます。

(以上)