小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年1月28日

(令和4年1月28日(金) 9:32~9:42  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 宇宙政策担当の大臣として何点かご報告をさせていただきます。
 まず、1月25日(火)に、宇宙システム全体の機能保証、すなわち各種のリスクや脅威の下でも宇宙システムの機能の維持に向けた取組を強化するための模擬的な訓練、いわゆる机上演習を実施いたしました。この机上演習は、人工衛星等の宇宙システムへの依存の高まりや宇宙システムへの脅威・リスクの拡大を踏まえまして、宇宙システムに機能低下などが発生した場合への対応を強化するため、内閣府が主催する形で関係府省等の対応能力の向上を図るものであり、今回が2回目となります。
 今年度の机上演習では、関係府省に加えまして民間事業者等が参加し、宇宙システムに機能低下が発生した際に、いかに情報を集約・共有し、生じた事象に対処するかを模擬し、検証いたしました。今後、関係府省や民間事業者等の協力を得ながら机上演習を継続し、その成果などを生かし、機能保証の強化に努めてまいります。
 2点目といたしましては、令和4年度予算案における宇宙関係予算について取りまとめ、今般、公表することとなりました。政府全体の宇宙関係予算の総額は、既に可決いただきました令和3年度補正予算と令和4年度予算案とを合わせまして5,219億円となりました。これは、前年度を700億円以上上回る大幅な伸びとなっております。宇宙につきましては今後成長が期待され、ますます重要性が高まる分野でございます。昨年末に決定した宇宙基本計画工程表の着実な実施に向けて、関係各省庁においても積極的な予算措置をしていただいたものであり、関係省庁のご協力に改めて感謝を申し上げます。
 令和4年度予算案については、まずは国会においてお認めいただくことが必要でございますけれども、認めていただいた際には予算の速やかな執行を行い、しっかりと成長につながるよう、関係省庁とよく連携して宇宙政策を推進してまいります。この後、内閣府のホームページに掲載予定でございますので、ご関心のあります方はご覧いただければと思います。詳細については、宇宙開発戦略推進事務局にお問い合わせいただければと存じます。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)25日に健康・医療戦略推進専門調査会で、健康・医療分野のムーンショットの新しい課題の公募が3月にも開始されるという報告があったんですけれども、新しいムーンショット課題について、大臣としての期待をお願いします。
(答)今週火曜日に健康・医療戦略推進専門調査会が開催をされまして、「がんムーンショット」の推進について議論が行われたことは承知をしております。このがんムーンショットは、ご案内のとおり、昨年4月の日米共同声明、いわゆる日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップで盛り込まれたことも踏まえまして、政府として令和3年度補正予算におきまして所要の措置を講じさせていただいたところでございます。
 がんの克服というのは、当然、健康長寿社会を実現していく上で非常に重要なものであると考えておりまして、同盟国であるアメリカは6年前からこうしたプロジェクトもスタートしておりますけれども、米国とお互いの研究開発上の優位性を生かして協力していくことは、科学技術上も外交上も非常に有意義なものであると考えております。
 現在、公募の開始時期は未定ではございますけれども、速やかな公募開始を目指してAMEDを中心に準備しているところでございます。
 このムーンショット型の研究開発事業というのは、従来の技術の延長にない、かなり大胆な発想に基づいた挑戦的な研究開発を推進していくものでございますので、日米連携による相乗効果も含めて、魅力的な提案が集まることを期待しているところでございます。
(問)宇宙関連予算についてお伺いします。700億円以上上乗せということですけれども、大臣も力を入れたんだと思いますけれども、宇宙関連分野は成果が分かりにくくて、巨額な費用に見合った成果が出ているのかという批判も出かねない分野ですけれども、こういった観点も含めて、大臣は宇宙関連の予算は今後増加していくべきなのかどうか、その辺のお考えをお願いします。
(答)いろいろなお声があるかと思います。今回例えばかなり多くの予算案が認められればですけれども、案も含め計上させていただいていますが、例えばいわゆる「アルテミス計画」に向けた研究開発などにお金を積ませていただいている、あるいは世界初となる火星の衛星からのサンプルリターンを目指す、いわゆるMMX(火星衛星探査計画)、こうしたものにも積ませていただいている、あるいは新たに小型のSAR衛星コンステレーションのデータ利用実証を実施するための「宇宙開発利用推進費」あるいはSSA、いわゆる宇宙状況把握の強化、あるいは準天頂衛星システム、そうしたものがいくつも入っているわけでございます。
 宇宙空間というのは、当然今の私たちの社会がかなり依存している空間であって、ここの利活用をどうやっていくのか、産業振興をこれからどのように図っていくのか、またこれからも様々な科学的な調査を含めてやっていかなければいけないフロンティアでございます。これは日本にとってだけではなくて、世界各国にとってもそういう位置付けだと思っています。
 ですから、可能性があると同時に、その成果が具体的にすぐ見えてくるものと、そうでないものというものがありますけれども、宇宙の可能性に懸けていくという姿勢を持ち続けるということが、私はかねてから世界をリードする日本にしたいという思いがあるんですけれども、ここの分野で各国と勝負しないわけにはいかないと思いますので、今回、予算案が認められれば、かなりの増額になりますけれども、私としては宇宙関連の政策というのは、更に強化をしていきたいという思いを持っています。
(問)今回、H3ロケットの打上げ延期があって、搭載する「だいち3号」だと、防衛省の2波長のミサイル探知センサーの実証機が付いていたり、今お話があったMMX、火星圏からのサンプルリターンなど、遅らせられないと思うんですけれど、今回、H3の開発状況次第で、今後、工程表が変わると思うんですが、どれぐらいまでにめどを立てたいとかいうお考えはあるでしょうか。
(答)これは、前の会見で確か申し上げたと思いますけれども、年度内にもう一度JAXAで、何が本当に問題だったのかということを検証していくというスケジュールと伺っております。JAXAの検証をしっかり踏まえないと、その先どうなるかというのは現時点で確たることは申し上げられないと。ですからJAXAにおかれましては、私の立場としては、その検証をしっかり行っていただいて、できる限り早くその先に進めるように、そういう環境になることを期待しています。

(以上)