小林内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年1月18日

(令和4年1月18日(火) 10:49~10:59  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 経済安全保障担当大臣として報告がございます。
 明日、第3回となる「経済安全保障法制に関する有識者会議」を開催いたします。
 昨年12月28日に開催された第2回の有識者会議におきましては、サプライチェーン、基幹インフラ、官民技術協力、特許非公開の4分野を中心に、経済安全保障に係る法制の在り方について議論を深めていただきました。そして、さらに年明けからは、この4分野につきまして、それぞれ検討会合が開催され、専門的な見地から議論を行っていただいてきております。
 明日の有識者会議におきましては、分野別検討会合の結果報告が行われるとともに、これまでの各委員からのご意見を取りまとめた提言骨子案をご議論いただく予定でございます。
 政府としては、経済安全保障を推進するための法案策定に向けて、有識者会議でのご議論を踏まえながら、その準備を加速してまいります。

2.質疑応答

(問)慶應大学が先週、世界初のiPS細胞移植による脊髄損傷の手術を実施したことを公表しましたけれども、大臣としては、この手術についての所感や、今後の再生医療研究についてどのようにお考えなのか、教えてください。
(答)今回、慶應義塾大学医学部の岡野栄之教授を始めとする研究グループが、脊髄損傷に対するiPS細胞由来の細胞移植という世界初の手術をAMEDの支援を受けて行ったことは承知しております。まずは臨床研究が成功裏に終了することを期待したいと思います。
 再生医療研究につきましては、ご案内のとおり、健康・医療戦略において6つ掲げている柱の1つとして位置付けられておりまして、関係省庁が連携して支援に取り組んでいるところでございます。
 今後、基礎研究、そして実用化を見据えた臨床研究、そして製造技術開発を推進することとしておりますので、引き続き我が国の再生医療研究が着実に発展して、いち早く患者、社会に還元することができるように、しっかりと政府としても取り組んでまいりたいと考えております。
(問)先ほどの有識者会議の話でお伺いします。大臣から提言骨子案という話がありましたけれども、実際に提言になって出てくるというのは、その後、どんなスケジュール感でと理解をしておけばいいんでしょうか。
(答)そこについてはまだ何も決まっておりません。明日、提言の骨子案を議論していただく予定になっておりまして、そこでの有識者の先生方からの骨子案というのは、当然、これまで有識者の先生方に精力的に議論していただいておりますので、そのエッセンスを盛り込んだものになろうかと思います。その骨子案をベースに、さらに有識者の皆さんにご議論をいただいた上で、決まっておりませんけれども、しかるべきタイミングで提言を出していただけることを期待しています。
(問)今の点について確認させてもらいたいんですが、いずれこの骨子をベースに提言が政府に提出されて、その提言を基に、その提言を検討した上で法案に盛り込んでいくというような、そういったイメージでよろしいんでしょうか。
(答)もちろんです。そもそもこの有識者会議の立て付けと意義というものが、法制化を視野に入れて検討していただくことを目的としておりますので、当然、提言を出していただいた暁には、それをしっかりと踏まえながら法案の作業を進めていくことになります。
(問)H3ロケットについてお伺います。打上げを再延期するという報道がありましたけれども、事実関係と宇宙開発計画全体への影響についてお願いします。
(答)そうした報道が一部にあったことは承知をしております。
 H3ロケットにつきましては、現在、JAXAにおきまして打上げに向けた技術的な課題に対応するために、必要な開発や検証試験を実施していると承知しております。H3ロケットは、我が国の宇宙活動の自律性確保の観点から不可欠な基幹ロケットでありまして、非常に重要だと考えております。打上げ成功に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思っておりますが、JAXAから開発状況につきまして、近々、説明する機会を設けると伺っておりますけれども、現時点ではそれを待つということであります。
(問)国産のワクチンの関連なんですけれども、塩野義製薬が最終段階の治験を始めたということを発表しました。改めて、国内では初となると思うんですけれども、その意義ですとか支援体制についてどのようにお考えか、お願いします。
(答)国産ワクチンの開発というのは、当然、私が別途担っている経済安全保障の観点からも極めて重要だと思っております。何かが起こったときに、自国の意思と能力で国民の命や暮らしを守っていくことは、自律性の確保の観点から極めて重要です。さらにワクチン、あるいは治療薬、こうしたものの開発力が高まっていけば、それを国際社会への貢献という形で使っていくこともできますので、そういう観点からは、塩野義製薬さんに限らず、日本の製薬メーカー、たくさんございますので頑張っていただきたいと思いますし、私どももAMEDを通じた支援を含めて、しっかりと連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
(問)昨日の総理の施政方針演説でも、新しい資本主義の一角に経済安保があって成長戦略の一つだとおっしゃるんですけれど、国民的にはよく分からなくて。米中ハイテク戦争の中で、日本がある意味で特許だったり何であり弱くなっていると。その日本の脆弱性を克服するという意味で、経済安保というのは喫緊の課題なんじゃないかと。そっちのほうが分かりやすいんですけれども。これがすなわち新しい資本主義、あるいは成長戦略の柱になると。その辺は小林先生、どんなふうに、まずは穴を埋めるみたいな話じゃないんでしょうか。その辺を伺いたいです。
(答)これは成長戦略の一つとして位置付けられていると私自身が捉えているのは、まず経済成長といったときに両面あると思っていて、例えば、新しい技術を育成していくという意味でのプラスの成長、これは分かりやすいと思うんですけれども、一方で何かが起きたときに、日本経済、あるいは国民生活全体に対して大きな悪い影響が起こってしまうと、その分経済成長というのは落ち込みますから、その何か起こったときの落ち込みというものをできるだけ小さくしていくということも、裏から見ればの話ですけれども、経済成長につながっていくと考えております。
 こうした意味で、今、有識者会議で4つの項目を中心にご議論いただいておりますけれども、脆弱性を解消する、すなわち我が国の自律性を高めていくということは、当然、経済成長にとってはプラスの側面もあると思っております。
 今、ご議論いただいている中には、例えば重要な先端技術、これは量子であり、人工知能であり、ライフサイエンス、宇宙、海洋、いろんな分野がありますけれども、各国がしのぎを削る中で、官民が協力をして、その技術をしっかりと育成していく、これは当然、我が国の経済成長につながると理解しておりますので、そうした文脈でも、この経済安全保障というものを捉えていただきたいと考えております。

(以上)