小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年2月1日

(令和4年2月1日(火) 9:32~9:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 経済安全保障担当大臣として報告させていただきます。
 本日、第4回目となります「経済安全保障法制に関する有識者会議」を開催いたします。
 去る1月19日に開催された第3回の有識者会議では、これまでご議論いただいてまいりました4分野について、提言骨子をお示しいただいたところであります。本日の有識者会議は最終回となりまして、提言を取りまとめていただくことを予定しております。また、本日19時の予定で、青木座長から提言を手交いただくこととなっております。
 政府といたしましては、経済安全保障を推進するための法案策定に向けて、有識者会議で取りまとめていただく提言を踏まえながら、その準備を加速してまいります。
 続きまして、科学技術担当大臣としてご報告させていただきます。
 既にご案内させていただいておりますとおり、本日、第58回目となる「総合科学技術・イノベーション会議」、いわゆる「CSTI」を開催させていただく予定となっております。
 本日の会議では、科学技術・イノベーションによる成長と分配の好循環の実現に向けまして、まず世界と伍する研究大学の在り方、そして地域中核・特色ある研究大学の総合振興、そしてスタートアップ・エコシステムの抜本的強化等について議論を行う予定でございます。
 詳細は会議終了後に事務局からもブリーフィングをさせていただきますが、私からも後日報告をさせていただきます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)今日のCSTIで総合振興パッケージを取りまとめられるわけですけれども、世界に伍するほうは研究に特化して、世界と勝負できるような大学を選ぶと。総合振興パッケージの場合も、全ての大学が対象になるわけじゃないと思いますので、どういった基準で、どういった考え方で対象となる大学が選ばれるべきだと大臣はお考えでしょうか。
(答)このいわゆる10兆円の大学ファンドと総合振興パッケージについては様々なご意見もあろうかと思いますけれども、総合振興パッケージにつきましては、我が国の社会や産業を支えている多様な大学のうち、戦略的な経営を行うことによって自身の強みや特色を伸ばして、大学全体のポテンシャルを強化して、主体的に地域貢献ですとか、あるいは社会貢献に取り組もうとする意欲の高い大学を支援することとしています。
 また、我が国全体の研究力の向上を目指して、多様な大学をしっかりと応援していくことが重要であると考えておりますので、今申し上げた大学ファンドによる支援が開始されるときには、大学ファンドと総合振興パッケージがそれぞれ役割分担を果たしながら、しっかりと連携をしていくことも重要だと思っておりまして、今申し上げた両者の連携の在り方につきましても、政府において更なる検討を深めて、パッケージについても今後必要であれば、順次、改定をやっていく必要があろうと考えております。
 いずれにしても、我が国全体の研究力向上を図っていくことが不可欠ですので、その点を踏まえてしっかりと制度設計していきたいと考えています。
(問)今回の議題、先端的科学技術分野の戦略的な推進ということで、大臣、常におっしゃっているように、量子とか、AIだとか、バイオだとか、そういうところの研究開発をCSTIとしても戦略的にやるように分野別の戦略を作ったりしていますけれども、その戦略と経済安全保障の研究開発のファンドがあったと思うんですけれども、あちらとの関係というのはどういう関係になるんでしょうか。
(答)まさに量子、AIについて既に既存の戦略を定めておりますので、それはそれで政府一体となって進めていくと、当然そういうことになろうかと思います。
 今後、経済安全保障プログラム、これはご案内のとおり、既にシンクタンク機能の確立に向けまして委託調査を昨年の秋から始めているところでございますけれども、そこで何を本当に扱っていくのか、結局、我が国としてどこに勝ち筋を見いだしてやっていくのかというのは、今後、そのシンクタンク機能をしっかり確立した上で決めていく話でございますので、今、AIや量子についてこういうことをやるというのは、何か決まっているものではございません。ただ、政府としてプロジェクトを決めて取り組んでいく話でございますので、量子やAIの既存の戦略との整合性というのは取っていかなくてはいけないと考えています。
(問)今日、有識者会議の提言が取りまとめられて、今後、与党調整であったり法制局との調整であったりを加速されると思うのですが、具体的にどのようなタイミングで閣議決定、法案提出となりそうか、スケジュール感と、あと4つの柱の中でどういったところが焦点になるのか、改めて伺えないでしょうか。
(答)今後のスケジュールにつきましては、本日の有識者会議の議論を踏まえて、夜、その提言を座長からいただくことになっておりまして、当然、その有識者会議の提言をしっかりと踏まえる形で法案の作成作業を加速していきたいと考えております。
 現時点でスケジュールが固まっているわけではないんですけれども、当然、通常国会に提出していくべく作業をしていかなければいけないと思っておりますので、与党と丁寧に十分に調整をしながら、できれば2月の下旬の提出を目指して作業を加速していきたいと考えています。
 4項目のどこがポイントかというのは、これは今具体的にこれとこれというのを私の口から申し上げるものではないと思っていますけれども、経済安全保障というものにはいろいろやらなければならない課題が山積しています。今回の法案というのは、あくまでその一部と位置付けていただければと思います。それで全てというわけではなくて、4項目、サプライチェーンの話、基幹インフラの話、官民の技術協力、特許の非公開性と、これは特に急がなければならないと判断をして、今、先行してやっている話ですので、その論点につきましては、国会審議で様々な質疑をいただきながら、もし深掘りしていく論点があれば、そこでしっかりと説明をしていきたいと考えています。
(問)経済安保について伺いたいんですけれども。提言の骨子には、制度の詳細についてもポイントポイントが書かれていると思うんですけれども、法案にどのように反映されていきたいかというところを伺えればと思っています。
(答)繰り返しになるんですけれども、この間は骨子ですから、今日の提言は更に肉が付いたものが出てくると受け止めております。これまで有識者会議の親会が4回開催されたということなんですけれども、各4つの分野において分野別の会合というものを有識者の皆様に頻繁に開催いただきました。かなりの数に上っていると思います。その結果として出てくるものですので、これは先ほど論点の話も出ましたけれども、産業界、アカデミアを含めた多くの有識者の方々に、私も毎回、親会に出席させていただいていますけれども、侃々諤々と議論していただいているんです。その中で煮詰まったものを提言として出していただくと理解していますので、今晩受け取る予定の提言をしっかりと踏まえる形で法案を作っていきたいと考えています。
(問)大学ファンドについて1点お願いします。
 先日、全大教が記者会見で、稼げる研究分野への選択と集中を促進してしまうというような懸念を表明しましたけれども、一部の教員からこうした心配の声が上がっていますが、これについて所感をお願いします。
(答)先ほど申し上げたとおり、大学ファンド、あるいは総合振興パッケージ、関係者の方を含めて様々なご意見があるということは私も承知しています。でも、皆さんが一番よくご存じかと思いますけれども、我が国の大学を含めた研究力の国際的な低下、これは各国がしのぎを削って研究力の向上に向けて努力している中で、相対的に我が国の研究力が低下している、そこは否定できない事実だと思います。その中で、我が国でトップ大学とされている東京大学ですら、事業規模、研究力、こうしたところで世界のトップ大学の後塵を拝している状況です。こうした状況を打開するためには本当に何ができるのかということを政府、また有識者の方の知見も借りながら考えてまいりました。
 これまでの延長線上の政策をやっているだけでは、世界の先端大学と伍するような研究力というのはなかなか獲得することは難しいのではないかということで、異次元の政策と私は位置付けておりますけれども、10兆円ファンドという政策を思い切って今回やろうとしているわけです。
 ですから、そうした世界と勝負していく国でなければ、この日本の未来というのは切り開けないと思っています。そこはそれでしっかりと支援をしつつも、他の大学が支援しなくていいかというわけでは当然なくて、冒頭の質問に戻りますけれども、世界と伍する大学、この大学ファンドの対象にならない大学であったとしても、いろいろな特色が各大学にあるわけです。その中でも特に意欲と能力を兼ね備えた大学というのは少なからずあるわけであって、主体的に地域に貢献しようとか、あるいは世界と特定分野だけの勝負をしようとか、意欲のある大学を国としてはしっかりと応援していきたい。そういう思いで総合振興パッケージというものを本日の夕方、CSTIの本会議に諮っていただくことになっております。
 そういう意味で世界と勝負できるところはどんどん勝負していただきたいし、そうでなかったとしても、意欲と能力さえあれば、そういう大学には国として積極的に支援していく、そういうスタンスで臨んでいきたいと考えています。

(以上)