小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年4月8日

(令和4年4月8日(金) 9:17~9:33  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨


 冒頭発言なし

2.質疑応答

(問)日露科学技術協力に関連してお伺いしたいんですけれども、ロシアとウクライナの状況がある中で、気候変動予測のためには北極域の研究データというのが非常に重要になってくるんですけれども、このロシア、ウクライナの状況がある中ではなかなか厳しい状況になったりもしています。今後の北極船の開発を含めて北極域研究をどういうふうに進めていくのか、大臣のご所見をお願いします。
(答)この北極域の研究に関しましては、文部科学省が、いわゆる「ArCSII(アークス2)」を行っていると承知しています。この北極域というのは、極めて様々な分野・意味において重要なエリア、今後ますますその重要性が高まっていく分野だと考えています。その意味で、北極域に対して気候変動が及ぼす影響を把握していくために様々な観測データを収集していくこと、またその実態を解明していくということは極めて重要だと思っています。
 この北極域の研究船は、今後ますます重要性を増してくるこのエリアのデータを自ら収集するということは、我が国の自律性を高めていくという上で極めて重要な取組だと思っております。そこはこれからも追求していかなければならないと思いますし、また、この北極域の研究を進めていくに当たりましては、関係各国と引き続き連携をしながら、また国内においては関係省庁と連携をし、進めていかなければならないと考えています。
(問)宇宙飛行士の募集に4,000人以上の応募がありました。宇宙政策担当大臣としての受け止めと、宇宙分野に注目が集まる中で、職業宇宙飛行士に限らず、宇宙人材の育成をどのようにサポートしていくべきだとお考えでしょうか。
(答)今回、JAXAが宇宙飛行士の募集ということで、前回の4倍を超える応募がございました。これは素直に、率直に喜ばしいことだと思って歓迎しております。
 この要因としては、たぶん様々な要因があると思います。今回の応募に当たりましては、応募の要件を緩和したということもあると思いますし、また今回募集した宇宙飛行士、今後約1年をかけて選定していくと承知していますけれども、これから、今、アメリカを始め各国と進めているアルテミス計画の中で、いわゆるゲートウェイですとか、あるいは月面の着陸、こうしたものも視野に入ってくると考えています。
 既に昨年末、総理から発表もいただきましたけれども、総理からメッセージとして、2020年代後半をめどに、米国人以外では初めての月面着陸を日本人として狙っていく、目指していくと、そういうメッセージも発していただきましたので、そういう効果があったのかもしれません。
 いずれにしても、今、宇宙の探査ということも重要だと思いますし、そこに限らず、今、私たちの生活は宇宙空間の利用なしには成り立たない、今後ますます宇宙空間に依存する程度というのは高まってくると思いますので、そういう意味でこうした宇宙飛行士の選定などを通じて、これから広い意味での宇宙産業に関わっていくような若い方々に対してポジティブなメッセージを発することができたのであれば、それは素晴らしいことだと思っています。
 こういうことで、国民の皆様に対する宇宙の関心が高まれば、おのずと人材育成は進んでいくのかなと思いますし、また今後、より広く宇宙産業に関わっていく人材育成という意味では、実際に大学生を始めとする若い方々に対して、設計、開発、打上げ、そして運用、こういうプロジェクトの工程を経験するような実践的な教育が必要だと思いますし、また例えば小型の衛星をつくって打ち上げるとか、そういう短期のプロジェクトなども活用していくことによって、これから重要になってくる宇宙空間の利用に携わる人材、若い方の関心というものを高めていければと考えています。
 
(問)経済安保法案の関連でお伺いします。
 昨日、衆院の本会議で可決されて、参院への審議に移ったわけですけれども、法案自体の策定に向けては、新国際秩序創造戦略本部などで以前より議論はされていたわけですけれども、足元ではロシアによる軍事侵攻が続いておりまして、エネルギーを始め資源確保面などで懸念などが広く出て、影響も出ています。そうした中で、改めましてこうした法案というものを今策定する意義ということについて、大臣のお考えを改めてよろしいでしょうか。
(答)まず、今回のロシアによるウクライナの侵略、これについては国際秩序を揺るがす行為だと思います。明確な国際法違反ですので、これは最も強い言葉で非難をしている、その思いは私も共有しています。
 この状況の中で、結果としてサプライチェーンの強靭化を含め、経済安全保障の重要性というものが多くの国民の皆様に実感として、より強く伝わる環境に今あるのかなと思います。ただ、これは国会審議の中で申し上げているんですけれども、もちろん有事の対応というのは必要です。ただ、この国で、ウクライナの情勢の起こる前から、こうした議論というものは進めてきているわけであって、今回のウクライナの事案を含めて、今後何が起こるか分からない、不確実性に富む時代を迎える中で、平時から様々なシナリオを想定した上で、いかなる状況にあっても国民の命と暮らしを守り抜く、そういう体制というものをしっかりと整備していかなければならない。その重要性というものは変わりませんので、引き続き国民の皆様に、この法案の意義というものをご理解いただけるようにベストを尽くしていきたいと考えます。
(問)6日の内閣委員会で附帯決議が採択され、ロシアによるウクライナ侵攻といった安保環境が激変する中で、必要があれば追加措置を検討して措置を講じていくべきだという趣旨の内容が盛り込まれました。こういった国会というのか委員会の採択に対して政府としてどのような反応、期待に応えることができるのか、どのようなことが今後考えられるのか、今の時点でのご所見を伺えないでしょうか。
(答)この附帯決議そのものにつきましては、立法府としてのご趣旨をしっかり踏まえて、これから対応していきますと、そういう趣旨のことを私、大臣として申し上げました。
 今後、今の情勢を踏まえて政府として具体的にどういう措置を講じていくのかという点につきましては、この情勢が始まってから、日本としてはG7を始めとする国際社会と連携をしながら、様々な制裁措置を含めてやってきているところでございます。引き続き、そこは各国と連携をしながら、しかるべく必要があれば追加の措置を講じていくということだと考えます。
(問)経済安保法案が昨日、衆院通過ということになりましたけれども、賛成した野党側からも、問題点が残るとか、本法案に問題なしとはしないというような、そうした言葉もありましたけれども、国会の審議というのは十分に議論は尽くせたとお考えでしょうか。
(答)まだ衆議院を通過しただけですので、残りのこれから迎える参議院の法案審議におきまして、国民の皆様によりご理解いただけるように説明をしていきたいと思います。
(問)もう一点伺います。基幹インフラの事前審査についてなんですけれども、審議では、リスクが高まった際には、事後的な勧告もあり得るという見解が示されています。事前審査ということになっていますけれども、インフラの導入後も政府はそうした基幹インフラの安全性についてチェックを続けていくということなんでしょうか。
(答)それは条文に書いてあるとおりなので、また国会の議事録を読んでいただれければ、そこは説明させていただいているんですけれども、そこは経済界にも、この法案の策定の過程で様々ご意見を承ってまいりました。やはり大きく国際情勢などが変化したときには、そういう手段というかアプローチというものもありますけれども、それは企業への負担等々の観点から、できる限りそこは限定的な運用と言われておりますし、そのつもりでおります。
 また、そうした状況が生じた場合に、例えば設備の点検ですとか、それは条文をお読みいただければ書いてあることですので、読んでいただきたいと思いますけれども、そこは限定的な運用をしていくということだと考えています。
(問)宇宙政策について伺います。
 現在、政府内で、アメリカに次いで国際宇宙ステーション(ISS)の運用延長に日本も参加するかどうかの検討が進められていると思います。仮にこのISSを日本が使い続けるということになれば、現在、ウクライナ侵略を進めているロシアと一定の宇宙空間での協力を続けていくということが前提になると思います。今回のウクライナ危機がISSをめぐる日本の意思決定に何らかの影響を与えるのかどうか、大臣の考えを教えてください。
(答)今、ISSの今後の運用についてご質問をいただきましたけれども、これまでも申し上げているとおり、このISSというのは、我が国として船外、あるいは船内におきまして様々な知見を蓄積した場でもありますし、アメリカを含めて臨んでいこうとしているアルテミス計画の実際の実証の場としてでも非常に有用な場であると承知しています。
 その意味で、今、そもそもウクライナ情勢につきましては予断を許さない状況でございます。ロシアを含めて参加している各国がそれぞれ補完し合いながら、今、ISSの運用というのを行っていると承知していますけれども、そもそも運用を延長するかどうか、これも今、議論の焦点の一つになっておりますけれども、これも現下の情勢を踏まえながら国際社会、またISSに参加しているアメリカ、欧州、またカナダとしっかりと連携を密にして、我が国としての方針を決めていきたいと考えています。
(問)理化学研究所の労組が、有期雇用の職員300人が雇い止めされて、最大600人が今年度末に退職するというような会見をしました。労組側は、研究力の低下につながるという主張をしておりますけれども、この件について問題意識ですとか所感があれば、お願いします。
(答)今、理研のいわゆる雇い止めと言われる問題についてご質問いただきました。
 我が国の研究力を向上させていくに当たっては、研究者の方々が腰を据えて研究に打ち込める環境を整えていくことが重要だと考えています。その観点からは、研究者の雇用の安定を確保する労働契約法の趣旨にのっとった運用がなされることが私は大変重要だと思っています。ただ、理研を含めて個別の研究機関における雇用も含めた運営につきましては、各所管省庁におきまして適切に対応いただくものだと考えますけれども、いずれにしても意欲と能力のある研究者の方々が、それにふさわしい処遇を得て研究活動に没頭していただくということは重要だと思っています。
 政府としては、いわゆる10兆円ファンド、大学ファンドを通じて大学のガバナンスを強化しつつ、博士課程、特に博士後期課程の方々に対する経済的支援も強化していかなければならないと考えておりますし、若手の研究者の方々が思い切ってチャレンジングな研究に挑戦できるような創発的研究支援事業を既にやっていますけれども、こうした取り組みを通じて、私の立場としては意欲と能力のある研究者の方々の研究環境の整備に力を入れていきたいと考えています。

(以上)