小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年2月4日

(令和4年2月4日(金) 13:34~13:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 まず、経済安全保障担当大臣としての報告です。
 本日、第2回目となる経済安全保障推進会議が開催されました。会議では、昨年11月の第1回会議で立ち上げることとされた「経済安全保障法制に関する有識者会議」が取りまとめた提言について私から報告を行うとともに、法制面以外でも基幹産業が抱えるリスクへの対応と脆弱性の点検・克服について、関係閣僚が連携し、対策の強化・深化を図っていく必要性を確認いたしました。
 総理からは、法案を早急に取りまとめ、与党との調整を含め、今通常国会への提出に向けて準備を加速すること、また各省の連携体制を新たに整備し、国民の生活や経済活動を支える重要な産業が直面するリスクの総点検と評価、そして脆弱性を克服する対応を進めること、こうしたご指示をいただいたところであります。
 今後、総理のご指示を踏まえつつ、経済安全保障の確保に向け、私自身、先頭に立って政府一体として取組を進めてまいります。
 2点目、科学技術担当大臣としての報告でございます。
 先日、2月1日になりますが、第58回のCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)を開催いたしました。会議では、科学技術・イノベーションによる成長と分配の好循環の実現に向けた3つの柱につきまして私から説明をし、世界と伍する研究大学の在り方についての最終取りまとめ、そして地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージなどにつきまして決定をいただいたところであります。
 会議の中では、岸田総理から、私を含む各大臣に対しまして、量子、AIなどの重要分野の国家戦略を策定し、勝ち筋を共有すること、そして世界と伍するスタートアップ・エコシステムの形成に向けて具体策の検討を加速すること、そしてイノベーションの源泉となる人の力を最大限引き出すための施策パッケージを取りまとめること、そしてトップ研究大学をつくるための法案を今通常国会に提出するとともに、地域の核となる大学の力を引き出すこと、こうした指示が出されたところであります。
 私としては、総理の指示の下、関係大臣と連携をして、まず量子、AI等の分野戦略を強化する新戦略の策定、また新たにCSTIの下に立ち上げるイノベーション・エコシステム専門調査会におけるスタートアップ・エコシステム形成に向けた具体策の検討、そして教育、人材育成に関する政策パッケージの取りまとめ、そして大学改革、大学ファンド、地域中核大学等への支援、こうしたことに早急に取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)CSTIの本会議のお話が今出たんですけれども、本会議の席上で橋本議員から、経済安全保障の観点から、リタイヤした優秀な技術者や研究者を国で雇用して大学等に派遣すべきではないかという意見が出されました。方法論はいろいろあると思うんですけれども、優秀な研究者や技術者のノウハウとか技術が海外に流出するのは非常に課題だと思いますけれども、その辺について大臣はどのようにお考えですか。
(答)橋本先生から、そのようなご指摘がありました。最近は、あらゆる研究活動がグローバルかつダイナミックに展開をされている中で、人材の国際的な獲得競争というものはかなり激しくなってきていると認識しています。国を挙げて科学技術・イノベーション、こうした政策を強力に推進する観点からは、優れた人材をいかに確保していくのか、この点は極めて重要になってきていると認識しています。その意味で、橋本議員のご指摘というのは、私自身、極めて重要なご指摘だと受け止めております。
 優れた人材を確保するためには、まずは技術とか研究者の動向について、政府全体として広くアンテナを張ることが必要だと思っています。その上で十分な研究費の確保、こうしたことを通じて、国内の優秀な研究者、あるいは技術者が、我が国の大学ですとか、あるいは研究機関でしっかりと研究を継続したいと思えるような環境を整備することが重要だと思っています。
 岸田政権としても、科学技術立国の実現ということを成長戦略の第1の柱として掲げておりますけれども、こうした方たちの知見をしっかりと活用させていただく形で、我が国の成長にしっかりと結び付けていくということは当然重要であると考えておりますので、今申し上げた研究環境の整備を含めて、政府としては更に力を入れて取り組んでいく必要があると考えています。
(問)研究環境の整備をやれば、現役の研究者はいいんですけれども、定年でリタイヤした、そういう人たちをどういうふうに引き戻すかというか現場で活躍してもらうのか、そこら辺についてはどうでしょうか。
(答)そもそも、先ほど申し上げたことですけれども、政府としては、企業を引退した後も、まだまだ力を発揮していただきたい、あるいは知見を共有させていただきたい、そういう人がどこにいるのか、それをまず把握するところから、それはそれなりに把握はしていますけれども、政府全体でさらにアンテナを広く張る必要が私はあると思っています。それをやることなしに、例えば研究環境だけ例えば整備して、お金を用意しましたといっても、待っていて来るものではないと思っていますから、そういう意味では更に能動的に政府として動いていく、考えていく必要があるとは考えています。
(問)大臣の冒頭の発言の中で、CSTIの本会議の中で分野別の戦略についてご発言があったと思うんですけど、私、聞き取れなかったかもしれません。新たな戦略をまたつくるというふうに聞こえたんですが、すいません、確認をさせていただきたいなと思います。
(答)繰り返し申し上げますと、先ほど私が申し上げたことの1つは、量子、AI等の分野戦略を強化する新戦略の策定と申し上げました。この新戦略と私が申し上げたのは、これまでも当然、政府として量子、あるいはAIに対する戦略と銘打ったものについては出させていただいております。そこと全く断絶があるというわけではないんですけれども、岸田政権の下で、国民の皆様にしっかりと成果をお届けする、社会実装の視点をもっとしっかりと入れて、抜本的にこの戦略を強化していくという意味で、新戦略という言葉を使わせていただいたところであります。
(問)具体的に、今、分野別で、確か資料ではAI、量子、バイオ、マテリアル、グリーンという形での提示があったと思うんですけど、この戦略を見直していくというよりも、1つの戦略を新たにつくるという理解でよろしいんですか。新戦略を策定するというのはどういう。
(答)これからも検討していきますけれども、例えば量子だったら量子の戦略を抜本的に強化していく、分野別というイメージです。
(問)そういう意味ですね。では、また全く別個にという、線を区切ると先ほど表現されましたが、そういう意味ではないということですね。
(答)そういうわけではありません。抜本的に強化をする。岸田政権の下では、初めてという意味もありますので、そういう意味で新戦略ということです。
(問)量子や何かは新政権になってからの見直しという形で理解しているんですけど、他のところも抜本的な見直しをしていくというのが新戦略というふうな理解で。
(答)今この時点で想定しているのは、量子とAIというところであります。必要あれば、また検討はしていきたいと思います。
(問)国際宇宙ステーションについてお伺いします。2030年に引退という報道がありましたけれども、事実関係と日本の対応をお願いします。
(答)ISSが2030年に引退するという海外の報道があったということは承知しています。具体的にはNASAが今年の1月、また2018年3月に公表したISS移行レポートというものがあります。2018年3月に当初発表されて、今年の1月にアップデートされたものですけれども、そのアップデートにおきまして、昨年末、NASAが国際宇宙ステーションの運用期間を2030年まで延長する発表を受け、その内容が改訂されたものでございます。
 このレポートでは、ISSの2030年までの米国の活動内容などがまとめられております。このレポートの中でISSの寿命についても記載がございまして、アメリカや日本、あるいは他のパートナーのモジュールをそれぞれ検討する必要があるとして、2030年までの延長は可能であるとしつつ、いずれにせよ寿命があることから、2030年以降、軌道を下げて南太平洋に落下させるシナリオも検討されているとあります。
 ただ、このレポートは、NASAが技術的な観点から独自にまとめたものであって、我が国や他の参加国としてコミットしたものではありません。そのことは明確に申し上げたいと思います。
 いずれにしても、我々としてはISS延長への参加の可否につきましては、文科省、他関係省庁と連携して検討を進めていきたいと考えています。
(問)経済安全保障に関してお伺いします。今朝の会議の中で総理から、「小林大臣と関係大臣におかれては、各省が連携する体制を新たに整備した上で」というふうな発言がなされました。これは、小林大臣がリーダーシップを取って新しくどんな体制をつくるのか、どんなことを念頭に置いているのか、どういう指示だと具体的に理解なさっているのか、お聞きできればと思います。
(答)今まさに法制化の準備が本格化しておりますので、それは当然やっていきたい。通常国会提出に向けて頑張っているんですけれども、経済安全保障というのは、当然多岐にわたる分野をカバーしていかなければいけないということで、法案以外にも様々な、特に基幹産業、例えば情報通信ですとか、エネルギーとか、金融とか、いろいろありますが、そうした基幹産業についてリスク点検をしっかりしていかなければいけない。これは、今朝、閣僚級の経済安全保障推進会議、2回目が開かれましたが、去年11月の第1回目のときにも総理から、そういう指示をいただいております。したがって、各省が連携する体制と申し上げましたけれども、想定しているのは、関係省庁の局長クラスから成る会議体を立ち上げて、各基幹産業のリスク点検をし、脆弱性を洗い出して、それに対してどう対策を打っていくのか、どう優先順位を付けていくのか、こうした会議体を立ち上げた上で、私自身が先頭に立って関係省庁と連携をしながら、こうした作業を政府の中で進めていくということであります。
(問)経済安全保障の観点からお伺いしたいんですが、最近のウクライナ情勢についてですが、何か経済安全保障の観点で懸念などはありますでしょうか。
(答)今、経済安全保障、私自身が他国の情勢について個別具体的にコメントすることは控えますけれども、当然、国際情勢が流動化してきておりますし、またヨーロッパとロシア、あるいはアメリカ、様々なそうしたプレーヤーの中での相互依存関係を含めた課題というものも浮き彫りになっていると認識しています。そうした中で、我々自身の経済安全保障の評価という観点から、そこは注視をして見守っているところであります。

(以上)