小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月15日

(令和4年4月15日(金) 9:23~9:34  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)先日まとまった「量子未来社会ビジョン」ですけれども、この中で、国内で量子技術の利用者を2030年までに1,000万人にするという野心的な目標を掲げています。通常の政策の延長線上でなかなか難しいと思うんですが、こういう野心的な目標をどうやって達成していくのか、お考えを教えてください。
(答)まず、量子技術につきましては、コンピューティング、センシング、通信、こうした分野において、これから大きな社会変革を起こし得る可能性のある技術だと思っております。また、恐らく広がりとしては、創薬、金融、材料、エネルギー、様々な分野に裨益していくものだと思っています。そういう意味で各国はしのぎを削っている、その中で量子戦略を新しく作っていくということだと理解しています。
 先般、量子技術イノベーション会議で、この取りまとめが行われたところでございまして、今、おっしゃったように、2030年を目途として、それまでに量子技術の利用者を1,000万人。これはかなり野心的な目標だと捉えています。そもそも1,000万人というのは、量子技術を非常に詳しく知っている人を1,000万人というわけではなくて、過去、インターネットが爆発的に普及したティッピング・ポイントなどを考えると、大体人口の5%から10%ということで今回1,000万人。これは量子技術ということを知らなくても、それを利用しているという意味で1,000万人という、それでも野心的だと思っています。
 どうやって実現していくのかというところですけれども、できる限り多くの方に利用していただくために、まず量子技術と従来型の技術、これをハイブリッドで融合させていくことによって、産業の成長機会をつくり出していったり、あるいは社会的な課題の解決、こうしたものにつなげていきたいと考えています。あとは量子のコンピューターと通信のところですけれども、いわゆるテストベッドですけれども、試験が可能な環境をしっかりと整備していくことによって、量子技術の利活用の促進を図っていきたいと考えています。
 この量子技術、国際的に見てもスタートアップが引っ張っているところもございますので、我が国においてもスタートアップの創出・活性化。これは新しい資本主義のほうで総理が、今年を「スタートアップ創出元年」にするということで5カ年計画を作っていくとしていますけれども、そうしたことと整合性をしっかり取る形でやっていきたいと思っています。
 今申し上げたところを基本的な方向として、量子技術が将来、また更により身近に感じていただけるような政策というものを行っていきたいと思います。併せて重要なのは知財ですとか標準化、そして人材育成、こうしたものも同時に進めていかなければいけないと考えています。
 ですから、私どもとしては産学官と一体となって取組を進めていきたいと思いますし、また国産量子コンピューターなどの研究開発、また産業化支援だけではなくて社会変革を見据えた量子技術の利活用を促進していきたいと考えています。
これをやったら爆発的に利用者が増えるというものでもないと思いますけれども、ただ、そういう野心的な目標を掲げることによって、政府としては最大限の努力をしていくということであります。
(問)併せて新たなAI戦略についても、昨日、有識者会議で案が取りまとまったと思いますが、AI戦略を新しく作る意義や経済安保の観点も含めた重要性について教えていただければと思います。
(答)AI戦略につきましても、これも量子と同様に社会実装に重点を置いて、今回、戦略を作っているというところです。昨日、有識者会議で結論を取りまとめたところです。
 今後、新しい資本主義実現会議での議論も踏まえまして、企業による実装を念頭に置いて、社会でより広くAIを利活用していただけるような、またAIの利活用の利益が社会全体に裨益していくような、そういうことを考えながら戦略を作って実行していきたいと考えています。
 経済安全保障との関係で申し上げますと、法案の審議が今、参議院に移っておりますけれども、その中で先端的な重要技術、これは量子やAIを含めてですけれども、それを官民がしっかりと連携して、もう少し言えば、民間主体ですけれども、そこに政府が国としてしっかりと伴走支援していく形で社会実装に向けて技術育成をやっていくという、その枠組を作ろうとしていますので、こうした経済安全保障上の技術育成の取組も、当然整合性を取る形でやっていかなければいけないと考えています。
(問)学術会議について伺います。学術会議の総会が来週行われる予定でして、会員選考方法の見直し案の議決を予定しているとのことです。大臣は今年1月の記者会見で、組織形態を含めた学術会議の在り方に関する政府の方針を夏までに示したいと話していたと思います。学術会議の新たな会員選考方法が政府の方針を決める際の判断材料の一つになるのか、大臣の考えを教えてください。
(答)日本学術会議の総会が来週の18日(月)と19日(火)に開かれると承知をしておりまして、その中で、今おっしゃった会員選考方法の見直しというものもアジェンダの一つとして議論されると承知をしています。
 この総会でどういう議論が行われるかということについては、私がコメントする立場にはないんですけれども、私の理解としては、学術会議は昨年4月に出された報告書に基づく自己改革を進めていると認識しておりまして、ご指摘のこの案件というのは、その一環であると捉えています。
 今進めている日本学術会議の在り方の見直しにつきましては、今年の1月にCSTIの有識者議員懇談会で取りまとめていただいた提言に基づきまして、そこで提示をいただいた様々な論点もございますし、また海外の動向もしっかりとさらに調査をしていかなければいけないと思っています。また今回の日本学術会議の自己改革の進捗状況なども含めまして、あらゆる要素を総合的に考慮する形で、学術会議の在り方の見直しについては丁寧に検討していかなければいけないと思っておりまして、まさにその検討を現在進めているところであります。
(問)関連して、繰り返しですけど、選考方法についての見直し、政府としての方針決定に影響があるのかどうかというところを改めて教えてください。
(答)今申し上げたとおり、CSTIの報告の中で提示をいただいた様々な論点、また海外の動向、そして日本学術会議の自己改革の進捗状況など、あらゆる要素を総合的に考慮して丁寧に検討を進めているところです。
(問)今の関連で、夏までにということで、大臣主導で組織の見直しに向けた検討をされていると思いますけど、今も少し言及がありましたけれども、検討状況についてご説明できることがあれば、改めてお願いしたいんですけれども。
(答)検討状況は、今の回答と重なるんですけれども、CSTIの報告で示された論点の深掘り、また海外の動向の調査などを今丁寧に進めているところです。

(以上)