小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月19日

(令和4年4月19日(火) 8:42~8:53  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 宇宙政策担当大臣として報告がございます。
 内閣府では、宇宙ビジネスの裾野拡大や宇宙ベンチャーの創出・育成に向けた活動の一つとして、宇宙を活用したビジネスアイデアのコンテスト「S-Booster」を実施しております。本年も開催いたします。
 このS-Boosterでは、日本国内とアジア・オセアニア地域から宇宙を活用したビジネスアイデアを広く募集して優れたアイデアについて表彰するとともに、民間スポンサー6社のご協力の下、事業化に向けた活動資金として賞金を授与いたします。ちなみに、最優秀賞は1,000万円でございます。
 米国では、ベンチャー企業が宇宙産業の成長をけん引してきておりまして、我が国におきましても宇宙ベンチャーの誕生と成長を促進することが、今後ますます重要になってくると考えております。過去のS-Boosterからは、宇宙開発利用大賞で表彰されるまで成長した方も出てきておりまして、本年もこのS-Boosterにより優れたビジネスアイデアが生まれるきっかけをつくってまいりたいと考えております。
 今年につきましては、お手元のプレスリリースにもあると思いますけれども、本日から6月20日までの間、専用のウェブサイトでビジネスアイデアを募集させていただきます。多くのご応募を期待しております。
 詳細は宇宙開発戦略推進事務局までお問い合わせいただければと思います。以上です。

2.質疑応答

(問)先月行われた学術会議の会見でデュアルユースについて聞いたところ、学術会議としてもデュアルユース的な側面を全面否定して、一切研究をやめろということは一回も言っていないという回答がありました。一方で、大臣も参加されていた自民党のPTの議論とか先生方の話を聞くと、学術会議はデュアルユースを認めないんだというような認識を前提に議論していたように感じています。これから政府と学術会議の関係を、昨日、大臣が学術会議での挨拶でもおっしゃったように、より良くするためには、そうした認識の違いとか誤解を解く必要があると思うんですけれども、大臣としてはこれからどういうふうに取り組むお考えでしょうか。
(答)まず、軍事技術と民生技術のいわゆるデュアルユースにつきましては、その扱いについては、まずは学術会議自身に考えていただくべきものだと考えています。したがって今、ご指摘があった先般の学術会議の会見のやりとりの詳細について、私のほうからコメントすることは控えたいと思いますけれども、先般、経済安保法案の審議におきましても、参議院内閣委員会におきまして、議員の質問に対して、学術会議事務局から、日本学術会議は先端技術や新興技術が民生・軍事の二面性を持つことを十分に認識しているという点や、その上で潜在的な利用可能性に応じてあらかじめ評価することは容易ではなく、大学等研究機関等が研究活動を適切に管理することが必要との説明があったものと承知をしております。
 日本学術会議でご議論されているように、先端技術は将来において様々な用途、分野で利用され得るという多義性を有しておりますので、例えば防衛分野での利用可能性があることをもって、その研究開発を単純に否定するとすれば、我が国の科学技術・イノベーションが世界から立ち遅れていく恐れがあると考えております。この点については先般、国会の答弁でも答えさせていただいたんですけれども、世界において我が国が技術を含めた優位性を維持し、また獲得しつつ先端技術研究の存在感を発揮していくためには、企業や国立研究開発法人だけではなくて、まさに知の源泉たる大学、アカデミアの力も結集して研究開発を推進していくことが必要不可欠だと考えております。したがって、私の立場としては、日本学術会議を始めとしてアカデミアの皆様方としっかりと対話を重ねてまいりたいと考えております。
(問)話題は変わるんですが、21日から靖国神社の春の例大祭が始まります。参拝のご予定があるのかどうなのか、真榊などの­奉納のご予定があるのかどうなのか、教えてください。
(答)個人として適切に判断したいと考えます。
(問)冒頭発言にもあった宇宙ベンチャーの支援について、関連で質問させていただきます。
 日本の宇宙ベンチャーを育成するには、アメリカのNASAのように政府が長期にわたって調達を行って産業を下支えするような、いわゆるアンカーテナンシーの枠組を作ることが重要かと思いますが、日本においても内閣府が小型衛星コンステレーションを構築するために民間を支援するということを進めようとしていますけれども、このようなアンカーテナンシーの枠組を拡大する必要性について、大臣はどのように考えているか教えてください。
(答)ご指摘の点は非常に重要だと思いますし、私自身、問題意識を共有しております。NASAの話が、今、言及いただきましたけれども、アメリカにおいては、このアンカーテナンシーを活用することによってベンチャー企業の成長を後押ししている、そういう面というのが大いにあると考えております。したがって政府調達というのは極めて重要だと私は考えております。
 昨年夏の宇宙基本計画の工程表の改訂に向けた重点事項におきましても、今言及いただいた、我が国独自の小型衛星コンステレーションの構築に向けて、省庁横断でのアンカーテナンシーなどによって官民連携の下で戦略的な取組を推進するとしたところでございます。こうした状況を踏まえまして、内閣府においても、令和3年度の補正予算において、小型のSAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証事業というものを開始したところでございます。
 これまで宇宙開発事業というのは、政府、国が主導する形でやってきていると。その面というのは否定できないと思いますけれども、今後、中長期的に持続可能な仕組みというのをつくっていく観点からは、民間企業、産業の力をどうやって生かしていくかという視点は極めて重要であって、これはこれまでの既存の、いわゆるこれまでの日本の経済を支えてこられた大企業を含め、そういう企業も大切だと思いますけれども、未知なる可能性に挑戦して、フロンティアへの挑戦ですから、そういう意味では日本でも宇宙関係のスタートアップの方がどんどん出てきておりますので、そういう方を、政府調達を含めてしっかりと後押ししていくということは、我が国の発展にとって必要不可欠だと認識しています。
(問)昨日、大臣も会場で挨拶されていましたけれども、学術会議が昨日と本日、総会を開催しています。総会の場で、次期会員の選考方針案が議論されて、推薦する候補者の人数などを公開するというような方針案も示されました。検討中の組織の在り方の見直しには、こういった議論が影響するのか、あとそれに対する評価とか所感があれば、お願いします。
(答)学術会議の総会というのは、本日も引き続き続いておりまして、今、言及のあった選考方針につきましても、引き続き議論が行われると承知をしています。この選考方針自体は、求められる会員像ですとか、次期に重点的に取り組む事項を明らかにして、外部からの意見も聞く形で選考方針を策定し、公表することによって、会員選考プロセスに関する説明責任を強化していく趣旨であると理解しております。その意味では、取組を前へとしっかり進めていただけることを期待しているところでございます。
 別途、今後の学術会議の在り方につきましては、今、政府の中で検討をしているところでございますけれども、まずCSTI有識者議員懇談会で様々な論点を提示されましたので、それをしっかりと深掘りしていくということや、外国での取組というものを更に調査していくこと、また学術会議の自主的な取組の進捗状況、こうしたものを総合的に勘案して、夏までには政府としての考え方を示していきたいと考えています。

(以上)