小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月12日

(令和4年4月12日(火) 9:20~9:34  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 科学技術担当大臣としてご報告をさせていただきます。
 科学技術について広く一般国民の皆様の関心と理解を深めて、我が国の科学技術の振興を図ることを目的に、昭和35年から科学技術週間を毎年開催しております。今年は第63回の「科学技術週間」ということで、こちらに貼らせていただいていますけれども、来週の4月18日(月)から24日(日)ということで開催をさせていただきます。
 全国の大学、研究機関、科学館などで、施設公開や講演会など100件以上の関連イベントが開催予定でございます。また、文部科学省におきまして、今年が国連の国際ガラス年であることを踏まえまして、ガラスをテーマにした「一家に1枚ポスター」を全国の学校などに配布するとともに、科学技術週間ホームページでの情報発信を行っております。
 科学技術・イノベーション基本計画におきましても、科学技術・イノベーションへの関心を高めるための情報発信を重視しておりまして、内閣府としても情報発信を積極的に行い、国民の皆様が科学技術に触れるきっかけを作っていきたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)科学技術週間で各地でイベントが開催されると思うんですけれども、我々の日常生活が科学技術によって支えられているという事実の中では、むしろ常日頃からリテラシーを高めることが大切だと思います。大臣としては、常日頃から国民のリテラシーを高めるためにどのような取組が必要だとお考えでしょうか。
(答)これは、一朝一夕に何か決定的なものがあるとは思っておりません。ただ、リテラシーという意味ではやはり教育だと私は思っています。大臣就任の冒頭の記者会見でも申し上げたと思うんですが、私は国力の根幹というのが経済と安全保障だと思っていて、それを支えるのがイノベーションだと。そのイノベーションを生み出すのも人だし、イノベーションの成果を社会にどう活用していくのか、還元していくのか、それも人だと思っているので、全ての土台には教育があると思っています。
 その意味で、子どもたちを含めて特に若い世代、そこの科学や技術に対するリテラシーをどう高めていくのかということが極めて重要だと思っています。政府、内閣府としては、例えばSociety5.0の科学博といったイベントやシンポジウムを開催して情報発信などをやっていますし、また今後、関西万博が開催されますから、若宮担当大臣も今、ドバイへ行ったりされていましたけれども、そうした機会というものも当然活用していくんですが、私は特に小・中学校における教育の在り方だと、これは私見ですけど思っています。
 以前、ノーベル賞を受賞された赤崎先生とか山中先生もおっしゃっていたと思うんですけど、研究の根本にあるのは好奇心なんだと。私もそう思います。簡単に言えば、わくわく感ですけれども。子どもたちが日常生活とか、あるいは小・中学校で実験の機会に触れて、こんなことができるんだとか、そういう気付きですよね。そういう気付きを子どもが得られるような機会というものを私は積極的につくっていくべきだと思っていまして、文部科学省がいろいろ考えられていると思いますけれども、科学技術担当大臣としては、そういう問題意識を持って、これから政策に関わっていきたいと考えています。
(問)宇宙政策について2点伺います。
 先日、アメリカの宇宙企業、アクシオム・スペース社が、世界で初めて民間の宇宙飛行士だけでISSへの宇宙旅行を始めました。このことについての大臣の所感を教えてください。
 もう一点、日本の民間企業も宇宙旅行の実現のために宇宙船の開発を進めていますけれども、宇宙活動法で見ているのか、航空法で見るのか、法的な規制が必ずしもクリアになっていないと思います。日本で宇宙旅行を実現するに当たっての課題、大臣の現状認識を教えてください。
(答)これはアクシオム・スペース社が4名の民間人だけで宇宙旅行をやったと。ISSまで初めて到着したということで、私、この報道に触れた時、本当にすごいなと正直感動しました。それが私の所感でございまして。
 今回、スペースXのロケットに乗っていったわけですけれども。これまで冷戦時代はアメリカとソ連を中心とした国家間の利用というものが当然中心だったわけですけれども、どんどん民間企業が今参入してきていて、特にアメリカのスタートアップを始めとする企業が挑戦を続けている姿を見て、我が国としても、そういうスタートアップを含めた民間企業が育っていってほしいと思うし、それをしっかりと応援できるような政策を政府は打っていかなくてはいけないと思っています。そういう思いで見ていました。感動すると同時に、日本の企業がどうすれば、宇宙旅行だけじゃないですけれども、宇宙空間の利用にもっと参画できるようなルール形成を含めてできるのかということが重要だと思っています。
 2点目の質問ですけれども、宇宙旅行するに当たっての法整備、あるいは課題ということですけれども、アメリカは既に法整備がなされていると認識しています。例えばインフォームドコンセントの話であったり、あるいはクロスウェーバー、賠償請求権の放棄といったような形でアメリカには法律があるというところで。日本としては今、内閣府の宇宙開発戦略推進事務局と国交省と関係企業が集まって「サブォービタル飛行に関する官民協議会」を実施しておりまして、今後必要な環境整備について議論を行っていると承知しています。
 また、法整備という面では、宇宙旅行のさらにその先に当たる、宇宙旅行は有人ですけれども、先日、STM、「宇宙交通管理に関する関係府省庁等タスクフォース」を立ち上げまして、今後、SSAやSTM、こういうところを見据えてどういうルールが必要なのかということの検討を開始しております。
 こうしたルール作りというのは極めて重要だと思っておりますけれども、ルールだけ作っていても十分でないと当然思います。宇宙旅行であれ、あるいは他の活動であれ、そういう活動を担っていく民間の主体が生まれてこなければ、そこを後押ししたいと思っています。ルール整備、これは私は必要だとは思っておりますけれども、単にルール整備ありきではなくて、民間企業がどうすれば、さらに予見可能性等を持って、こうした宇宙空間の利用により積極的になっていただけるのか、挑戦していただけるのか、それを後押しできるのか、そういう観点から前向きにこのルール整備に向けた検討というものをしていかなくてはないと思っています。
 ちょっと話は変わるんですけど、去年、議員立法で、今の大野内閣府副大臣と一緒に駆け回って、宇宙資源法、通称ですけれども、これを議員立法で成立させました。これは今すぐに、この法律ができたから、明日からどこかの企業が月に行って何かを取りますというのではなくて、そういうことを将来やることを考えている企業がいて、挑戦は実際に始めているので、そういう日本の企業ですとか、あるいは将来、国内外から日本の法律に基づいて宇宙の探査、開発、こうしたものに挑戦する企業が出てくるのではないかということを狙って立法したわけです。宇宙空間の利活用についても、これから急速に状況は変わっていくと思いますので、そのルール整備の在り方、これは前向きに政府としても検討していく必要があると考えています。
(問)NECがAI技術を使ってワクチン開発に乗り出すと発表しました。既存のワクチンよりも効果が長期にわたるワクチンを開発するということですけれども、これについて所感があればお願いします。
(答)NECがCEPIとともに、AIの技術を用いて新型コロナウイルスを含むコロナウイルス全般に有効な次世代のワクチンの開発をスタートさせたということです。こうして日本の企業が新たに国際的に貢献できるワクチンの開発に踏み出したことについては、率直に敬意を表したいと思っています。
 政府としては、先般、SCARDAを立ち上げまして既に公募を開始しているところでございますので、今回の公募については、コロナウイルス感染症を対象としたワクチン開発と、いわゆる新規モダリティを用いる感染症ワクチンの研究開発に分けてやっておりますけれども、今回は締め切りを特段設けることなく常時公募という形でやっておりますので、積極的な提案をいただくことを期待しております。また産学官が連携する形でワクチン開発を進め、国際的な貢献はもちろんのこと、何よりも、どういう状況になっても、我が国自身の意思と能力で国民の命をしっかりと守っていけるような、そういう国家になっていけるように努力していきたいと考えます。
(問)量子技術を巡る新しい戦略について政府内で議論が進んでいると思いますが、量子技術の重要性について、経済安保の観点も含めてどう考えておられるか、教えていただければと思います。
(答)量子技術については、今まさに経済安全保障推進法案の審議をしていただいております。その中で4つ項目があるんですけれども、その中に量子を含めて革新的な技術、先端的な重要技術を官民がしっかりと連携する形で育成していく、官としては民間の研究開発に伴走支援していくという制度を作らせていただこうとしております。
 量子だけではないですけれども、こうした革新的な技術というのは多義性を持っていて、これは民生の利用にしても、あるいは公的な利用にしても、様々な可能性というものを秘めていると思っておりますので、ここは各国がまさに国家戦略とも位置付けて、また巨額の資金を投入して、この研究開発に挑戦している中で、日本としても、それとしっかりと渡り合えるような形で臨んでいかなければならないと思っています。
 具体的には、我が国としての量子戦略、既に作っているところではあるんですけれども、今回、改定を行おうと思っておりましてまさに今日の午後だと思いますけれども、量子技術イノベーション会議を開催して、そこで経済安全保障の観点も加味した上で、これまでの戦略の見直しに向けた取りまとめを行っていただく予定と承知しておりますので、闊達なご議論を期待したいと考えています。

(以上)